●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-16.I.1:1 ~ T-16.I.2:7

 

Text - Chapter 16
 

  
The Forgiveness of Illusions

幻想を赦すこと
 
 
I. True Empathy
本当の共感
 
 
 
1. To empathize does not mean to join in suffering, for that is what you must refuse to understand.
  • empathize [émpəθàiz] : 「感情移入する、共感する」
  • mean [míːn] : 「〜を意味する、…とは〜を指す」
  • join [dʒɔ́in] : 「加わる、加入する、参加する、交わる」
  • join in : 「〜に加わる」
  • suffering [sʌ́f(ə)riŋ] : 「苦しむこと、苦しみ、苦痛、苦難、苦悩」
  • refuse [rifjúːz] : 「拒む、拒絶する、断る」
  • understand [ʌ̀ndə(r)stǽnd] : 「理解する、了解する、納得する、分かる」
❖ "To empathize does not ~ "「共感するとは、苦しみに加わることを意味しているのではない」。"for that is what you ~ "「なぜなら、それこそ、あなたが理解を拒否しなくてはならないものだからである」。他者が苦しんでいるとき、あなたもその苦しみを受け取って共に苦しむことは、実は共感ではない。なぜなら、苦しみは根本的に幻想世界のことであって、錯覚であり、錯覚を他者を分かち合えば、現実化してしまうことになるからだ。他者の苦しみをあなたも苦しめば、それは分かち合いの原理に則って、苦しみは拡張増大して現実化する。あたかも、苦しみを与える、夢の中のモンスターが本物となって、ますます太ってしまうのと同じである。



That is the ego's interpretation of empathy, and is always used to form a special relationship in which the suffering is shared.
  • interpretation [intə̀ː(r)prətéi∫n] : 「解釈、説明、解説」
  • empathy [émpəθi] : 「共感、思いやり、感情移入」
  • always [ɔ́ː(l)weiz] : 「いつも、常に」
  • form [fɔ́ː(r)m] : 「〜を形づくる、形成する」
  • special [spé∫l] : 「特別な、独特の、特別の、特有の」
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
  • suffering [sʌ́f(ə)riŋ] : 「苦しむこと、苦しみ、苦痛、苦難、苦悩」
  • share [∫éə(r)] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
❖ 他者の苦しみを自分の苦しみとせよ、とする世間の常識的な見方に対して、"That is the ego's ~ "「それは、共感に対するエゴの解釈である」。" and is always used ~ "「そして、苦しみを分け合うという特別な関係を形作るために、常に利用されるものである」。一緒に苦しみを分け合おうとして、そこに特別な関係性が生まれる。つまり、傷の舐め合いという、典型的な、幻想世界の関係性が構築されるのだ。



The capacity to empathize is very useful to the Holy Spirit, provided you let Him use it in His way. His way is very different.
  • capacity [kəpǽsəti] : 「能力、限度容量、最大容積」
  • empathize [émpəθàiz] : 「感情移入する、共感する」
  • useful [júːsfl] : 「役立つ、実用的な、有用な、便利な」
  • provided [prəváidid] : 「〜という条件で、〜のときに、もし〜とすれば、もし〜ならば」
  • way[wéi] : 「方法、やり方、手段、方途、様式」
  • different [díf(ə)r(ə)nt] : 「相違する、違っている、異なる」
❖ "The capacity to empathize ~ "「もし、あなたが、共感というものを、ホーリー・スピリットのやり方で利用させるなら、共感する能力は、ホーリー・スピリットにとって非常に有用である」。"His way is very ~ "「ホーリー・スピリットのやり方は、(エゴの方法とは)かなり異なっている」。共感する力をエゴの思考システムに則って利用すれば、特別な関係性の構築という、マイナスの結果が生じるが、共感する能力をホーリー・スピリットの思考システムに則って利用すれば、プラスの結果が得られる。つまり、共感する力を、解放のために利用出来るのだ。そのやり方を知っているのはホーリー・スピリットであるから、あなたはホーリー・スピリットに共感する力を委ねればいい。



