●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-1.III.3:1 ~ T-1.III.4:7

3. The forgiven are the means of the Atonement. Being filled with spirit, they forgive in return. 
  • forgiven [fərɡívn] : 「forgiveの過去分詞」
  • forgive [fərɡív] : 「許す、容赦する、勘弁する」
  • means [míːnz] : 「手段、方法」
  • atonement [ətóunmənt] : 「償い、贖罪」
  • be filled with : 「〜でいっぱいである、〜で満たされている」
  • spirit [spírit] : 「霊、魂、霊魂、精霊、精神、気分、気迫」
  • in return [ritə́ːrn] : 「お返しとして」
❖ "The forgiven are ~ "「赦るされた者達は、贖罪の手段となる」。罪の意識(無意識の中にあるのだが)を、それは幻想だとしっかり認識し、受け入れ受け流して赦すとき、幻想の罪の意識は消滅する。罪が滅びるから、贖罪なのだ。こうして赦しを経て贖罪した者達は、今度は、同胞の罪の意識を消す役割を担う。本文には「贖罪の手段」とあるが、贖罪の役割を担った者達、と解釈していい。"Being filled with ~ "「彼らはスピリットで満たされているので、お返しに赦すのである」。"spirit"「スピリット」という言葉は非常に大切な用語であって、ACIMでは、実相に目覚めた正しい心、という意味合いで使われる。エゴに毒されていない、つまり、ホーリー・スピリットと共にある正気な心である。赦しを経て罪の意識を消滅させた者達の心は、純化されてスピリットとなる。その心をもって、他者の罪の意識を赦すのである。他者の罪の意識を消滅させ、贖罪を与えるのだ。つまり、キリストとしての役割を果たすのである。



Those who are released must join in releasing their brothers, for this is the plan of the Atonement.
  • those who : 「〜する人々」
  • release [rilíːs] : 「解放する、自由にする」
  • join [dʒɔ́in] : 「加わる、加入する、参加する」
  • plan [plǽn] : 「計画、企画、予定、意向、つもり、考え」
❖ "Those who are released ~ "「解放された者達は、彼らの同胞の解放に参加しなくてはいけない」。罪の意識から解放された者達は、つまり幻想から目覚めた者達は、自らキリストとなって、他者の解放という役割を果たさなくてはいけない。あなたと他者は自他一如であり、分離などしていないからだ。あなた一人が解放されただけでは、本当の解放は完成されないのだ。"for this is the plan ~ "「なぜなら、これが贖罪のプランだからである」。"plan of the Atonement"「贖罪のプラン」とあるが、贖罪の法則という意味合いである。実相世界にあっては、与えることと得ることは同一である。他者に贖罪を与えることは、自分が贖罪を得ることに繋がるのだ。与えることと得ることを別々に考えるのは二元論の発想であって、一元論の世界では与える者も得る者も同一なのである。



Miracles are the way in which minds that serve the Holy Spirit unite with me for the salvation or release of all of God's creations.
  • way [wéi] : 「方法、やり方、手段、方途、様式」
  • serve [sə́ːrv] : 「〜に役立つ、果たす、〜に仕える」
  • unite [junáit] : 「合体する、一体化する、結合する、加わる、参加する」
  • unite with : 「〜と一緒になる、〜と結合する、〜と合体する」
  • salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い、救世」
  • release [rilíːs] : 「救出、解放」
  • creation [kriéiʃən]: 「創造、創作、創作物、作品」
❖ "Miracles are the way ~ "「奇跡は、ホーリー・スピリットに仕える心が、神が創造した者達すべての救いと解放のために私と結合する手段である」。2つの関係代名詞が入れ子の状態になっているので、注意深く読むこと。"God's creations"「神が創造した者達」とは、神の子のこと。贖罪を果たしてホーリー・スピリットの計画に参加した者達の心は、神の子全体の罪の意識からの救いと解放のため、奇跡を通してイエスと一体になる。



