●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-4.III.4:1 ~ T-4.III.5:5

4. You who identify with your ego cannot believe God loves you. You do not love what you made, and what you made does not love you. 

  • identify[aidéntəfài] with :「〜と同一であると見なす」
❖ "You who identify ~ "「(自分が)エゴと同一であると見なすあなたは、神があなたを愛していると信じることが出来ない」。"You do not ~ "「あなたはあなたが造ったものを愛さないし、あなたが造ったものはあなたを愛さない」。理由は次の文。



Being made out of the denial of the Father, the ego has no allegiance to its maker. 
  • denial [dináiəl] : 「否定、拒否、拒絶」
  • allegiance [əlíːdʒəns] : 「忠誠、忠実」
❖ "Being made out ~ "分詞構文、理由、「父なる神の否定から造られたから、エゴはそれを造ったものに対して忠誠心をもっていない」。神から分離した我々の心がエゴを造った。したがって、エゴは我々に対して忠誠心をもっていない。愛の否定からエゴを作ったのだから、エゴがあなたを愛するわけがないし、あなたもエゴを愛するわけがない。



You cannot conceive of the real relationship that exists between God and his creations because of your hatred for the self you made. 
  • conceive [kənsíːv] : 「思い付く、想像する」
  • conceive of : 「〜を考え出す、〜を思い描く」
  • relationship [riléiʃnʃìp] : 「関係、結び付き」
  • exist [igzíst] : 「存在する、生きている」
  • between [bitwíːn] A and B: 「AとBとの間に」
  • creation [kriéiʃən]: 「創造、創作、創作物」
  • hatred [héitrid] : 「強い嫌悪、憎しみ、憎悪」
❖ "You cannot conceive~ "「あなたは、神と神が創造したものの間に存在する真の関係を思い描くことが出来ない」。神が愛の延長上に神の子を創造したことをあなたは知らない。神と神の子の愛の関係性を知らない。"because of ~ "「あなたが造った自分というものに対する嫌悪ゆえに」。あなたはエゴを信奉しているが、嫌悪感をもって支配されているだけだ。自己嫌悪している者が神に愛されているなんて想像も出来ない。なお、"the self you made"は、あなたが造った自分像と考えてもいいし、エゴそのものととらえてもいい。どちらも同一である。



You project onto the ego the decision to separate, and this conflicts with the love you feel for the ego because you made it. 
  • project [prədʒékt] : 「〜を投影する、投射する」
  • decision [disíʒən] : 「決定、決意、決心」
  • separate [sépərət] : 「分離する、引き離す」
  • conflict [kənflíkt] : 「衝突する、争う、対立する」
❖ "You project onto ~ "「あなたは(神から)分離するという決定をエゴの上に投影している」。"and this conflicts ~ "「そして、このことが、あなたがエゴを造ったのであなたがエゴに感じる愛と矛盾を引き起こす」。前文で、あなたは自分自身(エゴ)を嫌悪していると述べられており、ここではあなたはエゴを愛していると述べている。一見、矛盾のように感じられるが、それが"conflict"なのだと理解すればいい。あなたはエゴを憎みつつ愛しており、愛していながら憎んでいる。また、4段落の最初の文で"You do not love what you made"と言っており、ここでは"the love you feel for the ego because you made it"と言っているのも、文章が破綻しているのではなく、同じ理由による。この両面価値としてのエゴは、神からの分離を罪悪と感じる神の子の無意識が造り上げたもので、それを"project"「投影」と呼んでいるのだ。
くどくなるが、まとめてみよう。昔々、神の子は、ひょっとして自分は神なしで神のように生きていけるのではないかと思った。なぜなら、神の子は神の創造物であり、神の能力をすべて受け継いでいるからだ。神なしで生きていけると思った瞬間、神の子は神から分離した。ところが、分離した瞬間、神の子の心は、神からの分離に対する罪悪感を感じた。神への裏切りという罪の意識である。結果、神の子はこの罪悪感と対峙して生きていかなくてはならなくなった。そこで、神の子は神に代わる権力者としてエゴを造り出した。そして、このエゴの上に、神からの分離よる罪悪感を投影した。つまり、神の子が処理しかねる罪悪感をエゴに丸投げしたのだ。これで、一件落着に思えたが、しかし、罪そのものが消滅したわけでもなく、ごまかしの中に沈んだ心は自己矛盾を引き起こす。神の子のコンフリクトは深淵であり、エゴを愛し、エゴを憎むという矛盾した構図は消えないのである。



