●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-5.II.6:1 ~ T-5.II.7:13

6. The Holy Spirit calls you both to remember and to forget. You have chosen to be in a state of opposition in which opposites are possible. 
  • remember [rimémbər] : 「〜を思い出す、〜を覚えている」
  • forget [fərgét] : 「忘れる」
  • state [stéit] : 「状態、情勢、状況」
  • chosen [tʃóuzn] : 「choose の過去分詞形」
  • opposition [ὰpəzíʃən] : 「対立、反対、敵対」
  • opposite [ɑ́pəzit] : 「反対、逆の物、反対の物」
  • possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、あり得る」
❖ "The Holy Spirit ~ "「ホーリー・スピリットはあなたに、思い出せと呼びかけ、忘れよとも呼びかける」。神を思い出し、神からの分離を忘れよ、と呼びかける。"You have chosen ~ "「あなたは、対立の存在する状況にいることを選んだ」。"in which opposites ~ "「その状況では、対立が可能である」。神の子は、分離を象徴する二項対立世界を偽創造し、その世界に住むことを選択した。そこには、愛と憎悪、美と醜、喜びと悲しみ、善と悪、・・・数え切れないほどの二項対立が存在する。しかも、この幻想世界では、真実の愛も幻想の憎悪も、ともに存在可能であって、互いに対立するのである。対して、実相世界では真実の愛は存在するが、幻想の憎悪は存在しない。したがって、対立もまた存在しない。結果、選択するという行為も存在しない。



As a result, there are choices you must make. In the holy state the will is free, so that its creative power is unlimited and choice is meaningless. 
  • as a result [rizʌ́lt] : 「結果として、結果的に」
  • choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択 」
  • make a choice : 「選択する、取捨選択する」
  • so that : 「〜できるように」
  • unlimited [ʌnlímitid] : 「制限のない、無条件の」
  • meaningless [míːniŋlis] : 「意味のない、無意味な」
❖ "As a result ~ "「結果として、あなたは選択をしなくてはならない」。あなたが二項対立の世界に住んでいる限り、対立するもののどちらかを選択しなくてはならない。"In the holy ~ "「神聖なる状態では、意思は自由である」。ここの自由とは、選択の自由という意味ではない。選択からさえも自由だ、ということ。"so that its ~ "「その創造力が無限であり、選択が無意味であるようになるために」。実相世界における創造とは、真実を拡張増大させることであり、そこに制限はない。対立するものがないから、創造にブレーキを掛けるものがないのだ。つまり、選択することで創造に制限を掛けることはなく、選択自体が存在しない。存在しないのだから、選択は無意味である。



Freedom to choose is the same power as freedom to create, but its application is different. Choosing depends on a split mind. 
  • freedom [fríːdəm] : 「自由、解放、自主、独立」
  • application [æ̀pləkéiʃən] : 「適用、応用、活用、利用」
  • different [dífərənt] : 「相違する、違っている、異なる 」
  • depend on : 「〜によって決まる、〜次第である」
  • split [splít] : 「割れた、分割した、分裂した」
❖ "Freedom to choose ~ "「選択の自由は、創造の自由と同じパワーである」。"but its application ~ "「しかし、適用が異なるのだ」。"Choosing depends ~ "「選択は分裂した心に依存する」。この幻想の世界で正しい選択をするときは、創造するときと同じくらいのパワーが発揮される。しかし、パワーの向かう先が両者で異なる。実相世界では選択は意味を成さない。その必要がないからだ。したがって、選択はこの幻想世界、つまり、分裂した心の世界で意味を持ち、その分裂した心に依存する。



