●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-8.VIII.7:1 ~ T-8.VIII.8:8

7. A learning device is not a teacher. It cannot tell you how you feel. 
  • learning [lə́ːrniŋ] : 「習うこと、学ぶこと」
  • device [diváis] : 「機器、装置、道具」
❖ "A learning device ~ "「学びのための補助装置は教師ではない」。"It cannot tell ~ "「それは、あなたがどのように感じるか、あなたに教えたりしない」。学びのための補助装置、たとえば時間や肉体は、それ自体が教師ではない。したがって、あなたが時間や肉体をどう感じることが正しいのか、つまり、実在なのか非実在なのか、時間も肉体もあなたに教えることは出来ない。



You do not know how you feel because you have accepted the ego's confusion, and you therefore believe that a learning device can tell you how you feel. 
  • accept [əksépt] : 「認める、受け入れる」
  • confusion [kənfjúːʒən] : 「混乱、当惑、混同」
❖ "You do not ~ "「あなたは、あなたがどう感じるべきか分からない」。教師ではないあなたもまた、時間や肉体をどう感じることが正しいのか分からない。"because you have ~ "「なぜなら、あなたはエゴの混乱を受け入れたので、」教師を自称するエゴは、非実在の時間や肉体が実在するのかのように混同し、その教えをあなたが受け入れたので、"and you therefore ~ "「したがって、学びのための補助装置が、あなたがどう感じるか教えることが出来ると信じているからだ」。時間と肉体が現実として感覚できるので、時間と肉体がその実在性をあなたに教えていると信じている。あなたの教師であろうとするエゴが学びの補助装置を利用するとき、肉体は脆いものであり、分離し、攻撃性を有していると教える。物質界、現象界の流動性と闘争性をあなたに叩き込む。時間も肉体も前提条件として実在し、肉体は自分そのもの、肉体は時間の中で変化流動していくもの、とあなたは信じている。



Sickness is merely another example of your insistence on asking guidance of a teacher who does not know the answer. 
  • sickness [síknəs] : 「病気、病」
  • merely [míərli] : 「ただ単に、単に」
  • another [ənʌ́ðər] : 「もう一つの、別の」
  • example [igzǽmpl] : 「例、実例」
  • insistence [insístəns] : 「強い主張、断言、固執」
  • guidance [gáidns] : 「指導、助言、アドバイス」
  • answer [ǽnsər] : 「答え、回答、返事」
❖ "Sickness is merely another ~ "「病気というものは単に、答えの知らない教師の指導をあなたが執拗に求めた結果の、また別の例である」。つまり、エゴを教師として選んだ結果が病気に結びついてしまう、ということ。エゴもあなたも肉体を幻想ととらえることが出来ないので、肉体に付随する病を幻想と見なすこと出来ないのだ。誤解していけないには、ACIMは、病気になった人を霊的に劣った人間だ、などと決して言っていない。病気を劣等性の表れだなどとも、一言も言っていない。むしろ、病気になったことで自分の誤りに気付き、それを修正できる絶好のチャンスだととらえている。悪人はよく眠り、よく食べ、すこぶる元気だ、と言われているが、健康な悪人であるより、病気の善人の方がよほどいい。さらに、誤りに気付き、ホーリー・スピリットの手助けによって心の健康が取り戻せたら、言うことは何もない。なぜなら、心の健康が取り戻せたら、肉体の健康もすぐ手の届くところにあるはずだから。



The ego is incapable of knowing how you feel. When I said that the ego does not know anything, I said the one thing about the ego that is wholly true. 
  • be incapable [inkéipəbl] of : 「〜ができない」
  • wholly [hóulli] : 「完全に、全く、全体として」
❖ "The ego is ~ "ここにおいても、前文同様に"how you feel"を"how you should feel"として意味をとると、「エゴは、あなたがどう感じるべきか、知ることが出来ない」。正しい知覚のし方をエゴは知らない。"When I said that ~ "「私が、エゴは何も知らないと言ったとき、」"I said the one ~ "「私はエゴについて、完全に正しいことを一つ言ったことになる」。



But there is a corollary; if only knowledge has being and the ego has no knowledge, then the ego has no being.
  • corollary [kɔ́ːrəlèri] : 「必然的帰結、当然の結果」
  • knowledge [nɑ́lidʒ] : 「知識、心得、認識、知恵、知見 」
  • being [bíːiŋ] : 「存在、実在、生存、生命」
❖ "But there is ~ "「しかし、必然的帰結がある」。"if only knowledge ~ "「もし、叡智にのみ実在性があり、エゴは叡智を持っていないとすれば、」"then the ego has ~ "「その時は、エゴには実在性がない」。あなたがどう感じるべきか、つまり正しい知覚の仕方を知っているのは叡智のみであって、叡智は実在する。エゴは、神の子であるあなたと違って叡智をもっていない。したがって、必然的帰結としてエゴの実在性は否定される。エゴは本当は存在しておらず、あなたの心がでっち上げた幻想に過ぎない。



