●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-10.I.4:1 ~ T-10.II.1:6

4. You will remember everything the instant you desire it wholly, for if to desire wholly is to create, you will have willed away the separation, returning your mind simultaneously to your Creator and your creations. 
  • remember [rimémbər] : 「〜を思い出す、〜を覚えている」
  • the instant [ínstənt] : 「〜するとすぐ」
  • desire [dizáiər] : 「〜を望む、欲する、〜を要求する」
  • wholly [hóulli] : 「完全に、全体として」
  • will away : 「意志の力で消す」
  • separation [sèpəréiʃən] : 「分離、区別」
  • return [ritə́ːrn] : 「〜を返す、戻す」
  • simultaneously [sàiməltéiniəsli] : 「同時に」
  • creator [kriéitər] : 「創造者、創作者、創設者」
❖ "You will remember ~ "「あなたが完全にそれを望んだ瞬間、あなたはすべてを思い出すだろう」。"for if to desire ~ "「なぜなら、もし完全に望むことが創造であるならば、」"you will have ~ " 未来完了、「あなたは、意志の力で分離を消し去ってしまうことになるだろうし、」"returning your ~ "分詞構文、単純接続、「同時にあなたの心を、あなたの創造主とあなたが創造したものの下(もと)へ回帰させるだろうからだ」。あなたの心がホーリー・スピリットの思考システムを採用し、その下で完全に真実を望むめば、それは実相における創造である。なぜなら、真実を望めば、それは必ず現実化するからだ。幻想に過ぎない神との分離は消滅する。あなたの心は神の下へ回帰し、あなたが創造した真実も共に神の下へ回帰する。あなたが創造した真実とは、喜びであり愛であり、平和、静寂、慈しみ、等々、つまり優しい心である。



Knowing Them you will have no wish to sleep, but only the desire to waken and be glad. 
  • wish [wíʃ] : 「願い、願望、希望」
  • waken [wéikn] : 「〜を起こす、〜〜に目を覚まさせる」
  • glad [glǽd] : 「満足して、うれしく思う」
❖ "Knowing Them ~ "分詞構文、理由、「それらを知ることになるので、」"you will have ~ "「あなたは、もう眠りたいなどとは思わなくなるだろう」。ここの"Them"は、前文の"everything"。あるいは大文字で始まっているので、"your Creator and your creations"ととらえてもいいだろう。したがって、創造主、あなたの創造したもの、実相に存在するすべて(真実)を知ることになるので、再び深い眠りに陥って幻想に溺れることなど望まなくなるだろう、ということ。"but only the ~ "「しかしあなたは、目を覚まして喜びに満たされることだけを望むだろう」。文法的に、"not(no) ~ but ~ "の構文になっている。



Dreams will be impossible because you will want only truth, and being at last your will, it will be yours.
  • dream [dríːm] : 「夢、夢うつつの状態」
  • impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、できない」
  • at last : 「ついに、とうとう」
"Dreams will be ~ "「(そうなれば、もはや)夢見ることは不可能になる」。"because you will ~ "「なぜなら、あなたは真実だけを望むであろうし、」"and being at ~ "分詞構文、理由、「ついに、真実があなたの意志となったので、」"it will be ~ "「真実はあなたのものとなるからだ」。幻想から目覚めて真実を知りたいと意志すれば、その願いは現実化する。真実はあなたのものとなる。




