●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-24.II.10:1 ~ T-24.II.11:6

10. Here is your savior from your specialness. He is in need of your acceptance of himself as part of you, as you for his.

  • savior [séiviər] : 「救助者、救い手、救済者、救い主」
  • specialness [spéʃəlnis] : 「特別であること、特別性」
  • in need of : 「〜を必要としている」
  • acceptance [ækséptəns] : 「受け入れること、承諾、承認、受諾、容認」
  • part [pάːrt] : 「一部、部分」
❖ "Here is your savior ~ "「ここに、あなたをあなたの特別性から救ってくれる救い主がいる」。"He is in need of your ~ "「彼は、彼があなたの一部であること、そして、あなたは彼の一部であることを、あなたが受け入れることを必要としている」。あなたの同胞は、あなたを特別性という幻想から救い出して救い主である。しかし、あなたが、同胞とあなたが自他一如であることを受け入れるまでは、彼はあなたの救いを実行出来ないのである。なぜなら、特別性という幻想に留まって、その同胞を攻撃するあなたを、どうやって救い出せるだろうか? 



You are alike to God as God is to Himself. He is not special, for He would not keep one part of what He is unto Himself, not given to His Son but kept for Him alone.
  • alike [əláik] : 「似ている、そっくりで」
  • special [spéʃəl] : 「特別な、独特の、特別の、特有の」
  • keep [kíːp] : 「〜を持ち続ける、保持する」
  • given [gívn] : 「give の過去分詞形」
  • kept [képt] : 「keep の過去・過去分詞形」
❖ "You are alike to ~ "「神が神自身と似ているように、あなたは神と似ている」。神が神自身と似ているとはおかしな表現だが、まあ、そうなのだと了解しておこう。"He is not ~ "「神は特別ではない」。"for He would not ~ "「なぜなら、神は、神であるところのものの、その一部でも、自身のために保持しておき、神の子にそれを与えることなく、自分一人だけで持っておこうなどと思わないからだ」。神が神の子を創造するとき、神の属性のすべてを神の子に与えた。神の子は神を完全に継承しているのである。したがって、あなたも他の同胞も、すべて神と同じ属性をもち、神も含めて、誰が特別ということはあり得ないのである。



And it is this you fear, for if He is not special, then He willed His Son to be like Him, and your brother is like you.
  • fear [fíər] : 「〜を恐れる、〜を怖がる」
  • will [wíl] : 「〜を望む、意図する、命ずる、決意する」
❖ "And it is this ~ "「あなたが恐れているのは、このことなのだ」。あなたが特別な存在ではないということを、あなたは一番に恐れている。"for if He is ~ "「なぜなら、もし神が特別でなかったら、」"then He willed ~ "「神は神の子を神自身に似た者にしようと意思し、あなたの同胞もまた、あなたと似た者にしようと意思したからだ」。神が特別でなかったら、神の子も特別ではない。同胞が特別でなかったら、もちろん、 あなたも特別ではない。実相世界は、完全、完璧な純粋平等世界なのだ。神自身もその例外ではない。しかし、ACIMのこの思想は、おそらく、キリスト教徒には到底受け入れ難いことだろう。キリスト教徒にとっては、神は特別の上の、また特別な存在であり、神の子もまた、神に愛される特別な存在である。キリスト教を信じる者は、他の神を信じる者より優越で、特段に特別である。その特別な者達だけが、至福の天国へ昇天することが許され、他の劣性なる者達には、天国の扉は開けられることさえないと説く。キリストを信じる少数の特別な者達だけが救われ、他の多くの者達は救われないのだ。しかし、こうした奇妙で偏狭な思想が、イエスの死後2000年に渡って、いったい世界に何をもたらしたか、よく考えてみることだ。答えは自明である。したがって、多くのキリスト教徒が、自分の優位性、特別性を捨てない限り、次に来る2000年もまた、同様の誤りを延々と繰り返し続けるだろう。今、キリスト教徒に限定して述べてしまったが、それはイスラム教でもヒンズー教でも、仏教でも同じことだ。ならば、このACIMを信じる場合でも、まったく同様のことが言えるのだ。ACIMを信じる者は、取り立てて特別ではない。まったく、極く普通なのだ。ACIMが、真実は容易である、という意味がここにある。真実は極く普通であり、真実を受け入れることも普通であり、真実に生きることも特別なことではない。信仰という言葉を持ち出して、仰々しくASCIMを語る必要は、まったくないのである。ここをしっかり押さえない限り、我々は、ACIM教を信奉する特別な信者へと、容易に堕落してしまうだろう。それは、神の意思することでは、決してない。



Not special, but possessed of everything, including you.
  • possess [pəzés] : 「〜を所有する、保有する、持つ」
  • include [inklúːd] : 「〜を含める、〜を含有する、包含する」
❖ "Not special, but ~ "「決して、神は特別ではない」。"but possessed of ~ "「しかし、神は、あなたを含めて、すべてを持っている」。神はすべてを所有しているという意味ではない。すべてを愛で包み込んでいる、という意味である。すべての実在と愛で結ばれている、という意味である。もちろん、あなたを含めて、そうなのだ。そして、これは神の特性ではない。なぜなら、神は特別ではないからだ。ならば、あなたは神と同様に、すべてを持っているのだ。あなたは、すべてを包み込み、すべてと愛で結ばれているはずである。そして、あなたの同胞もまた、同様なのだ。



