●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-31.VII.6:1 ~ T-31.VII.7:7


6. The concept of yourself that now you hold would guarantee your function here remain forever unaccomplished and undone. 

  • concept [kάnsept] : 「概念、観念」
  • hold [hóuld] : 「心に抱く、維持する、保持する」
  • guarantee [ɡæ̀rəntíː] : 「保証する、請け合う」
  • function [fʌ́ŋkʃən] : 「職務、役割、機能、作用、働き」
  • remain [riméin] : 「〜のままである、とどまる、残る」
  • forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
  • unaccomplished [ʌnaccomplished] : 「未完成の、未熟な」
  • undone [ʌndʌ́n] : 「なされていない、未完成の」

❖ "The concept of yourself ~ "「今、あなたが保持している自己概念は、あなたのここでの役割が永遠に達成されず、未完成のままになることを保証している」。確実にそうなる、ということ。"your function here"「ここでのあなたの役割」とあるが、幻想からの覚醒、世界の苦と痛みからの解放、実相世界への回帰、等々が、あなたのこの世での役割である。この世界に生きるあなたが、自分を肉体的な存在と信じ、物質的に、あるいは物理化学的に生きていると信じている限り、つまり、そういう自己概念を保持している限り、あなたは、幻想世界から自分と同胞を救うというあなたのこの世での役割を達成することは出来ない。



And thus it dooms you to a bitter sense of deep depression and futility. 

  • thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、このようにして」
  • doom [dúːm] : 「運命づける、決定的なものとする」
  • doom ~ to : 「〜を…の運命に追い込む」
  • bitter [bítər] : 「苦々しい、悲痛な、悲惨な、つらい、冷酷な、無情の」
  • sense [séns] : 「感覚、知覚、感触、感じ」
  • depression [dipréʃən] : 「落ち込み、意気消沈、絶望」
  • futility [fjuːtíləti] : 「無用であること、無益であること、目的のない行為」

❖ "And thus it dooms ~ "「それゆえに、あなたの自己概念は、深い心の落ち込みや焦燥感といった悲痛な感覚を、あなたに運命づけるのだ」。あなたが、自分は肉体として物質的に生きていると信じている限り、つまり、エゴの思考システムに従った自己を自分自身だと信じている限り、他者や世界との軋轢(あつれき)によって生じる苦や痛みを回避することは不可能となり、絶望や意気消沈などという深く非情な感覚を運命的に背負うこととなる。得るためには奪え、攻撃される前に攻撃せよ、などというエゴの原理を自分自身に許しているのだから、痛みや苦、そして崩壊と死は必然なのだ。幻想世界を幻想として生きている限り、その運命は回避することが出来ない。



Yet it need not be fixed, unless you choose to hold it past the hope of change and keep it static and concealed within your mind. 

  • fix [fíks] : 「固定する、回復させる、元通りにする、癒す、治療する」
  • unless [ənlés] : 「〜でない限り、〜である場合を除いて」
  • choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • past [pǽst] : 「〜のそばを過ぎて、越えて、〜を過ぎて」
  • hope [hóup] : 「希望、望み」
  • change [tʃéindʒ] : 「変化、変更、移行、交換」
  • static [stǽtik] : 「静止した、動かない、停滞した、固定された」
  • concealed [kənsíːld] : 「隠れた、隠し持っている」
  • within [wiðín] : 「〜の中に、〜の内側に」

❖ "Yet it need not ~ "「しかし、〜でない限り、あなたの自己概念を修復する必要はない」。"unless you choose ~ "「変化への望みを無視してそれを保持し、自己概念を固定化してあなたの心の中に隠しもっていることを選択しない限り、」あなたの自己概念を修復する必要はない。おや、逆なのではないかと思われただろう。つまり、幻想の自己概念を変化させたいのなら、自己概念を修復する必要があるのではないか、と。ここは、次のように、肯定文として書き換えてみればいい。もしあなたが、自己概念の変化を望み、固定化せず、心に隠し持つことをしないという選択をするなら、あなたは、あなた自身であなたの自己概念を修復しようとする必要はない、という意味である。次の文を見ればわかるように、修復はあなたの仕事ではなく、ホーリー・スピリットの仕事なのだ。この内容を否定的に表現したので、意味が曖昧になってしまったのだ。なぜ、そんな曖昧な表現をしたのかというと、ACIMは一種の詩であって、言葉遊びの要素があるからだ。ACIMは、学術的な論理書ではない。書かれたものではなく、話されたものなのだ。