He does not understand suffering, and would have you teach it is not understandable.
  • understand [ʌ̀ndə(r)stǽnd] : 「理解する、了解する、納得する、分かる」
  • suffering [sʌ́f(ə)riŋ] : 「苦しむこと、苦しみ、苦痛、苦難、苦悩」
  • have : 「〜に〜させる、〜に〜してもらう」
  • understandable : 「理解できる、分かる、無理からぬ」
❖ "He does not ~ "「ホーリー・スピリットは、苦しむということを理解しない」。実相世界には、苦しむという概念は存在しない。苦しみそれ自体がないからだ。したがって、ホーリー・スピリットは、根本的に苦しみを理解する立場にはいない。"and would have you ~ "「そして、ホーリー・スピリットはあなたに、苦しみは理解不能だと教えてもらいたいのである」。この部分の意味合いは微妙である。おそらく、あなたに、苦しみとは実在するものでないから理解不能なのだと認識してほしい、という意味であろう。なぜ、"teach"という言葉を使っているかというと、そう認識したことをホーリー・スピリットに教えてほしいという気持ちからであろうか? あるいは、ホーリー・スピリットは、あなたが同胞に対して、苦しみは理解不能なのだと教えさせたいのかもしれない。



When He relates through you, He does not relate through your ego to another ego.
  • relate [riléit] : 「関連がある、関係する、かかわる、うまく折り合う、なじむ」
  • through [θruː] : 「〜を通じて、〜の手を経て、手を通して」
  • another [ənʌ́ðə(r)] : 「もう一つの、別の、ほかの」
❖ "When He relates ~ "「ホーリー・スピリットが、あなたを通じて関係性を築くときでも、」"He does not relate ~ "「あなたのエゴを通じて、他者のエゴと関係を持つことはない」。したがって、ホーリー・スピリットが苦しみというものと関わり合いを持つときでも、エゴのような捉え方はしないのだ。苦しみ合う者同士を、苦しみを軸として関係付けることはない。あくまでも、ホーリー・スピリットは苦しみからの解放を目的としている。



He does not join in pain, understanding that healing pain is not accomplished by delusional attempts to enter into it, and lighten it by sharing the delusion.
  • join [dʒɔ́in] : 「加わる、加入する、参加する、交わる、一緒になる」
  • pain [péin] : 「痛み、痛覚、疼痛」
  • accomplish [əkɑ́mpli∫] : 「成し遂げる、遂行する、成就する、達成する」
  • delusional [dilúːʒənəl] : 「妄想の」
  • attempt [ətém(p)t] : 「試み、企て」
  • enter [éntə(r)] : 「〜に入る、〜に参加する、〜に立ち入る」
  • lighten [láitn] : 「軽くする、軽減する」
  • share [∫éə(r)] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
  • delusion [dilúːʒ(ə)n] : 「妄想、惑い」
❖ "He does not join ~ "「ホーリー・スピリットは、痛みに加わることもしない」。痛みも幻想、錯覚だから。"understanding that healing ~ "分詞構文、理由、「痛みを癒すことは、〜によっては達成出来ないと理解しているから、」"by delusional attempts ~ "「痛みの中に入って行き、妄想を分かち合うことで痛みを軽減しようとする妄想の試みでは」達成出来ないと理解しているから。簡単に言えば、他者の痛みを自分の痛みとして感じることで、痛みを軽減することなど出来ない、ということ。痛み自体が幻想であり、その痛みを分かち合うことなど妄想だ、というわけだ。したがって、ホーリー・スピリットは、痛みからの解放のために、痛み自体に入っていくことはしない。



2. The clearest proof that empathy as the ego uses it is destructive lies in the fact that it is applied only to certain types of problems and in certain people.
  • clear [klíə(r)] : 「明らかな、明瞭な」
  • proof [prúːf] : 「証拠、立証、証明、証し、裏付け」
  • empathy [émpəθi] : 「共感、思いやり、感情移入」
  • destructive [distrʌ́ktiv] : 「破壊的な、破壊主義的な、有害な」
  • lie [lái] : 「ある、存在する」
  • fact [fǽkt] : 「事実、現実、真実、実際、真相」
  • apply [əplái] : 「適用する、応用する、利用する、生かす、当てはめる」
  • certain [sə́ː(r)tn] : 「特定の、一定の、一部の、ある種の、とある、ある」
  • type [táip] : 「種類、類、類型、型、型式、形式」
  • problem [prɑ́bləm] : 「問題、課題、疑問、難問、難題」
❖ "The clearest proof ~ "「エゴが利用するような共感が破壊的であるという最も明白な証拠は、that以下という事実の中にある」。"that it is applied ~ "「(エゴの)共感は、ある種の問題だけに、そして、ある種の人にだけに適応される」という事実の中にある。簡単に言えば、エゴの共感は、例えば、同じ悩みをもっている者同士、同じ苦しみをもっている者同士、同じ痛みをもっている者同士の間で交わされるもので、共感と言っても、それは単なる傷の舐め合いに終始し、解放のきっかけにはならない、ということ。解放のきっかけにならないどころか、互いにますます泥沼にはまり込んで行って、互いに破壊されることになりかねない。エゴ的同情、共感は互いの破壊につながりかねないのだ。



