●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-9.III.1:1 ~ T-9.III.2:10

III. The Correction of Error
誤りを正すこと



1. The alertness of the ego to the errors of other egos is not the kind of vigilance the Holy Spirit would have you maintain. 
  • alertness [ələ́ːrtnəs] : 「油断のないこと」
  • kind [káind] : 「種類、 質、性質、本質」
  • vigilance [vídʒələns] : 「警戒、用心」
  • have : 「〜に〜させる、してもらう」
  • maintain [meintéin] : 「〜を維持する、保つ」
❖ "The alertness of ~ "直訳すると、「他者のエゴの誤りに(あなたの)エゴが目を光らせていることは、ホーリー・スピリットがあなたに維持してほしい警戒心とは種類が違う」。あなたのエゴは他者の揚げ足を取るために、他者の誤りに目を光らせている。つまり、他者の誤りを攻撃の口実に使いたいわけだ。しかし、ホーリー・スピリットが求める警戒はそうではない。ホーリー・スピリットは、あなたがエゴに唆(そそのか)されないようにエゴを警戒することをあなたに求めている。



Egos are critical in terms of the kind of "sense" they stand for. 
  • critical [krítikl] : 「批判的な、非難の」
  • in terms of : 「〜に関して、〜の点から見て」
  • sense [séns] : 「感覚、感触、知覚」
  • stand for : 「〜を支持する、〜に味方する」
❖ "Egos are critical ~ "「エゴは、エゴがもっている『センス』の種類に関して言えば、批判的、ということになる」。エゴは本当は他者のあら探しをしているのだが、エゴに言わせれば、それはエゴが批判的な立場をとっている、ということになる。もう少し英文に即して解釈してみると、エゴが支持している(they stand for)いろいろな種類の感覚(the kind of "sense")があるのだが、そのエゴの感覚から見れば(in terms of the kind of "sense")、エゴは批判的だ(Egos are critical)ということになる。つまり、攻撃的だと言う代わりに批判的だと称しているわけだ。エゴは、批判的に正しい判断を下していると言いたいのだ。



They understand this kind of sense, because it is sensible to them. To the Holy Spirit it makes no sense at all.
  • sensible [sénsəbl] : 「分別のある、理にかなっている」
  • make no sense : 「意味をなさない、理にかなわない」
❖ "They understand ~ "「エゴは、この種のセンスを理解している(と主張する)」。"because it is ~ "「なぜなら、そのセンスはエゴにとって目的にかなっているのだから」。"To the Holy Spirit ~ "「ホーリー・スピリットにとっては、そんなセンスは全く意味をもたない」。"understand"「理解している」は、ここでは「価値を認めている」というニュアンス。この種のセンス(this kind of sense)、つまり、批判的であるというセンスの価値をエゴは認めている。なぜなら、批判的であることは攻撃的であることにつながり、エゴの目的にかなっているからだ(it is sensible to them)。もちろん、批判的であるセンスも攻撃的であるセンスも、ホーリー・スピリットにとってはまったく意味がない。



2. To the ego it is kind and right and good to point out errors and "correct" them. 
  • kind [káind] : 「優しい、親切な」
  • right [ráit] : 「正しい、正当な」
  • point out : 「〜を指摘する」
  • correct [kərékt] : 「〜を訂正する、修正する」
❖ "To the ego it ~ "ここは"it ~ to do ~ "も構文、「エゴにとっては、(他者の)誤りを指摘しそれを『正す』ことは、親切であり、正しく、そして良いことになる」。もちろん、エゴの欺瞞である。エゴの本当の目的は、批判という隠れ蓑(みの)をまとって他者を攻撃することだ。



This makes perfect sense to the ego, which is unaware of what errors are and what correction is. 
  • perfect [pə́ːrfikt] : 「完全な、完璧な」
  • sense [séns] : 「感覚、感触、良識、分別」
  • unaware [ənəwέər] : 「無意識の、気付かない」
  • be unaware of : 「〜に気付いていない」
  • correction [kərékʃən] : 「訂正、矯正、修正」
❖ "This makes perfect ~ "「こう考えることで、エゴにとっては完璧なセンスができ上がる」。ここの"perfect sense (完璧なセンス)"は、一貫性のある道理という意味合いだろう。エゴは、自分の論理を完璧に正しいと信じている。しかし、"which is unaware ~ "「そのエゴは、誤りの何たるかを知らないし、修正の何たるかを知らない」。幻想が誤りを生み出していることも、贖罪を通して幻想を消滅させる方法も、エゴは知らない。そもそも、エゴは幻想なのだから、エゴの存在自体が誤りなのだ。



