●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-6.VI.5:1 ~ T-6.VI.6:9

5. The Holy Spirit, Who leads to God, translates communication into being, just as He ultimately translates perception into knowledge. 
  • lead to : 「〜に通じる、〜につながる」
  • translate [trænsléit] : 「解釈する、〜を翻訳する」
  • ultimately [ʌ́ltəmətli] : 「結局のところ、ついに」
  • perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、見識」
  • knowledge [nɑ́lidʒ] : 「知識、認識、知恵、知見」
❖ "The Holy Spirit ~ "「ホーリー・スピリットは、神とつながっているから、コミュニケーションを実在するものへと翻訳する」。ホーリー・スピリットは、幻想世界の言葉によるコミュニケーションを、実相世界(神の世界)の意思疎通手段、つまり言葉によらない直覚的意思疎通に翻訳し直してくれる。言い換えれば、私達の言葉による普通のコミュニケーションを、神とのコミュニケーションが可能である水準まで高めてくれる。霊的コミュニケーション(communion:コミューニオン)という言葉で表現されるものだ。"just as He ultimately ~ "「ちょうど、ホーリー・スピリットが、最終的に知覚を叡知へと翻訳するように」。ここでは、知覚がこの世(幻想世界)の知るための手段であり、叡知は神の世界(実相世界)の知るための手段である。



The ego uses the body for attack, for pleasure and for pride. The insanity of this perception makes it a fearful one indeed. 
  • attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
  • pleasure [pléʒər] : 「喜び、楽しみ」
  • pride [práid] : 「自尊心、誇り、うぬぼれ」
  • insanity [insǽnəti] : 「狂気、正気でないこと」
  • perception [pərsépʃən] : 「知覚、見識、感じ方」
  • fearful [fíərfl] : 「恐ろしい、怖い」
  • indeed [indíːd] : 「実に、本当に、確かに」
❖ "The ego uses ~ "「エゴは肉体を、攻撃のため、快楽のため、自尊心のために使う」。"The insanity of ~ "「こういった知覚の正気のなさは、肉体を実に恐ろしいものにしてしまう」。肉体は幻想だから本来は恐ろしくないはずだが、エゴの感覚や知覚のし方によって、あたかも肉体が実体をもったように感じられ、心の中で恐ろしさを感じる。肉体が他者から攻撃されまいかと恐ろしさを感じ、快楽が抑制されるとストレスを感じ、自尊心が傷つくと苦痛を覚えるだろう。



The Holy Spirit sees the body only as a means of communication, and because communicating is sharing it becomes communion. 
  • means [míːnz] : 「手段、方法」
  • communion [kəmjúːniən] : 「共有、交流、霊的な交わり」
❖ "The Holy Spirit ~ "「ホーリー・スピリットは肉体を、単なるコミュニケーションの手段に過ぎないと見なしている」。"and because ~ "「コミュニケーションは分かち合われるので、」"it becomes ~ "「それは霊的交わりとなる」。ホーリー・スピリットは肉体的なレベルのコミュニケーションを霊的なレベルに引き上げて、それを分かち合える地点まで持っていく。霊的交わり(communion)とは、実相レベルの分かち合われるコミュニケーションのことである。ヴィジョンとヴィジョン、叡智と叡智が響き合い、交感し合うのだ。そこに言葉は必要ない。



Perhaps you think that fear as well as love can be communicated; and therefore can be shared. Yet this is not so real as it may appear. 
  • perhaps [pərhǽps] : 「たぶん、もしかすると」
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
  • A as well as B : 「Bと同様にAも」
  • communicate [kəmjúːnikèit] : 「通信する、伝える、伝達する」
  • appear [əpíər] : 「〜のように見える、〜と思われる」
❖ "Perhaps you think ~ "「たぶん、あなたはthat以下であると思うだろう」。"that fear as ~ "「愛同様、恐れも伝達されるのではないかと」思うだろう。"and therefore ~ "「つまり、恐れも分かち合われる可能性があると思うだろう」。"Yet this is not ~ "「しかし、これは、そう見えるほどには、現実には起きない」。愛は分かち合えるが、恐れは分かち合われることはない。なぜなら、愛は真実であるが、恐れは真実でないからだ。分かち合われるのは真実のみである。幻想は実相の疑似であり、幻想の恐れも分かち合われるように見えるが、それは偽りの分かち合いに過ぎない。まねごとだ。



Those who communicate fear are promoting attack, and attack always breaks communication, making it impossible. 
  • those who : 「〜する人々 」
  • promote [prəmóut] : 「進める、〜を促進する」
  • break [bréik] : 「壊す、割る、破る」
  • impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、あり得ない」
❖ "Those who communicate ~ "「恐れを伝達しようとする者は攻撃を促進する」。"and attack always ~ "「そして、攻撃はいつもコミュニケーションを破壊する」。"making it ~ "「そして、コミュニケーションを不可能とする」。



