●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-14.X.12:1 ~ T-14.XI.1:9

12. The miracle is the recognition that this is true. Where there is love, your brother must give it to you because of what it is.

  • recognition [rèkəgní∫n] : 「認識、認証、正当性の認識」
❖ "The miracle is ~ "「奇跡は、このことが真実であると認識することである」。このこととは前文の、愛が一番である、ということ。奇跡を行うとき、真実の愛がそこになくてはならないと認識するのである。愛が奇跡を起こすと言ってもいいだろう。"Where there is love, your ~ "「愛があるところ、あなたの同胞はあなたに愛を与えるに違いない」。"because of what ~ "「愛とはそういうものだからである」。愛は分かち合われるものであるから、同胞が愛に満ちているなら、当然、あなたに愛を与えるだろう。逆に、あなたに愛が満ちているなら、あなたは同胞に愛を与えなくてはならない。もちろん、ここで言う愛とは、幻想世界の対極概念を持たない純粋の、一元論的愛のこと。



But where there is a call for love, you must give it because of what you are.
  • call [kɔ́ːl] : 「叫び、要求、需要」
❖ "But where there ~ "「しかし、愛を求める呼び声があったら、」"you must give ~ "「あなたは愛を与えなくてはならない」。"because of what ~ "「それが本当のあなたなのだから」。本当のあなたとは、実相世界のあなたのこと。したがって、真の愛を知っているし、真の愛は分かち合わなければならないことも知っている。



Earlier I said this course will teach you how to remember what you are, restoring to you your Identity.
  • earlier [ə́ːrli] : 「前に、以前に」
  • remember [rimémbə(r)] : 「〜を思い出す、〜を覚えている」
  • restore [risɔ́ː(r)] : 「修復する、回復させる、取り戻す」
  • identity [aidéntəti] : 「自我同一性、正体、固有性」
❖ "Earlier I said this course ~ "「以前私は、このコースはあなたに、本当のあなたを思い出させる方法を教えるだろうと言ったことがある」。"restoring to you ~ "分詞構文、付帯状況、「あなたのアイデンティティを修復することで」。あなたは猿から進化した動物に過ぎないのではなく、神が創造した神の子である、というのがあなたのアイデンティティ。永遠不変性を有した神性、それがあなたのアイデンティティである。このコースは、そのことを思い出させてくれれるのである。



We have already learned that this Identity is shared. The miracle becomes the means of sharing It.
  • already [ɔːlrédi] : 「すでに、前々から」
  • learn [lə́ː(r)n] : 「〜を知る、分かる、悟る、学ぶ」
  • share [∫éə(r)] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
  • means [míːnz] : 「手段、方法、資力」
❖ "We have already ~ "「私たちはすでに、このアイデンティティが分かち合われることを学んだ」。"The miracle becomes ~ "「奇跡は、それを分かち合う手段になるのである」。あなただけが神の子であるというアイデンティティを思い出しただけでは不足なのである。神の子であるすべての同胞も含めて、同一のアイデンティティを復旧させなくてはならない。なぜなら、神の子は一つだからだ。神の子というアイデンティティは分かち合わなければ意味がない。そして、その分かち合いは奇跡がもたらしてくれるのである。なぜなら、奇跡とは真実への目覚めであり、同胞すべてが神の子というアイデンティティを持っていることは真実であるからだ。



By supplying your Identity wherever It is not recognized, you will recognize It.
  • supply [səplái] : 「供給する、支給する、提供する」
  • wherever [(h)we(ə)révə(r)] : 「どこへ〜しても、どこで〜であろうとも」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
❖ "By supplying your ~ "「あなたのアイデンティティが認識されていないところならどこでも、それを与えることで、」"you will recognize ~ "「あなたは、あなたのアイデンティティを認識できるだろう」。あなたのアイデンティティとは、もちろん、永遠不変の神性を有した神の子であること。自分が神の子であると認識できない同胞たちへあなたのアイデンティティを提供することで、すなわち、神の子であるというアイデンティティを分かち合うことで、同胞も自分のアイデンティティが神の子であることに気が付き、あなたは同胞の中に神の子としてのアイデンティティを認識することが出来るようになるわけだ。



And God himself, Who wills to be with his Son forever, will bless each recognition of his Son with all the love he holds for him.
  • will : 「〜を望む、意図する」
  • forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
  • bless [blés] : 「祝福する、〜を神聖にする、〜を賛美する、恩恵を受ける」
  • recognition [rèkəgní∫n] : 「認識、認証、正当性の認識」
❖ "And God himself, Who ~ "「そして神自身、神は神の子と永遠に一緒にいたいと意思しているのだが、その神が、神の子のために胸に抱いていた愛のすべてをもって、神の子の認識それぞれを祝福してくれるだろう」。神の子の認識とは、あなたや同胞たちが、自分は神の子であると認識すること。アイデンティティの認識のこと。神の子が一人一人、自分のアイデンティティを認識するたびに、神は至上の愛をもって、それを祝福してくれる。神は神の子と永遠に共にいたいからである。



