●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-17.VII.8:1 ~ T-17.VII.9:6

8. Yet think on this, and learn the cause of faithlessness: You think you hold against your brother what he has done to you.

  • learn [lə́ː(r)n] : 「〜を学ぶ、〜を知る、分かる」
  • cause [kɔ́ːz] : 「原因、要因、理由」
  • faithlessness [féiθlisnəs] : 「不実さ、不誠実さ、信仰心のなさ」
  • hold [hóuld] : 「心に抱く、〜であると考える、維持する、保持する」
  • against [əgénst] : 「対抗して、〜に逆らって、〜にそむいて」
  • done [dʌ́n] : 「do の過去分詞」
❖ "Yet think on this ~ "「しかし、次のことをよく考え、信じる気持ちのなさの原因を学ぶようにしなさい」。"You think you hold ~ "直訳すると、「あなたは、同胞があなたになしたことを、同胞に逆らって、保持しているのだと考えている」。つまり、同胞があなたにしたことを、あなたは赦すことが出来ずに、いつまでも同胞を根に思っている、ということ。心の中に、同胞に対する恨みを保持しているのだ。



But what you really blame him for is what you did to him. It is not his past but yours you hold against him.
  • really [ríː(ə)li] : 「実際には、ほんとうは、確かに」
  • blame [bléim] : 「非難する、とがめる、責める、〜の責任にする」
  • past [pǽst] : 「過去、昔」
❖ "But what you really ~ "「しかし、あなたが実際何を持って同胞を責めているかといえば、それはあなたが彼に対してやったことなのだ」。"It is not his past ~"「それは同胞の過去ではなく、あなたが同胞に対して(恨みを抱いた)あなたの過去なのである」。あなたは、同胞があなたに何か悪いことをしたとして、同胞を責めるのだが、ACIMでは自他一如であるから、あなたが自分の悪感情を同胞に投射した結果として、同胞があなたにその悪感情を投げつけたかに見えるだけなのである。責められるべきは、あなたの過去である。



And you lack faith in him because of what you were. Yet you are as innocent of what you were as he is.
  • lack [lǽk] : 「〜を欠く、〜が欠けている、十分にない」
  • innocent [ínəs(ə)nt] : 「純潔な、純真な、潔白な、無罪の、無実の」
❖ "And you lack faith ~ "「そして、あなたが(過去に)そうであったという理由で、同胞に対する信じる気持ちを欠いているのだ」。過去におけるあなたの心の持ち方が、その同胞に対するあなたの信じる気持ちを打ち消している。つまり、過去においてあなたはその同胞を信じることが出来ず、しかも、彼に対してあなたが悪感情を抱いたのだ。その、あなたの感情をそっくりそのまま同胞に投射して、あなたを信じていなのは同胞の方であり、あなたに対して悪感情を抱いているのも同胞であるとあなたは判断する。しかし、考えてもみよう。そのどちらも真実とは言えまい。なぜなら、過去は幻想なのだ。夜見る夢の中で、さらに夢を見ているようなものだ。だからこそ、"Yet you are as innocent ~ "「しかし、あなたが、(過去に)そうであったということに対して無実であるのは、同胞が無実であることと同じである」。過去は幻想なのだから、どちらにも責任はなく、無実だ。夢の出来事に過ぎないのだ。では、あなたと同胞はどうするべきなのか? 簡単である。幻想だと認識して、互いに赦し合えばいいだけの話である。



What never was is causeless, and is not there to interfere with truth.
  • causeless [kɔ́ːzlis] : 「原因のない、原因不明の、正当な理由のない」
  • interfere [ìntə(r)fíə(r)] : 「邪魔をする、妨げる、干渉する」
  • interfere with : 「〜を妨げる、〜を邪魔する、〜に干渉する」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
❖ "What never was ~ "「なかったものに、正当な理由もなければ、」"and is not there ~ "「真実の邪魔をすることもない」。過去という幻想には正当な理由などないのだ。しかも、幻想が真実の妨げになるような力を有しているはずもない。



There is no cause for faithlessness, but there is Cause for faith.
  • cause [kɔ́ːz] : 「原因、要因、正当な理由」
  • faithlessness [féiθlisnəs] : 「不実さ、不誠実さ、信仰心のなさ」
❖ "There is no cause for ~ "「信じる気持ちのなさには正当な理由はない」。"but there is Cause ~ "「しかし、信じる気持ちには正当な理由があるのだ」。信じる気持ちのなさは、逆に言えば、幻想への信じる気持ちのことだから、存在しないものへの信頼感であって、意味がない。存在意味がないから、正当な理由もない。信じる気持ちは、実相の実在性を信じることであるから、実在するものへの信頼感であって、意味がある。存在意味があるから、正当な理由があるのだ。"cause"という言葉が理解を困難にしているが、これを"truth"「真実」と置き換えてみれば、意味合いは簡単に理解できよう。つまり、信じる気持ちのなさは真実ではないが(正しいことではないが)、信じる気持ちは真実である(正しいことである)。