4. I am the only one who can perform miracles indiscriminately, because I am the Atonement. 
  • perform [pərfɔ́ːrm] : 「〜を行う、実行する、遂行する」
  • indiscriminately [ìndiskrímənətli] : 「見境なく、無差別に」
❖ "I am the only ~ "「私は、差別することなく奇跡を実現出来る唯一の存在である」。"because I am ~ "「なぜなら、私は贖罪そのものだからだ」。非情に力強い宣言である。この幻想世界で分離した状態にある我々は、差別することなく救いと解放を実行する力はまだない。しかし、イエスは純粋なスピリットして分離から解放されたから、差別という幻想からも解放されたのだ。したがって、善人も悪人も、ともに差別することなく幻想から救い出すことが出来る。イエスが贖罪そのものだ、ということは、イエスの役割は神の子全体を罪の意識から救い出すことに尽きる、という意味合いであろう。イエスは、贖罪という役割を担った先達(せんだつ)なのだ。
"I am the Atonement"「私は贖罪そのものである」という宣言を、イエスが神の子の裏切りの罪を一人背負い込んで、その罪を十字架上で贖(あがな)ったと解釈してはいけない。ACIMの神髄を知るには、キリスト教の古い教義から一旦離れる必要がある。キリスト教徒にとっては、ACIMを学ぶことは自己の宗教改革に等しいのである。



You have a role in the Atonement which I will dictate to you. Ask me which miracles you should perform. 
  • role [róul] : 「役、役目、役割、任務」
  • dictate [díkteit] : 「〜を命令する、指示する」
❖ "You have a role ~ "「あなたは、私が命じる贖罪の役割を担っている」。贖罪という役割を担った先達として、後続のあなたにイエスはいろいろと指示を与える。"Ask me which ~ "「どの奇跡を起こしたらよいか、私に訊ねなさい」。あなたが他者を罪の意識から解放し幻想から救い出すには、あなたはまだまだ力不足で、一人では実行出来ない。だから、イエスの指示を仰いで、ホーリー・スピリットの導きに従いなさい、という意味合い。"which miracles ~ "「どの奇跡を実行したらいいか」とあるが、例えば、罪を赦す奇跡であったり、怒りや憎悪を赦して消滅させる奇跡であったり、ヒーリングの奇跡であったり、奇跡はさまざまな段階を経て、天の王国への回帰の道を歩む奇跡に行き着く。その中のどの奇跡を今実行すべきなのか、イエスに訊きなさい、ということ。



This spares you needless effort, because you will be acting under direct communication.
  • spare [spéər] : 「〜を使わない、取っておく、〜をなしで済ます」
  • needless [níːdləs] : 「不必要な、無用の」
  • effort [éfərt] : 「努力、尽力、骨折り」
  • act [ǽkt] : 「行動する、振る舞う」
  • under [ʌ́ndər] : 「下で、下の方に」
  • direct [dirékt] : 「直接の、直々の」
  • communication [kəmjùːnəkéiʃən] : 「通信、やりとり、連絡、伝達」
❖ "This spares you ~ "「こうすることで、あなたは無駄な努力をしないで済む」。イエスの指示で奇跡を行えば、無駄な努力をしないで済む。"because you will ~ "「なぜなら、(私とあなたの)直接のコミュニケーションの元で、あなたは奇跡を執り行うことになるからだ」。イエスは純粋なスピリットとして、幻想を夢に見ているあなたと直接のコミュニケーションがとれる。神は、幻想の一切と関わりをもたないので、あなたが神と直接コミュニケーションをとることはない。



The impersonal nature of the miracle is an essential ingredient, because it enables me to direct its application, and under my guidance miracles lead to the highly personal experience of revelation.
  • impersonal [impə́ːrsənl] : 「個人に関係ない、人間味のない、人格を持たない」
  • nature [néitʃər] : 「本質、特質、本性、気質、気性、性分」
  • essential [isénʃəl] : 「必須の、最も重要な、肝心な、本質の、本質的な」
  • ingredient [ingríːdiənt] : 「要素、原料、構成要素、成分」
  • enable [inéibl] : 「〜を可能にする、〜が〜できるようにする」
  • direct [dərékt] :「 〜に〜するように命令する、指図する」
  • application [æ̀pləkéiʃən] : 「適用、応用、活用、利用、充当」
  • guidance [gáidns] : 「指導、手引き、案内、指図」
  • lead [líːd] : 「案内する、連れて行く」
  • highly [háili] : 「大いに、非常に、極めて」
  • personal [pə́ːrsənl] : 「個人の、個人的な、私事の、私的な」
  • experience [ikspíəriəns] : 「経験、体験」
  • revelation [rèvəléiʃən] : 「啓示、黙示」
❖ "The impersonal nature ~ "「奇跡が人格をもたないという性質は、必須の要因である」。ホーリー・スピリットは人格があるが、奇跡は人格がない。しかし、それが重要である。"because it enables ~ "「なぜなら、奇跡に人格がないことで、私は奇跡の適用を指示することが出来、私の指揮の下で、奇跡はより高次の個人的な啓示という経験に導くからだ」。イエスにとっては、奇跡は自在に扱えるツールである。人格がないから、奇跡というツールはイエスの意のままに扱うことが出来る。いつ、誰に、どのように奇跡を適用するか、イエスは指揮をとる。その結果、個人と神との直接のコミュニケーションである啓示へと、奇跡を結びつけることが出来るのだ。