Give it instead to Him Who understands the changes that it needs to let it serve the function given you to bring you peace, that you may offer peace to have it yours. 

  • instead [instéd] : 「代わりに、それよりむしろ」
  • understand [ʌ̀ndərstǽnd] : 「理解する、分かる、把握する」
  • serve [sə́ːrv] : 「〜の役目を果たす、〜に役に立つ」
  • given [ɡívən] : 「giveの過去分詞形」
  • bring [bríŋ] : 「〜を持って来る、〜をもたらす」
  • peace [píːs] : 「平和、安らぎ、平安」
  • offer [ɔ́fər] : 「差し出す、捧げる、提供する」

❖ 自分自身で自己概念を修復しようとせずに、"Give it instead ~ "「代わりに、あなたの自己概念を、変化というものを理解しているホーリー・スピリットに与えなさい」。幻想に埋没しているあなたが自己概念を変えようとすると、金を追い求める自己概念から権力を求める自己概念に変えるというように、単にペンキを塗り替えるだけのものになってしまうから、幻想的な自己概念から実相的な自己概念へと、概念の根本を変えるには、それを知っているホーリー・スピリットに任せればいい。要するに、あなたの自己概念をホーリー・スピリットに丸投げするのである。ACIMの絶対他力である。"that it needs to ~ "「(ホーリー・スピリットの理解している)変化とは、自己概念が、あなたに平和をもたらすためにあなたに与えられた役割に寄与する必要のあるものであって、」つまり、本当の自己概念の変化は、心の平和をもたらす役割に貢献するものでなくてはならず、"that you may offer ~ "「あなたは、平和をあなたのものにするために、変化を平和に差し出すのである」。つまり、自己概念の変化によって、実相的な平和があなたのものになるように、平和自体の概念にも変化を与えることになるのだ。あなたは、金や地位や権力があなたに平和をもたらすと考えてきたが、そんな幻想的な平和の概念に変化を与えて、愛や慈しみや喜び、等々の真実が本当の平和であると思うようにならなくてはいけない。



Alternatives are in your mind to use, and you can see yourself another way. 

  • alternative [ɔːltə́ːrnətiv] : 「取って代わるもの、代替手段、選択肢」

❖ "Alternatives are in ~ "「また別の自己概念は、使われようとして、あなたの心の中に(すでに)ある」。"and you can ~ "「(それを利用すれば、)あなたは、あなた自身をまったく別な様(さま)に見ることが出来るのだ」。エゴ主導の自己概念の外(ほか)に、あなたの心の中にはホーリー・スピリット主導の自己概念がすでに存在している。あなたが幻想的な古い自己概念を捨てて、実相的な新しい自己概念を選択すれば、あなたは新たな自分として生まれ変わり、まったく別の自分として、あなたは自分を見ることが出来る。



Would you not rather look upon yourself as needed for salvation of the world, instead of as salvation's enemy?

  • rather [rǽðər] : 「むしろ、それどころか」
  • look upon : 「〜を見る」
  • salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い、救世」
  • instead of : 「〜の代わりに」
  • enemy [énəmi] : 「敵、敵国、かたき」