Egos do join together in temporary allegiance, but always for what each one can get separately. 
  • join [dʒɔ́in] : 「参加する、交わる、一緒になる」
  • temporary [témpərèri] : 「一時の、一時的な、仮の」
  • allegiance [əlíːdʒəns] : 「忠誠、忠実」
  • separately [sépərətli] : 「離れて、分かれて」
❖ "Egos do join ~ "「エゴ達も、一時的な忠誠の下(もと)に集うことはあるが、」"but always for ~ "「しかし常に、エゴそれぞれがばらばらに得ることが出来るものを求めて集うだけだ」。エゴ達は目的を一つにして集うことはない。エゴそれぞれの思惑は異なっている。たまたま利害が一致すれば、一時的な忠誠の下に連帯を組むが、利害が対立すると即座に敵対する。



The Holy Spirit communicates only what each one can give to all. He never takes anything back, because He wants you to keep it. 
  • take back : 「取り戻す、返す、引き取る」
❖ "The Holy Spirit ~ "「ホーリー・スピリットは、一人一人がみんなに与えることが出来るものだけを伝達する」。つまり、分かち合うことが出来るものだけを伝達する。分かち合いが可能なのは真実だけである。"He never takes ~ "「ホーリー・スピリットは決して見返りを要求しない」。"because He wants ~ "「なぜなら、ホーリー・スピリットはそれをあなたに持っていてほしいと望むからだ」。分け与えれば与えるほど、強化され増加していくのがACIMの言う"give"である。真実は分かち合われることで拡張増大する。



Therefore, His teaching begins with the lesson:

        To have, give all to all.
  • begin with : 「〜から始める」
❖ "Therefore, His ~ "「したがって、ホーリー・スピリットの教えは次のレッスンから始まる」。"To have, give ~ "「所持するために、すべてをみんなに与えよ」。ルカによる福音書6:38には『与えよ、さらば与えられん』と記されている。与えるものが愛であったり物であったり、歴史を通じて様々な宗派が様々に解釈してきた言葉だ。ACIMにおいては、与えることと得ることは実相的に同一である。分かち合いという行為によって与えることと得ることは統一され、拡張増大という方向に発展する。



6. This is a very preliminary step, and the only one you must take for yourself. 
  • preliminary [prilímənèri] : 「準備の、前置きの、準備的な」
❖ "This is a very ~ "「このレッスンは、まさに、準備のための一歩である」。"and the only ~ "「そして、あなたが自分のために歩み出さなくてならない一歩である」。与えることからすべてが始まる。与えるものを物質に限定せず、抽象的な想念、つまり愛、慈悲、思いやり、暖かさ、優しさ、等々を念頭におくべきだろう。実相世界は想念の世界なのだから。



It is not even necessary that you complete the step yourself, but it is necessary that you turn in that direction. 
  • necessary [nésəsèri] : 「必要な、必須の」
  • complete [kəmplíːt] : 「〜を完了する、完結する」
  • turn in : 「向きを変える」
  • direction [dirékʃən] : 「方角、方向」
❖ "It is not even ~ "「that以下は必要でさえない」。"that you complete ~ "「あなたはそのステップを自力で完結させること」は必要でさえない。"but it is ~ "「しかし、あなたがその方向に向きを変える必要はある」。この文章は重要だ。ACIMは自力救済をあなたに求めてはいない。むしろ、最終段階においては、神、あるいはホーリー・スピリットにすべてを委ねる絶対他力を求めている。ただし、その選択を決定するのはあなた自身であって、あなたには自由選択の権利がある。



Having chosen to go that way, you place yourself in charge of the journey, where you and only you must remain. 
  • chosen [t∫óuzn] : 「choose の過去分詞形」
  • choose [t∫úːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • that way : 「その方向に、あちらへ、そちらへ」
  • in charge of : 「〜を担当して、〜を任されて」
  • remain [riméin] : 「依然として〜のままである、とどまる」
❖ "Having chosen to ~ "分詞構文、「その道を選んだ以上は、」"you place yourself ~ "「あなたはあなた自身に、その旅路を任せたことになる」。"where you and ~ "「その旅路を、あなたが、あなた一人が行かなくてはならない」。"remain"は「その旅路に留まる、旅を続ける」といった意味合いであろう。一旦決心したからには、責任は自分にある。責任を放棄するわけにはいかない、ということ。一見、自力救済の勧めにみえるが、違う。選択し、旅を進む意思は堅固でなくてはならない、ということであって、ホーリー・スピリットの助けなしで旅を完成させろ、という意味ではない。



