●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-4.I.13:1 ~ T-4.I.13:9

13. I will substitute for your ego if you wish, but never for your spirit.
  • substitute [sʌ́bstətjùːt] : 「 代わりの人、代用品、代理人」
❖ "I will substitute ~ "「あなたが望めば、私(イエス)はあなたのエゴの代わりを務めることにしよう」。"but never ~ "「しかし、あなたのスピリットの代わりになることは出来ない」。おや?、と思われたかもしれないが、あなたの実存であるスピリットの代理を、イエスの実存であるスピリットが務めることは原理的に不可能なのだ。たとえば、ある子供の母親がその子の母親の代理を務めることは不可能である。しかし、あなたが自分の実存がエゴであると信じているなら、そのエゴに代わって、スピリットであるイエスが主導権を握ってあなたを正しい方向へ導いてあげますよ、ということ。



A father can safely leave a child with an elder brother who has shown himself responsible, but this involves no confusion about the child's origin.
  • safely [séifli] : 「安全に、支障なく、無事に」
  • leave [líːv] : 「〜から離れる、〜を残す、放任しておく」
  • elder [éldər] : 「年長の、年上の 」
  • show oneself : 「表す、姿を見せる」
  • responsible [rispɑ́nsəbl] : 「責任がある、責任を伴う」
  • involve [invɑ́lv] : 「〜を含む、伴う、意味する」
  • confusion [kənfjúːʒən] : 「混乱、混同、取り違え」
  • origin [ɔ́ːridʒin] : 「源、起源、生まれ、由来」
❖ "A father can ~ "意訳する、「父親は、子供を、責任をもって面倒を見ようと言ってくれる年長の兄弟に安心して預けることが出来る」。"but this involves ~ "「しかし、その子の起源に混乱が生じるわけではない」。父親に代わって年少の兄弟の面倒を見てやったとしても、年長の兄弟がその子の父親になってしまうような混乱など起きるわけがない。



The brother can protect the child's body and his ego, but he does not confuse himself with the father because he does this.
  • protect [prətékt] : 「保護する、守る、防御する」
  • confuse [kənfjúːz] : 「混同する、混乱させる、困惑させる」
❖ "The brother can ~ "「年長の兄弟は、幼い子供の肉体もエゴも守ることが出来るが、」"but he does ~ "「しかし、そうするからといって、父親と自分を混同することはない」。言うまでもなく、父親は神、年長の兄弟はイエス、幼い子供はあなた。



I can be entrusted with your body and your ego only because this enables you not to be concerned with them, and lets me teach you their unimportance.
  • entrust [entrʌ́st] : 「預ける、任せる、委ねる」
  • be entrusted with : 「〜を受託する」
  • enable [enéibl] : 「〜を可能にする」
  • concern [kənsə́ːrn] : 「〜に関係する、〜にかかわる」
  • be concerned with : 「〜に関係している、携わっている」
  • unimportance [ʌ̀nimpɔ́ːrtəns] : 「重要ではないこと」
❖ "I can be ~ "「私はあなたの肉体やエゴを引き受けることが出来るが、」"only because  ~ "「それは単に、そうすることであなたは肉体やエゴに携わることがなくて済むし、それらが重要ではないとあなたに教えることが出来るからだ」。スピリットであるイエスが、あなたの肉体やエゴという幻想を引き受けようと言うのは、あなたを幻想との関わりから解放し、より大切な実相に気付かせるため。



I could not understand their importance to you if I had not once been tempted to believe in them myself.
  • importance [impɔ́ːrtəns] : 「重要性、大切さ、重大さ」
  • tempt [témpt] : 「を誘惑する、〜する気にさせる 」
  • be tempted to : 「〜する気にさせられる、〜したくなる」
❖ "I could not ~ "仮定法過去完了形、過去の事実と反することを仮定、「かつて私自身が、肉体やエゴを信じたいという誘惑にかられることがなかったら、私は、肉体やエゴがあなたにとっては重要なものだと理解することは出来なかったであろう」。イエスが経験した荒野における悪魔の誘惑を彷彿とさせる。が、そこまで深読みする必要はない。単に、イエスも昔はあなたと同じようにエゴの誘惑を受けたのだ、と理解しておこう。



