●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-2.I.1:1 ~ T-2.I.1:12

Chapter 2





The Separation and the Atonement
分離と贖罪




I. The Origins of Separation
分離の起源



1. To extend is a fundamental aspect of God which he gave to his son. 
  • extend [iksténd] : 「広げる、伸ばす、拡張する、拡大する」
  • fundamental [fʌ̀ndəméntl]: 「 基本の、基礎の、基本的な、根本的な」
  • aspect [ǽspekt] : 「局面、状況、側面、特徴」
  • gave [ɡéiv] : 「giveの過去形」
❖ "To extend is ~ "「拡張することは、神が神の子に与えた神の基本的な側面である」。"extend"「拡張する」とは、真実を拡張することであって、真実の創造である。"extend"は、ほぼ"create"と同等と考えていい。神は自らの属性である拡張性と創造性を神の子に継承した。もちろん、神が神の子を創造したことは、神の拡張である。決して、神は独りでいることを寂しがって、神の子を創造したのではない。
なお、余談になるが、"he"と"his"は共に神のことであるから、本来は大文字扱いするべきなのだが、1975年版ACIMでは小文字になっている。1996年版のACIMでは大文字に直されている。


In the creation, God extended himself to his creations and imbued them with the same loving will to create.
  • creation [kriéiʃən]: 「創造、創作、創作物、作品」
  • imbue [imbjúː] : 「染み込ませる、植え付ける」
  • imbue A with B : 「AにBを吹き込む」
  • same [séim] : 「同じ、同一の、変わらない」
  • loving [lʌ́viŋ] : 「愛情を抱いた、愛情がある、愛情あふれる」
  • will [wíl] : 「意志、精神力」
  • create [kriéit] : 「創造する、創り出す」
❖ "In the creation, ~ "「創造にあたって、神は創造するものに対して自らを拡張し、」"and imbued them with ~ "「創造したいという熱い思いを創造物に吹き込んだ」。神が神の子を創造したことは、神の拡張である。そして、神は、自らの属性である拡張性と創造性を神の子に継承した。その思いは愛に溢れた熱い思いであり、神は神の子に愛の息吹を吹き込んだのだ。



You have not only been fully created, but have also been created perfect. 
  • not only A but also B : 「AのみならずBも」
  • fully [fúlli] : 「十分に、完全に、全く、すっかり、全体に」
  • also [ɔ́ːlsou] : 「〜もまた、同様に、また、〜もやはり」
  • perfect [pə́ːrfikt] : 「申し分がない、完全な、完璧な」
❖ "You have not only ~ "「あなたは不足なく創造されただけでなく、完璧に創造された」。"fully"は、不足なく、五体満足に、といった意味合い。"perfect"は、神の属性をすべて継承して、神と同じく完璧だ、ということ。
文法的に一言。ここの形容詞"perfect"は補語になっている。"You make me happy"「あなたは私を幸せにする」という文章と同じ。創世記に"All men are created equal"という文があるが、これも同じ。



There is no emptiness in you. Because of your likeness to your Creator you are creative.
  • emptiness [émptinəs] : 「 空虚、むなしさ、無意味」
  • likeness [láiknis] : 「似ていること、類似」
  • creative [kriéitiv] : 「創造力のある、創造的な、独創的な」
❖ "There is no ~" 「あなたの中には、空っぽなものなど何もない」。本来、あなたの心の中には無である幻想など存在しなかった。"Because of your ~ "「あなたの創造主とあなたは似ているから、あなたは創造的である」。あなたは神同様に、何でも創造出来る。なぜなら、神は自らに似せて神の子を創造したからだ。完璧な神が、自らの属性である創造性を欠いた被造物など作り出せるわけがない。



No child of God can lose this ability because it is inherent in what he is, but he can use it inappropriately by projecting.
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
  • ability [əbíləti] : 「能力、才能、できること」
  • inherent [inhíərənt] : 「生まれつきの、生来の、先天的な、特有の、固有の」
  • use [juːz] : 「使う、利用する、生かす、働かせる」
  • inappropriately [ìnəpróupriətli]: 「不適切に」
  • project [prɑ́dʒekt] : 「 〜を投影する、発射する、投げ出す」
❖ "No child of God ~ "「神の子は誰もこの能力を失うことは出来ない」。" because it is ~ "「なぜなら、その能力は神の子自身の中にある生得のものだからだ」。神の子の拡張性や創造性は、神から継承したものであるから、つまり、生得のものであるから、忘れることは可能だとしても、喪失することは出来ない。"but he can use it ~ "「しかし、神の子はその能力を、投影することによって、不適切に使うことは出来る」。これが、神の子が行った偽創造である。真実の創造ではなく、実在しない空想を心の外に投影して、あたかもこの世界を創造したかのように振る舞ったのだ。偽創造された世界がこの幻想世界、というわけである。
ACIMの投影(projection)は、フロイトのそれと非常によく似ている。ACIMを学んでいくにあたって、フロイトの『投影』を復習することは有益である。ACIMの投影を簡単に説明しておく。たとえば、人は無意識の中にある自分の罪悪感を他人に投影するのである。他人に罪をなすりつけることで、自分には罪はないと自分に納得させ、その場をしのぐのである。これが投影という心理的行為である。心理的偽創造なのだ。ACIMでは、投影が心理的行為にとどまらず、この空間、時間、宇宙、肉体、等々、すべてが投影の産物である。投影によって生じた産物が幻想(illusion)である。



