●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-22.III.1:1 ~ T-22.III.2:7

 
 

III. Reason and the Forms of Error
正気さと過ちの形態
 
 
 
1. The introduction of reason into the ego's thought system is the beginning of its undoing, for reason and the ego are contradictory.
  • introduction [ìntrədʌ́kʃən] : 「採り入れ、採用、導入、紹介、発表」
  • reason [ríːzn] : 「理性、理知、良識、分別、正気」
  • thought [θɔ́ːt] : 「思考、思索、熟考、考え、思想」
  • beginning [bigíniŋ] : 「初め、開始、始まり、発端」
  • undoing [ʌndúiŋ] : 「ほどくこと、解くこと、取り消し」
  • contradictory [kὰntrədíktəri] : 「相反する、矛盾する、正反対の」
❖ "The introduction of reason ~ "「エゴの思考システムの中に正気さを導入することは、エゴの思考システムを取り消す始まりである」。エゴの思考システムを採用している間は、あなたは幻想に毒され続ける。しかし、心の中の最も純粋で神聖な部分に宿っている正気さに目覚めて、それを思考システムに取り入れることが出来れば、エゴの思考システムを取り消すことが可能なのだ。そうすれば、あなたは幻想から抜け出すことが出来る。"for reason and ~ "「なぜなら、正気さとエゴは、正反対だからだ」。光と闇の関係のようなもので、光が闇を消し去るのである。ところで、"reason"を「正気さ」と訳したが、これはエゴの「狂気」に対する反対語としての「正気」である。"reason"を「理性」と訳しても誤りではないだろうが、理性を頭脳による善悪判断、真偽判断と捉えれば、それは誤りである。ましてや、理性を、四六時中頭の中でおしゃべりしている思考だと思ってはいけない。



Nor is it possible for them to coexist in your awareness. For reason's goal is to make plain, and therefore obvious.
  • possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、起こり得る、あり得る、なし得る」
  • coexist [koigzíst] : 「共存する」
  • awareness [əwέərnis] : 「認識、自覚、気付いていること、意識性」
  • goal [góul] : 「目標、目的地、目的、目指すもの」
  • make : 「〜の状態を作り出す、〜にする」
  • plain [pléin] : 「明白な、平易な、明らかな、質素な、簡素な」
  • therefore [ðέərfɔ̀ːr] : 「それ故に、そのために、従って、だから」
  • obvious [ɑ́bviəs] : 「明らかな、明白な、分かりきった」
❖ "Nor is it possible for ~ "「また、正気さとエゴが、あなたの意識性の中で、共存することも不可能である」。"them"は「正気さとエゴ」のことであるが、言い換えれば、「ホーリー・スピリットとエゴ」のことである。つまり、正気さとホーリー・スピリットを重ねて考えていい。同じものだと思っていい。"For reason's goal ~ "「なぜなら、正気さの目的は平易さであり、したがって、明瞭さを求めるからだ」。反して、エゴの目的は、思考を複雑怪奇なものにして、あなたを煙に巻き、幻想から逃れられないようにすることである。



You can see reason. This is not a play on words, for here is the beginning of a vision that has meaning.
  • see reason : 「理由が分かる」
  • play [pléi] : 「遊び、劇、演劇、芝居」
  • vision [víʒən] : 「視覚、視力、洞察力、想像力、考え方、展望、構想」
  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、意図、真意」
❖ "You can see ~ "「あなたは、正気さを見ることが出来るのだ」。"This is not a play ~ "「これは、言葉遊びではない」。"see reason"は、文字通りに訳せば「正気を見る」という意味だが、慣用句として「理由が分かる」という意味がある。この表現に二重の意味を持たせることで、ちょっとした言葉遊びに聞こえてくるかもしれないが、ということ。原文を読む面白さが、こんなところにもある。さて、正気さをもって実相を見ることで、存在の理由、真実が明瞭になるのである。"for here is the beginning ~ "「ここに、意味あるヴィジョンの始まりがある」。正気さが宿る心の、その目で見た光景がヴィジョンである。したがって、正気が復権すれば、同時にヴィジョンは蘇るのである。