These it selects out, and joins with. And it never joins except to strengthen itself.
  • select [səlékt] : 「〜を選ぶ、選び出す、抜てきする、選択する」
  • join [dʒɔ́in] : 「結び付ける、結合する、連結する」
  • except [iksépt] : 「〜以外は、〜を除いては、〜を別にすれば」
  • strengthen [stréŋ(k)θn] : 「〜を強くする、強化する、増強する、増加させる、補強する」
❖ "These it selects ~ "「エゴ的共感は、これら(の特定の種類の苦しみや、特定の人達)を選び出し、結び合う」。"And it never joins ~ "「エゴ的共感は、それ自体を強化する以外の結びつきを結ぶことは決してしない」。同じ苦しみをもつ者同士、同じ穴のムジナだけが群れて、その苦しみを拡張増大させて行くのである。これが、エゴ的共感である。



Make no mistake about this maneuver; the ego always empathizes to weaken, and to weaken is always to attack. You do not know what empathizing means.
  • mistake [mistéik] : 「誤り、判断上の間違い、ミス、過ち」
  • maneuver [mənúːvə(r)] : 「策略、戦略、術策、妙策、機略」
  • always [ɔ́ː(l)weiz] : 「常に、いつも」
  • empathize [émpəθàiz] : 「感情移入する、共感する」
  • weaken [wíːkn] : 「弱める、弱体化させる」
  • attack [ətǽk] : 「〜を襲う、〜を攻撃する、〜を非難する」
❖ "Make no mistake ~ "「このエゴの共感の策略を誤って理解してはいけない」。"the ego always empathizes ~ "「エゴは常に、(相手を)弱めるために共感するのであり、」"and to weaken is ~ "「(相手を)弱めることは、いつだって、それは攻撃なのである」。苦しむ者同士、手を取り合って頑張っていこうという、一見正しそうな作戦なのだが、これがエゴの策略だ。苦しむ者同士が、互いに苦しみからの解放を目指さない限り、それは単なる苦しみの舐め合いに終始し、互いに他者をますます弱めることになる。他者のパワーを弱める行為は攻撃以外の何ものでもない。"You do not know ~ "「あなたは、共感することが、(本当は)何を意味するのか、知らないのだ」。



Yet of this you may be sure; if you will merely sit quietly by and let the Holy Spirit relate through you, you will empathize with strength, and will gain in strength and not in weakness.
  • sure [∫úə(r)] : 「確信して、確信している、固く信じている」
  • be sure of : 「〜に自信がある、〜を確信している」
  • merely [míə(r)li] : 「ただ単に、単に」
  • sit by : 「傍観する、黙って見ている」
  • quietly [kwáiətli] : 「黙って、静かに、平穏に」
  • relate [riléit] : 「〜を関係づける、関係させる」
  • empathize [émpəθàiz] : 「感情移入する、共感する」
  • empathize with : 「〜に感情移入する、〜に共感する」
  • strength [stréŋ(k)θ] : 「力、強さ、体力」
  • gain [géin] : 「利益を得る、得をする」
  • weakness [wíːknəs] : 「弱さ、弱いこと、虚弱、脆弱性、衰弱」
❖ "Yet of this you may ~ "「しかし、このことだけは、あなたは確信出来るだろう」。"if you will merely ~ "「もしあなたが、ただ単に静かに見守り、ホーリー・スピリットがあなたを通して関係性を築くままにさせておけば、」"you will empathize ~ "「あなたは強さを伴って共感することになろうし、」"and will gain in ~ "「弱さを得るのではなく、強さを得ることだろう」。まさに、ACIM特有の絶対他力性である。共感を、ホーリー・スピリットに委ねてしまっていいのだ。そのとき、あなたの共感はパワーを得て、他者をも強くし、あなたをも強くする。決して傷の舐め合いをするのではなく、互いに苦しみから解放されるパワーを得るのである。もはや、この関係性は「特別な関係」ではない。普遍的な共感と言えるだろう。なぜなら、真の共感によるパワーはあまねく伝播し、苦しみからの解放が拡張増大するであろうからだ。
 
 
 

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