●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-18.IX.10:1 ~ T-18.IX.11:7

10. Yet even forgiveness is not the end. Forgiveness does make lovely, but it does not create.

  • forgiveness [fərɡívnis] : 「許すこと、許し、容赦、寛容」
  • end [énd] : 「目的、目標、終わり、端、最後、終局」
  • lovely [lʌ́vli] : 「愛らしい、かわいらしい、素晴らしい、すてきな、楽しい、うれしい」
  • create [kriéit] : 「創造する、創り出す・創出する」
❖ "Yet even forgiveness ~ "「しかし、赦しでさえ、(最終の)目的ではない」。"Forgiveness does make ~ "「赦しは、(あなたの心を)愛らしくはするが、創造するわけではない」。幻想を幻想として認めて受け流し、赦してやることは、決して最終目標ではなく、実相世界へ入っていくための通過点である。赦すことによって、あなたの心は和(なご)み、愛を率直に感じることが出来るようになるだろうが、愛を積極的に創造することまでには至らない。



It is the source of healing, but it is the messenger of love and not its Source.
  • source [sɔ́ː(r)s] : 「もと、源、起点、原因」
  • healing [híːliŋ] : 「治療、回復、治癒、癒やし」
  • messenger [més(ə)n(d)ʒə(r)] : 「メッセンジャー、電報配達人、使者」
❖ "It is the source ~ "「赦しは、ヒーリングの源である」。"but it is the messenger ~ "「しかし、赦しは愛を伝えてくれるものであるが、愛を創造する源ではない」。あなたが他者を赦すことで、あるいは自分を赦すことで、あなたは愛を伝えることは出来る。なぜなら、愛なくして赦すことなど不可能だから。しかし、新たに愛を創造するわけではない。実相的真実の愛は、ホーリー・スピリットや神との愛の融合によって可能となるわけで、あなたはその時初めて、真実の愛を創造したと言えるのである。



Here you are led, that God himself can take the final step unhindered, for here does nothing interfere with love, letting it be itself.
  • led [léd] : 「lead の過去・過去分詞形」
  • lead [li':d] : 「〜を導く、案内する」
  • final [fáinl] : 「最後の、最終の、決定的な、確定的な」
  • step [stép] : 「階段、段、ステップ、歩み、一歩」
  • hinder [híndə(r)] : 「妨げる、妨害する、邪魔する、遅らせる」
  • unhindered : 「妨げられていない」
  • interfere [ìntə(r)fíə(r)] : 「邪魔をする、妨げる、遅らせる」
  • interfere with : 〜を妨げる、〜を邪魔する、〜に干渉する」
❖ "Here you are ~ "「あなたはここまで導かれてきた」。赦しの段階までホーリー・スピリットによって導かれてきた。"that God himself ~ "ここの"that"は"so that"のこと、「その結果、神は、邪魔されることなく最後のステップをとることが出来るのである」。赦すことの出来たあなたは、心の準備が完了したのだ。したがって、神は、心置きなく、あなたを天の王国に導き入れるための、最後の架け橋を渡らせることが出来るのである。"for here does nothing ~ "「なぜなら、ここまで来れば、もはや愛の邪魔をするものは何もないし、愛をそのあるがままに解き放っておけるからだ」。