The Holy Spirit is one way of choosing. God did not leave his children comfortless, even though they chose to leave him. 
  • comfortless [kʌ́mfərtlis] : 「慰めにならない、わびしい」
  • even though : 「〜であるけれども、〜にもかかわらず」
❖ "The Holy Spirit is ~ "「ホーリー・スピリットは選択肢の一つである」。もちろん、もう一つの選択肢はエゴ。"God did not ~ "「神は、神の子を一人わびしい状態に置き去りにしたわけではない」。"even though they ~ "「たとえ、神の子たちが神を置き去りにしたとしても」。神は神の代理としてホーリー・スピリットを神の子に遣わした。あなたの心の奥底には、常にホーリー・スピリットがいる。あなたが気付かないだけだ。なぜなら、あなたはホーリー・スピリットではなく、エゴを選択してしまったからだ。



The voice they put in their minds was not the voice for his will, for which the Holy Spirit speaks.
  • put in : 「〜の中に入れる、〜を挿入する」
❖ "The voice they ~ "「神の子が心の中に入れた声は、神の意思の声ではないが、」"for which the ~ "「ホーリー・スピリットが神の代わりにその意思を話してくれる」。ホーリー・スピリットは神の意志の代弁者である。神の意志を神の声として直接聞くとき、それが啓示(revelation)である。しかし、あなたはまだその域に達していない。だから、仲介者であるホーリー・スピリットの声に耳を傾ければいいのだ。



7. The voice of the Holy Spirit does not command, because It is incapable of arrogance. It does not demand, because It does not seek control. 
  • command [kəmǽnd] : 「命令を出す、眼下に見おろす」
  • be incapable of : 「〜ができない、〜をする能力がない 」
  • arrogance [ǽrəgəns] : 「尊大、横柄、ごう慢 」
  • demand [dimǽnd] : 「求める、要求する」
  • seek [síːk] : 「捜し求める、捜し出す、求める」
  • control [kəntróul] : 「支配、コントロール、統制」
❖ "The voice of ~ "「ホーリー・スピリットの声は、命令することはない」。"because It is ~ "「なぜなら、ホーリー・スピリットの声は尊大にはなれないからだ」。"It does not ~ "「ホーリー・スピリットの声は、要求しすることもない」。"because It does ~ "「なぜなら、ホーリー・スピリットの声は支配を追求しないからだ」。原文が、きれいな対になっていることに注意。



It does not overcome, because It does not attack. It merely reminds. It is compelling only because of what It reminds you of. 
  • overcome [òuvərkʌ́m] : 「克服する、乗り越える」
  • attack [ətǽk] : 「攻撃する、〜を襲う」
  • merely [míərli] : 「ただ単に、単に」
  • remind [rimáind] : 「〜に思い出させる、〜に気付かせる」
  • remind A of B : 「AにBを気付かせる」
  • compel [kəmpél] : 「強制的に〜させる」
  • compelling : 「強制的な、説得力のある」
❖ "It does not ~ "「ホーリー・スピリットは攻撃しないので、制圧することはしない」。"It merely reminds"「ホーリー・スピリットはただ思い出させるだけだ」。"It is compelling ~ "「ホーリー・スピリットはあなたに何かを思い出させるので、強制的に見えるだけだ」。が、本当は強制的ではない。



It brings to your mind the other way, remaining quiet even in the midst of the turmoil you may make. 
  • remain [riméin] : 「依然として〜のままである」
  • quiet [kwáiət] : 「静かな、静粛な、物静かな」
  • in the midst of : 「〜の真ん中に、ただ中に]
  • turmoil [tə́ːrmɔil] : 「騒動、混乱、不安、騒ぎ」
❖ "It brings to ~ "「ホーリー・スピリットの声は、あなたの心に別の方法を思い起こさせる」。ホーリー・スピリットの思考システムを教える。"remaining quiet ~ "分詞構文、単純接続、quietは補語、「そして、あなたがでっち上げた混乱の中にあっても、ホーリー・スピリットの声は依然として静かなままである」。ホーリー・スピリットはエゴと戦うことはしない。声を荒立てることはない。



