●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-22.VI.9:1 ~ T-22.VII.10:8

9. What can it be but universal blessing to look on what your Father loves with charity?

  • universal [jùːnəvə́ːrsəl] : 「世界共通の、一般的な、普遍的な」
  • blessing [blésiŋ] : 「祝福、神の恵み、天恵」
  • look on : 「〜を見る」
  • charity [tʃǽrəti] : 「慈善、慈悲、寛容、思いやり」
❖ "What can it be but ~ "ここは"it ~ to ~ "の構文、「父なる神が慈悲をもって愛するものを見ることは、普遍的な祝福以外の、何であり得るだろうか」。神は、すべての神の子を、慈悲をもって愛する、ということ。ただ単に愛すると言うのではなく、慈悲をもってとあるから、神の子の幸せを願って、というニュアンスであろう。



Extension of forgiveness is the Holy Spirit's function. Leave this to him.
  • extension [iksténʃən] : 「拡張、伸長、延長、伸展」
  • forgiveness [fərɡívnis] : 「許すこと、許し、容赦、寛容」
  • function [fʌ́ŋkʃən] : 「職務、役割、機能、作用、働き、効用」
  • leave [líːv] : 「〜を任せる、頼む、委ねる」
❖ "Extension of forgiveness ~ "「赦しを広めることは、ホーリー・スピリットの役割である」。"Leave this ~ "「この仕事を、ホーリー・スピリットに委ねなさい」。罪の意識は幻想であって、実相的には無辜(むこ)であると正しく認識し、受け流すことが、ACIMの赦しである。神の子全体へ、この赦しを広げることが、ホーリー・スピリットの目的の一つであり、使命だ。だから、神の子であるあなたは、自力で罪の意識と戦って苦悩する必要はなく、すべてをホーリー・スピリットに委ねてしまえばいい。幻想の中にいて、幻想と戦うことは不可能なのだ。完全にホーリー・スピリットに委ねること。つまり、ACIMの絶対他力性である。



Let your concern be only that you give to him that which can be extended.
  • concern [kənsə́ːrn] : 「関心事、気遣い、懸念、心配、不安」
  • extend [iksténd] : 「広げる、伸ばす、拡張する、拡大する」
❖ "Let your concern be ~ "「that以下だけに、あなたの関心を向けなさい」。"that you give to him ~ "「拡張され得るものを、あなたはホーリー・スピリットに与える」ということだけに、関心を向けなさい。拡張され得るもの、広がりゆくものとは、実相的真実である。実相的真実は、分かち合われることによって拡張増大するのだ。したがって、一旦、あなたがホーリー・スピリットに仕事を委ねたなら、いらぬ心配はせずに、正しく真実であることだけをホーリー・スピリットに捧げなさい、という意味になる。それは、愛であり、喜びであり、平和であり、より具体的には、あなたがパートナーと築く神聖なる関係性の、その神聖さ、である。少なくとも、再びエゴの策略に乗って、幻想へと後退してはならない。幻想は虚偽であり、無であるからだ。虚偽や無は拡張され得ないのだ。



Save no dark secrets that he cannot use, but offer him the tiny gifts he can extend forever.
  • save [séiv] : 「確保しておく、取っておく、残しておく」
  • dark [dάːrk] : 「暗い、闇の、暗黒の 」
  • secret [síːkrət] : 「秘密、機密、内緒事」
  • offer [ɔ́ːfər] : 「差し出す、捧げる、提供する」
  • tiny [táini] : 「とても小さい、ちっぽけな、極めて小さな」
  • gift [gíft] : 「贈り物、プレゼント、与えること」
  • forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
❖ "Save no dark ~ "「ホーリー・スピリットが利用出来ないような闇の秘密を、一つ足りとも残しておいてはいけない」。"but offer him ~ "「そうではなく、ホーリー・スピリットが永遠に拡張できる小さな贈り物を、ホーリー・スピリットに捧げなさい」。"dark secrets"「闇の秘密」とは、心に隠した敵意、悪意、嫉妬、攻撃性、醜悪さ、卑下、等々、エゴの喜ぶ諸々のもの。中でも、神への恐れは闇の秘密の中でも最大のものだろう。なぜなら、神への恐れの裏側には、神への熱烈な愛が隠されているからだ。両面価値をもった闇の恐れは、解放が非常に難しい。対して、"tiny gifts"「小さな贈り物」とは、言うまでもなく、真実であり、美であり、心の平和である。夜眠る前に、今日一日に出会った、心に残るいいことを思い出してみると良い。水たまりに写った青空の、その青さに何故か感動して、見入ってしまったこと。コートに落ちた雪片に、雪の結晶が見えて嬉しかったこと。スーパーに流れる歌に、なぜか心惹かれて、思わず聴き入ってしまったこと。月夜の道を歩いて帰宅したとき、遠くに電車の音がして、なぜが空間的な広がりの中にすーっと吸い込まれて、宙を歩いたような気がしたこと。・・・生活の中の小さな平和、喜び、愛、美、等々を、ホーリー・スピリットに捧げなさい。