A step beyond this holy place, a step still further inward but the one you cannot take, transports you to something completely different.
  • beyond [bi(j)ɑ́nd] : 「〜を越えて、〜の域を越えて、〜を超越して」
  • holy [hóuli] : 「神聖な」
  • place [pléis] : 「場所、個所、地域、立場」
  • further [fə́ː(r)ðə(r)] : 「もっと遠い」
  • inward [ínwə(r)d] : 「内側に向けて、中心へ」
  • transport [trænspɔ́ː(r)t] : 「〜を運ぶ、輸送する」
  • completely [kəmplíːtli] : 「完全に、十分に、全面的に、全く、徹底的に」
  • different [díf(ə)r(ə)nt] : 「相違する、違っている、異なる」
❖ "A step beyond ~ "「この(赦しという)神聖な場を越えるステップ、」"a step still further ~ "「より深い、心の中心へと入るステップは、あなただけではとることが出来ないが、」"transports you to ~ "「その(最終)ステップは、あなたを、全く異なった世界へ運んでいくのである」。幻想から目覚める赦しの場も、もちろん神聖ではある。しかし、そこにとどまってばかりではいけない。最後の架け橋を渡らなくてはならない。この橋だけは、あなた一人の力では渡れない。神の助けが必要である。しかし、その最後の架け橋を渡りきって、天の王国へ入城することが出来れば、あなたは、幻想世界とは全く異質の実相世界を目の当たりにすることが出来るのである。



Here is the Source of light; nothing perceived, forgiven nor transformed. But merely known.
  • source [sɔ́ː(r)s] : 「もと、源、起点、原因」
  • perceive [pə] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • forgiven [fərɡívn] : 「forgive の過去分詞」
  • forgive [fə(r)gív] : 「許す、容赦する、勘弁する」
  • transform [trænsfɔ́ː(r)m] : 「〜を変形する、〜を変換する」
  • merely [míə(r)li] : 「ただ単に、単に」
❖ 最後の架け橋を渡りきった先には、"Here is the Source ~ "「ここにこそ、光の源があるのだ」。"nothing perceived ~ "「そこでは、知覚されるということはなく、赦されることも、形を変えられることもない」。もはや、肉体的な感覚器官で知覚するようなことはない。無辜(むこ)なるものだけの世界だから、赦したり赦されたりすることもない。完璧な存在だけの世界だから、形を変える必要もない。そもそも、形など存在しないのだ。"But merely known"「しかし、そこは、知られるだけの世界なのだ」。感覚器官によって把握する世界ではなく、叡智(knowledge)によって、直覚的にすべてを完璧に、一瞬にして知る世界である。もはや、現世的な「知る」という言葉は意味を失ってしまうだろう。仏教的な言い方をすれば、般若(はんにゃ)の世界である。



11. This course will lead to knowledge, but knowledge itself is still beyond the scope of our curriculum.
  • course [kɔ́ː(r)s] : 「課程、講座、科目、単位」
  • lead [li':d] : 「導く、案内する」
  • knowledge [nɑ́lidʒ] : 「知識、心得、認識、知恵、知見」
  • beyond [bi(j)ɑ́nd] : 「〜を越えて、〜の域を越えて、〜を超越して」
  • scope [skóup] : 「範囲、領域、思考力、知的能力」
  • curriculum [kəríkjələm] : 「カリキュラム、教育課程、教科課程、履修過程」
❖ "This course will ~ "「このコース(ACIM)は、叡智へと導いてはくれるが、」"but knowledge itself is ~ "「叡智それ自体は、私たちの学習過程の範囲を超えている」。叡智は学んで習得出来るというものではない。もっとも、叡智へ導く学習コースは存在するのであって、ACIMもその一つである。心しておかなくてはならないのは、ACIMが唯一の学習コースではないということだ。悟りや叡智へ導いてくれる学習コースは他にもある。ただ、短時間で習得が出来、そして容易である点は、ACIMがトップであろう。



Nor is there any need for us to try to speak of what must forever lie beyond words.
  • need [níːd] : 「必要なもの、必要物、必要性」
  • speak of : 「〜を口にする、〜のことを話す」
  • forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
  • lie [lái] : 「ある、存在する」
❖ "Nor is there any ~ "「また、私たちが、言葉を越えて永遠に存在するに違いないものについて話そうと努力する必要はまったくないのだ」。禅宗では、不立文字(ふりゅうもんじ)という言葉があって、言葉で言い表せない真理を無理やり言葉に置き換える愚妹を諌(いさ)めている。しかし、言葉の無意味さを言っているのではなく、言葉を超越した世界が存在することを暗示しているのだ。



