●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-10.III.10:1 ~ T-10.III.11:8

10. If God has but one Son, there is but one God. You share reality with him, because reality is not divided. 
  • share [ʃέər] : 「分かち合う、共有する」
  • divide [diváid] : 「〜を分裂させる、〜を分割する」
❖ "If God has ~ "「神に、神の子がたった一人だけいるのなら、」"there is but ~ "「神はたった一人である」。対偶をとってみると、神が多数存在しているなら、神の子も多数存在している。ところが、神は単一の存在なのだから、神の子も単一だ。自体一如は、神が単一であることの裏返しであり、神の単一性と神の子の単一性は同じこと。あなたと他者は自他一如(単一)であるにも関わらず、あなたの目に分離しているかのように見えるのは、あなたが幻想を見ているからだ。"You share reality ~ "「あなたは、神と実相を分かち合っている」。神と神の子であるあなたは実相世界の単一性を分かち合っている。あなたは、神が自らの延長上に創造した唯一の神の子であり、神と同体である。"because reality ~ "「なぜなら、実相は分割されないからだ」。実相世界に分離分裂はない。実相は完全(total)で、全的(whole)であるからこそ実相なのであり、分割され得ない。神が神の子を、分離した状態で創造することは原理的に不可能なのだ。神は神の延長上に自らの愛を拡張しただけであって、そこに神の子が出現する。切っても切れない親と子なのだ。



To accept other gods before him is to place other images before yourself. 
  • accept [əksépt] : 「容認する、受け入れる」
  • image [ímidʒ] : 「イメージ、像、映像」
  • place A before B 「BよりAを高く見る」
❖ "To accept other ~ "「神の前で他の神々を受け入れることは、あなた自身よりもイメージの方を高く評価することである」。神は実相、他の神々は幻想(イメージ)。したがって、他の神々は、いわば絵に描いた餅に過ぎず、偶像を崇拝することは、あたかもあなた自身より絵に描いた餅をありがたがっているようなものだ。



You do not realize how much you listen to your gods, and how vigilant you are on their behalf. 
  • realize [ríːəlàiz] : 「悟る、自覚する、実感する」
  • how much : 「いくらで、どのくらいの量で」
  • listen to : 「耳を傾ける、聴く、聞く」
  • vigilant [vídʒələnt] : 「油断がない、気を配っている」
  • on one's behalf : 「〜のために、〜の利益になるように」
❖ "You do not ~ "「あなたは、あなたの神々にどんなに耳を傾けているのか自覚していないし、」ここの神々は偽神(エゴ)のこと。"how vigilant you ~ "「その神々のためにどんなに気を配っているか、分かっていない」。単なる絵に描いた餅に過ぎないのに、あなたは偶像に気を配り、その命令に従い、完全に偶像に支配されている。



Yet they exist only because you honor them. Place honor where it is due, and peace will be yours. 
  • exist [igzíst] : 「存在する、生きている」
  • only because : 「ただ〜だから」
  • honor [ɑ́nər] : 「〜に敬意を払う、尊敬する」
  • due [djúː] : 「正当な、当然の、十分な」
❖ "Yet they exist ~ "「しかし、偶像である神々は、あなたが敬意を表しているという、たったそれだけの理由で存在しているだけだ」。幻想の偶像はあなたの錯覚に支えられているに過ぎない。"Place honor ~ "「敬意を、あるべきところへ向けなさい」。"and peace will ~ "「そうすれば、平和はあなたのものになるだろう」。偶像を捨て、本来の、実相の神に敬意を払いなさい。そうすれば、心は実相的な平和を得ることが出来る。



It is your inheritance from your real Father. You cannot make your Father, and the father you made did not make you. 
  • inheritance [inhérətəns] : 「継承、継承物」
❖ "It is your ~ "「平和は、あなたの本当の父なる神からあなたが継承したものである」。"You cannot ~ "「あなたは、あなたの父なる神を作ることは出来ない」。"and the father ~ "「そして、あなたがでっち上げた父なる偽神はあなたを作ったのでもない」。絵に描いた餅があなたの腹を満たすことはない。幻想の偶像が、実相のあなたを創造することなど出来ない。エゴがあなたを創造したのではなく、あなたがエゴをでっち上げたのだ。



Honor is not due to illusions, for to honor them is to honor nothing. 
  • honor [ɑ́nər] : 「光栄、恩恵、敬意」
  • illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • honor : 「〜に栄誉を授ける、〜に敬意を払う」
  • due [djúː] to : 「〜に当然与えられるべき」
❖ "Honor is not ~ "「栄光は、幻想に与えられるべきではない」。ここで言う栄光とは、神の創造した真実として敬意を払うという意味合い。"for to honor ~ "「なぜなら、幻想に栄光と与えるとは、無に栄光を与えることになるからだ」。



