●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-10.IV.5:1 ~ T-10.IV.6:8

5. You are not free to give up freedom, but only to deny it. You cannot do what God did not intend, because what he did not intend does not happen. 
  • give up : 「捨てる、見捨てる、見放す」
  • freedom [fríːdəm] : 「自由、解放、自主、独立」
  • deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する、拒む」
  • intend [inténd] : 「〜するつもりである、〜を意図する」
  • happen [hǽpn] : 「起こる、発生する」
❖ "You are not ~ "「あなたには、自由を捨てる自由はない」。"but only to ~ "「ただ、自由を拒否することだけは自由に出来る」。"You cannot do ~ "「あなたは、神が意図しなかったことは出来ないのだ」。"because what he ~ "「なぜなら、神が意図しなかったことは起きないからだ」。神は神の子を創造した時、神の子が神の属性のすべてを継承することを意図した。したがって、あなたは生まれながらにして神と同様に自由であって、それを消し去ることは出来ない。ただし、自分の生来の自由を拒絶することは出来る。事実、神の子は受け継いだ自由を神に突き返したつもりになって、その結果、この幻想世界を偽創造した。



Your gods do not bring chaos; you are endowing them with chaos, and accepting it of them. 
  • bring [bríŋ] : 「〜をもたらす、〜を持って来る」
  • chaos [kéiɑs] : 「無秩序、混乱状態」
  • endow [endáu] : 「授ける、与える」
  • endow A with B : 「AにBを授ける、寄付する」
  • accept [əksépt] : 「認める、受け入れる」
  • of : 「〜から取ってきた」
❖ "Your gods do ~ "「あなたの神々が混沌を持ち込んだのではない」。"you are endowing ~ "「あなたが神々に混沌を与え、」"and accepting it ~ "「神々からの混沌として、混沌を受け入れたのである」。あなたの神々を作ったのはあなた自身であり、それは実在しない幻想の神々(エゴ)である。あなたは、自分の心の罪や恐れをあなたの外部に投影し、スクリーン上に神々を映し出しただけなのだ。それが、怒れる神、裁く神、嫉妬する神、罰する神、復讐する神となったわけだ。こういう神々が招く混乱の本当の原因は、したがって、あなた自身である。あなたの無意識が抱く罪悪感である。しかもあなたは、神々はあなたの心の投影した結果であると認めないから、あたかも神々があなたに混乱をもたらしているかのように錯覚している。



All this has never been. Nothing but the laws of God has ever been, and nothing but his will will ever be. 
  • never [névər] : 「少しも〜ない、決して〜ない」
  • ever [évər] : 「今までに、これまでに、いつも」
❖ "All this has ~ "「このことすべては、決して起こったのではない」。あなたが神々をでっち上げ、混乱をもたらしたことはすべて幻想世界の出来事(夢)であって、実相世界ではそんなことは決して起きなかった。"Nothing but the ~ "「いまだかつて、神の法以外のことは何も起きなかったし、」神の法にかなわないことは何も起きなかったし、"and nothing but ~ "「そして、神の意思以外のものは何も起きないだろう」。神が意志した真実の創造だけが実相化されて行くのであって、そのすべては神の法、天の王国の法に準じている。



You were created through his laws and by his will, and the manner of your creation established you a creator. 
  • through [θruː] : 「〜を通じて、〜を経て」
  • manner [mǽnər] : 「やり方、仕方、方法」
  • establish [istǽbliʃ] : 「確立する、達成する」
  • creator [kriéitər] : 「創造者、創作者、創設者」
❖ "You were created ~ "「あなたは、神の法を通して、神の意思によって創造された」。"and the manner ~ "「あなたのそういう創造のされ方が、あなたを創造者として確立したのだ」。神の法と神の意思によってあなたは創造され、神の属性のすべてを継承した。したがって、あなたには生来、実相的な創造性が備わっている。あなたは神と同様、生まれながらにして創造者なのだ。