We need remember only that whoever attains the real world, beyond which learning cannot go, will go beyond it, but in a different way.
  • remember [rimémbə(r)] : 「〜を覚えている、〜を思い出す」
  • whoever [hu(ː)évə(r)] : 「〜するのは誰でも」
  • attain [ətéin] : 「手に入れる、獲得する、達成する、実現する、成就する」
  • learning [lə́ː(r)niŋ] : 「学問、学識、習うこと、学ぶこと、学習」
  • different [díf(ə)r(ə)nt] : 「相違する、違っている、異なる」
❖ "We need remember only that ~ "「しかし、私たちは、that以下を覚えておくことだけは必要である」。"that whoever attains ~ "「学習では越えて行けない実相世界に到達した者は誰でも、」"will go beyond it ~ "「言葉の世界を越えて行くものなのであり、」"but in a different ~ "「しかし、ただ、まったく別の方法をとってのことだ」。言葉という手段を使って、知識を深める方法ではなく、悟りや叡智を獲得して、直覚的に、全的に、一瞬にして把握しきるのである。と言ってはみたが、叡智を言葉で説明すること自体が不可能だ。まさに、叡智は不立文字、そのものである。



Where learning ends there God begins, for learning ends before him who is complete where he begins, and where there is no end.
  • begin [bigín] : 「始まる、着手する」
  • complete [kəmplíːt] : 「徹底的な、全面的な、完全な、全くの」
❖ "Where learning ends ~ "「学びの終わるところで、神は始めるのだ」。"for learning ends ~ "「なぜなら、神が始める所で神は完全であり、そこでは終わりなどなく、その神を目の前にして、学びは終わるのだから」。実相に目覚めるための学びを終えると、神が最後の架け橋を渡らせくれる。天の王国へ入城するのである。そこでは、神は完全なるものとして、永遠不変に存在し続けている。したがって、神は何一つ準備をする必要はない。準備が必要なのは、つまり、学びが必要なのは、あなたである。



It is not for us to dwell on what cannot be attained. There is too much to learn. The readiness for knowledge still must be attained.
  • dwell [dwél] : 「住む、居住する、存在する」
  • dwell on : 「〜をくよくよ考える、深く考える、こだわる、思案する」
  • attain [ətéin] : 「達成する、実現する、手に入れる、獲得する」
  • readiness [rédinəs] : 「用意ができていること、準備ができていること」
❖ "It is not for us ~ "ここは"It ~ to ~ "の構文、「得られないものをくどくど考えることは、私たちのためにはならないのだ」。幻想世界にあって実相世界の真実を得ようとしても無駄である。考え続けて得られるというものではない。だから、幻想世界に暮らすあなたは、実相世界に目覚める方法を学ばなくてはならないのである。"There is too ~ "「学ぶべきことはいっぱいある」。"The readiness for ~ "「叡智を得るための準備は、今なお、成し遂げられなくてはならないのだ」。あなたの準備はまだ整っていないから、いっぱい学ぶ必要がある。実相世界に目覚めて、天の王国への準備が整えば、最後のステップは、神が手を差し伸べてくれる。最後の架け橋を渡って、あなたは天の王国へ入城するのである。
 
 
 

Notification

自分の写真


❖ Text精読、完了しました。4年8ヶ月、1256回の投稿でした。長期に渡ってお付き合いいただき、感謝します。
❖ 引き続き、Workbook精読をご覧下さい。場所は「http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp」です。
❖ Text精読の手直しも始めました。月日をかけて見直していきます。
❖ AmazonからKindle版の精読シリーズを出版開始しました。『どこでもAcim』をご希望の方は是非どうぞ。
❖ Google PlayとiBookstoreからepub版の精読シリーズを出版開始しました。Kindle版で窮屈さをお感じでしたら、こちらをどうぞ。
❖ Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。Urtextは非常に面白いです。臨場感は半端でありません。

oohata_mnb@yahoo.co.jp
oohata.m@coda.ocn.ne.jp

アクセスカウンター