●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-24.VI.8:1 ~ T-24.VI.9:5

8. Your brother's holiness is sacrament and benediction unto you.

  • holiness [hóulinəs] : 「神聖、高潔」
  • sacrament [sǽkrəmənt] : 「聖なるもの、神聖なもの、秘跡、聖体」
  • benediction [bènədíkʃən] : 「祝福、祝祷」
❖ "Your brother's holiness ~ "「あなたの同胞の神聖さは、あなたにとって秘跡であり、祝福である」。"sacrament"も"benediction"も共に、キリスト教の用語であるが、ACIMはキリスト教の用語を用いてまったく別な思想、まったく次元を異にした真実を語っているので、ここも、キリスト教用語通りに解釈することは避けた方がいい。したがって、「あなたの同胞の神聖さは、あなたにとっても神聖であり、神の祝福そのものである」と解釈しておけばいいだろう。



His errors cannot withhold God's blessing from himself, nor you who see him truly.
  • error [érər] : 「誤り、間違い、ミス、誤字、誤用、過失」
  • withhold [wiðhóuld] : 「〜を抑える、差し控える、保留する、与えないでおく」
  • blessing [blésiŋ] : 「祝福、神の恵み、承認、賛成」
  • truly [trúːli] : 「正確に、忠実に、誠実に、正直に」
❖ "His errors cannot ~ "「同胞の過ちに対して、神の祝福が差し控えられる可能性はないし、」"nor you who see ~ "「ましてや、その同胞を正しく見ているあなたに、神の祝福が及ばないなどという可能性もない」。むしろ、過ちを犯した者ほど、神の手当てが注がれるだろう。"you who see him truly"「その同胞を正しく見ているあなた」とは、その同胞が過ちを犯していると正しく知っているあなた、という意味合い。簡単に言えば、あなたが、過ちを犯した同胞の仲間だとしても、あなたも神の祝福がもらえる、ということ。



His mistakes can cause delay, which it is given you to take from him, that both may end a journey that has never begun, and needs no end.
  • mistake [mistéik] : 「誤り、判断上の間違い、ミス、過ち、手違い」
  • cause [kɔ́ːz] : 「〜を引き起こす、招く、〜の原因になる」
  • delay [diléi] : 「遅延、遅滞、猶予、遅れ」
  • given [gívn] : 「give の過去分詞形」
  • both [bóuθ] : 「両方、双方」
  • end [énd] : 「終わらせる、やめる、締めくくる」
  • journey [dʒə́ːrni] : 「旅、行路、道のり、道程、遍歴」
  • begun [bigʌ́n] : 「begin の過去分詞形」
  • begin [bigín] : 「始まる、着手する」
  • need [níːd] : 「〜する必要がある、〜を必要とする」
❖ "His mistakes ~ "「同胞の過ちが、遅れを引き起こす可能性はある」。過ちによって、真実に目覚める瞬間が遅延する可能性はある。"which it is given ~ "「その遅れは、同胞から取り除くようにと、あなたに与えられたのだ」。同胞を置いてきぼりにせずに、あなたと共に真実に目覚めることが出来るように、その同胞の助けになることが、あなたに与えられた使命である。"that both may end ~ "ここの"that"は"so that"のこと、「〜するために、その結果」、「二人共に、始まりもなく、終わる必要さえない旅を終えることが出来るのために」。ここの旅とは、幻想世界を彷徨(さまよ)う旅のことである。夢の中で見ている旅に過ぎないので、実在しない旅だ。したがって、実際に始まりがあったわけではなく、始まりがなかったのだから終わりもない旅なのである。その幻想の旅を終わりにして、つまり、幻想から目覚めて、真実の旅、つまり、天の王国への旅を始めなさい、と呼びかけているのだ。そのために、過ちを犯して出遅れた友の助けとなり、二人で真実の旅に出かけなさい、ということである。



