●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-23.II.9:1 ~ T-23.II.10:4

9. The ego values only what it takes. This leads to the fourth law of chaos, which, if the others are accepted, must be true.

  • value [vǽljuː] : 「〜を高く評価する、重視する、大事にする、尊重する」
  • lead [líːd] : 「導く、案内する、通じている」
  • lead to : 「〜に通じる、〜に繋がる」
  • fourth [fɔ́ːrθ] : 「第四の、四番目の」
  • law [lɔ́ː] : 「法、法律、法規、法令」
  • chaos [kéiɑs] : 「無秩序、混乱、混沌」
  • other [ʌ́ðər] : 「他の人」
  • accept [æksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
  • true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
❖ "The ego values ~ "「エゴは、自分が奪いとったものだけに価値を置く」。エゴは欲しいものを奪い取り、それだけが価値があると見なし、その他を排他する。"This leads to the fourth ~ "「このことが、第四の混沌の法に結びついていく」。"which, if the others ~ "「もし他の法が受け入れるなら、これも正しいということになるに違いない」。他の三つの混沌の法が正しいと認めるなら、この第四の法も、正しいと認められるはずだ。



This seeming law is the belief you have what you have taken.
  • seeming [síːmiŋ] : 「外観上の、外見だけの、見せかけの、うわべの」
  • belief [bilíːf] : 「じること、信念、信仰、信条、信用、信頼」
  • taken [téikn] : 「take の過去分詞形」
❖ "This seeming law ~ "「この見かけだけの法らしきものは、あなたが奪いとったものだけを、あなたは所有することが出来るという信念である」。つまり、所有するには奪い取ることが必要だとする法である。エゴの思考システムの中の「得るためには奪え」である。対して、ホーリー・スピリットの思考システムでは「与えることと得ることは同じ」である。この違いは、しっかり頭に入れておこう。



By this, another's loss becomes your gain, and thus it fails to recognize that you can never take away save from yourself.
  • another [ənʌ́ðər] : 「もう一つ、もう一人」
  • loss [lɔ́s] : 「失うこと、紛失、損失、喪失」
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
  • gain [géin] : 「利益、得ること、獲得、利得」
  • thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、だから、このようにして」
  • fail [féil] : 「失敗する、しくじる」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
  • take away : 「取り除く、持ち去る、撤去する、減じる」
  • save [séiv] : 「〜を除いて、〜のほかは、〜は別として、〜以外の、ただし〜は除外して」
❖ "By this, another's loss ~ "「この法に従えば、他者の損失はあなたの利得となる」。"and thus it fails to ~ "「ゆえに、その法はthat以下を認識損(そこ)ねているのだ」。"that you can never ~ "「あなたは、あなた自身からしか奪い取ることは出来ない」ということを認識し損ねている。あなたが他者から奪い取ったと思うことは錯覚で、実は、自分自身から奪い取ったことになるのだ。あなたと他者は、実相的に自他一如であるからだ。あなたが奪い取ったと思った他者は、実は自分なのである。次の様に考えればいいだろう。あなたと他者は、一つの生物の中の二つの細胞だとしよう。あなたという細胞が隣にいる他者という細胞から栄養を奪い取ったとしよう。さて、この状況下で、あなたという細胞は、本当に他者という細胞から栄養を奪い取れたと言えるだろうか? 



Yet all the other laws must lead to this. For enemies do not give willingly to one another, nor would they seek to share the things they value.
  • enemy [énəmi] : 「敵、敵国」
  • willingly [wíliŋli] : 「喜んで、進んで、積極的に、快く」
  • one another : 「お互い」
  • seek [síːk] : 「捜し求める、捜し出す、求める、追求する」
  • value [vǽljuː] : 「〜を高く評価する、重視する、大事にする、尊重する」
❖ "Yet all the other ~ "「しかし、他の法はすべて、この法に繋がるに違いない」。"For enemies do not ~ "「なぜなら、敵は、喜んで他者に与えたりするものではなく、」"nor would they seek ~ "「価値ありと評価したものを分かち合おうなどと思うはずがないからだ」。すべての法がこの法に繋がるとは、混沌の法の、そもそもの成り立ちは、神の子が分裂分離して存在しているという錯覚に依存しているからなのだ。他者から奪い取れるという思想は、他者が自分とは分離して存在しているという前提に立脚している。その分離という前提から、すべての混沌の法は導かれるのである。したがって、混沌の法とは、分離の法、なのである。分裂分離し、多種多様が混乱している状態だから、混沌の法なのであって、一なる存在だけの世界に混沌が起きるわけはなく、したがって、実相世界に混沌の法は通用しない。



And what your enemies would keep from you must be worth having, because they keep it hidden from your sight.
  • worth [wə́ːrθ] : 「〜の価値がある、〜に値する、〜相当の」
  • hidden [hídn] : 「隠された、秘密の」
  • sight [sáit] : 「視界、景色、光景、視覚、視力」
❖ "And what your enemies ~ "「したがって、あなたの敵があなたに与えようとしないものは、(敵にとって)所有する価値のあるものに違いない」。"because they keep it ~ "「なぜなら、敵は、あなたに見えないようにそれを隠しているからだ」。分離という思想から所有という思想が生まれ、さらに、秘密という思想すら生まれるわけだ。なぜなら、神の子が分離しておらず、単一の存在であるなら、どうして個人が所有するという思想、そして、それを隠すという思考が生まれ得るだろう。実相世界には、所有という概念はないし、秘密という概念も存在しない。