Nor will the power of all his love be absent from any miracle you offer to his Son.
  • nor [nɔː(r)] : 「そしてまた〜ない、〜もまた〜でない」
  • be absent from : 「〜に不在である、〜から席を外している」
  • offer [ɔ́(ː)fə(r)] : 「差し出す、捧げる、提供する」
❖ "Nor will the power of ~ "「また、あなたが神の子に差し出す奇跡に、神の愛のすべてのパワーがおろそかになることはない」。あなたが同胞に奇跡をもたらすとき、そこに神の愛がパワーを注ぎ込んでくれる。したがって、奇跡を起こしているのはあなたなのだが、神がパワーを注ぎ込んで奇跡を起こしていると思ってもいい。奇跡を起こしているのはあなたであり、神である。あなたの愛であり、神の愛である、と言った方が正確か。このとき、あなたと神は重なり合っているのである。まさに、神人一体。



How, then, can there be any order of difficulty among them?
  • order [ɔ́ː(r)də(r)] : 「順、順序、順番、順位、序列」
  • difficulty [dífikʌ̀lti] : 「困難、難事、難儀、面倒なこと、問題」
  • among [əmʌ́ŋ] : 「〜の間に、〜のうちで」
❖ "How, then, can there ~ "「それなら、どうして、奇跡の間に難しさの序列など存在できようか」。奇跡には神のパワーが注ぎ込まれているから、どんな奇跡も難しいことなどない。奇跡には序列がないのだ。
 
 
 
  
XI. The Test of Truth
真実の吟味
 
 
 
1. Yet the essential thing is learning that you do not know. Knowledge is power, and all power is of God.
  • essential [isén∫l] : 「絶対必要な、絶対不可欠な、欠くことのできない、必須の、最も重要な」
  • knowledge [nàlidʒ] : 「知識、心得、認識、知恵、知見」
❖ "Yet the essential thing ~ "「しかし、絶対必要なことは、あなたは知らないということを学ぶことである」。あなたは肉体的感覚器官による知覚と頭脳による理性によって知ることが出来ると思っているが、それは誤りである。あなたは知覚と理性で知ることは出来ない。それをまず第一に学ぶ必要がある。"Knowledge is power ~ "「叡智はパワーであり、すべてのパワーは神のものである」。すべてのパワーは神に由来するということ。もちろん、ここのパワーとは実相世界のパワーのことであって、幻想世界の力学的パワーのことではない。



You who have tried to keep power for yourself have "lost" it.
  • try to do : 「〜しようと試みる」
  • keep [kíːp] : 「〜を持ち続ける、保持する」
  • for oneself : 「自分のために、自力で、独力で」
  • lost [lɔ́(ː)st] : 「lose の過去・過去分詞形」
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
❖ "You who have tried ~ "「神のパワーを自分のためだけに保持しようと試みたあなたは、それを失ってしまった」。分かち合うことがなければパワーは意味を持たない。結果、失うことになる。なぜなら、実相世界の存在であるものは、その属性に分かち合いが含まれているからだ。分かち合い、拡張増大すること、それが命となる。分かち合うことがないパワーは命を失うのだ。独占的所有意識は幻想世界の錯覚である。意味もなければ、全くの無である。



You still have the power, but you have interposed so much between it and your awareness of it that you cannot use it.
  • still [stíl] : 「でもまだ、いまだに、今もなお」
  • interpose [ìntə(r)póuz] : 「間に入れる、割り込ませる、介入させる」
  • between [bitwíːn] : 「間に、中間に、両者間に」
  • between A and B : 「AとBの間に」
  • awareness [əwéə(r)nəs] : 「認識、自覚、気付いていること、意識性」
❖ "You still have ~ "「あなたは今なお、神のパワーを持っている」。"but you have interposed ~ "ここは"so ~ that ~ "の構文、「しかし、あなたはそのパワーと、パワーの認識の間に、あまりにも多くのものを挟んでしまったので、あなたはパワーを使えなくなってしまったのだ」。解釈しにく部分である。あなたは何を挟んだのだろう? それは、あなたが自分には神のパワーがあると認識し信じることを邪魔しているものだ。たとえば、もちろん、疑いがある。自分が猿から進化した動物に過ぎないと思っているうちは、神のパワーの存在に疑いを持つだろう。また、知覚と理性。神のパワーがなせる奇跡を感覚器官で知覚することが出来ないので、そんなものはないと信じる。あるいは、理性的に考えて、物理法則を破る奇跡のパワーなど、科学的に信じがたいと思う。究極、神や神の子の存在を信じる気持ちがないことに尽きる。その存在を否定すれば、そのパワーを否定したことになるのだ。