II. The Decision to Forget
忘れる決心


1. Unless you first know something you cannot dissociate it. Knowledge must precede dissociation, so that dissociation is nothing more than a decision to forget. 
  • unless [ənlés] : 「〜でない限り」
  • dissociate [disóuʃièit] : 「解離する、分離する」
  • knowledge [nάlidʒ] : 「知識、知恵、知見」
  • precede [prisíːd] : 「〜に先行する、先んじる」
  • dissociation [disòusiéiʃən] : 「解離、分離、分裂」
  • so that : 「その結果、〜できるように」
  • nothing more than : 「〜にすぎない、〜でしかない」
  • decision [disíʒən] : 「決定、決意、決心」
  • forget [fərgét] : 「忘れる」
❖ "Unless you first ~ "「まず初めにあなたが何かを知っていなくては、あなたはそれを切り離すことは出来ない」。"Knowledge must ~ "「叡智(えいち)は乖離(かいり)に先行しなくてはならない」。"so that dissociation ~ "「したがって、乖離とは忘れる決心以上のものではない」。難解な部分なのだが、読み解こう。まず、最初の文章はいたって単純で、何かを手放すには、その前提条件として何かを所有していなくてはならない、ということ。2つ目の文章はレベルが深まる。まず、"Knowledge"であるが、これは単なる知識を意味するのではなく、悟りによって得られる智慧、直覚による神智(しんち)のことである。真実の総体だ。便宜的に「叡智」と訳しておく。次に"dissociation"「乖離」であるが、これは少々複雑である。私達の一なる心(Mind)が神と共にあったある時、その心が、ふと、神なしでも神のように存在できるのではないかと思った。神から独立して、自分自身が神として振る舞いたいと思ったのだ。思いにはパワーがあり、その思いは実現化する。つまり、心は神から分離したのである。しかし、心は神のように存在することは出来なかった。なぜなら、永遠不変の真実を分割することなど不可能だからだ。二つの真実が存在しないように、二つの神の存在は許されない。心(神の子)は、神を裏切ったという罪の意識と、いつかは神に罰せられるかもしれないという恐怖にさいなまれることになる。心は罪と罰の重圧に耐えきれなくなり、本当の自己を切り離して、まったく別人格の自己を作ってしまったのだ。これが乖離。乖離によってでっち上げた自己がエゴである。そこで、本文を解釈すると、乖離するには乖離以前のトータルな自己が存在していなくてはならない。それは神から分離する前の心であり、心は完全にトータルであった。つまり、叡智に満たされていた。その叡智に満たされた自己を乖離して、叡智のない自己(エゴ)を作り上げてしまったのである。では、叡智はどこに行ってしまったのか? 叡智はどこにも行っていない。ただ単に忘れられただけである。そこで本文のように、乖離とは忘れる決心以上のものではない、となる。



What has been forgotten then appears to be fearful, but only because the dissociation is an attack on truth. You are fearful because you have forgotten. 
  • forgotten [fərgɑ́tn] : 「forget の過去分詞形」
  • appear [əpíər] : 「〜のように見える、〜らしい」
  • fearful [fíərfl] : 「恐ろしい、怖い」
  • attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃 」
❖ "What has been ~ "「忘れられたものは、恐ろしいものに思えるものだ」。"but only because ~ "「しかし、それは、乖離が真実に対する攻撃だからである」。叡智は真実の総体だ。その叡智を忘れたのだから、それは真実に対する攻撃である。真実が攻撃され叡智が忘れ去られたのだから、真実を知ることが出来ない。真実が分からないから恐ろしいのである。あたかも、闇に隠れて光を怖がっているようなものだ。



And you have replaced your knowledge by an awareness of dreams because you are afraid of your dissociation, not of what you have dissociated. 
  • replace [ripléis] : 「交換する、差し替える」
  • awareness [əwéərnəs] : 「認識、意識性」
  • be afraid of : 「〜を恐れる、〜を怖がる」
❖ "And you have ~ "「そして、あなたは、あなたの叡智を、夢見る意識で置き換えてしまった」。"because you are ~ "「なぜなら、あなたは、あなたが乖離したものが恐ろしいのではなく、あなたの乖離が恐ろしいからだ」。あなたは神への罪と罰を恐れ、自己を乖離した。その結果、真実から目をそらし、叡智を忘却した。その穴を何で埋めたかというと、幻想である。夢を見ることで真実への回帰を回避したのだ。あなたは、自己を乖離してでっち上げた別人格のエゴを恐れているわけではない。エゴを信奉し、エゴの奴隷となることで、エゴはあなたにご褒美を与えてくれるからだ。あなたが恐れているのは、神からの分離と自己の乖離である。それを罰するであろう神を恐れている。神は人を病で罰し、苦しみで罰し、最終的に死をもって神への裏切りを罰しようとしていると思い込んでいる。そんな恐れを忘れるには夢を見るのが一番だ。幻想の世界を作り、その中で生きているかのように錯覚することが一番いい。心よりも肉体が実在だと思った方が楽だ。恐れよりは快楽の方が楽しい。エゴはあなたに沢山のご褒美を与えてくれるだろう。



When what you have dissociated is accepted, it ceases to be fearful.
  • dissociate [disóuʃièit] : 「引き離す、解離する」
  • accept [əksépt] : 「認める、容認する、受け入れる」
  • cease [síːs] : 「〜をやめる、中止する」
❖ 乖離自体を恐ろしいと思っている心であるが、"When what you ~ "「あなたが乖離したものが受け入れられるとき、恐れは止まることになる」。神からの分離や自己の乖離を夢として受け入れることが出来たとき、幻想は赦されて消滅する。真実を知ることが恐れを消し去るのだ。エゴの差し出す快楽によって恐れが消滅することはない。






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