Yet fear is not due them either, for nothing cannot be fearful. 
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
  • either [íːðər] : 「〜も〜しない」
❖ "Yet fear is ~ "「しかし、幻想はまた、恐れるにも値しない」。"for nothing ~ "「なぜなら、何ものも恐ろしものになり得ないからだ」。実相の世界は純粋一元の世界であり、対極概念はない。したがって、心の安らぎはあるが、対極の恐怖というものはない。恐怖がはびこっているのは幻想世界だけであって、夜見る夢の中の恐れに過ぎない。目覚めれば、夢の中の恐れは消滅する。



You have chosen to fear love because of its perfect harmlessness, and because of this fear you have been willing to give up your own perfect helpfulness and your own perfect help.
  • chosen [tʃóuzn] : 「chooseの過去分詞形」
  • choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • fear [fíər] : 「〜を恐れる、〜を怖がる」
  • because of : 「〜のために、〜のせいで」
  • perfect [pə́ːrfikt] : 「完全な、完璧な」
  • harmlessness [hάːrmlisnis] : 「無害」
  • be willing to : 「〜する意思がある、進んで〜する」
  • give up : 「あきらめる、降参する」
  • helpfulness [hélpfəlnis] : 「助けになること、有用性」
  • help [hélp] : 「助力、助け、援助」
❖ "You have chosen ~ "「あなたは、愛が完全に無害であるがゆえに、愛を恐れることを選んでしまった」。"and because of ~ "「そして、この恐れのゆえに、あなたは、あなた自身が完全に(他者の)助けになれることを諦め、また、あなたにとっての完全な助けも、進んで諦めてしまった」。ここで述べられている"love(愛)"は、普段の生活で体験する愛ではない。実相世界の愛であって、憎悪という対極概念をもたない純粋一元の愛である。したがって、それは完全に無害(perfect harmlessness)である。しかし、幻想世界にあって分裂した愛に慣れ親しんだ私達にとっては、その純粋無垢な愛が恐ろしい。純粋な愛は脆弱で、犠牲を強いられるに違いないと思うからだ。
 幻想世界からの解放には愛の助けが必要で、それは赦しという名の愛である。しかし私達は、無条件に他者や自分を赦すことを恐れる。そこで、他者も自分も愛することなく、赦すこともなく、助けることもなく、ただ一人、貝殻の中に閉じこもってしまうのである。



11. Only at the altar of God will you find peace. And this altar is in you because God put it there. 
  • altar [ɔ́ːltər] : 「祭壇、聖餐台」
❖ "Only at the ~ "「神の祭壇においてのみ、あなたは平和を見つけるだろう」。"And this altar ~ "「そして、この祭壇はあなたの心の中にある」。"because God put ~ "「なぜなら、神が祭壇をあなたの心の中に置いたからだ」。神の実相は完全に抽象的であり、純粋な想念の世界である。その世界おいて、"altar"「祭壇」という具象的な物が語られると、一瞬戸惑ってしまうかもしれない。教会の祭壇をイメージしてもいいのだが、実相の世界では形あるものは何かの象徴(シンボル)であるから、ここ言う祭壇というものも具体的な物ではなく、象徴としてとらえるべきだろう。したがって、"altar"は"right-mindedness"「正しい心」の言い換えと考えていい。ACIMの祭壇は、あなたの心の中の正しい部分、純粋で、清潔で、簡素で、愛という名の光と安心に満たされた部分、誰にも犯されることなく、誰も侵入出来ない部分、ホーリー・スピリット(神)と直接のコミュニケーションをとれる部分、その象徴である。



His voice still calls you to return, and he will be heard when you place no other gods before him. 
  • return [ritə́ːrn] : 「戻る、帰る、回帰する」
  • heard [hə́ːrd] : 「hear の過去・過去分詞形」
  • place A before B 「BよりAの順位を高く見る」
❖ "His voice still ~ "「神の声は、あなたに帰って来るようにと今なお呼びかけている」。"and he will ~ "「そして、あなたが神の前に他の神々を一切置いたりしないなら、神の声は(あなたの耳に)聞えるだろう」。あなたがエゴなどという偶像に惑わされないなら、あなたの耳に神の声が聞こえて来るだろう。