A guide does not control but he does direct, leaving it up to you to follow. 
  • guide [ɡáid] : 「指導者、案内人、指針」
  • control [kəntróul] : 「操作する、制御する、支配する、統制する」
  • direct [dirékt] : 「〜に〜するよう指示する」
  • leave [líːv] : 「〜を残す、〜を任せておく、ある状態のままにしておく」
  • up to : 「〜次第で」
  • follow [fάlou] : 「〜の後について行く、〜に従う、追随する」
❖ "A guide does not ~ "「ガイドは、管理するのではなく、導くのである」。奇跡のガイドは、命令して従わせるのではなく、より良い方向へと導くのである。"leaving it up ~ "意訳する、「つまり、それに従うかどうかはあなたの自由意思に任せるのである」。実相世界は完全自由の世界であり、強制は存在しない。奇跡へ至る道は示すことが出来ても、それを命じて強制することは不可能なのだ。最終的に、あなたがあなたの自由意思で選択しなくてはいけない。



"Lead us not into temptation" means "Recognize your errors and choose to abandon them by following my guidance. "
  • temptation [temptéiʃən] : 「誘惑、衝動」
  • mean [míːn] : 「〜を意味する、…とは〜を指す」
  • recognize [rékəɡnàiz] : 「〜を認識する、認める、受け入れる」
  • error [érər] : 「誤り、間違い」
  • choose [tʃúːz] : 「 〜を選ぶ、〜を選択する」
  • abandon[əbǽndən] : 「捨て去る、断念する」
  • follow : 「〜に続く、〜の後について行く、〜に従う」
  • guidance [gáidns] : 「指導、手引き、案内、指図」
❖ "Lead us not into ~ "「『私たちを誘惑へと導かないでほしい』とは、『あなたの誤りを認識し、私の導きにしたがって、その誤りを放棄する選択をしなさい』という意味である」。幻想を実在だと信じた誤りを放棄するようにと、イエスはあなたを正しい奇跡の方向へ導いてくれる。その導きを、あなたの自由意思で選択して欲しいとイエスは願っているのだ。
"Lead us not into ~ "という言葉は、マタイによる福音書6章13節である。参考までに、ここに載せておく。

[Matthew 6:13 from King James Version]
And lead us not into temptation, but deliver us from evil: For thine is the kingdom, and the power, and the glory, for ever. Amen. For if ye forgive men their trespasses, your heavenly Father will also forgive you: But if ye forgive not men their trespasses, neither will your Father forgive your trespasses.
私たちを誘惑へと導くことなく、悪しきものから救ってほしい。なぜなら、王国はあなたのものであり、パワーも栄光も、永遠にあなたのものだから。アーメン。もしあなたが人の過ちを赦すなら、あなたの天の父もあなたを赦してくれる。しかし、もしあなたが人の過ちを赦さないなら、あなたの父もあなたの過ちを赦さないだろう。
 
 
 


Notification

自分の写真


❖ Text精読、完了しました。4年8ヶ月、1256回の投稿でした。長期に渡ってお付き合いいただき、感謝します。
❖ 引き続き、Workbook精読をご覧下さい。場所は「http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp」です。
❖ Text精読の手直しも始めました。月日をかけて見直していきます。
❖ AmazonからKindle版の精読シリーズを出版開始しました。『どこでもAcim』をご希望の方は是非どうぞ。
❖ Google PlayとiBookstoreからepub版の精読シリーズを出版開始しました。Kindle版で窮屈さをお感じでしたら、こちらをどうぞ。
❖ Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。Urtextは非常に面白いです。臨場感は半端でありません。

oohata_mnb@yahoo.co.jp
oohata.m@coda.ocn.ne.jp

アクセスカウンター