❖ "Would you not rather ~ "「あなたは、救いの敵として見る代わりに、むしろ、世界の救いのために必要なものとして、あなた自身を見たいとは思わないのか」。ホーリー・スピリットがあなたに与える自己概念は、もちろん、神の子としてのあなたであり、幻想から実相へと、自分もまた同胞も、さらに世界をも救い出すキリストとしてのあなた自身なのだ。一言で言うなら、あなたがこの世に生まれてきたその役割は、あなた自身がキリストとして世界を救うことなのである。あたかも、救いのためにキリストとなって、自己犠牲に徹底せよ、と言われているような気がするかも知れないが、そうではない。実相においては、与えることと得ることは同一である。あなたが同胞を救うということは、同胞があなたを救ってくれるということであり、あなたがキリストになるとき、同胞もまたキリストとなって世界を救う。救いは、したがって、喜びとなり、微笑みとなる。そもそも、実相世界には、自己犠牲などという概念は存在しないのだ。犠牲は真実ではないからだ。



7. The concept of the self stands like a shield, a silent barricade before the truth, and hides it from your sight. 

  • stand [stǽnd] : 「立つ、立っている」
  • shield [ʃíːld] : 「盾、保護物、防御物、遮蔽板、遮蔽体」
  • silent [sáilənt] : 「無言の、黙りこくった、寡黙な、静かな、音のしない」
  • barricade [bǽrəkèid] : 「妨害するもの、障害物」
  • before [bifɔ́ːr] : 「〜する前に、〜より前に」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • hide [háid] : 「隠す、隠蔽する、秘密にする」
  • sight [sáit] : 「視野、視界、視力、視覚」

❖ "The concept of ~ "「自己概念は、真実の前にシールドのように、音なきバリケードのように立ちはだかり、真実をあなたの視野から隠している」。エゴに依存した自己概念は幻想であり、幻想の黒雲が、真実の前に障害物として立ちはだかって、あなたの目から真実を隠している。あなたには、本当の自分自身が見えてこない。



All things you see are images, because you look on them as through a barrier that dims your sight and warps your vision, so that you behold nothing with clarity. 

  • image [ímidʒ] : 「イメージ、画像、像、映像、心象、印象」
  • through [θrúː] : 「〜を通り抜けて、〜の中を通って、〜を経て、〜を介して」
  • barrier [bǽriər] : 「障害物、障壁、バリア」
  • dim [dím] : 「薄暗くする」
  • warp [wɔ́ːrp] : 「ゆがませる、そらせる、曲げる」
  • vision [víʒən] : 「視覚、視力、先見の明、洞察力、画像、映像」
  • so that : 「〜するように、その結果」
  • behold [bihóuld] : 「見守る、注視する」
  • with clarity [klǽrəti] : 「明快に、明瞭に」 

❖ "All things you ~ "「あなたが見ているものはすべてイメージに過ぎない」。あなたは、あたかも映画を見るように、目の前の対象を幻想として、イメージとして見ているだけだ。"because you look ~ "「なぜなら、あなたは、そのイメージを、あなたの視野を暗くし、あなたのヴィジョンを歪めるバリアーを通して見ているからであり、」"so that you behold ~ "「その結果、あなたは何一つ、明瞭に見て取ることが出来ないからだ」。ここの"your vision"「あなたのヴィジョン」とは、あなたの実相的な感覚が捉えることの出来る真実のことだ。その真実の姿を歪める幻想のバリアーを通してものを見ているから、あなたには本物が見えてこない。黒雲の中で渦巻く幻想だけしか見えないのだ。しかも、あなたは、その幻想のイメージこそが唯一の実在であると信じ込んでいる。



The light is kept from everything you see. At most, you glimpse a shadow of what lies beyond. 

  • light [láit] : 「光、明かり」
  • kept [képt] : 「keepの過去・過去分詞形」
  • at most : 「最大限でも、多くても、せいぜい、たかだか」
  • glimpse [ɡlímps] : 「〜をチラッと見る、〜を垣間見る」
  • shadow [ʃǽdou] : 「影」
  • lie [lái] : 「ある、存在する」
  • beyond [bijάnd] : 「〜の向こうに、〜を越えて」

❖ "The light is kept ~ "「光は、あなたが見ているものすべてから遠く離されている」。実相的な光は、あなたの手の届かない所にある。"At most, you ~ "「せいぜい良くて、あなたは、(バリアーの)向こうにあるものの影をちらりと見るくらいのものだ」。良く言えば、真実の存在に気付きいてはいるのだが、しかし、その正体は見えない。せいぜい、その影を見ているようなものだ。



At least, you merely look on darkness, and perceive the terrified imaginings that come from guilty thoughts and concepts born of fear. And what you see is hell, for fear is hell. 