He will take each one and make of it a potent force for peace.
  • potent [póutnt] : 「勢力のある、有力な、影響を及ぼす、強力な、強い」
  • force [fɔ́ːrs] : 「力、エネルギー、強さ、体力、影響力、勢力、実施、施行、効力」
  • peace [píːs] : 「平和、安らぎ、平穏、安心、安定」
❖ "He will take each ~ "「ホーリー・スピリットは、その一つ一つを取り上げて、平和のために、強力なパワーに作り変えてくれるのだ」。この世界に物理法則があるように、実相世界には、分かち合いによって拡張増大するという法則がある。あなたの、生活の中の小さな真実をホーリー・スピリットと分かち合うことで、その小さな真実は拡張増大し、大きなパワーになるのだ。



He will withhold no blessing from it, nor limit it in any way.
  • withhold [wiðhóuld] : 「〜を抑える、差し控える、保留する、与えないでおく」
  • limit [límit] : 「限定する、制限する、制限をかける」
  • in any way : 「何らか、多少なりとも、決して、形はどうあれ」
❖ "He will withhold no ~ "「ホーリー・スピリットは、あなたからの小さな贈り物に祝福を惜しむことはない」。"nor limit it ~ "「どんな形であれ、それに制限を加えることもないのだ」。実相世界の奇跡に序列がないように、真実にも序列はない。これはいい真実で、これは大したことのない真実だ、などということはないのだ。ホーリー・スピリットは、完全平等の目をもって、あなたの、真実の贈り物を受け取り、感謝し、祝福してくれる。これはいらない、などと言って、制限することなど、決してあり得ないのだ。



He will join to it all the power that God has given him, to make each little gift of love a source of healing for everyone.
  • join [dʒɔ́in] : 「結び付ける、結合する、連結する、合わせる、つなぐ」
  • given [gívn] : 「give の過去分詞形」
  • source [sɔ́ːrs] : 「もと、源、起点、原因」
  • healing [híːliŋ] : 「治療、回復、治癒、癒やし」
❖ "He will join to it ~ "「ホーリー・スピリットは、それを、神がホーリー・スピリットに与えてくれたパワーの全てと結びつけるであろう」。あなたが小さな真実の贈り物をホーリー・スピリットに捧げることで、ホーリー・スピリットはそれを大きなパワーに変える。そのパワーを、さらに大きな実相世界の神のパワーと融合させるのだ。こうして、パワー自体も拡張増大していくのである。これが神の法則である。"to make each little ~ "ここは不定詞の結果ととらえて、「その結果、ホーリー・スピリットは、小さな愛の贈り物一つ一つを、すべての人達をヒーリングする(パワーの)源にするのである」。真実のパワーがますます大きくなり、すべての神の子に行き渡るようになる。すべての神の子は、そのパワーに触れて癒され、幻想から真実へ目覚めるようになるのである。



Each little gift you offer to your brother lights up the world. Be not concerned with darkness; look away from it and toward each other.
  • light up : 「〜を照らし出す、点灯する、明るくする、陽気にする」
  • be concerned with : 「〜に関係している、携わっている、〜に関心がある」
  • darkness [dάːrknis] : 「暗さ、暗がり、暗闇」
  • look away from : 「〜から目をそらす」
  • toward [təwɔ́ːd] : 「〜の方へ、〜に向かって、〜に向いて」
  • each other : 「お互い」
❖ "Each little gift you ~ "「あなたが同胞に捧げた小さな贈り物の一つ一つが、世界を明るく照らす」。あなたがホーリー・スピリットを通じて同胞に与える真実の(愛の)小さな贈り物は、実相的なパワーを得て光り出し、世界を照らすようになる。だから、"Be not concerned ~ "「闇に関心を向けてはいけない」。"look away from it ~ "「闇から視線をそらし、同胞へ目を向けないさい」。エゴの支配する幻想の世界、闇の世界へ目を向けてはいけない。幻想に気を取られずに、同胞とともに、神聖なる関係性を確実にしていきなさい。それが、すべてをホーリー・スピリットに委ねた後の、あなたの役割である。