The voice for God is always quiet, because It speaks of peace. Peace is stronger than war because it heals. 
  • speak of : 「〜を口にする、〜のことを話す」
  • peace [píːs] : 「平和、安らぎ、平穏」
❖ "The voice for ~ "「神の声はいつも穏やかである」。"because It speaks ~ "「なぜなら、神の声は平和を語るからだ」。"Peace is stronger ~ "「平和はヒーリングするから、戦いより強い」。神の声とあるが、もちろん、神の代弁者であるホーリー・スピリットの声のこと。



War is division, not increase. No one gains from strife. What profiteth it a man if he gain the whole world and lose his own soul? 
  • division [divíʒən] : 「分割、分裂、分離」
  • increase [inkríːs] : 「増加、増大、増進、増殖」
  • gain [géin] : 「得る、獲得する」
  • strife [stráif] : 「口論、争い、闘争、反目」
  • profit [prɑ́fət] : 「〜の利益になる、〜を益する」
  • eth [-iθ] : 「動詞の三人称単数直説法現在を作る語尾」
  • gain [géin] : 「得る、獲得する 」
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する」
  • soul [sóul] : 「魂、霊魂」
❖ "War is division ~ "「戦いは分割するが、増大はさせない」。"No one gains ~ "「誰一人、争いから得ることはない」。"What profiteth it ~ " ここは"What shall it profit a man"のことで、「争いは、人に何の利益をもたらすだろうか」。"if he gain the ~ "「もし、その人が全世界を手に入れたにもかかわらず、自身の魂を失ってしまったとしたら」。ここの"What profiteth it ~ "は聖書からの引用である。マルコによる福音書8:36とマタイによる福音書8:26に書かれている。参考までに載せておく。

[Mark 8:35~37 from King James Bible]
For whosoever will save his life shall lose it; but whosoever shall lose his life for my sake and the gospel's, the same shall save it. For what shall it profit a man, if he shall gain the whole world, and lose his own soul? Or what shall a man give in exchange for his soul? 
自分の命を救いたいと思う者は、それを失うが、わたしのため、また福音のために命を失う者は、それを救うのである。人は、たとえ全世界を手に入れても、自分の命を失ったら、何の得があろうか。自分の命を買い戻すのに、どんな代価を支払えようか。(新共同訳)

[Matthew 16:25~26 from King James Bible]
For whosoever will save his life shall lose it: and whosoever will lose his life for my sake shall find it. For what is a man profited, if he shall gain the whole world, and lose his own soul? or what shall a man give in exchange for his soul?
自分の命を救いたいと思う者は、それを失うが、わたしのために命を失う者は、それを得る。人は、たとえ全世界を手に入れても、自分の命を失ったら、何の得があろうか。自分の命を買い戻すのに、どんな代価を支払えようか。人の子は、父の栄光に輝いて天使たちと共に来るが、そのとき、それぞれの行いに応じて報いるのである。(新共同訳)



If you listen to the wrong voice you have lost sight of your soul. 
  • listen to : 「耳を傾ける、聴く、聞く 」
  • wrong [rɔ́ːŋ] : 「間違った、誤っている」
  • lost [lɔ́ːst] : 「lose の過去・過去分詞形」
  • lose sight of : 「〜を見失う 」
  • soul [sóul] : 「魂、霊魂」
❖ "If you listen ~ "「もし、あなたが誤った声を聴いているなら、あなたはあなたの魂を見失ってしまったことになる」。誤った声とはエゴの声。見失ったと書いてあるが、なくしてしまったとは書いてないことに注意。



You cannot lose it, but you can not know it. It is therefore "lost" to you until you choose right.
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、喪失する、なくす 」
  • lost : 「道に迷った、迷子になった」
  • choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
❖ "You cannot lose ~ " 「あなたは魂を失うことは出来ないが、」"but you can ~ "「あなたはそれを知らないでいることは可能である」。"It is therefore ~ "「それゆえ、あなたが正しいことを選択するまで、それは『迷子になっている』のである」。"lose"と"lost"を対比させて、一種の言葉遊びをしている。イエスは言葉遊びが大好きである。ACIMを原書で読むときの利点の一つだ。
 
 
 



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