●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-4.VII.6:1 ~ T-4.VII.8:8

6. The Bible repeatedly states that you should praise God. This hardly means that you should tell him how wonderful he is. 
  • repeatedly [ripíːtidli] : 「繰り返して、たびたび」
  • praise [préiz] : 「〜をほめる、称賛する、たたえる」
  • hardly [hɑ́ːrdli] : 「 ほとんど〜ない、とても〜ない」
❖ "The Bible repeatedly ~ "「聖書は繰り返し、あなたは神を讃えなくてはならないと述べている」。しかし、"This hardly ~ "「これは、あなたが神に対して、神は何とすばらしいのだろうと言うべきだと、そう意味しているわけではない」。神を讃えるという本当の意味は、既存の宗教信条と大きく異なる。



He has no ego with which to accept such praise, and no perception with which to judge it. 
  • accept [əksépt] : 「承認する、認める」
  • praise [préiz] : 「称賛、褒めること、賛美」
  • perception [pərsépʃən] : 「知覚、見識、感じ方」
  • judge [dʒʌ́dʒ] : 「〜を裁く、〜を判断する」
❖ "He has no ~ "「神は、そんな称賛を受け入れるエゴは持ち合わせていないし、」"and no ~ "「称賛を判断する知覚も持ち合わせていない」。神は褒めてほしいなどと思っていない。支配者として崇めてほしいとも思っていない。それを望んでいるのはエゴであって、神はエゴの属性のひとかけらも持ってはいない。



But unless you take your part in the creation, his joy is not complete because yours is incomplete. And this he does know. 
  • take part in : 「〜に参加する、〜に出場する」
  • complete [kəmplíːt] : 「全部そろった、完全な」
  • incomplete [ìnkəmplíːt] : 「不完全な、不十分な」
❖ "But unless ~ "「しかし、あなたが創造に参加しない限り、」"his joy is ~ "「神の喜びは完全とならない」。"because yours ~ "「なぜなら、あなたの喜びが不完全だから」。"And this he ~ "「そして、このことを、神は知っている」。実相的な真の創造とは、分かち合いによる真実の拡張である。神が愛の延長上に神の子を創造したのだから、神の子は神と愛を分かち合い、その愛を拡張させる創造こそが、神の子の命の謳歌である。そこに無限の喜びが生まれる。愛と喜びは表裏一体なのだ。したがって、本文は、幻想世界で苦と痛みを抱くあなたに本当の喜びはないのだから、神もまた、あなたと分かち合う喜びがない、ということ。だから、『神を讃えよ』とは、神と一緒になって喜びを分かち合え、という意味である。愛の拡張という創造に参加せよ、という呼びかけである。



He knows it in his own being and its experience of his son's experience. 
  • experience [ikspíəriəns] : 「経験、体験、見聞」
❖ "He knows it ~ "「神はそのことを、神自身の存在の中で知り、神の子の経験を自分の経験として知っている」。短い文章だけになおさら、とても難解な部分である。まず、"know"「知る」という言葉は、ACIMにおいては非常に重要な言葉である。"know"「知る」は"believe"「信じる」の上位に位置する。確信がないときに信じるのであって、知っていれば、確信などいらない。したがって、"know"から"knowledge"「叡智」という言葉が派生する。"knowl・edge"は、知のエッジ、知のヘリであって、究極的な知である。したがって、叡智は、知りつくした真実の総体を意味する。仏教で言うところの『般若(はんにゃ)』である。ところで、神の存在の源は叡智そのものである。神は真実のすべてを包含しているからだ。よって、「神はそのことを、神自身の存在の中で知る」とは、簡単に言えば、神は叡智をもってそれを知っている、という意味合いになる。また、神は神の子の親であり、子の経験を自分の経験として受け止めているのだ。すなわち、神の子であるあなたが完全なる喜びを感じ得ないなら、神もまた、完全なる喜びを感じ得ないのである。『神を讃えよ』という呼び声に答えて、あなたが神と喜びを分かち合えるようになれば、あなたの経験する喜びが、神の経験する喜びになり、喜びは融合する。したがって、『神を讃えよ』という言葉の裏には、『神はあなたを讃えている』という意味が込められているのである。神はあなたを愛し、あなたの神聖さ、純粋さ、無辜性を讃えている。ならば、その神の愛に応えて、あなたは『神を讃えて』当然なのだ。



The constant going out of his love is blocked when his channels are closed, and he is lonely when the minds he created do not communicate fully with him.
  • block [blɑ́k] : 「遮る、妨害する、阻む」
  • channel [tʃǽnl] : 「チャネル、通信路、経路」
  • lonely [lóunli] : 「寂しい、孤独の、孤立した」
  • fully [fúli] : 「十分に、完全に、全く」
❖ "The constant ~ "「神の愛の絶え間ない流出は、神のチャネルが閉ざされたとき、ブロックされてしまう」。"and he is ~ "「そして、神の創造した心が神と十分にコミュニケーションできないとき、神は寂しさを感じる」。神の創造した心とは、神の子の心。神の子が神から分離したとき、神の子はこのチャンネルをブロックした。行き先も連絡先も知らせず家出した放蕩息子である。