What never was is not a part of you. Yet you will think it is, until you realize that it is not a part of him who stands beside you.
  • part [pάːrt] : 「一部、部分」
  • until [ʌntíl] : 「〜する時まで」
  • realize [ríːəlàiz] : 「〜に気が付く、悟る、自覚する、実感する」
  • stand [stǽnd] : 「立っている、立ち上がる、立つ」
  • beside [bisáid] : 「〜のそばに、〜の傍らに、〜の脇に」
❖ "What never was ~ "「ありもしなかったものは、あなたの一部ではない」。幻想世界を彷徨うという旅は、実在しなかったので、その旅はあなたの現実の一部ではない。"Yet you will ~ "「しかし、〜するまで、あなたは、それがあなたの一部だと思うだろう」。"until you realize ~ "「あなたが、それは、あなたの傍らに立つ同胞の一部ではないと気付くまでは、」あなたは、それがあなたの一部だと思うだろう。幻想世界を彷徨う旅が、同胞の現実の一部などではないと気付くまで、あなた自身は、自分の幻想の旅が現実の一部に違いないと信じてしまうのだ。



He is the mirror of yourself, wherein you see the judgment you have laid on both of you.
  • mirror [mírər] : 「鏡、反射鏡」
  • wherein [hwεərín] : 「そこで、その場所で」
  • judgment [dʒʌ́dʒmənt] : 「判断、判断力、意見、分別」
  • laid [léid] : 「lay の過去・過去分詞形」
  • lay [léi] : 「〜を横たえる、〜を置く」
❖ "He is the mirror ~ "「同胞は、あなた自身の鏡である」。まさに、自他一如である。"wherein you see ~ "「その同胞の中に、あなたと同胞の両者の上に下した判断を、あなたは目にするのである」。あなたが同胞を見て、彼が幻想の旅を現実だと思っていると判断すれば、あなた自身の幻想の旅も現実だと判断したことになる。自他一如であるから、あなたが他者に下した判断は、あなた自身に下した判断なのだ。



The Christ in you beholds his holiness. Your specialness looks on his body and beholds him not.
  • behold [bihóuld] : 「見守る、注視する」
  • specialness [spéʃəlnis] : 「特別であること、特別性」
  • look on : 「〜を見る」
❖ "The Christ in you ~ "「あなたの心の中のキリストが、同胞の神聖さを見ている」。あなたがどんなに同胞を卑小な者だと判断しても、あなたの心の中のキリストは、同胞を神聖な神の子であると見なしている。"Your specialness ~ "「あなたの特別性は、同胞の肉体ばかりを見ているので、同胞を神聖だとは見ないのだ」。



9. See him as what he is, that your deliverance may not be long.
  • deliverance [dilívərəns] : 「救出、解放、判断、評決」
❖ "See him as what ~ "「同胞の、本当の姿を見なさい」。"that your deliverance ~ "ここの"that"も"so that"、「そうすれば、あなたの救いは長引くことはない」。同胞が神聖であり、無辜(むこ)であることをしっかり見れば、自他一如によって、あなた自身の神聖さと無辜性が見えてくる。あなたの、幻想からの救いは近い。



A senseless wandering, without a purpose and without accomplishment of any kind, is all the other choice can offer you.
  • senseless [sénslis] : 「常識がない、愚かな、無意味な、無分別な」
  • wandering [wάndəriŋ] : 「放浪、さすらい」
  • without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
  • accomplishment [əkάmpliʃmənt] : 「才能、成就、偉業、成果、達成、完成」
  • of any kind : 「いかなる種類の」
  • choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
  • offer [ɔ́fər] : 「差し出す、捧げる、提供する」
❖ "A senseless wandering ~ "「意味のない放浪、目的もなく、いかなる成果も期待出来ない、」"is all the other ~ "「そんな放浪は、別の選択があなたに差し出すことのできるすべてである」。あなたが、同胞の本当の姿を見るという選択をせずに、どんな形であれ、幻想に浸りきるという選択をしたなら、あなたはこの幻想世界で、意味なく彷徨(さまよ)い続けなくてはならない。そんな彷徨いは、目的もなく、意味もなく、何の成果も期待出来ないのだ。