Give him but what he has, remembering God gave Himself to you and your brother in equal love, that both might share the universe with Him Who chose that love could never be divided, and kept separate from what it is and must forever be.
  • remember [rimémbər] : 「〜を覚えている、〜を思い出す」
  • equal [íːkwəl] : 「同等の、程度が等しい、均等な、平等な」
  • both [bóuθ] : 「両方、双方」
  • share [ʃέər] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
  • universe [júːnəvə̀ːrs] : 「宇宙、銀河、万物、森羅万象」
  • chose [tʃóuz] : 「choose の過去分詞形」
  • choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • divide [diváid] : 「〜を分ける、分割する、を分離する、〜を分裂させる」
  • kept [képt] : 「keep の過去・過去分詞形」
  • keep : 「〜の状態にしておく、〜にしておく」
  • separate [sépərèit] : 「分かれた、離れた、個々の、別個の、別の」
  • forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
❖ "Give him but ~ "「同胞が持っているものを、その同胞に与えなさい」。同胞を卑小なものとして攻撃するのではなく、同胞が、あなたと同じくすべてをもっている神の子であると、素直に認めないさい。"remembering God gave ~ "「神が神自身を、等しい愛をもって、あなたと同胞に与えたことを思い出して、」同胞が持っているものを、その同胞に与えなさい。"that both might ~ "ここの"that"は"so that"のこと、「そうすれば、あなたと同胞の両者は、神と世界を分かち合えるだろう」。 ここの"universe"「世界」は、天の王国のこと。あなたも同胞も共に、神と共に天の王国に住むことが出来る、ということ。あるいは、天の王国の真実のすべてを分かち合うことが出来るということ。"Who chose that love ~ "「その神は、愛が決して分割出来ず、愛の本当の姿から分離しされたままにされることなく、永遠にそのままであることを選択したのである」。神の選択、神の意思によって、神と神の子の愛はバラバラにされる事はなく、神聖で純粋な真実の愛は永遠にそのままの姿で存在し続けるのである。この愛は、実相的な愛であり、対極概念の憎悪という不純物を一かけらも持たない。真実の愛が神聖で純粋だと言われる所以である。



11. You are your brother's; part of love was not denied to him. But can it be that you have lost because he is complete?
  • deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
  • lost [lɔ́st] : 「lose の過去・過去分詞形」
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
  • complete [kəmplíːt] : 「全部そろった、完全な、全部の、完結した、完成した」
❖ "You are your ~ "「あなたは、あなたの同胞のものである」。所有を言っているのではない。あなたと同胞は自他一如の関係にあって、共に助け合って、救われる必要があるこということだ。つまり、あなたと同胞が神聖な関係性にあれば、あなたは同胞のもの、同胞はあなたのものとなるのである。"part of love was ~ "「同胞にとって、愛の一部さえ、拒絶されていなかったのだ」。神聖な関係性にある同胞は、あなたの心のすべてを愛するのである。愛さずに捨て置かれる部分は一つもない。"But can it be ~ "「しかし、同胞が完全だからといって、あなたが何かを失っているなどということがあり得るだろうか」。あなたを完全に愛する同胞に対して、あなたは愛を奪われたとか自由を奪われたとか言えるだろうか。実相的な、神聖な関係性にあっては、与えることは得ることであり、得ることは与えることなのだ。奪ったり失ったりするのは、幻想世界の特別な関係性に捕らわれているときだけである。



What has been given him makes you complete, as it does him.
  • given [gívn] : 「give の過去分詞形」
❖ "What has been given ~ "「同胞に与えられるものが、あなたを完全にする」。"as it does ~ "「それは、同胞をも完全にするのだ」。神聖な関係性にあって、あなたと同胞は愛を分かち合うのみならず、真実もを分かち合うのだ。その真実が、あなたも同胞も共に実相的に完全なものとするのである。実相的に完全とは、幻想のすべてを払拭してしまうということである。幻想をすべて脱ぎ捨て、裸形の真実になることだ。



God's Love gave you to him and him to you because He gave Himself. What is the same as God is one with Him.
  • gave [géiv] : 「give の過去形」
  • same [séim] : 「同じ、同一の、変わらない」
❖ "God's Love gave ~ "「神の愛があなたを同胞に与え、同胞をあなたに与えたのだ」。"because He ~ "「神が神自身を与えたのだから」。神が神自身を与えるとは、神の至上の愛を与えるということであって、実相的な真実の愛を与えるということに尽きる。実相的な、神聖な関係性にあるあなたと同胞は、その真実の愛を分かち合っているのだ。その真実の愛の出所は、実相世界であって、天の王国の神自身である。"What is the same ~ "「神と同一である者は、神と一体なのだ」。あなたも同胞も、神の子として神と同一なのだ。神と一体なのである。したがって、あなたと同胞は分離しておらず、神とも分離していない。



And only specialness could make the truth of God and you as one seem anything but Heaven, with the hope of peace at last in sight.
  • make : 「〜に〜させる」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • hope [hóup] : 「希望、望み」
  • peace [píːs] : 「平和、安らぎ、平穏、安心、安定」
  • at last : 「最後に、ついに、とうとう、やっと」
  • in sight : 「見えて」
❖ "And only specialness could ~ "「特別性だけが、神とあなたが一体であるという真実を、天の王国ではない何かに見せかけてしまうことが出来るのだ」。"with the hope of ~ "「ついに、平和の希望が見えてきた所まで来たというのに」。難しい言い回しをしているが、神と神の子が一体となれる場所が天の王国であって、より直接的に言えば、神と神の子の一体性、そのものが天の王国である。それが、真実の行き着く先なのだが、幻想世界の特別性が、その真実に黒雲を掛けて、あなたの目に見えないようにしてしまうのだ。しかし、もう一歩である。あなたの視界に天の王国は入ったのだ。平和への希望は、もうすぐ実現するのである。
 
 
 

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