10. All of the mechanisms of madness are seen emerging here: the "enemy" made strong by keeping hidden the valuable inheritance that should be yours; your justified position and attack for what has been withheld; and the inevitable loss the enemy must suffer to save yourself.
  • mechanism [mékənìzm] : 「構造、装置、機構、仕組み、仕掛け」
  • madness [mǽdnəs] : 「狂気、熱狂、熱中」
  • seen [síːn] : 「see の過去分詞形」
  • emerge [imə́ːrdʒ] : 「現れる、出現する、浮かび出る」
  • strong [strɔ́ŋ] : 「強い、力がある、強力な」
  • valuable [vǽljəbl] : 「役立つ、有益な、重要な、貴重な」
  • inheritance [inhérətəns] : 「受け継いだもの、継承物、相続」
  • justified [dʒʌ́stəfàid] : 「理にかなった、もっともな、正当化された」
  • position [pəzíʃən] : 「立場、地位、位置、場所、姿勢、態度、見解、見方、態度」
  • withheld [wiðhéld] : 「withhold の過去形、過去分詞形」
  • withhold [wiðhóuld] : 「与えないでおく、〜を抑える、差し控える」
  • inevitable [inévətəbl] : 「けられない、当然の、必然的な、必然の」
  • loss [lɔ́s] : 「失うこと、紛失、損失、喪失」
  • suffer [sʌ́fər] : 「苦しむ、、耐える、被る」
  • save [séiv] : 「確保しておく、取っておく、残しておく、救う、助ける」
❖ "All of the mechanisms of "「狂気のあらゆるメカニズムが、ここに現れて、見えている」。"the "enemy" made ~ "「あなたのものであるはずの、価値ある継承物を隠しおおすことでますます強くなった『敵』」の存在。本来、あなたは神の属性のすべてを継承して、それを持っている。あなたは、愛であり喜びであり平和であるはずだ。しかし、エゴという敵は、それをあなたの目から隠しており、あなは憎しみであり悲しみであり戦いの存在にされているのだ。あなたを幻想という盲目の中に閉じこめることで、エゴという敵はますます強くなっていく。"your justified position ~ "「あなたに与えられずにあるものを得るために攻撃することを正当だとするあなたの立ち位置」の存在。奪われたものを奪回するため、奪った者を攻撃して何が悪いだろう、という思考。"and the inevitable ~ "「そして、あなた自身を救うために、敵が被らなくてならない、避けられない損失」の存在。あなたの正当性を守るために、あなたは敵を攻撃し、必然に、破れた敵は損失を被る。それもまた、正当だとするわけだ。



Thus do the guilty ones protest their "innocence. "
  • thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、このようにして、こんなふうに」
  • guilty [gílti] : 「有罪の、犯罪的な、罪を犯した」
  • protest [prətést] : 「〜に抗議する、〜を断言する、主張する」
  • innocence [ínəsəns] : 「無罪、潔白、無邪気、無垢、純潔、純真」
❖ "Thus do the guilty ~ "「こうして、罪ある者は、自らの『潔白性』を主張するのである」。敵が悪いのであって、自分の攻撃は正当である。自分には悪いところはない。潔白である、と主張するのだ。しかし、そう主張する本人は、完全にエゴの思考システムに毒されており、幻想の中で盲目になっているのだ。つまり、自分の罪に気付きさえしない。



Were they not forced into this foul attack by the unscrupulous behavior of the enemy, they would respond with only kindness.
  • force [fɔ́ːrs] : 「〜を強要する、強いる、無理にさせる」
  • force into : 「〜に〜を強いる、強制的に〜させる」
  • foul [fául] : 「悪い、ひどい、嫌な、下品な、粗末な、汚らしい」
  • unscrupulous [ʌnskrúːpjuləs]: 「無節操な、無遠慮な、不謹慎な、恥知らずな」
  • behavior [bihéivjər] : 「行動、態度、挙動、言動、素行」
  • respond [rispɑ́nd] : 「反応する、応答する、答える、対応する、対処する」
  • with kindness [káindnis] : 「親切に」
❖ "Were they not forced into ~ "ここは"If they were not forced into ~ "のことで、仮定法過去である、「もし、彼らが、敵の無節操な振る舞いによって、汚い攻撃を強いられることがないなら、」"they would respond ~ "「彼らは、親切な心だけをもって、反応するのに」と主張するわけだ。しかし、敵の、あまりの無節操ぶりに怒りを覚え、徹底的に攻撃した自分は悪くなかろう、正当だろう、と言うのだ。なぜなら、敵が無節操でなかったら、自分はどんなに親切に敵に向かい合えたか知れないからだ、言う。



But in a savage world the kind cannot survive, so they must take or else be taken from.
  • savage [sǽvidʒ] : 「凶暴な、残酷な、荒れた、荒涼とした、粗野な、無礼な、下品な」
  • survive [sərváiv] : 「生き残る、生き延びる、存続する」
❖ "But in a savage world ~ "「しかし、残忍な世界にあっては、親切など生き残れるわけがない」と信じ込み、"so they must ~ "「そこで、彼らは、奪うか、または奪われるかせずにはいられないのだ」。これが、幻想であるこの世の、殺伐とした姿である。それに甘んじて、弱肉強食の世界を生き抜くのも良かろう。あるいは、この世界から救われたいと願って、このACIMを信じて学ぶのも良かろう。すべては、あなたの選択次第なのだ。
 
 
 

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