8. You might well ask how the voice of something that does not exist can be so insistent. 
  • might well :「〜するのもわかる、〜するのも理解できる」
  • exist [igzíst] : 「存在する、生きている、生存する」
  • insistent [insístənt] : 「固執する、しつこい」
❖ "You might well ~ "「実在しない何かの声がこんなにしつこいのはどうしてなのかと、あなたが訊ねるのは無理のないことだ」。エゴがあなたを唆(そそのか)す声のこと。あなたの頭の中で四六時中おしゃべりしている声もその一つ。まことしやかに理性的な判断を下すときの声もそれだ。



Have you thought about the distorting power of something you want, even if it is not real? 
  • distort [distɔ́ːrt] : 「〜をゆがめる、歪曲する」
  • real [ríːəl] : 「実在する、現実の、本物の」
❖ "Have you thought ~ "「たとえそれが実在しなくても、あなたの欲する何かが(心を)歪ませるパワーを持っていることを考えた経験はないだろうか」。ここは、たとえば物質欲や身体欲を考えればいいだろう。金銭欲、性欲、食欲、等々、欲が小さいうちは正常な生活を保てるが、欲は際限なく大きくなり、限度を超えると、異常な金銭欲、異常な性欲、異常な食欲となって、生活を歪ませるパワーを持つようになる。同様に、エゴの攻撃性なども、物事を歪ませ、あるいは破壊するパワーを持つに至る。Urtextでは、これを取り憑き(possession)、取り憑かれと称して論じられている。



There are many instances of how what you want distorts perception. No one can doubt the ego's skill in building up false cases. 
  • instance [ínstəns] : 「場合、事実、例、事例」
  • perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、見識」
  • doubt [dáut] : 「〜を疑う、〜を疑問に思う」
  • skill [skíl] : 「技能、手腕、技、技術」
  • build up : 「作り上げる、組み立てる」
  • false [fɔ́ːls] : 「正しくない、誤った、虚偽の」
  • case [kéis] : 「事例、真実、真相、事実」
❖ "There are many ~ "「あなたが欲することが、いかに知覚を歪めるかという多くの事例がある」。あなたの欲望が正常な知覚を狂わす。"No one can doubt ~ "「偽りの事例をでっち上げるエゴの力量を誰も疑うことは出来ない」。エゴは偽りの証言を巧妙に仕立て、あなたの欲望をかき立てる。たとえば、肉体が分離しているように心も分離しており、この世を生き抜くためには分離した存在間の生存競争に勝利しなくてはならないとする。そう言って、あなたの攻撃欲をかき立てる。この世で幸せを得るためには物質的な豊かさが不可欠だとして、あなたの物欲をかき立てる。



Nor can anyone doubt your willingness to listen until you choose not to accept anything except truth. 
  • willingness [wíliŋnis] : 「意欲、快くすること」
  • listen [lísn] : 「耳を傾ける、傾聴する、聴く、聞く」
  • choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • accept [əksépt] : 「認める、受け入れる」
  • except [iksépt] : 「 〜以外は、〜を除いては」
❖ "Nor can anyone ~ "「あなたが真実以外の何ものも受け入れないと選択するまでは、あなたが快く(エゴの声に)耳を傾けたいと思っているだろうことを誰も疑いはしない」。真実を知ろうとするまでは、あなたはエゴの思考システムを積極的に取り入れてしまう。



When you lay the ego aside, it will be gone. The Holy Spirit's voice is as loud as your willingness to listen.
  • lay aside : 「やめる、捨てる、放棄する」
  • loud [láud] : 「大きい、けたたましい」
❖ "When you lay ~ "「あなたがエゴを放棄するとき、」"it will be gone"「それは過ぎ去ってしまう」。"The Holy Spirit's voice ~ "「ホーリー・スピリットの声は、あなたが耳を傾けたいと思う気持ちと同じくらい大きい」。あなたの意欲に比例して、ホーリー・スピリットの声は大きく響いてくる。エゴを捨て去ったら、迷わずホーリー・スピリットの声に耳を傾け、その導きに従えばいい。



It cannot be louder without violating your freedom of choice, which the Holy Spirit seeks to restore, never to undermine.
  • violate [váiəlèit] : 「妨害する、侵害する」
  • freedom [fríːdəm] : 「自由、解放、独立」
  • choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
  • seek [síːk] : 「〜しようとする、捜し求める」
  • restore [ristɔ́ːr] : 「元に戻す、回復させる、修復する」
  • undermine [əndərmáin] : 「〜を徐々に衰えさせる」
❖ "It cannot be ~ "「ホーリー・スピリットの声は、あなたの選択の自由を侵すほどに大きくなることはない」。あなたの選択の自由を侵害するほど、ホーリー・スピリットの声が大きくなることはない。"which the Holy Spirit ~ "「その選択の自由を、ホーリー・スピリットは修復しようとしているのであって、決して弱体化させようとしているのではない」。あなたがエゴを選ぶかホーリー・スピリットを選ぶか、それはあなたの自由意志が決めることであって、ホーリー・スピリットでさえその権利を侵すことは出来ない。したがって、ACIMは、ACIMを学ぶことを強制しない。大声を出して自らの正当性を宣伝することも決してない。






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