Futility of function not fulfilled will haunt you while your brother lies asleep, till what has been assigned to you is done and he is risen from the past.
  • futility [fjuːtíləti] : 「無益、無用、無価値」
  • function [fʌ́ŋkʃən] : 「職務、役割、機能、作用、働き、効用」
  • fulfill [fulfíl] : 「実行する、遂行する、履行する、実現させる、果たす、全うする」
  • haunt [hɔ́ːnt] : 「〜に出没する、〜をしばしば訪れる、〜にしばしば行く」
  • lie [lái] : 「〜のままである、〜の状態にある」
  • asleep [əslíːp] : 「眠って、就寝中の」
  • till [tíl] : 「〜まで、〜するまで…しない」
  • assign [əsáin] : 「〜を割り当てる、指定する、任命する」
  • done [dʌ́n] : 「do の過去分詞」
  • risen [rízn] : 「rise の過去分詞、復活した、昇天した」
  • rise [ráiz] : 「昇らせる、〜を上げる」
  • past [pǽst] : 「過去、昔」

❖ "Futility of function ~ "「〜するまでは、あなたの同胞が眠りこけている間は、達成されない役割の無益さが、あなたの目の前に出没するであろう」。同胞を幻想の夢から覚ますという使命をあなたは果たそうとするのだが、いっこうに同胞が目覚めないと、あなたの役割が達成されないので、無益な落胆だけがあなたに襲いかかるだろう。"till what has been ~ "「あなたに与えられた使命がなされ、同胞が過去から立ち上がるまでは」。過去から立ち上がるとは、罪を犯したという過去の過ちが幻想であったと認識すること。



He who condemned himself, and you as well, is given you to save from condemnation, along with you.
  • condemn [kəndém] : 「〜に有罪の判決を下す、〜を非難する、罵倒する」
  • as well : 「同じに、おまけに、その上」
  • save [séiv] : 「救う、助ける」
  • condemnation [kὰndemnéiʃən] : 「激しい非難、糾弾、有罪宣告」
  • along with : 「〜と一緒に、〜とともに、〜に加えて、〜のほかに」
❖ "He who condemned ~ "「自分自身に有罪の判決を下した同胞は、あなたも同様に自分に有罪の判決を下したのが、」つまり、自分に罪があると自分を責めたのであるが、"is given you ~ "「その同胞は、あなたと一緒に有罪の判決から救い出すために、あなたに与えられたのだ」。自他一如である同胞とあなたは、互いに罪の意識から救われるために、存在しているのである。たった一人が救われるのではない。一緒に罪の意識から救われる必要があるのだ。なぜなら、あなたと同胞は単一の存在だからだ。



And both shall see God's glory in His Son, whom you mistook as flesh, and bound to laws that have no power over him at all.
  • glory [glɔ́ːri] : 「栄光、称賛、名誉、誇り、壮観、荘厳、繁栄」
  • mistook [mistúk] : 「mistake の過去形」
  • mistake [mistéik] : 「誤る、間違える」
  • flesh [fléʃ] : 「肉、肉体」
  • bound [báund] : 「bind の過去、過去分詞形」
  • bind [báind] : 「〜を縛る、結び付ける、巻き付ける」
  • law [lɔ́ː] : 「法、法律、法規、法令」
  • at all : 「全く〜ない、全然〜ない、少しも〜ない」
❖ "And both shall ~ "「そして、共に、神の子の中に神の栄光を見ることになろう」。"in His Son"「神の子の中に」とは、つまり、あなたと同胞、両者の中に、ということ。"God's glory"「神の栄光」とは、ここでは、神と同じ神聖さ、純粋さ、つまり、愛そのものと考えていい。"whom you mistook ~ "「その神の子を、あなたは肉体的存在だと誤ったのだ」。"and bound to laws ~ "「さらに、神の子にまったく影響力を持たない法に縛りつける誤りを、あなたは犯したのである」。神の子である同胞は、肉体を持ち、この幻想世界の法に縛られていると、あなたは勘違いした。しかし、その過ちに気が付いて、あなたと同胞が共に幻想世界から救われたなら、神の栄光である純粋で神聖な愛を知ることになる。ところで、"laws that have no power"「パワーをもたない法」とは、幻想世界の法であるから、実在する現実の法ではない。いわば、夢の中の法であるから、実相に対して何ら影響力を及ぼすことはないのだ。パワーがないとは、そういう意味合いである。
 
 
 

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