That Cause has entered any situation that shares Its purpose.
  • enter [éntə(r)] : 「〜に入る、〜に参加する、〜に立ち入る」
  • situation [sìt∫uéi∫n] : 「状況、場所、状態、立場、事情、情勢、事態」
  • share [∫éə(r)] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
  • purpose [pə́ː(r)pəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
❖ "That Cause has entered ~ "「正しい理由は、その目的を分かち合う、いかなる関係性の中にも入り込んでいるのだ」。ここも「正当な理由」を「真実」に置き直してみると理解しやすい。つまり、真実の目的を分かち合うような聖なる関係性の中には、極く自然に真実が浸透してくるのだ。



The light of truth shines from the center of the situation, and touches everyone to whom the situation's purpose calls.
  • shine [∫áin] : 「輝く、光る」
  • center [séntə(r)] : 「中心、核心」
  • touch [tʌ́t∫] : 「〜に届く、〜に触れる、に触れる、」
  • call [kɔ́ːl] : 「〜を呼び出す、〜に来るように言う」
❖ "The light of truth shines ~ "「真実の光が、状況の中心から輝き出し、」"and touches everyone ~ "「(聖なる)目的が呼び集めた者達すべてに、その光は届く」。聖なる目的が選択した聖なる状況全体に、真実の光が蔓延する。



It calls to everyone. There is no situation that does not involve your whole relationship, in every aspect and complete in every part.
  • call to : 「〜に声をかける
  • involve[invɑ́lv] : 「〜を含む、伴う、必要とする、〜を巻き込む、関与させる」
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
  • aspect [ǽspekt] : 「形勢、局面、状況、側面、特徴、様子、様相」
  • complete [kəmplíːt] : 「完全な、全くの、全部そろった、徹底的な、全面的な」
❖ "It calls to ~ "「真実の光は、すべての者に声をかける」。真実の光は、すべての神の子に真実を分かち合うようにと声をかける。つまり、真実の光を行き渡らせる。"There is no situation ~ "「あなたの関係性全体を、すなわち、すべての(関係性の)側面を含めて、すべての部分を完全に包含する関係性全体を、巻き込まないような(聖なる)状況など存在しない」。真実は包括的なものであって、ある部分が真実で、ある部分が虚偽であるということはない。したがって、あなたの関係性が真実で神聖であるなら、そのすべてが完全に真実の光で覆われていなければならない。その関係性を巻き込む状況もまた、すべてが真実で神聖であるはずだ。



You can leave nothing of yourself outside it and keep the situation holy.
  • leave [líːv] : 「〜を残す、置きっぱなしにする、〜をそのままにしておく」
  • outside [áutsáid] : 「〜の外に、〜の外側に」
  • keep [kíːp] [SVOC] : 「〜の状態にしておく」
  • holy [hóuli] : 「神聖な」
❖ あなたが真実の状況にいるなら、"You can leave nothing ~ "「あなたは、真実の外側にあなたを取り残して、状況を神聖なままに保つことなど出来ないのだ」。あなたは真実の状況下にあるのだから、自分の一部をその状況下から外して、それを神聖ではないものとし、その上で、あなたの状況を神聖であるなどと主張することは出来ない。あなたは全面的に神聖な状況にあるのであって、真実への寄与は全面的なものでなければならないのだ。



For it shares the purpose of your whole relationship, and derives its meaning from it.
  • derive [diráiv] : 「引き出す、導き出す、得る」
  • derive A from B : 「BからAを引き出す」
  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、意図、真意」
❖ "For it shares the purpose ~ "「なぜなら、聖なる状況は、あなたの関係性全体の目的を分かち合い、」"and derives its meaning ~ "「そこから意義を引き出すものだからである」。あなたの聖なる関係性は無目的ではない。実相に目覚めるという聖なる目的をもっているのだ。その目的を的確に引き出すために、つまり、目的を曖昧にしてしまわないように、状況は関係性全体に聖なる目的を分かち合うようにさせる。たとえば、あなたの関係性が実相に目覚めるという聖なる目的を持っていたとしても、その状況が昔の特別な愛欲の関係性に逆戻りしてしまったなら、聖なる目的はその意義を失ってしまうのだ。そうならないように、状況は常に聖なる目的を分かち合う状態を保たなくてはいけない。状況自体を神聖なものにしなくてはいけないのである。