What you have made is so unworthy of you that you could hardly want it, if you were willing to see it as it is. 
  • unworthy [ʌnwə́ːrði] : 「〜に値しない、〜にふさわしくない」
  • unworthy of : 「〜に値しない、〜にふさわしくない」
  • hardly [hɑ́ːrdli] : 「ほとんど〜ない、とても〜ない」
  • be willing to : 「〜する意思がある、進んで〜する」
❖ "What you have ~ " ここは"~ so ~ that ~ "の構文、「あなたが作ったものは、あなたにとってあまりにもふさわしくないので、」"that you could ~ "「あなたは望むことなど出来ない」。"if you were ~ "「もし、あなたがそれをありのままに見る気にさえなるなら」。ここは仮定法過去になっている。実際は、まだあなたはそれをありのままに見ることが出来ない状態でいる。あなたが作った神々は、ちゃんと見れば、それはひどい代物(しろもの)だ。そんなものを欲しがるなんて考えられない。



You will see nothing at all. And your vision will automatically look beyond it, to what is in you and all around you. 
  • automatically [ɔ̀ːtəmǽtikəli] : 「無意識に、自動的に」
  • look beyond : 「〜の先を思い描く」
❖ "You will see ~ "「あなたはまったく何も見ないだろう」。前文に「あなたが作ったものをありのままに見る気にさえなれば」とあるので、もし、その気になって見てみても、そこにはまったく何も見えないだろう、という意味。なぜなら、そこには何もないからだ。"And your vision ~ "「そして、あなたのヴィジョンは自動的にあなたの作ったものを越えてその先に向かう」。あなたのヴィジョンは幻想を飛び越えて、その先にある真実に向かう。"to what is in ~ "「(視線は、)あなたの中にあるものに向かい、あなたの周りにあるすべてのものに向かう」。あなたがでっち上げた神々は、よく見ると幻想に過ぎず、実体として何も見えない。そこで、あなたの視線は自動的にあなたの内部(心の中)へと向かい、心の周りにある実体のあるもの(実相的実体、実在する真実)を目撃するようになる。



Reality cannot break through the obstructions you interpose, but it will envelop you completely when you let them go.
  • reality [riǽləti] : 「現実、真実、実相」
  • break through : 「打ち破る、突き破る」
  • obstruction [əbstrʌ́kʃən] : 「障害、妨害」
  • interpose [ìntərpóuz] : 「〜を間に入れる、差し挟む」
  • envelop [envéləp] : 「〜を包む、覆い隠す」
  • completely [kəmplíːtli] : 「完全に、全面的に」
❖ "Reality cannot ~ "「実相は、あなたが差し挟んだ障害物を突破することは出来ないが、」あなたが差し挟んだ障害物とは、多くの神々であり、あなたの肉体であり、世界、宇宙。つまり、幻想、錯覚の産物のすべて。それを、実相は積極的に打ち壊すことはない。存在してさえいないのだから、壊しようがない、という意味合い。"but it will envelop ~ "「しかし、あなたが障害物を去らせたとき、実相は完全にあなたを包み込むだろう」。"when you let them go"ここの意味が取りにくいのだが、「障害物を行かせる、障害物を去らせる」という意味合いなので、「あなたが障害物を取り除いたとき」と考えていいだろう。言い換えるなら、存在さえしない障害物が目の前にあると知覚している悪夢から、あなたが自ら目覚めたとき、ということだ。そのとき初めて、あなたの周りに実相が見えてきて、あなたは実相に完全に包み込まれる。



6. When you have experienced the protection of God, the making of idols becomes inconceivable. 
  • experience [ikspíəriəns] : 「〜を経験する、〜を体験する」
  • protection [prətékʃən] : 「保護、守ること、防御」
  • idol [áidl] : 「偶像、崇拝される人」
  • inconceivable [ìnkənsíːvəbl] : 「想像もできない、考えも及ばない」
❖ "When you have ~ "「あなたが、神の加護を経験したとき、」"the making of idols ~ "「偶像を作ることなど考えられなくなる」。あなたが神の子に対する神の愛を知れば、エゴなどという偶像をでっち上げる必要はないと分かる。