Everything you have taught yourself has made your power more and more obscure to you.
  • taught [tɔ́ːt] : 「teach の過去・過去分詞形」
  • make [SVOC} : 「〜の状態を作り出す、〜にする」
  • obscure [əbskjúə(r)] : 「ぼんやりした、はっきりとしない、不明瞭な、曖昧な」
❖ "Everything you have ~ "「あなたがあなた自身に教えたことのすべてが、あなたのパワーをあなたにとって曖昧なものとしてしまった」。あなたの知覚、あなたの理性が判断し、納得させたものは(Everything you have taught yourself )、この幻想世界でこそ通用するものかもしれないが、実相世界では通用しない。結果、神のパワーに疑いを持ち始め、その存在を曖昧なものにしてしまった。



You know not what it is, nor where. You have made a semblance of power and a show of strength so pitiful that it must fail you.
  • semblance [sémbləns] : 「外見、外観、装い、見せかけ、うわべ」
  • show [∫óu] : 「見せること、現れ、表現」
  • strength [stréŋ(k)θ] : 「力、強さ、体力、知力、強み」
  • pitiful [pítifl] : 「哀れな、惨めな、卑しむべき、軽蔑すべき」
  • fail [féil] : 「裏切る、失望させる、役に立たない」
❖ "You know not ~ "「あなたは、神のパワーとは何なのか、どこにあるのか、知ってはいない」。"You have made ~ "ここは"so ~ that ~ "の構文、「あなたは、パワーの表れやその力のうわべをあまりにも惨めなものにしてしまったので、そのパワーはあなたを失望させたに違いない」。さて、難解な部分である。あなたは神のパワーが起こす奇跡の現象だけにとらわれている。パワーの現れ方、その力の現れ方、それはパワーの表層に過ぎず、パワーの実体ではない。結果、神のパワーを見せ物にし、こんな不思議がありますぞ、と言わんばかりに神のパワーを売り物にし、パワーを惨めなものとしてしまった。その結果、神のパワーってテレビに出てくる超能力のことかと、あなたを失望させるのである。しかし、真の神のパワーは見せ物でも売り物でもない。それは常に、愛に裏打ちされたものでなければならない。実相世界の愛とパワーは、ほぼ同一な実在であって、区別がつかないからだ。したがって、愛の表現としての神のパワー、愛の表現としての奇跡、それ以外のものは意味がないだ。愛のないパワーはあなたを騙し、失望させるだけなのである。



For power is not a seeming strength, and truth is beyond semblance of any kind.
  • seeming [síːmiŋ] : 「外観上の、外見だけの、見せかけの、うわべの」
  • beyond [bi(j)ánd] : 「〜の向こうに、〜を越えて、〜を過ぎて、〜のかなたに」
  • of any kind : 「いかなる種類の」
❖ "For power is ~ "「なぜなら、神のパワーはうわべの力ではないし、」"and truth is beyond ~ "「真実は、いかなる種類の外見をも超えているものなのだから」。パワーは内実が大切である。パワーの表れに惑わされてはいけない。つまり、それが真実かどうか、それは愛があるかないかにかかってくるのだ。



Yet all that stands between you and the power of God in you is but your learning of the false, and of your attempts to undo the true.
  • stand between : 「間に立ちはだかる、介在する」
  • false [fɔ́ːls] : 「正しくない、誤った、うその、虚偽の、偽りの、偽の、欺瞞の」
  • attempt [ətém(p)t] : 「試み、企て」
  • undo [ʌndú] : 「〜を元に戻す、元どおりにする、取り消す」
❖ "Yet all that stands between ~ "「しかし、あなたと神のパワーの間に介在しているもののすべては、」"is but your learning of ~ "「あなたが誤って学んだことであり、真実を取り消す試みである」。あなたは理性的な思考、科学的な思考を重んずるあまり、この世界が唯物で構成されていると信じている。心さえ、肉体的な頭脳が化学物質と電気信号で織りなす意識の結果であると信じている。そして、理性や科学で証明不能な現象は取り消しにするのである。そういうスタンスでいるうちは、決して神のパワーに触れることも近づくことさえも出来ない。では、非科学的な迷信を信じることが神のパワーに近づく道かというと、そうではない。我々の理性や科学がカバーできるこの4次元時空間を超えた次元に、それが5次元でも6次元でも構わないのだが、レベルの全く異なる実相世界が存在し、その世界の実在である心が深い眠りの中で夢を見ている、その幻想が、この4次元時空間の出来事なのだとしっかりと認識する必要があるのだ。この4次元時空間から見る限りにおいては、目にする緒物体、緒現象は実在している。しかし、4次元を超えた実相世界から見れば、目にする緒物体、緒現象は幻想に過ぎないのだ。そして、人が神の子である以上、4次元時空間の幻想世界で満足するようではいけないのである。なぜなら、ここは神の子の住むべき場所ではないからだ。4次元を超えた実相世界に回帰せねばならない。そここそが実在の場所であり、神の子の故郷である。こういうスタンスをとった上で、神のパワーの実在と、真実の愛の実在を実感できなくてはなんの意味があろう。奇跡を信じるとは、奇跡を盲目的に信仰することではないのだ。同様に、神とは信仰の対象ではない。神は実在する、その直覚的認識が大切なのである。決して、神は信仰のシンボルではないのだ。
 
 
 

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