●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-15.VII.5:1 ~ T-15.VII.6:10

5. It is this chain that binds the Son of God to guilt, and it is this chain the Holy Spirit would remove from his holy mind.

  • chain [t∫éin] : 「鎖、連鎖、束縛」
  • bind [báind] : 「〜を縛る、結び付ける、〜を束縛する、拘束する」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
  • remove [rimúːv] : 「取り除く、取り去る、取り外す、除去する」
  • holy [hóuli] : 「神聖な」
  • mind [máind] : 「心、心情、精神、気性、心性」
❖ "It is this chain that ~ "強調構文、「神の子を罪の意識に縛り付けているのはこの特別な関係性の連鎖である」。"and it is this chain ~ "「また、ホーリー・スピリットが、神の子の神聖な心から取り除こうとしているのはこの特別な関係性の連鎖である」。神の子が特別な関係性を求めている限りは、罪の意識を断ち切ることは出来ない。そこで、ホーリー・スピリットに、特別な関係性を取り除くための指導を求めることになる。それはホーリー・スピリットの使命でもある。



For the chain of savagery belongs not around the chosen host of God, who cannot make himself host to the ego.
  • savagery [sǽvidʒri] : 「残忍性、残虐性」
  • belong [bilɔ́(ː)ŋ] : 「合っている、なじんでいる、〜に属する」
  • around [əráund] : 「近くに、そばに、〜の周りに、〜の周囲に」
  • chosen [t∫óuzn] : 「choose の過去分詞形、選ばれた、好きな」
  • host [hóust] : 「主人、宿主、亭主」
❖ "For the chain of savagery ~ "「なぜなら、残忍性の連鎖は、神が選ばれたホスト役の近くにはふさわしくないからだ」。特別な関係性は他者を排他攻撃する性質を持っているので、"the chain of savagery"「残忍性の連鎖」と表現したのだろう。また、神が選んだホスト役とは次のような意味合いがある。神はその側(かたわら)に神の子を常に置いておき、共に平和や喜びを分かち合いたいと思っているのである。愛の分かち合いの対象が、神の選んだホスト役ということになる。その神の選んだホスト役である神の子は、"who cannot make himself ~ "「自分自身を、エゴの子分になど出来ないのである」。同じ"host"という言葉を使っているが、意味合いは全く異なる。こちらのホストは、エゴに隷属するホスト、いわばヤクザの子分といった意味合いである。



In the name of his release, and in the Name of Him Who would release him, let us look more closely at the relationships the ego contrives, and let the Holy Spirit judge them truly.
  • in the name of : 「〜の名において」
  • release [rilíːs] : 「解放、解き放すこと、解除、免除」
  • closely [klóusli] : 「綿密に、密接に、念入りに、接近して、厳密に、詳しく」
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
  • contrive [kəntráiv] : 「立てる、企画する、作る、考案する、たくらむ、策動する」
  • judge [dʒʌ́dʒ] : 「〜を判断する、〜を裁く」
  • truly [trúːli] : 「全く、本当に、真に、正確に、忠実に、偽りなく」
❖ "In the name of his ~ "「(神から選ばれたホスト役である)神の子の解放という名において、」それを旗印に、それを目的に、という意味。"and in the Name of ~ "「そして、神の子を解放するホーリー・スピリットの名において、」ホーリー・スピリットの、解放のパワーを借りて、といった意味合い。"let us look more closely ~ "「エゴのたくらむ関係性をもっと詳しく見ていこう」。"and let the Holy Spirit ~ "「そして、エゴのたくらむ関係性を、ホーリー・スピリットに正しく判断してもらおう」。あなたが判断するのではなく、判断はホーリー・スピリットに任せるのである。実相世界に目覚めていないあなたには、正しい判断はまだ出来ないからだ。



For it is certain that if you will look at them, you will offer them gladly to Him.
  • certain [sə́ː(r)tn] : 「確実な、確かな、確信して、間違いのない」
  • offer [ɔ́(ː)fə(r)] : 「差し出す、捧げる、提供する」
  • gladly [ɡlǽdli] : 「喜んで」
❖ "For it is certain that ~ "ここは"it ~ that ~ "の構文、「もしあなたが、エゴのたくらむ関係性を、目を凝らして見るならば、」"you will offer them ~ "「その関係性を、喜んでホーリー・スピリットに差し出すことになるだろうからだ」。エゴのたくらみを自分で認識した上で、その関係性をホーリー・スピリットに差し出し、判断してもらうわけだ。