No love in this world is without this ambivalence, and since no ego has experienced love without ambivalence the concept is beyond its understanding. 
  • ambivalence [æmbívələns] : 「両面性、両面価値」
  • experience [ikspíəriəns] : 「〜を経験する、〜を体験する」
  • concept [kɑ́nsept] : 「概念、観念、考え方」
❖ "No love in ~ "「この世界の愛で、この種の両面価値をもたないものなどない」。"and since no ~ "「そして、いかなるエゴも両面性のない愛を経験したことがないので、愛という概念はエゴの理解を越えている」。実相世界が一元論世界であるのに対して、この世界は二元論世界である。神からの分離を象徴して偽創造された世界だからだ。愛は憎悪という対極概念を持つことになる。したがって、エゴは一元論の純粋な愛を知らないし、理解出来ない。




Love will enter immediately into any mind that truly wants it, but it must want it truly. 
  • enter [éntər] : 「〜に入る、〜に参加する」
  • immediately [imíːdiətli] : 「すぐに、すぐさま、即座に」
  • truly [trúːli] : 「全く、本当に、真に」
❖ "Love will enter ~ "「愛は、愛を本当に求める心にすぐにでも入り込むであろう」"but it must ~ "「ただし、心が本当にそれを望まなくてはならない」。神は何事も強制しない。あなたの自由意志による自由選択を最優先する。あなたが純粋な愛を望まない限り、神は真実の愛を明かさない。



This means that it wants it without ambivalence, and this kind of wanting is wholly without the ego's "drive to get."
  • wholly [hóulli] : 「完全に、全く、全体として、全体的に」
  • drive [dráiv] : 「意欲、活力、やる気、動因」
❖ "This means that ~ "「これが意味するのは、心が両面性のない愛を欲する、ということである」。"and this kind ~ "「この種の欲求は完全に、エゴのもつ『手に入れたいという欲動』を含んでいてはいけない」。エゴは、愛は奪うもの、支配するものと考えている。エゴの思考システムでは『得るために奪え』である。こんなエゴの思考が入り込んだ状態で、本当の愛を求めても無駄である。



5. There is a kind of experience so different from anything the ego can offer that you will never want to cover or hide it again.
  • a kind of : 「〜のような人、〜のような物」
  • experience [ikspíəriəns] : 「経験、体験」
  • different [dífərənt] : 「違っている、異なる」
  • offer [ɔ́fər] : 「差し出す、捧げる」
  • cover [kʌ́vər] : 「隠す、ごまかす」
  • hide [háid] : 「隠す、隠蔽する」
❖ "There is a ~ "「エゴが提供するものとあまりに違うので、再びそれを覆ったり隠したりしたくないような経験をすることになる」。憎悪や嫌悪で汚された愛ばかりを経験してきているので、純粋な愛を知れば、二度と元に戻りたいなどと思わなくなる。真実の愛を覆い隠すような愚行に走ることはない。



It is necessary to repeat that your belief in darkness and hiding is why the light cannot enter. 
  • necessary [nésəsèri] : 「 必要な、必須の」
  • repeat [ripíːt] : 「〜を繰り返す、〜を繰り返して言う」
  • darkness [dάːrknis] : 「暗がり、暗闇」
  • hiding [háidiŋ] : 「隠すこと、隠蔽」
  • enter [éntər] : 「〜に入る、〜に立ち入る」
❖ "It is necessary ~ "「あなたが暗闇や隠蔽を信じていることが、光が入ってこれない理由であると、繰り返し述べることは必要である」。闇を信じる心が光を遮っている。幻想を信じる心が、真実の光を遮蔽している。



The Bible gives many references to the immeasurable gifts which are for you, but for which you must ask. 
  • reference [réfərəns] to : 「 〜への言及」
  • immeasurable [iméʒərəbl] : 「計り知れない、無限の」
  • ask for : 「 〜を求める、〜を要求する」
❖ "The Bible gives ~ "「聖書には、あなたに向けられた計り知れないほど(すばらしい)贈り物についての多くの言及がある」。"but for which ~ "「しかし、それは、あなたが(自分から)求めなければならない贈り物なのだ」。愛に限らず、真実は棚ぼた式に授かるものではない。『求めよさらば与えられん(マタイ福音書7章)』である。



This is not a condition as the ego sets conditions. It is the glorious condition of what you are.
  • condition [kəndíʃən] : 「事情、条件、状態、状況」
  • glorious [glɔ́ːriəs] : 「輝かしい、壮大な、壮麗な」
❖ 聖書に書かれた贈り物を自ら求めるという状況は、"This is not ~ "「エゴがセットした状況ではない」。"It is the ~ "「それは、あなたそのものの、輝かしい状況なのである」。聖書に書かれた贈り物を求めるあなたは、あるいは真実の光を求めるあなたは、決してエゴ的状況にいるあなたなのではなく、それはあなたの本性そのものであって、輝かしく楽しい本当のあなたの姿なのだ。
 
 
 



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