7. God has kept your kingdom for you, but he cannot share his joy with you until you know it with your whole mind. 
  • share [ʃέər] : 「〜を分ける、分かち合う」
❖ "God has kept ~ "「神はあなたのためにあなたの王国をとっておいてくれた」。"but he cannot~ "「しかし、神は、あなたが〜するまで、喜びをあなたと分かち合うことが出来ない」。"until you know ~ "「あなたがそれを心全体で知るようになるまで、」神は喜びを分かち合えない。それとは、神が王国を保持しておいたこと。神はあなたを天の王国から追放したのではない。あなたが神から分離したのだ。しかし、神はあなたが家に帰ってくることを願っている。あなたの家はそのままに保持されている。あなたが神に回帰したとき、神の寂しさは消滅し、神とあなたは喜びに満たされる。



Revelation is not enough, because it is only communication from God. God does not need revelation returned to him, which would clearly be impossible, but he does want it brought to others. 
  • revelation [rèvəléiʃən] : 「啓示、黙示」
  • return [ritə́ːrn] : 「〜を返す、戻す」
  • impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、できない」
  • brought [brɔ́ːt] : 「bring の過去・過去分詞形」
  • bring [bríŋ] : 「〜をもたらす、〜を連れて行く」
❖ "Revelation is ~ "「啓示は(それだけでは)十分と言えない」。啓示とは、神からの直接的な信号である。啓示を受けただけでは十分ではない。"because it is ~ "「なぜなら、それは神からの(一方的な)コミュニケーションに過ぎないからだ」。しかし、"God does not ~ "「神は、啓示を神に返してもらう必要はない」。あなたから啓示への返信を送る必要はない。"which would ~ "「それは明らかに不可能であるし、」"but he does ~ "「神は、啓示が他の者にもたらされることを望んでいるのだ」。神から受けた啓示は神に返そうとするのではなく、他の同胞も啓示が受けられるようにすべきなのだ。



This cannot be done with the actual revelation; its content cannot be expressed, because it is intensely personal to the mind that receives it. 
  • actual [ǽktʃuəl] : 「現実の、実際に起こった」
  • content [kɑ́ntent] : 「内容、中身」
  • express [iksprés] : 「〜を表現する、言い表す」
  • intensely [inténsli] : 「激しく、熱心に」
  • personal [pə́ːrsənl] : 「個人の、個人的な」
  • receive [risíːv] : 「 〜を受ける、受け取る」
❖ "This cannot be ~ "「他者に啓示をもって行くということは、実際の啓示をともなって為されるのではない」。"its content ~ "「啓示の内容は表現出来るものではないのだ」。"because it is ~ "「なぜなら、啓示は、それを受け取る心にとって極端に個人的なものだからである」。あなたが神から受けた啓示はあなた個人に対してのみ意味があり、それをそっくりそのまま他者に伝えても意味はないし、伝えることも出来ない。ただ、他者にも同様な啓示がもたらされるのを願うのである。



It can, however, be returned by that mind to other minds, through the attitudes the knowledge from the revelation brings.
  • return [ritə́ːrn] : 「〜を返す、戻す」
  • attitude [ǽtitjùːd] : 「態度、考え方、姿勢」
  • knowledge [nɑ́lidʒ] : 「知識、認識、知恵、知見」
❖ とは言うものの、"It can, however ~ "「しかし、啓示は、啓示を受けた心によって他者の心に返すことは可能だ」。"through the attitudes ~ "「叡智が啓示からもたらしてくれる態度を通じて、」他者の心に啓示を返すことはできる。要するに、啓示を受けた人間は啓示をそのままの形で他者に伝えることは出来ないが、啓示を受けたことで得られる叡知によってその人の言動、態度、考え方が変化し、それを通じて他者に大きな影響を与えることが出来る、ということ。



8. God is praised whenever any mind learns to be wholly helpful. 
  • praise [préiz] : 「〜をほめる、称賛する」
  • whenever [hwenévər] : 「〜するときはいつでも」
  • learn [lə́ːrn] : 「〜を学ぶ、習う」
  • wholly [hóulli] : 「完全に、全く、全体的に」
  • helpful [hélpfl] : 「役立つ、有益な、有用な 」
❖ "God is praised ~ "「どんな心でも完全に役に立つと学ぶとき、そのときはいつでも、神は称賛される」。あなたの心が他者の心の助けになると知るとき、あなたは神を讃えていることになる。神の正しさをあなたが証明したことになるからだ。『神は正しかりき』。神は静かに喜ぶのである。