And let the darkness be dispelled by him who knows the light, and lays it gently in each quiet smile of faith and confidence with which you bless each other.
  • dispel [dispél] : 「〜を追い払う、払いのける、追い散らす、払拭する」
  • lay [léi] : 「〜を横たえる、〜を置く」
  • gently [dʒéntli] : 「親切に、静かに、優しく、穏やかに」
  • quiet [kwáiət] : 「静かな、静粛な」
  • smile [smáil] : 「ほほ笑み、笑顔」
  • faith [féiθ] : 「信頼、信用、信じること、信仰、信条、信念、確信」
  • confidence [kάnfədəns] : 「信頼、信用、信任、確かさ、確信、自信」
  • bless [blés] : 「〜を祝福する、〜を神聖にする、清める、聖別する」
❖ "And let the darkness ~ "「光を知っているホーリー・スピリットによって、闇を払拭してもらいなさい」。"and lays it ~ "「そのホーリー・スピリットは、その光を、信じる心と確信に満たされた静かな微笑みに中に、優しく置いてくれる」。"with which ~ "「そして、信じる心をもって、あなたと同胞は互いに祝福し合うのである」。理屈を追わずに、声に出して読むだけでいい。



10. On your learning depends the welfare of the world. And it is only arrogance that would deny the power of your will.
  • learning [lə́ːrniŋ] : 「習うこと、学ぶこと、学習、学問、学識」
  • depend [dipénd] : 「〜次第である、〜による」
  • depend on : 「〜によって決まる、〜次第である、〜に頼る、〜を当てにする」
  • welfare [wélfὲər] : 「幸福、繁栄、快適な生活」
  • arrogance [ǽrəɡəns] : 「尊大、横柄、ごう慢」
  • deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
  • will [wíl] : 「意志、精神力、意欲」
❖ "On your learning ~ "ここは倒置されており、本来は"The welfare of the world depends on your learning"となっている、「世界の幸せは、あなたの学びに依存している」。あなたが真実を正しく学ぶことが出来れば、あなたは世界の光となり、世界は救われる。しかし、あなたが幻想に留まって、真実を学ばなかったら、世界は闇のままに放置される。"And it is only arrogance ~ "強調構文、「あなたの意思のパワーを否定することは、ただ傲慢だと言うしかない」。真実を知ることで世界を救うなどと、そんなパワーはあなたのどこにも存在しないと思うことは、卑下ではなく傲慢さだ。つまり、エゴの唆(そそのか)しだ。罪あるあなたに世界を変えるパワーなど、神が与えるわけがないではないかと、エゴはあなたに語るのだ。そのエゴが、傲慢なのである。



Think you the Will of God is powerless? Is this humility? You do not see what this belief has done.
  • think [θíŋk] : 「〜を考える、〜を思う」
  • powerless [páuərlis] : 「効果がない、無能な、力のない」
  • humility [hjuːmíləti] : 「謙虚、謙そん、卑下」
  • belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信用、信頼」
  • done [dʌ́n] : 「do の過去分詞」
❖ "Think you the Will ~ "「神の意思にパワーがないなどと、あなたは思っているのだろうか」。"Is this ~ "「これは謙遜であろうか」。神の意志にパワーがないということは、神の子の意思にもパワーがないということを意味する。あなたが、自分には世界を変える意思のパワーがないと思うことは、本当に謙遜からの発言か、と問うているのだ。"You do not see ~ "「神の意思にパワーがないと信じたことが何をなしてきたか、あなたは知らないだけだ」。神の意思がこの世界を支配してはいないと考え、権力こそが世界を支配できると信じて、人類の歴史は動いてきた。戦争の歴史を見れば、一目瞭然である。しかし、それは真実であろうか? 真実の拡張であろうか? 