  • at least : 「少なくとも、最少に見ても」
  • merely [míərli] : 「ただ単に、単に、たかが〜にすぎない」
  • darkness [dάːrknis] : 「暗がり、暗闇、暗愚、無知」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • terrified [térəfàid] : 「恐怖に襲われた、おびえた」
  • imaginings [imǽdʒəniŋz] : 「想像上の物、架空の産物」
  • guilty [ɡílti] : 「有罪の、犯罪的な、罪を犯した」
  • thought [θɔ́ːt] : 「思考、思索、思想、思い」
  • born [bɔ́ːrn] of : 「〜から生まれる、〜のもとに生まれる」
  • hell [hél] : 「地獄、生き地獄、ひどい体験、修羅場」
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖、懸念、心配、不安

❖ "At least, you ~ "「悪く言えば、あなたは暗闇を見ているに過ぎない」。悪く言えば、真実の影すら見えずに、ただ単に、暗闇を見ているに過ぎない。"and perceive the terrified ~ "「そして、罪の思いからやってくる怖いイメージや、恐れから生まれた概念を知覚しているのである」。もちろん、どちらも幻想に過ぎないのだが、あなたは、その幻想のモンスターに恐れを抱く。闇に現れ出る奇っ怪なモンスターである。"And what you ~ "「こうして、あなたが目にするものは、地獄になるのだ」。"for fear ~ "「なぜなら、恐れこそが地獄だからである」。地獄は、地の底にあるのではない。恐れを抱くあなたの心こそが地獄なのだ。くどいようだが、天の王国は実相世界として唯一実在であり、天国に対比するような地獄という世界は実在しない。したがって、地獄に住む悪魔も実在しない。地獄も悪魔も、歪んだ心が生み出した幻想である。幻想のモンスターに過ぎない。



All that is given you is for release; the sight, the vision and the inner Guide all lead you out of hell with those you love beside you, and the universe with them.

  • release [rilíːs] : 「釈放、救出、解放、取り除き、除去」
  • inner [ínər] : 「内部の、内側の、精神的な、内面的な」
  • guide [ɡáid] : 「案内人、ガイド、案内者、指導者」
  • lead [líːd] : 「案内する、先導する、導く」
  • beside [bisáid] : 「〜のそばに、〜の傍らに、〜の脇に」
  • universe [júːnəvə̀ːrs] : 「宇宙、銀河、全世界」

❖ "All that is given ~ "「あなたに与えられたものすべては、解放のためのものだ」。"the sight, the vision ~ "「目にするものも、ヴィジョンも、そして内なるガイドも、そのすべては、あなたの傍らにいる愛する者達、そして、彼らとともにある宇宙を含めて、共にあなたを地獄の外に導き出してくれるのである」。"the inner Guide"「内なるガイド、心の中にいる導き手」とは、もちろん、ホーリー・スピリットのことである。"the vision"「ヴィジョン」は、知覚を越えた実相的な智慧であり、それが捉えた真実。さらに"the sight"「目にするもの、視野、視界」、つまり、あなたの感覚器官が捉えた幻想であるが、ここに登場するのはおかしいと思われるかも知れない。しかし、ホーリー・スピリットは、あなたをこの幻想世界から解放するために、あなたの知覚が捉えた"the sight"を利用するのである。具体的には、ACIMのWorkbookに書かれてあるので、そちらを後々学べばいい。いずれ、あなたの心の中に住む、実相世界へのガイド役であるホーリー・スピリットは、その叡智(knowledge)をもって、あなたが目にする視野や実相的ヴィジョンを利用して、あなたも同胞も、さらにこの世界をも地獄(幻想)から救い出してくれるのである。
 
 
 


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