What He can make of them you do not know, but you will become willing to find out, if you are willing first to perceive what you have made of them.
  • find out : 「見いだす、気が付く、知ってしまう」
  • be willing to : 「〜する意思がある、進んで〜する、〜に前向きである」
  • first [fə́ː(r)st] : 「そもそも、まず、初めて、最初に」
  • perceive [pə(r)síːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
❖ "What He can make of ~ "あなたが差し出した、エゴの画策する関係性を、「ホーリー・スピリットがどう判断するか、あなたには分からない」。"make of"を「判断する」と解釈した。あなたが差し出した関係性を使って、ホーリー・スピリットが作り出すことの出来るもの、つまり、判断可能なこと、ととらえたからだ。"but you will become willing ~ "「しかし、もし、あなたがエゴの画策した関係性から何を作ったか、まず最初に知ろうとするなら、あなたは、ホーリー・スピリットの答えを知りたいと思うようになるだろう」。ホーリー・スピリットに判断を委ねてしまって、それで終りとしてもいいのだが、判断を委ねる前に、あなたは特別な関係性を吟味し、それが他者を排他し、他者を攻撃した実態を目の当たりにしたのだから、いったいホーリー・スピリットがあなたの特別な関係性に対してどんな判断を下し、どのように処理するのか知りたいと思うだろう。非常に回りくどい言い方をしているが、要点は、ホーリー・スピリットに関係性の判断を委ねる前に、まずあなたが、自分の作った関係性が排他攻撃した事実をしっかり認識しなさい、ということ。



6. In one way or another, every relationship the ego makes is based on the idea that by sacrificing itself, it becomes bigger.
  • in one way or another : 「あれこれと、あれやこれやで、いろいろな点で、どうにかして、なんとかして」
  • base [béis] on : 「〜に基づく、〜に準拠する」
  • sacrifice [sǽkrəfàis] : 「〜を犠牲にする、〜をいけにえにする」
❖ "In one way or another ~ "「色々な点で、エゴの作り出す関係性のすべては、that以下の考えに基づいている」。"that by sacrificing ~ "「自己を犠牲にすることで、関係性はますます大きくなる」という考えに基づいている。さて、どういう意味だろう? エゴの画策する特別な関係性は、平等性を完全に欠いた、一方が他方に隷属する関係である。まず、ここに自己犠牲が見られる。愛を奪うとか、愛で支配するとか、愛に縛られる、腐れ縁である、等々の言葉で表現される関係性は、基幹部分が犠牲である。金や愛欲で結ばれる関係性も、実態のない幻想に依存することなので、自己犠牲と考えていい。心を売り飛ばしたようなものだからである。また、特別な関係性が孤立と排他、そして攻撃に向かうとき、明らかに犠牲が伴なう。平和や喜びを分かち合うことが出来ない関係性であるからだ。つまり、平和、喜びを犠牲にしているわけだ。このように色々な点で、エゴの画策する関係性は犠牲という基本概念に基づいている。そして、不思議なことに、犠牲が多くなればなるほど、あるいは犠牲が大きければ大きいいほど、その関係性自体も強固になるとエゴは信じている。犠牲で傷ついた者同士、その傷を舐め合うことで関係性が強固になると言わんばかりである。しかし、実際、そう思っている人は多いのだ。



The "sacrifice," which it regards as purification, is actually the root of its bitter resentment.
  • sacrifice [sǽkrəfàis] : 「犠牲、いけにえ」
  • regard [rigɑ́ː(r)d] : 「〜を〜と見なす」
  • purification [pjù(ə)rəfikéi∫n] : 「浄化、精製」
  • actually [ǽkt∫u(ə)li] : 「実際は、本当は、実は、実のところ」
  • root [rúːt] : 「根、根元、根底、本質、基礎」
  • bitter [bítə(r)] : 「苦々しい、悲痛な、悲惨な、冷酷な、無情の」
  • resentment [rizéntmənt] : 「怒り、敵意、恨み、憤慨、憤り」
❖ "The "sacrifice," which ~ "「『犠牲』は、エゴは浄化と見なしているが、それは、」"s actually the root ~ "「実際のところ、苦々しい怒りの根源である」。犠牲によって生まれる感情は怒りである。ジョン・サーノ医学博士は、無意識は、怒りの発露を恐れて、痛みや病を作り出し、関心を苦々しい怒りから逸(そ)らして痛みや病に向かわせる、と言っている。その怒りの生まれ出る場所は、実は犠牲なのである。そして、犠牲を生み出しているのは、エゴの画策する特別な関係性なのだ。どうだろう、怒り、犠牲、特別な関係性、この三者の連鎖がはっきり見えてくるではないか。