Vision is sense, quite literally. If it is not the body's sight, it must be understood.
  • sense [séns] : 「感覚、知覚、良識、分別、道理、思慮、判断力」
  • quite [kwáit] : 「すっかり、全く、完全に」
  • literally [lítərəli] : 「文字どおり、一語一語、逐語的に、そっくりそのまま」
  • sight [sáit] : 「視界、景色、光景、視覚、視力」
  • understood [ʌ̀ndərstúd] : 「understand の過去・過去分詞形」
❖ "Vision is sense ~ "意訳する、「ヴィジョンは、まったく文字通り、実相的知覚である」。"sense"の訳語で迷ったのであるが、ヴィジョンは叡智に非常に近く、全的、直覚的把握のことである。肉体的な感覚器官による、つまり、目による普通の知覚が、実相的に質転換したものがヴィジョンであり、その意味で「実相的知覚」と訳してみた。"If it is not ~ "「もしヴィジョンが、肉体的な視力でないなら、それは理解されるに違いないのだ」。普通我々は、我々の周りの現象を肉体的な目で映像として捉え、それを脳に送り、脳が解析、解釈して、理解するという経過をとる。したがって、不可知論を持ち出すまでもなく、理解は不完全であり、むしろ、不可能なのだ。しかし、ヴィジョンはすべての過程を完全に省く。ヴィジョンを通して見れば、現象が、全的に直接、心に響く。そこには、頭脳による理解を超越した実相的理解が生まれるのだ。あなたは、ヴィジョンを通して、肉体的な理解という努力をすることなく、理解を越えた理解を可能にするのだ。



For it is plain, and what is obvious is not ambiguous.
  • ambiguous [æmbígjuəs] : 「あいまいな、不明瞭な、紛らわしい」
❖ "For it is plain ~ "「なぜなら、ヴィジョンは平易であり、明白なものは曖昧でないからだ」。ヴィジョンは、入ってきた情報を解析する必要がない。解析を必要としないほど、それは平易なのだ。明白で、曖昧でない。たとえば、あなたが誰かを好きになったら、あなたは頭脳でその感情を解析するだろうか? 母親が自分の赤ちゃんを愛するために、頭脳による愛の解析を必要とするだろうか? 愛する我が子がすやすやと眠る、その寝顔を見て、何か曖昧な、平易ではないものを感じるだろうか? 我が子の寝顔に、平和と安らぎと愛と喜びを、まったく理屈抜きに感じる、それが、ヴィジョンの良い例であると言えないだろうか。



It can be understood. And here do reason and the ego separate, to go their separate ways.
  • separate [sépərèit] : 「分かれる、分離する、別居する」
  • separate [sépərət] : 「分かれた、離れた、個々の、別個の、別の」
❖ "It can be ~ "「ヴィジョンは、理解され得るのだ」。対して、エゴが知覚として捉えたことは、理屈で煙に巻くから、理解不能である。"And here do reason ~ "「そして、ここに、正気さとエゴは分離するのである」。"to go their ~ "「結果、それぞれ、別の道を進むこととなる」。エゴは幻想の道を進み、正気さは実相世界へと歩みを進める。



2. The ego's whole continuance depends on its belief you cannot learn this course.
  • whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の、丸ごとの」
  • continuance [kəntínjuəns] : 「続けること、継続、持続、連続」
  • depend [dipénd] on : 「〜によって決まる、〜次第である、〜に頼る」
  • belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信頼」
  • learn [lə́ːrn] : 「を学ぶ、〜を知る、分かる」
  • course [kɔ́ːrs] : 「コース、課程、講座、科目」
❖ "The ego's whole continuance ~ "「エゴの存続のすべては、あなたがこのコース(ACIM)を学びとることなど出来ないという信念に依存している」。難しい言い回しをしているが、要するに、あなたがACIMを学びとった暁には、エゴは消滅せざるを得ないから、エゴは必至になって、ACIMを学ぶあなたを止めようとしているのだ。エゴが一番恐れていることは、あなたが実相に目覚め、真実を知ってしまうことである。エゴの幻想性をあなたが暴けば、エゴは消滅せざるを得ないからだ。



Share this belief, and reason will be unable to see your errors and make way for their correction.
  • share [ʃέər] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
  • be unable [ʌnéibl] to : 「〜することができない」
  • error [érər] : 「誤り、間違い、ミス、誤字、誤用、過失」
  • make way for : 「〜に道を譲る」
  • correction [kərékʃən] : 「訂正、訂正個所、矯正、修正、是正」
❖ "Share this belief ~ "「エゴの信念を分かち合ってみなさい」。"and reason will be ~ "「そんなことをすれば、正気さは、あなたの誤りを見ることが出来なくなり、修正への道を失ってしまうだろう」。



