●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-21.VI.8:1 ~ T-21.VI.9:9

8. That you are joined is your salvation; the gift of Heaven, not the gift of fear.

  • join [dʒɔ́in] : 「結合する、参加する、交わる、一緒になる」
  • salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済救い、救世」
  • gift [gíft] : 「贈り物、プレゼント」
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
❖ "That you are joined ~ "「あなたと同胞が結合しているということは、あなたの救いである」。"the gift of ~ "「天の王国からの贈り物であり、決して恐れからの贈り物ではない」。神の子の心が結合し、一体であることは実相的真実であって、真実に目覚めることは、あなたの救いである。なぜなら、あなたを罪の意識で苦しめてきた幻想からの解放であるからだ。したがって、それは実相世界である天の王国からの誘(いざな)いであり、幻想世界の恐れとは無関係である。さらに、神の子の心が結合し、単一である事実は、神の子とホーリー・スピリットの心も、したがって神の子のと神の心も、結合していることの証拠なのだ。なぜなら、実相世界は一元論世界であり、すべては融合し単一の存在に収斂(しゅうれん)するからだ。簡単に言えば、神の子は、ホーリー・スピリットであると、さらに、神それ自体であると宣言しても、何の不思議はないのである。仏教的に言えば、即身成仏となるか・・・。



Does Heaven seem to be a burden to you? In madness, yes. And yet what madness sees must be dispelled by reason.
  • burden [bə́ːrdn] : 「重荷、負担、心配、苦労、苦しみ」
  • madness [mǽdnəs] : 「狂気、熱狂、熱中」
  • dispel [dispél] : 「〜を追い払う、払いのける、追い散らす」
  • reason [ríːzn] : 「理性、理知、良識、分別、正気」
❖ "Does Heaven seem ~ "「天の王国が、あなたの重荷であるように思えるだろうか」。"In madness ~ "「あなたが狂っているなら、そうであろう」。"And yet what madness ~ "「しかし、狂ったかに見えるものは、正気さによって払拭させられるに違いないのだ」。狂気は、幻想に騙された心の弱さである。しかし、あなたの心の最も純粋で神聖な部分には正気さが宿っている。その正気さに気付きさえすれば、いつでも、虚偽の狂気は払拭出来るのである。修正不能な誤りは存在しない。逆に、正気さを消滅させる誤りなど存在しない。



Reason assures you Heaven is what you want, and all you want. Listen to him who speaks with reason, and brings your reason into line with his.
  • assure [əʃúər] : 「保証する、断言する、約束する、確約する、安心させる」
  • listen to : 「耳を傾ける、聴く、聞く」
  • bring [bríŋ] : 「〜をもたらす、〜を持って来る、〜を連れて来る」
  • line [láin] : 「列、行列、並び 」
  • bring into line : 「1列にする」
❖ "Reason assures you ~ "「正気さはあなたに、天の王国はあなたの望むものであり、あなたの望むすべてであると、断言する」。"Listen to him who ~ "「正気さをもって語るホーリー・スピリットに耳を傾けなさい」。"and brings your ~ "「ホーリー・スピリットは、あなたの正気さをホーリー・スピリットの正気さの列に加えてくれるのだ」。少々、意味が曖昧な箇所なのだが、ホーリー・スピリットはあなたの正気さを目覚めさせ、ホーリー・スピリットの正気さと整列させてくれる、つまり、正気さの仲間入りをさせてくれる、といった感じに捉えればいいだろう。



Be willing to let reason be the means by which he would direct you how to leave insanity behind.
  • be willing to : 「〜する意思がある、進んで〜する」
  • means [míːnz] : 「手段、方法、資力」
  • direct [dərékt] : 「案内する、命令する、〜を方向づける」
  • leave [líːv] : 「〜を残す、置きっぱなしにする」
  • behind [biháind] : 「〜の後ろに、後方に、〜の裏側に」
  • leave behind : 「〜を置き去りにする、〜を忘れてくる、振り切る、〜に勝る」
❖ "Be willing to let reason ~ "あえて二つの文に分けて訳してみる、「正気さを手段となして、喜んで、(ホーリー・スピリットに)利用させるようにしなさい」。"by which he ~ "「正気さという手段を利用することによって、ホーリー・スピリットはあなたを、狂気を後に置き残す方法へと導いてくれるのだ」。ホーリー・スピリットは、あなたの正気さを利用して、狂気からあなたを救い出し、実相世界へと導いてくれるのだ。ホーリー・スピリットの誘いを受け入れるかどうか、それは、あなたの自由意思、自由選択に任されいる。