For it would prefer to attack directly, and avoid delaying what it really wants.
  • prefer [prifə́ː(r)] : 「〜を好む、むしろ〜の方を好む」
  • attack [ətǽk] : 「〜を襲う、〜を攻撃する、〜を非難する」
  • directly [dəréktli] : 「直接に、真っすぐに、すぐに、直ちに」
  • avoid [əvɔ́id] : 「避ける、回避する、逃れる」
  • delay [diléi] : 「〜を遅らせる、延期する、滞らせる」
  • really [ríː(ə)li] : 「実際には、ほんとうは、確かに、本当に、真に」
❖ "For it would prefer to attack ~ "「なぜなら、怒りは直接攻撃することを好み、(怒りが)本当に望んだことを遅らせることを避けるからだ」。怒りは抑制しにくいものであって、怒りの対象を見つけるとすぐ攻撃する。怒りをこらえて爆発を遅らせることは至難の業だ。



Yet the ego acknowledges "reality" as it sees it, and recognizes that no one could interpret direct attack as love.
  • acknowledge [əknɑ́lidʒ] : 「認める、承認する、同意する、認識する」
  • reality [ri(ː)ǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
  • interpret [intə́ː(r)prət] : 「解釈する、解明する、説明する」
  • direct [dáirekt] : 「直接の、真っすぐな」
  • attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
❖ "Yet the ego acknowledges ~ "「しかし、エゴは、『現実』を、エゴがそれを見たとおりのものとして認識している」。目に見えるものがエゴの現実である。したがって、"and recognizes that no one could ~ "「エゴは、誰も直接的な攻撃を愛などとは解釈していないことを知っている」。エゴは非難攻撃をオブラートにくるんで、それが愛に満ちた正しい行いであると言ってあなたに納得させようとするのだが、あなたがそんな嘘に騙されていないことをうすうす気づいているのだ。しかし、エゴはゴリ押しするのである。



Yet to make guilty is direct attack, although it does not seem to be.
  • guilty [gílti] : 「有罪の、犯罪的な、罪を犯した」
  • although [ɔː(l)ðóu] : 「〜だけれども、〜ではあるが、〜とはいえ」
❖ "Yet to make guilty is ~ "「しかし、(誰かに対して)罪の意識を持たせることは直接的攻撃である」。"although it does not ~ "「たとえそのようには見えないにしても」。表面的に見える攻撃だけが攻撃ではない。意識や心を攻撃する陰湿な直接攻撃も存在する。エゴは、そんな攻撃を好むわけだ。



For the guilty expect attack, and having asked for it they are attracted to it.
  • expect [ikspékt] : 「予期する、期待する」
  • ask for : 「〜を求める、〜を要求する、〜を要する」
  • attract [ətrǽkt] : 「引く、引き込む、引き付ける、魅惑する、魅了する」
❖ "For the guilty expect ~ "「なぜなら、罪の意識は攻撃を予期し、」つまり、罪があるから誰かに攻撃されはしないかと恐れるのである。"and having asked for ~ "分詞構文、理由、「(まるで)攻撃を要求しているので、」"they are attracted ~ "「罪の意識をもっているものは、攻撃に引かれてしまうのである」。錯綜した心理が語られている。エゴの作戦はこうだ。エゴはあなたを攻撃する代わりに、あなたが罪の意識を持ち続けるように仕組む。お前は神を裏切った罪人であると宣告し続けるのである。あなたは自分の心の中に罪の意識を持ち続けることになる。しかし、罪の意識と同時に、神から罰せられる恐れも抱くことになるのだ。そこで、ここが錯綜した心理なのだが、あなたは、神があなたを罰する代わりに、他者があなたを攻撃しあなたを傷めつけることを無意識に望むのである(having asked for it)。一種の自己犠牲であって(マゾヒズム的ではあるが)、自分を痛めつけることで、神の罰を軽減しようとするのである。つまり、あなたは他者からの攻撃に心引かれるのだ(they are attracted to it)。さらに、あなたは孤独と心の痛み、罪の意識と罰への恐れを解消出来ぬままに、あなたと同類の特別な相手を求める。そこに特別な関係を築き、今度は他者を排他攻撃する役回りを演ずることになる。エゴの策略は実に巧妙である。このエゴに対向するのは実に至難技であるのだ。しかし、そこにホーリー・スピリットがいてくれることを感謝しようではないか。
 
 
 

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