For reason sees through errors, telling you what you thought was real is not.
  • see through : 「〜を通して見る、〜を見通す、本質を見抜く、洞察する、理解する」
  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
❖ "For reason sees ~ "「なぜなら、正気さは誤りの本質を見抜き、」"telling you what you ~ "「あなたに、あなたが現実だと思っていることは、現実ではないと告げてくれるからだ」。あなたの誤りの本質は、幻想を現実だと信じ込んだことにある。正気さは、幻想を幻想だと教え、過ちを取り消してくれるのである。たとえば、あなたが、夜見る夢の中で、何か罪を犯したとしよう。あなたは、罪の意識に苦しむことになるが、正気さは、あなたにそれは夢なのだと教えてくれる。あなたは夢から目覚めて正気に戻り、自分が単に夢を見ていたと知り、その瞬間、夢の中の罪は取り消されるのだ。



Reason can see the difference between sin and mistakes, because it wants correction.
  • difference [dífərəns] : 「違い、差異、相違」
  • between [bitwíːn] : 「〜の間に」
  • between A and B : 「AとBの間に」
  • sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
  • mistake [mistéik] : 「誤り、判断上の間違い、ミス、過ち、手違い」
❖ "Reason can see ~ "「正気さは、罪と誤りの間の違いを認識することが出来る」。"because it wants ~ "「なぜなら、正気さは、修正したいのだから」。正気さ、つまりホーリー・スピリットは、罪の意識からあなたを救い出し、過ちを修正してあげたいと思っているのだ。つまり、あなたが罪だと信じていることは、幻想を現実だと信じ込んだ誤りだと知っているのだ。夢を本当だと信じ込んでいることは、単なる誤りなのだ。



Therefore, it tells you what you thought was uncorrectable can be corrected, and thus it must have been an error.
  • therefore [ðέərfɔ̀ːr] : 「それ故に、そのために、従って、だから」
  • tell [tél] : 「〜に話す、言う、告げる、教える、伝える」
  • uncorrectable : 「訂正不可能な、修正不可能な」
  • thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、だから」
❖ "Therefore, it tells you ~ "「したがって、正気さは、あなたが修正不可能だと思っていることは、修正可能なのだと、あなたに教えてくれるのだ」。"and thus it must have ~ "「このように、あなたが信じ込んでいるものは、誤りに過ぎなかったのだ」。あなたは、あなたが犯した罪は現実的な事実であって修正不可能だと信じているが、その罪は幻想であり、つまり、単なる誤りに過ぎず、修正可能だと、正気さはあなたに告げてくれる。罪を犯したという歴史的な過去の事実を取り消しにすることなど不可能だと、まだあなたは思うかも知れない。しかし、誰が過去を作ったのか、よく考えてみる必要がある。時間は幻想である。ならば、過去も幻想に過ぎないのだ。未来も幻想である。真実、存在しているのは『今』現在である。この『今』だけが実在だと信じない限り、あなたは時間の魔術にとらわれて、そこから抜け出すことが出来なくなってしまうだろう。



The ego's opposition to correction leads to its fixed belief in sin and disregard of errors.
  • opposition [ὰpəzíʃən] : 「反対、敵対、対立」
  • lead to : 「〜に通じる、〜につながる、〜をもたらす」
  • fixed [fíkst] : 「固定した、定着した、一定の、不変の」
  • disregard [dìsriɡάːrd] : 「軽視、無関心、無視」
❖ "The ego's opposition ~ "「エゴの、修正に反対する立場は、罪の意識を固定したものに導き、過ちという考えを無視する」。一旦犯した罪は、歴史的事実として一生修正不可能だ、というのがエゴの論である。したがって、修正可能な誤りなど、エゴの目には入らない。エゴは過去が実在だと信じているのだ。むしろ、過去だけが真実だと思っている。それを打破する必要が、あなたにはあるのだ。あなたが、過去と未来を含めた時間という魔術から解放されるには、その魔術を信じているエゴを淘汰しなくてはならない。それが難しいと感じるなら、ホーリー・スピリットに願い出ればいいのだ。ホーリー・スピリットはあなたの意思、その願いをきちんと受け止めてくれるはずだ。それが、ACIMの絶対他力である。そこには、妥協も敗北もない。



It looks on nothing that can be corrected. Thus does the ego damn, and reason save.
  • look on : 「〜を見る」
  • damn [dǽm] : 「呪う、けなす、非難する」
  • save [séiv] : 「救う、助ける」
❖ "It looks on nothing ~ "「エゴは、修正可能なものなどに、一切目を向けない」。"Thus does ~ "意訳する、「このように、エゴは罪を非難し、正気さは罪の意識から救ってくれるのだ」。もちろん、言うまでもなく、この「正気さ」を「ホーリー・スピリット」い置き換えて読んで、間違いはない。
 
 
 

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