Let us undertake to learn this lesson together so we can be free of them together.
  • undertake [ʌ̀ndərtéik] : 「企てる、〜に着手する、〜に取り掛かる」
  • learn [lə́ːrn] : 「学ぶ、知る、分かる」
  • together [təɡéðər] : 「一緒に、共に、同時に」
❖ "Let us undertake ~ "「肉体とエゴから私たちが共に自由になるために、いっしょに、このレッスンを学び始めようではないか」。スピリットであるイエスが、ともにACIMのレッスンを学ぶ必要はないではないか、と言われるかもしれない。確かに、それは正しい。しかし、ACIMでは教えることと学ぶことは同一である。したがって、ここは、あなた方みんなで学ぼう、私が導いてあげるから、という意味合いが込められていると思えばいい。
余談になるが、完全で完璧な神は、しかし、我々が生きているこの時間のディメンションにおいては、まだ完成されてはいないとACIMは言う。キリスト教徒にとっては受け入れがたい発言であろうが、神の子全体が幻想から実相に目覚め、天の王国に回帰し、神とホーリー・スピリットと神の子の三位が融合し一体となったとき初めて、神は完成されると説く。同じ道筋で論ずるなら、スピリットであるイエスも完成の途上にあるわけだ。神の子である我々とともに、教え、学ぶことは、イエスにとっても絶対必要なのだ。
さらに、蛇足になるが、三位の一体化による神の完成は、すでに成就している。完成への途上にあると言うのは、我々が生きているこの時間のディメンションにおける話しであって、無時間の実相世界ではすべてが完結している。神の子は夢の中で時間をでっち上げ、すでに起きたことを時間を軸に追体験しているだけなのだ。



I need devoted teachers who share my aim of healing the mind. Spirit is far beyond the need of your protection or mine. 
  • devoted [divóutid] : 「専念した、献身的な」
  • share [ʃέər] : 「分かち合う、共有する」
  • aim [éim] : 「目標、目的」
  • beyond [bijάnd] : 「〜を越えて、〜を過ぎて」
  • need [níːd] : 「必要、必要性」
  • protection [prətékʃən] : 「保護、擁護、防御」
❖ "I need devoted ~ "「心をヒーリングするという私の目的を分かち合える献身的な教師を私は必要としている」。つまり、あなたにその役割を担ってほしいということ。"Spirit is far ~ "「スピリットは、あなたの保護や私の保護の必要性からはるかに超越している」。あなたがすでにスピリットなら、エゴに対する何の保護も必要ない。しかし、エゴの支配を受けているあなただからこそ、生徒となったり教師となったり、学んだり教え合ったり必要がある。心をヒーリングする目的を分かち合うのだ。



Remember this: 

        In this world you need not have tribulation 
        because I have overcome the world.
        That is why you should be of good cheer.
  • remember [rimémbər] : 「〜を覚えている、〜を思い出す」
  • tribulation [trìbjuléiʃən] : 「苦痛、苦難、試練、辛苦」
  • overcome [òuvərkʌ́m] : 「克服する、打ち勝つ」
  • cheer [tʃíər] : 「歓声、声援、元気づけ」
  • good cheer : 「元気、上機嫌」
  • be of good cheer : 「元気でいる」
❖ "Remember this"「次のことを心に留め置きなさい」。"In this world ~ "「あなたは、この世界で苦しむ必要などない」。"because I have ~ "「なぜなら、私はこの世界に勝利したのだから」。"That is why you ~ "「だから、あなた方は元気でいなければならないのだ」。イエスはこの世界に勝利した。つまり、幻想から目覚めエゴに勝利した。スピリットになったのだ。そのイエスがあなたを保護しヒーリングしてくれるのだから、あなたはもうこの世で苦しむ必要はない。元気はつらつ生きて行けばいい。顔を上げ、笑顔で生きて行けばいい。
なお、"I have overcome the world"はヨハネの福音書16:33からの引用である。参考までに載せておく。

[John 16:32 ~ 33 from King James Bible]
Behold, the hour cometh, yea, is now come, that ye shall be scattered, every man to his own, and shall leave me alone: and yet I am not alone, because the Father is with me. These things I have spoken unto you, that in me ye might have peace. In the world ye shall have tribulation: but be of good cheer; I have overcome the world.
だが、あなたがたが散らされて自分の家に帰ってしまい、わたしをひとりきりにする時が来る。いや、既に来ている。しかし、わたしはひとりではない。父が、共にいてくださるからだ。 これらのことを話したのは、あなたがたがわたしによって平和を得るためである。あなたがたには世で苦難がある。しかし、勇気を出しなさい。わたしは既に世に勝っている。(新共同訳)

お気づきと思うが、ヨハネの『あなたがたには世で苦難がある』をイエスは『この世界で苦しむ必要などない』と書き換えている。書き換えの意味は深い。
 
 
 



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