This is impossible without being wholly harmless, because the two beliefs must coexist. 
  • harmless [hɑ́ːrmləs] : 「無害の、安全な」
  • coexist [kouigzíst] : 「共存する」
❖ "This is impossible ~ "「これは、完全に害がないと言い切れないときは不可能である」。役に立つどころか、他者の心を害してしまう可能性が少しでもあなたの心に残っているなら、神は称賛されたとは言えない。簡単に言えば、攻撃性を許してしまうエゴ的な部分が心に残っているなら、神の正しさの証明にはならない。まだまだ、天の王国への道半ば、と言わざるを得ない。"because the two ~ "「なぜなら、この二つの信じる心が共存しているに違いないからだ」。ホーリー・スピリットを信じる心と、エゴを信奉する心の両方が、あなたの胸の中に共存しているからだ。つまり、心の分離状態が続いている限り、あなたは神を称賛しているとは言えないのだ。



The truly helpful are invulnerable, because they are not protecting their egos and so nothing can hurt them. 
  • invulnerable [invʌ́lnərəbl] : 「傷つくことのない」
  • protect [prətékt] : 「保護する、守る、防御する」
  • hurt [hə́ːrt] : 「〜を傷つける、〜に損害を与える」
❖ "The truly helpful ~ "「本当に役に立つ人は、傷つくことはない」。他者が真実を知る助けになれる人の心は、ホーリー・スピリットだけを信じている心であり、それは永遠不変のスピリットであるから、幻想によって曇ることも傷つけられることもない。"because they ~ "「なぜなら、彼らは彼らのエゴを保護しようとしないし、従って、何ものも彼らを傷つけることが出来ないからだ」。攻撃性を是(ぜ)とするエゴが心に存在しなくなり、他者のエゴとの関わり合いが消滅してしまう。結果、エゴを保護することも、攻撃を受けて傷つくこともなくなってしまう。
スピリットとして生きる人は攻撃性(エゴ)を放棄した人であり、決して幻想と戦わない。戦わないから、傷つけることも傷つけられることもない。静かに幻想をやり過ごし、真実の海に身を委ねて安心と安全を謳歌する。仏教で言うところの『悟りを開いた人』であり、『覚者』である。涅槃(ねはん)に至った覚者は般若(はんにゃ)を得る。



Their helpfulness is their praise of God, and he will return their praise of him because they are like him, and they can rejoice together. 
  • helpfulness [hélpfəlnis] : 「助けになること、有用性」
  • rejoice [ridʒɔ́is] : 「うれしがる、喜ぶ」
❖ "Their helpfulness ~ "「彼らが役に立つということは、神への称賛であり、」"and he will return their ~ "「神は、彼らの神への称賛を返してくれるだろう」。"because they ~ "「なぜなら、彼らは神と似ているからだ」。"and they can ~ "「そして、彼らは共に喜ぶことが出来るのである」。『神は正しかりき』と言って、あなたが神を称賛するとき、神はそれに答えて、『あなたも正しかりき』と、神はあなたを称賛する。神の子は神の愛の延長線上に創造されたものだからだ。いわば、似たもの同士である。称賛し合うことで、喜びは増大する。



God goes out to them and through them, and there is great joy throughout the kingdom. 
  • throughout [θruːáut] : 「〜の至るところに」
❖ "God goes out ~ "「神は彼ら向かって進み、彼らを通り抜ける」。神の息吹は彼らに向かい、彼らを包みやがて通過していく。"and there is great joy ~ "「すると、天の王国が大いなる喜びで満たされる」。



Every mind that is changed adds to this joy with its individual willingness to share in it. 
  • add [ǽd] : 「加える、足す、追加する」
  • add to A with B : 「AにBを加える」
  • individual [ìndəvídʒuəl] : 「個人の、個人的な」
  • willingness : 「意欲、やる気」
  • share in : 「〜を分かち合う、〜を共有する」
❖ "Every mind that ~ "「変化したすべての心は、喜びを分かち合おうとする一人一人の意欲をこの喜びに付け加える」。心から喜び、そして、その喜びを分かち合おうと意欲する。



The truly helpful are God's miracle workers, whom I direct until we are all united in the joy of the kingdom. 
  • direct [dərékt] : 「〜を方向づける、命令する」
  • unite [junáit] : 「結合する、一体となる」
❖ "The truly helpful ~ "「本当に役立つ者とは、神の奇跡を行う者である」。" whom I ~ "「そして、〜するときまで私は彼らを導く」。"until we are ~ "「私たちみんなが、天の王国の喜びの中で一体となる時まで、」イエスは彼らを導く。



I will direct you to wherever you can be truly helpful, and to whoever can follow my guidance through you.
  • wherever [hweərévər] : 「どこへ〜しても」
  • whoever [huːévər] : 「〜するのは誰でも」
  • follow [fɑ́lou] : 「〜に従う、追随する」
  • guidance [gáidns] : 「指導すること、助言」
❖ "I will direct ~ "「あなたが本当に役立つことが出来る所ならどこへでも、私はあなたを導こう」。"and to whoever ~ "「あなたを通して私の導きに従うことが出来る人なら誰の所へでも、私はあなたを導こう」。
 
 
 



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