Errors are of the ego, and correction of errors lies in the relinquishment of the ego. When you correct a brother, you are telling him that he is wrong.
  • lie in : 「〜にある」
  • relinquishment [rilíŋkwiʃmənt] : 「放棄、断念」
  • wrong [rɔ́ːŋ] : 「間違った、誤っている」
❖ "Errors are of ~ "「誤りこそエゴのものであり、」"and correction of ~ "「誤りの訂正は、エゴを放棄するところにある」。"When you correct ~ "「あなたが同胞を正すとき、あなたは彼が悪いと言っていることになる」。あなたが同胞の誤りを正そうとするとき、あなたはエゴの言いなりになって他者の誤りを現実化し、他者を攻撃しようとしている。他者が生み出した誤りの幻想性に目を向けようとしない。



He may be making no sense at the time, and it is certain that, if he is speaking from the ego, he will not be making sense. 
  • make no sense : 「意味をなさない、理にかなわない」
  • at the time : 「当時は、当時の」
  • make sense : 「意味をなす、道理にかなう」
❖ "He may be ~ "「彼は、その時は、(自分が何を言われているのか)意味がわからないかもしれない」。"and it is certain ~ "「そして、もし、彼がエゴの立場からものを言っているのなら、彼に意味がわからないのは確かなことである」。簡単な文章なのだが、意味がとりづらい。具体的に見てみよう。Aは、Bの誤りを指摘し、それを正すつもりで「おまえは間違っている、おまえが悪い」に言ったとしよう。ところが、言われたBは、なぜ自分が間違っていてAに正されなけばならないか、その時点では分からないのだ。なぜなら、AもBも共にエゴに支配されており、AはBを正すためと称しながらBを攻撃しようとしているし、BはBでエゴに支配されているから、正されたことを率直にとらえることが出来ず、Aからの攻撃を攻撃で応えようとする。AもBも共に、まったく意味がわからないままに攻撃し合うことになる。AかBの少なくともどちらかがホーリー・スピリットの思考システムで物事を見ているなら、こんな事態は起きないだろう。日常に起きるほとんどの諍(いさか)いは、エゴ同士のぶつかり合いだと言っていい。




But your task is still to tell him he is right. You do not tell him this verbally, if he is speaking foolishly. 
  • task [tǽsk] : 「仕事、任務、職務」
  • verbally [və́ːrbəli] : 「言語で、言葉の上で」
  • foolishly [fúːliʃli] : 「愚かにも、ばかみたいに」
❖ "But your task ~ "「しかし、あなたの仕事は、それでもなお、彼は正しいと彼に言ってやることである」。誤りを犯しているのは彼の中のエゴなのだから、本当の彼は誤ってはいないと指摘してやるのだ。"You do not ~ "「もし、彼が愚かな話しぶりであったら、あなたは言葉でこれを彼に言わなくてもいい」。つまり、彼がエゴに支配されて愚かな言い訳をするようであったら、言葉で諭すより、態度で示した方がいい。



He needs correction at another level, because his error is at another level. 
  • need [níːd] : 「〜する必要がある」
  • correction [kərékʃən] : 「訂正、矯正、修正」
  • another [ənʌ́ðər] : 「別の、もう一つの」
  • level [lévl] : 「水準、レベル、段階」
❖ "He needs correction ~ "「彼には、また別のレベルでの矯正が必要である」。"because his error ~ "「なぜなら、彼の誤りは別のレベルでのことだからだ」。誤りの表れや誤りの現象面を矯正するのではなく、誤りを引き起こした根本を矯正する必要がある。したがって、彼の誤りの根本は心の問題である。彼がエゴの思考システムを採用している限り、誤りの根本は消えない。そのレベルにまでさかのぼって矯正する必要がある。



He is still right, because he is a Son of God. His ego is always wrong, no matter what it says or does.
  • wrong [rɔ́ːŋ] : 「間違った、誤っている」
  • no matter what : 「たとえ何が〜であろうとも」
❖ "He is still ~ "「彼は、なおも正しい」。"because he is ~ "「なぜなら、彼は神の子であるからだ」。"His ego is ~ "「エゴが何を言おうが何をしようが、彼のエゴが常に間違っているのだ」。彼が神の子である以上、神の属性を継承しているのだから、誤ったことは出来ない。不可能なのだ。しかし、誤ったことをしているのは、それは現象の世界においてであって、要は幻想である。その現象や幻想を司っているのがエゴであり、彼の誤りの原因はエゴにある。神の子でありながらエゴに支配されていることは、したがって、矛盾を孕(はら)んでいることであって、神の法に調和しない。そこを正すのが本当の矯正、修正であって、ホーリー・スピリットの思考システムに回帰する必要がある。






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