This step may appear to exacerbate conflict rather than resolve it, because it is the beginning step in reversing your perception and turning it right-side up. 
  • appear [əpíər] : 「〜のように見える、〜と思われる」
  • exacerbate [igzǽsərbèit] : 「〜を悪化させる」
  • conflict [kɑ́nflikt] : 「摩擦、葛藤、軋轢」
  • rather than : 「〜よりはむしろ、かえって」
  • resolve [rizɑ́lv] : 「晴らす、解消する、除く」
  • reverse [rivə́ːrs] : 「逆にする、反転させる、裏返す」
  • perception [pərsépʃən] : 「知覚、見識、感じ方」
❖ "This step may ~ "「(みんなにすべてを与えるという)このステップは、コンフリクトを解消するというよりも、コンフリクトを悪化させるように思えるかも知れない」。"because it is ~ "「なぜならば、それは、あなたの知覚を180度ひっくり返す、あるいは、知覚を、(正しい方が上に来るように)上下をひっくり返す最初のステップだからだ」。"turning it right-side up"とは、上下をひっくり返して、正しい知覚が主導権を取れるようにすること。最初のステップでは、ものの見方を180度変えるのだから不安がよぎり、コンフリクトが悪化するのではないかと思ってしまうだろう。しかし、心配には及ばない。



This conflicts with the upside-down perception you have not yet abandoned, or the change in direction would not have been necessary. 
  • conflict [kənflíkt ] with : 「〜と衝突する、〜と対立する」
  • upside-down :「 逆さまの、混乱した」
  • abandon [əbǽndən] : 「捨てる、捨て去る」
  • direction [dirékʃən] : 「方角、方向」
❖ "This conflicts with ~ "「これは、あなたがまだ捨てきれていない上下逆転した知覚と衝突する」。ホーリー・スピリットの知覚が、まだ捨てきれないでいるエゴ的知覚とコンフリクトを起こしているように感じるのは、あなたの恐れである。そんな恐れを回避したいのであれば、"or the change ~ "「さもなければ、方向を変えることは必要なかったであろう」。元々の上下逆転した知覚から見れば、「得るためには決して与えない、得るためには奪う」というのが正しいだろう。しかし、ACIMの教える正しい知覚から見れば、「得るために与えよ」となる。全く逆の発想なので、初めはコンフリクトを起こすかも知れない。しかし、それを怖がっているようでは、そもそも方向を変えることなど必要なかったのだ。



Some remain at this step for a long time, experiencing very acute conflict. 
  • remain [riméin] : 「とどまる、滞在する 」
  • experience [ikspíəriəns] : 「〜を経験する、〜を体験する」
  • acute [əkjúːt] : 「ひどい、強烈な、激しい」
❖ "Some remain at ~ "「何人かの者はこのステップに長いこと留まることになる」。"experiencing very ~ "「そして、とてもきついコンフリクトを経験することになる」。いわば、エゴとホーリー・スピリットのせめぎ合いが続くのだ。



At this point they may try to accept the conflict, rather than take the next step towards its resolution. 
  • at this point : 「現時点では、この時点で」
  • accept [əksépt] : 「受け入れる、認める」
  • towards [tɔ́ːrdz] : 「〜の方へ、〜に向かって」
  • resolution [rèzəlúːʃən : 「解決、決意、決断」
❖ "At this point ~ "「この段階で、彼らはコンフリクトを受け入れようとするかもしれない」。"rather than take ~ "「コンフリクトの解消に向けて次のステップをとるというよりも」。コンフリクトに適応しようとするわけだ。その方が楽に思えるからだ。しかし、諦めるのはまだ早い。



Having taken the first step, however, they will be helped. Once they have chosen what they cannot complete alone, they are no longer alone.
  • complete [kəmplíːt] : 「〜を完了する、完結する」
  • alone [əlóun] : 「独りで、自力で」
  • no longer : 「もはや〜でない 」
❖ "Having taken ~ "分詞構文、理由、「しかし、第一のステップを踏んだのだから、彼らは助けてもらえるであろう」。"Once they have ~ "「一度(ひとたび)、彼らが一人で完遂できないことを選んだときは、」"they are no ~ "「彼らはもはや一人ではないのだ」。もちろん、ホーリー・スピリット(イエス)が助けてくれるのである。ACIMは自力救済を推奨してはいない。ACIMは絶対他力の世界である。しかし、筆者の経験から言うと、ホーリー・スピリットの助けが実感できるまでには時間的なタイムラグを経験するようである。つまり、今助けを求めて、瞬時に助けの手が差し伸べられるというものではない。しかし、諦めずにいることが肝心。かならずホーリー・スピリットは助けの手を差し伸べてくれる。救いのタイミングは、イエスがちゃんと計っている。






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