You see yourself as vulnerable, frail and easily destroyed, and at the mercy of countless attackers more powerful than you.
  • vulnerable [vʌ́lnərəbl] : 「弱い、脆弱な、傷つきやすい、攻撃されやすい」
  • frail [fréil] : 「虚弱な、もろい、壊れやすい」
  • easily [íːzili] : 「容易に、たやすく、苦もなく、あっけなく」
  • destroy [distrɔ́i] : 「破壊する、ぶち壊す、崩壊させる」
  • mercy [mə́ːrsi] : 「慈悲、情け、感謝すべきこと、幸運」
  • at the mercy of : 「〜の意のままに、〜の言いなりで、〜に翻弄されて」
  • countless [káuntləs] : 「数えきれないほどの、無数の」
  • attacker [ətǽkər] : 「攻撃する人」
❖ "You see yourself ~ "「あなたは自分自身を、脆(もろ)い者だと思い、壊れやすく、破壊され得る者と思っている」。"and at the mercy of ~ "「そして、あなたよりパワーのある無数の攻撃する者達に翻弄されていると思っている」。肉体的なパワーに限定して考えれば、それは正しい。しかし、肉体が幻想であるなら、肉体的パワーも幻想なのだ。本当のパワーとは、つまり、実相的パワーとは、想念のパワーであり、心のもつパワーである。その真のパワーを考えたとき、あなたは虚弱で破壊され得る者だろうか。



Let us look straight at how this error came about, for here lies buried the heavy anchor that seems to keep the fear of God in place, immovable and solid as a rock.
  • look straight at : 「〜を真っすぐ見詰める、〜を正視する、〜に視線を据える」
  • error [érər] : 「誤り、間違い、ミス、誤字、誤用、過失」
  • come about : 「起こる、生じる、発生する」
  • lie [lái] : 「ある、存在する」
  • bury [béri] : 「埋める、埋葬する、葬り去る」
  • buried : 「埋もれた、埋没した、忘れ去られた」
  • heavy [hévi] : 「重い、激しい、重みのある、ずっしりした」
  • anchor [ǽŋkər] : 「いかり」
  • keep : 「〜の状態にしておく、〜にしておく」
  • in place : 「定位置に、配置されて、配備されて」
  • immovable [imúːvəbl] : 「動かせない、動くことができない」
  • solid [sɑ́ləd] : 「固体の、固形の、硬い、頑丈な」
❖ "Let us look straight ~ "「こんな誤りがどこから生じてきたのか、まっすぐ見てみよう」。"for here lies ~ "「なぜなら、ここにこそ、神への恐れを定着させたかに見える、重い錨が埋められてあるからだ」。"immovable and ~ "「その錨は、岩のように硬く、動こうともしない」。神の子は神から分離した後、神への恐れに絶えきれずに、自己を乖離し、幻想の世界を心の外に投射して作り出した。したがって、この幻想世界は神が創造したものではないし、神はまったくこの世界の出来事に関与していない。だから、まるで、この幻想世界においては、神の意思がパワーをもって作用しているようには見えないのだ。見えないだけであって、神のパワーが存在していなわけではない。神の子が、神のパワーから身を隠しただけなのだ。神のパワーを見ようしないだけである。"the heavy anchor"「重い錨」とは、したがって、神の子を罰するであろう神への恐れであり、天の王国を拒絶して幻想世界にしがみつく執着心であり、神に対する罪の意識をとどめおく記憶である。この、無意識の底の底に沈められた思い錨を、勇気をもって引き上げ、意識という白日の元に晒す作業が是非とも必要なのだ。それがなければ、重い錨はいつまでもあなたの心に居座ることになる。



While this remains, so will it seem to be.
  • while [hwáil] : 「〜の間ずっと、〜する間に、その間に」
  • remain [riméin] : 「残る、残存する、とどまる、滞在する」
❖ "While this ~ "「この錨が残っている限り、それはそこにあるように思えるだろう」。無意識の中に重い錨を隠し持っている限り、錨はそこにあり続ける。しかし、ひとたび白日の元に晒されれば、その光の下で、この重い錨は単なる幻想であり、錯覚であり、存在してないものだと知ることが出来るのだ。そうなれば、もちろん、あなたの心に錨はもう存在しなくなるのである。
 
 
 

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