There are no strange images in the Mind of God, and what is not in his mind cannot be in yours, because you are of one mind and that mind belongs to him. 
  • strange [stréindʒ] : 「奇妙な、変な」
  • belong [bilɔ́ːŋ] : 「属する、所属する」
  • belong to : 「〜に属する、〜の所有物である」
❖ "There are no ~ "「神の心の中には、奇妙なイメージなどない」。"and what is ~ "「そして、神の心にないものは、あなたの心にもあり得ない」。"because you are ~ "「なぜなら、あなたは(神と)心が一つであり、心は神に属しているからだ」。『奇妙なイメージ』とは、あなたが作った神々を初めとして、肉体、物体、世界、宇宙、等々の幻想世界。神の心にも、また神の子の心にも、幻想世界は実体として存在してはいない。



It is yours because it belongs to him, for to him ownership is sharing. And if it is so for him, it is so for you. 
  • ownership [óunərʃip] : 「所有権、所有」
  • share [ʃέər] : 「〜を分かち合う、共有する」
❖ "It is yours because ~ "「心は神に属するから、心はあなたのものである」。"for to him ownership ~ "「なぜなら、神にとって、所有とは分かち合いのことだからだ」。"And if it is ~ "「そして、神にとって所有が分かち合いならば、あなたにとっても、所有は分かち合いである」。ACIMの世界では、分かち合いによってそれが減少することはない。逆に、分かち合うことで拡張増大する。したがって、あなたが所有するものを分かち合えば、あなたの所有は増える。「与えよ、さらば与えられん」というルカによる福音書の言葉も、この文脈で読むと意味がはっきりする。与えることと得ることは、実相世界では同一なのだ。



His definitions are his laws, for by them he established the universe as what it is. 
  • definition [dèfəníʃən] : 「定義、明確にすること」
  • establish [istǽbliʃ] : 「達成する、確立する」
  • universe [júːnəvə̀ːrs] : 「宇宙、全世界」
❖ "His definitions ~ "「神の定義が神の法である」。"for by them ~ "「なぜなら、神の定義によって、神は世界を、それがそうであるように確立したからだ」。ここは誤解を生みやすい箇所だ。神がこの世界を創造したかのように受け取ってしまうとACIMの解釈に失敗する。この宇宙、世界は、神の子が思いを心の外に投影した結果の幻想であって、ここの"the universe"は『実相の宇宙、実相の世界』と解釈すべきだ。実相世界にあっては、真実(愛)を分かち合い、拡張増大させることが創造であって、愛の拡張、それが神の定義だ。実相の愛が従う力学が神の法。一言で言えば、純粋一元論的創造である。愛は憎しみという逆方向に向かうことはなく、ただただ拡張して行くのみ。



No false gods you attempt to interpose between yourself and your reality affect truth at all. 
  • false [fɔ́ːls] : 「虚偽の、偽りの、偽の」
  • attempt [ətémpt] : 「試みる、企てる」
  • interpose [ìntərpóuz] : 「〜を間に入れる、差し挟む」
  • between [bitwíːn] A and B : 「AとBの間に」
  • affect [əfékt] : 「〜に作用する、〜に影響を及ぼす」
❖ "No false gods ~ "「あなたが、あなた自身とあなたの実相の間に差し挟もうと試みた偽りの神々は、全く真実に影響を与えない」。先の、"Reality cannot break through the obstructions you interpose"「実相は、あなたが差し挟んだ障害物を突破することは出来ない」と対を成している。非実在が実在に影響を与えることも、実在が非実在に影響を与えることも不可能だ。



Peace is yours because God created you, and he created nothing else.
  • peace [píːs] : 「平和、安らぎ、平穏」
❖ "Peace is yours ~ "「神があなたを創造し、その他の何ものも創造しなかったのだから、平和はあなたのものである」。神は、神の愛の延長上に神の子を創造した。神と神の子は愛を分かち合い、愛を拡張増大させて創造を遂行する。そこに、平和、慈しみ、静寂、美、等々が生まれ出る。それが実在であり、真実であり、実相である。






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