Hide not behind insanity in order to escape from reason.
  • hide [háid] : 「隠す、隠蔽する、秘密にする」
  • hide behind : 「〜を盾にとる、〜の陰に隠れる」
  • insanity [insǽnəti] : 「狂気、精神病、精神異常」
  • in order to : 「〜するために」
  • escape [iskéip] : 「逃げる、ずらかる、脱出する、抜ける、免れる」
  • escape from : 「〜から逃避する」
❖ "Hide not behind ~ "「正気さから逃れようとして、狂気の陰に隠れてはいけない」。実相世界へ目覚めることが怖くて、幻想の狂気の後ろに隠れてはいけない。そんなことをしたら、あなたの救いはどんどん遠のいてしまう。



What madness would conceal, the Holy Spirit still holds out for everyone to look upon with gladness.
  • conceal [kənsíːl] : 「隠す、隠匿する、秘密にする」
  • hold out : 「差し出す、提供する、提出する」
  • look upon : 「〜を見る」
  • gladness [ɡlǽdnis] : 「喜ばしさ、喜び」
  • with gladness : 「喜んで」
❖ "What madness would ~ "「狂気が、隠して見えないようにしておきたいものを、」つまり、真実を、"the Holy Spirit still ~ "「喜びをもって見るために、ホーリー・スピリットは、みんなにそれを差し出してくれるのだ」。狂気は真実を隠そうとするが、ホーリー・スピリットが真実を引っ張り出して、みんなに見せてくれるのだ。真実を知って、みんなは喜ぶのである。なぜなら、真実が彼らを解放してくれるからだ。しかも、真実は美しい。それだけでも、喜ぶに十分だ。



9. You are your brother's savior. He is yours. Reason speaks happily indeed of this.
  • savior [séiviər] : 「救助者、救い手、救済者、救い主」
  • speak [spíːk] of : 「〜を口にする、〜のことを話す」
  • happily [hǽpili] : 「幸福に、幸せに、喜んで、楽しく」
❖ "You are your ~ "「あなたは、あなたの同胞の救い主なのである」。"Reason speaks ~ "「正気さが、喜びをもって、このことをあなたに話してくれる」。あなたは同胞の救い主であるのだが、もちろん、自他一如によって、同胞は、あなたの救い主でもある。幻想から実相へ救い出されるには、分離したままの神の子であっては不可能なのだ。なぜなら、分離とは幻想であり、幻想を保ったままで実相に目覚めることなど、原理的に不可能だからだ。



This gracious plan was given love by Love. And what Love plans is like Itself in this: Being united, It would have you learn what you must be.
  • gracious [ɡréiʃəs] : 「親切な、優しい、上品な、優雅な」
  • plan [plǽn] : 「計画、企画、予定、意向、つもり」
  • given [gívn] : 「give の過去分詞形」
  • unite [junáit] : 「結合する、一体となる、一体化する」
  • have : 「〜に〜させる」
  • learn [lə́ːrn] : 「〜を学ぶ、〜を知る、分かる」
❖ "This gracious plan ~ "「この優しいプランは、愛によって愛に与えられたのだ」。"gracious plan"「優しいプラン」とは、あなたと同胞が互いに救い主となること、つまり、幻想世界から実相世界へと、共に目覚めるというプランである。言うまでもなく、それはホーリー・スピリットの神聖な目的でもある。したがって、"given love by Love"「愛によって愛に与えられた」とは、ホーリー・スピリットの愛によって、あなたと同胞の互いの愛に与えられた、という意味合いだ。この愛は、実相的真実の愛であって、幻想世界の特別な関係性における偽の愛とは異なる。したがって、あなたと同胞の愛とは、神聖な関係性における愛ということになる。つまり、あなたと同胞が神聖な関係性において持つところの愛に応えて、ホーリー・スピリットは愛をもって神聖な目的をあなたと同胞に与え、共に実相世界へと目覚めることが出来るようにしてくれる、という意味合いになる。短い文章だが、含蓄は大きい。次に、"And what Love plans ~ "「そして、愛がプランしたことは、このプランの中で愛自体と同じようなものなのである」。"Being united, It ~ "「それは結合しているので、あなたがそうあらねばならない、その姿を、あなたに学ばせようとするのだ」。さて、難解だ。どういう意味だろう? "what Love plans"「愛がプランしたこと」とは、ホーリー・スピリットが愛をもって計画した目的、ということだ。つまり、神の子を幻想世界から救い出すというプランである。その救いのプランは、"is like Itself"「愛自体と似ている」と言っている。救いのプラン自体が愛と同等だ、という意味合いだろう。ホーリー・スピリットの救いのプランは、ホーリー・スピリットの愛から滲(にじ)み出たものだ、という意味である。"Being united"「結合しているので」とは、ホーリー・スピリットの愛と救いのプランが結合しているので、という意味。"what you must be"「あなたがそうあらねばならない、あなたの姿」とは、あなたが神聖な神の子である姿、と考えていいだろう。ホーリー・スピリットの愛も救いのプランも、神の子を愛する真実の愛に満たされて一体であるので、あなたは、自分の姿が神聖な神の子であると知ることになるのだ、という意味合いになる。くどくどと書いてみたが、こんなところでどうであろうか・・・。