You can give up the god of sickness for your brothers; in fact, you would have to do so if you give him up for yourself. 
  • sickness [síknəs] : 「病気」
  • in fact : 「事実は、実は、実際に」
❖ "You can give ~ "「あなたは、あなたの同胞のために、病んだ神を諦めることが出来る」。"in fact, you ~ "「事実、もしあなたが、あなた自身のために病んだ神を諦めるなら、あなたは同胞のためにもそうしなくてはならない」。ACIMの神の子は自他一如であるから、あなたが病んだ神を捨てる時、同胞もまたその病んだ神を捨てることとなり、同胞が病んだ神を捨てることで、あなたもそれを捨てることになる。エゴが幻想に過ぎないと、あなたも同胞も認めることがヒーリングの第一歩だ。



For if you see the god of sickness anywhere, you have accepted him. 
  • anywhere [énihwèər] : 「どこでも、どこかに」
  • accept [əksépt] : 「認める、容認する、受け入れる」
❖ "For if you see ~ "「なぜなら、もし、あなたが至る所に病んだ神を見てしまえば、」"you have accepted ~ "「あなたは、その病んだ神を受け入れてしまったことになるからだ」。もし、あなたが、同胞の中に病んだ神を見ることがあったら、それはあなた自身の心の中にまだ病んだ神が潜んでいる証拠だと思っていい。あなたが同胞の中にホーリー・スピリットの存在を認めた時、その時こそ、あなたの中に本当の神が息づき始める。
 他者に対して、憎しみや妬みや恨みを抱くことが病んだ神を見ることだ。そんな死神は幻想なのだと達観することで、黒雲が晴れてホーリー・スピリットの姿が見えてくる。



And if you accept him you will bow down and worship him, because he was made as God's replacement. 
  • bow [báu] : 「頭を下げる、頭を垂れる」
  • bow down : 「従う、屈服する」
  • worship [wə́ːrʃip] : 「崇拝する、礼拝する」
  • replacement [ripléismənt] : 「交代、交換、差し替え」
❖ "And if you ~ "「そして、もし、あなたが病んだ神を受け入れれば、」"you will bow ~ "「あなたはひれ伏し、病んだ神を崇拝するだろう」。"because he was ~ "「なぜなら、病んだ神は、本当の神の代用品として作られたのだから」。病んだ神は張りぼての偶像であり、中身は空っぽだ。空っぽなものを崇拝すれば、自らも病んでしまう。



He is the belief that you can choose which god is real. 
  • choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
❖ "He is the belief ~ "「病んだ神は、あなたがどっちの神が実在か選択できると信じている、その信念のことだ」。あなたは本当の神はどっちなのか選択できると信じており、その信念の象徴が偶像崇拝である。本当の神は選択というレベルを超えた存在であることに気が付かなくてはならない。つまり、あれかこれかのレベルではない。自由意志による選択の問題ではないのだ。



Although it is clear this has nothing to do with reality, it is equally clear that it has everything to do with reality as you perceive it.
  • although [ɔːlðóu] : 「〜ではあるが、〜だけれども」
  • clear [klíər] : 「澄んだ、きれいな、明快な」
  • have nothing to do with : 「〜と関係がない」
  • equally [íːkwəli] : 「等しく、同様に、一様に」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜を理解する」
❖ "Although it is ~ "「このことは実在性とは何の関係もないということは明白だとしても、」あなたが神を選択できると信じていることは、その神の実在性とは無関係であるが、"it is equally ~ "「that以下も等しく明白である」。"that it has ~ "「それは、あなたが知覚するところの実在性とは大いに関係がある」ということも等しく明白である。肉体的な感覚器官で知覚したものは実在するとあなたが信じて疑わないということも明白だ。目に見えるこの世界が実在する現実のすべてだと思っているなら、神を自由意志によって選択することには意味がある。なぜなら、そもそも幻想世界を実相世界と見誤ったのだから、どんな神を神と見誤っても幻想の世界では通用するからだ。しかし、偶像崇拝が通用するのはこの幻想世界だけであって、実相の神とはまったく無関係である。幻想から実相を創り出すことは不可能だから。






Notification

自分の写真


❖ Text精読、完了しました。4年8ヶ月、1256回の投稿でした。長期に渡ってお付き合いいただき、感謝します。
❖ 引き続き、Workbook精読をご覧下さい。場所は「http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp」です。
❖ Text精読の手直しも始めました。月日をかけて見直していきます。
❖ AmazonからKindle版の精読シリーズを出版開始しました。『どこでもAcim』をご希望の方は是非どうぞ。
❖ Google PlayとiBookstoreからepub版の精読シリーズを出版開始しました。Kindle版で窮屈さをお感じでしたら、こちらをどうぞ。
❖ Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。Urtextは非常に面白いです。臨場感は半端でありません。

oohata_mnb@yahoo.co.jp
oohata.m@coda.ocn.ne.jp

アクセスカウンター