9. Enter each situation with the faith you give your brother, or you are faithless to your own relationship.
  • enter [éntə(r)] : 「〜に入る、〜に参加する、〜に立ち入る」
  • situation [sìt∫uéi∫n] : 「状況、場所、状態、立場、事情、情勢、事態 」
  • faith [féiθ] : 「信頼、信用、信じること、自信、信念、確信」
  • faithless [féiθlis] : 「不誠実な、不忠実な、不実な」
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
❖ "Enter each situation ~ "「あなたが同胞に与えた信じる気持ちをもって、各状況の中に入って行きなさい」。同胞との関係性の中に、その同胞を信じて介入して行きなさい。"or you are faithless ~ "「さもなければ、あなたは、あなた自身の関係性を信じられなくなるのだ」。自体一如であるから、他者を信じられないことは、自分をも信じられないことにつながる。ここは、逆も真。つまり、自分を信じられる者は、他者を信じることが出来る。



Your faith will call the others to share your purpose, as the same purpose called forth the faith in you.
  • share [∫éə(r)] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
  • purpose [pə́ː(r)pəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
  • call forth : 「〜を生じさせる〜を引き出す、〜を発揮させる、呼び起こす」
❖ "Your faith will call ~ "「あなたの信じる気持ちが、他者に、あなたの目的を分かち合うようにと、呼びかけるであろう」。あなたが神聖な目的を信じることで、信じる気持ちが同胞に伝わり、あなたと同胞がその神聖な目的を分かち合うことが出来る。つまり、実相世界への目覚めを、あなたと同胞が共に目的とすることが出来るのだ。"as the same purpose ~ "「その同じ目的が、あなたの心の中に、信じる気持ちを生み出したとき、」その信じる気持ちが同胞に伝わり、神聖な目的を分かち合うことが出来る。



And you will see the means you once employed to lead you to illusions transformed to means for truth.
  • see [SVOM] : 「〜の状態であるのが見える」
  • means [míːnz] : 「手段、方法、資力」
  • once [wʌ́ns] : 「あるとき、かつて、以前」
  • employ [emplɔ́i] : 「用いる、採用する、使用する」
  • lead [li':d] : 「〜を導く、案内する、〜を連れていく」
  • transform [trænsfɔ́ː(r)m] : 「〜を変形する、〜を変換する」
❖ "And you will see ~ "「そして、あなたは、かつてあなたがあなたを幻想へと導くために使った方法が、真実のための方法に質転換したことを目撃するであろう」。あなたはかつて、エゴの唆(そそのか)しに乗って、特別な関係性という幻想に導かれて行った。それは、あなたがエゴを信じたからであり、信じた対象が誤っていたのだ。今、信じる対象をホーリー・スピリットに切り替えたことで、あなたの信じる気持ちを生かしたまま、真実へと導かれることが可能となったのだ。つまり、エゴへの信心が、ホーリー・スピリットへの信心へと質転換したのである。それによって、同時に、虚偽なる目的が神聖なる目的へと質転換したのだ。



When the Holy Spirit changed the purpose of your relationship by exchanging yours for his, the goal he placed there was extended to every situation in which you enter, or will ever enter.
  • exchange [ikst∫éin(d)ʒ] : 「〜を交換する」
  • extend [iksténd] : 「広げる、伸ばす、拡張する、拡大する」
❖ "When the Holy Spirit changed ~ "「ホーリー・スピリットがあなたの関係性の目的を、ホーリー・スピリットの目的に代えることで、質転換したとき、」"the goal he placed ~ "「ホーリー・スピリットがあなたの関係性の中に置いた目的は、あなたが介入する、あるいは介入して行くつもりの、あらゆる状況へと広がって行ったのだ」。あなたは実相世界の真実なる目的を、ホーリー・スピリットを通じて知ったのだから、あなたが関わる関係性のすべて、その状況すべてに、あなたはこの神聖な目的を持ち込むことが出来る。かくして、あなたは神聖な目的を、関係性の中で同胞と分かち合うことが出来、分かち合いは神聖な目的を拡張増大させて行くのである。



And every situation was thus made free of the past, which would have made it purposeless.
  • thus [ðʌ́s] : 「このようにして、こんなふうに、上に述べたように」
  • free of : 「〜から逃れる、免除されている」
  • past [pǽst] : 「過去、昔」
  • purposeless [pə́ːrpəslis] : 「目的のない、無益な、無意義な」
❖ "And every situation was ~ "「そして、あらゆる状況は、このように、過去から逃れることが出来たのである」。状況は過去という幻想から解放されたのだ。"which would have made ~ "仮定法過去完了であり、「その過去は、あらゆる状況を目的のないものにしていたかも知れないのだ」。事実は、その危険を回避できた、ということ。過去という幻想から逃れる、解放されるとは、過去の出来事がすべて夢あると認識して、赦し、受け入れることを意味する。あなたの犯した罪も誤りも、すべて、幻想であった。今、あなたは完全な無辜(むこ)なる神の子として、実相世界に目覚めることが出来るのである。
 
 
 

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