And being one with It, it must be given you to give what It has given, and gives still.
  • still [stíl] : 「まだ、今でもまだ、いまだに、今もなお」
❖ "And being ~ "「そして、それと一体であるから、」救いのプランはホーリー・スピリットの愛と一体であるから。(あるいは、あなたはホーリー・スピリットの愛と一体であるから。しかし、そう考えると、後半部分の主語と一致しないので、ちょっと首をかしげたくなるが・・・。)"it must be given ~ "「救いのプランは、あなたに与えられたに違いないのだ」。"to give what It has ~ "「愛が与えるものを、そして、今なお与えているものを、あなたが与えることが出来るように」。さてさて、ここも込み入った文章だ。ホーリー・スピリットが神の子を思う愛も、ホーリー・スピリットが神の子のために用意した救いのプランも、共に深い愛で一体であるので、あなたの心の最も純粋で神聖な部分、あなたの正気さが宿る部分に、その愛が響いてくるのである。そこで、あなたはホーリー・スピリットの愛に動かされて、救いのプランを自分のプランとするのだ。ここが、"it must be given you"「救いのプランがあなたに与えられるに違いない」という部分。"to give what ~ "この部分は、結果と考えた方が意味は通りやすい。「その結果、あなたは〜を与えることになる」。誰に? 同胞に、である。つまり、ホーリー・スピリットの愛があなたに与えた救いのプラン、そして、今なお与え続けている救いのプランを、あなたは同胞に与え、救いを分かち合うことになるのだ。結果、あなたは同胞の救い主に、同胞はあなたの救い主になる。その仲立ちをしているのが、ホーリー・スピリットの至上の愛という図式になるのである。こんなところで、どうであろうか・・・。余談になるが、ここで、ヘレンに語る内面の声イエスが、"give"という言葉を使って、言葉遊びをしているように感じる。言葉遊びを楽しみながら、真理を語っているのだから、なかなかレベルは高い。ヘレンの戸惑う姿を見て、イエスが笑っている姿が目に浮かぶようだ。



Spend but an instant in the glad acceptance of what is given you to give your brother, and learn with him what has been given both of you.
  • spend [spénd] : 「使う、費やす」
  • instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
  • glad [glǽd] : 「満足して、うれしく思う」
  • acceptance [ækséptəns] : 「受け入れること、承諾、承認、支持、容認」
  • learn [lə́ːrn] : 「〜を学ぶ、〜を知る、分かる」
  • both [bóuθ] : 「両方、双方」
❖ "Spend but an instant ~ "「あなたが同胞に与えるために、あなたに与えられたものを、喜んで受け入れる、その瞬間を味わいなさい」。"and learn with him ~ "「そして、あなたと同胞の両者に与えられたものを、同胞と共に学びなさい」。与えたり、与えられたりするものとは、ホーリー・スピリットの愛に溢れる救いのプランだ。あなたが、ホーリー・スピリットの救いのプランを受け入れる瞬間も、また、聖なる瞬間である。聖なる瞬間とは、真実が爆発的に開示され瞬間だ。実相世界への目覚めも、その一つである。



To give is no more blessed than to receive. But neither is it less.
  • no more A than B : 「AでないのはBでないのと同じ」
  • bless [blés] : 「祝福する、〜を神聖にする、〜を賛美する」
  • neither [níːðər] : 「どちらも〜ない」
  • less [lés] : 「より少ない、より少数の、より小さい」
❖ "To give is no more ~ "「与えるということは、受け取るということ以上に、祝福されているわけではない」。"But neither ~ "「しかし、それ以下でもない」。前文と整合性をもたない、唐突な文が挿入されているように感じるだろうが、与えることと受け取ることは、どちらが優位でどちらが劣勢ということはなく、与えることと受け取ることは同等なのだ、ということ。実相世界では、与えることと受け取ることは同じことである。つまり、与えることと受け取ることが、分かち合いという形で統合され、それが祝福の対象となるのである。与えることだけが祝福され、受け取ることは祝福されないというのは、幻想世界の出来事であって、真実ではないのだ。したがって、あなたと同胞が救いを分かち合うことこそ、真実であり、祝福されるのである。
 
 
 

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