The inappropriate use of extension, or projection, occurs when you believe that some emptiness or lack exists in you, and that you can fill it with your own ideas instead of truth.
  • inappropriate [ìnəpróupriət] : 「不適切な、不適当な、妥当でない」
  • use [júːs] : 「使うこと、利用、使用」
  • extension [iksténʃən] : 「拡張、伸長、延長、伸展」
  • projection [prədʒékʃən] : 「投影、射影、投射、映写」
  • occur [əkə́ːr] : 「起こる、発生する、生じる、現れる」
  • believe [bilíːv] : 「信じる、確信する、信頼する」
  • emptiness [émptinəs] : 「 空虚、むなしさ、無意味」
  • lack [lǽk] : 「不足、欠乏、欠如、欠落 」
  • exist [iɡzíst] : 「存在する、生きている、生存する」
  • fill [fíl] : 「いっぱいに満たす、埋める」
  • idea [aidíə] : 「考え、着想、アイデア、発想、思い付き」
  • instead [instéd] of : 「〜の代わりに」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
❖ "The inappropriate use ~ "「拡張の不適切な使用は、すなわち投影は、〜のとき、起こる」。"when you believe that ~ "「何らかの空っぽな感じ、欠けているような感じがあなたの中に存在しているとあなたが信じるとき、」さらに、"and that you can fill ~ "「真実の代わりに、自分自身の考えでその空虚感や欠落感を満たすことが出来ると信じるとき、」投影や不適切な拡張が起きる。神の子が神から分離した後、神の子は、神の属性のすべてを継承して充足しているという感覚を忘れてしまった。そこに、空虚感や欠落感が生まれる。それを満たそうとして、ありもしない幻想を投影によって生み出そうとしたわけである。
たとえば、親の愛に恵まれない子供が、自分をこよなく愛していくれる存在をクマの縫いぐるみに投影して、クマの縫いぐるみを胸に抱くことで空虚感や欠落感、孤独感を癒そうとするのと同じである。大人はそんな子供を笑うが、実は、お金や権力や地位や愛欲に執着する大人は同じことをしているのだ。ACIMでは、そういったものを"toy"「おもちゃ」と表現している。



This process involves the following steps:
First, you believe that what God created can be changed by your own mind.
  • process [prάses] : 「製造過程、一連の行為、進行、経過、推移」
  • involve [invɑ́lv] : 「〜を含む、伴う、巻き込む、関与させる」
  • following [fɑ́louiŋ] : 「次の、以下の」
  • step [stép] : 「段、階段、一歩、歩み、ステップ」
  • create [kriéit] : 「創造する、創り出す」
  • change [tʃéindʒ] : 「〜を変える、〜を変更する、〜を変換する」
❖ "This process involves ~ "「この投影の過程は次のステップを含む」。4つのステップに分けている。"First, you believe ~ "「第一段階、あなたは、神が創造したものはあなた自身の心で変え得ると信じる」。神の創造するものは真実だけであり、真実は永遠不変であるから、決して変え得るものではない。それにもかかわらず、あなたは神の創造を改竄(かいざん)することが出来ると信じる。これが第一段階。



Second, you believe that what is perfect can be rendered imperfect or lacking.
  • render : 「〜を〜にならしめる、〜にする、makeと同じ」
  • imperfect [impə́ːrfikt] : 「不完全な、不十分な」
  • lacking [lǽkiŋ] : 「不足している、欠けている、足りない」
❖ "Second, you believe ~ "「第二段階、あなたは、完璧なものを不完全で欠損のある状態に変え得ると信じる」。完璧なものは、真実のみであるから、永遠不変な真実を不完全な状態になど出来ない。それを出来ると信じてしまうのが第二段階。
文法的に一言。"imperfect" も"lacking"も形容詞で、不完全他動詞"render"の補語になっている。"render"の代わりに"make"を使ってもよい。先の、"You make me happy"と同じ文型である。



Third, you believe that you can distort the creations of God, including yourself.
  • distort [distɔ́ːrt] : 「歪める、誤り伝える、歪曲する」
  • include [inklúːd] : 「含める、含有する、包含する」 
❖ "Third, you believe ~ "「第三段階、あなたは、あなたを含めて神の創造したものを歪めることが出来ると信じている」。あなたを含めて、神は真実のみを創造するのだから、真実を歪めることは出来ない。歪んだように見えるときは、あなたの知覚が歪んでいる証拠である。知覚は大いに真実を歪めて映し出す。それが幻想である。



Fourth, you believe that you can create yourself, and that the direction of your own creation is up to you.
  • direction [dirékʃən] : 「方角、方向、向き、目的意識、目標」
  • creation [kriéiʃən]: 「創造、創作、創作物、作品」
  • up to : 「 〜次第で」
❖ "Fourth, you believe ~ "「段四段階、あなたは、あなた自らを創造することが出来、自己の創造の方向性はあなた次第で決められると信じている」。その結果、あなたは、自分は猿から進化した単なる生物であるという方向に向けて、自分を偽創造したのだ。あなたは、そんなことをした覚えはないと言うだろう。もちろん、夢の中で偽創造を弄んでいるのは、あなたの本体である神の子である。つまり、肉体をもつあなたもまた、神の子が方向を誤って偽創造した幻想に過ぎないのだ。
 
 
 

 

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