●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-5.I.4:1 ~ T-5.I.4:10

4. The Holy Spirit is the only part of the Holy Trinity that has a symbolic function. He is referred to as the Healer, the Comforter and the Guide. 
  • Holy Trinity [trínəti] : 「三位一体」
  • symbolic [simbɑ́lik] : 「象徴する、象徴的な」
  • function [fʌ́ŋkʃən] : 「機能、作用、役割」
  • refer [rifə́ːr] to : 「〜に言及する」
  • healer [híːlər] : 「治療する人、治療者」
  • comforter [kʌ́mfərtər] : 「慰める人」
  • guide [gáid] : 「案内人、案内者」
❖ "The Holy Spirit is ~ "「ホーリー・スピリットは、三位一体の中で象徴的な役割をもつ唯一の部分である」。"He is referred ~ "「ホーリー・スピリットはヒーラーであり、カンファターであり、ガイドであると言われる」。神は神の愛の延長上に神の子を創造した。これは愛の拡張であって、神と神の子は本来一体である。神の子が神から分離し、苦と痛みの幻想世界を偽創造したとき、神はホーリー・スピリットを神の子の心の中に遣わした。幻想に苦しむ神の子を、ホーリー・スピリットを通して助けるためである。
ところで、神の子もホーリー・スピリットも、神の愛の延長上に創造されたものであるから、そのソース(源)は神自身であって、本来三者は一体である。純粋一元論世界である実相世界にあっては、したがって、三位一体は自然な姿である。その中にあって、ホーリー・スピリットは、実相世界に住む神と幻想世界に住む神の子の間を結ぶメッセンジャーの役割を担っており、それを"symbolic function"「象徴的な役割」と表現している。象徴的なということは、ここでは具体的なということ。つまり、神の子の苦と痛みを癒やす者であり、神の愛をもって慰める者であり、神への回帰を案内する者である。



He is also described as something "separate," apart from the Father and from the Son. 
  • describe [diskráib] : 「〜を表現する、述べる」
  • apart from : 「〜から離れて、〜は別として」
❖ "He is also ~ "「ホーリー・スピリットは、〜から『分離した』ものとして表現されることもある」。"apart from ~ "「父なる神から、そして子なるキリストから」分離したものとして表現されることもある。ホーリー・スピリットは神の使者という具体的な役割を担っているので、この世界に住む人間から見れば、あたかも神とも人間とも異なる存在に見える。しかし、三位一体という言葉が示すように、ホーリー・スピリットは神からも神の子からも分離してはいない。



I myself said, "If I go I will send you another Comforter and he will abide with you. "
  • abide [əbáid] : 「とどまる、居住する」
  • abide with : 「〜と一緒にいる、〜の下にとどまる」
❖ "I myself said~ "「私自身、『もし、私が去っても、私はまた別のカンファターをあなたに送ろう。そうすれば、彼はあなたと一緒にとどまるだろう』と言った」。イエスは純粋なスピリットとしてこの世を去った。しかし、神の下へ回帰したイエスは、神の子の救いのために、いわばホーリー・スピリットの長としてとしてこの世に立ち戻った。イメージ的には、イエスは人々の心の中に宿るそれぞれのホーリー・スピリットを統括するボス的なホーリー・スピリットだと理解すればいいだろうか。ところで、ここの聖書の言葉は、ヨハネの福音書14:16に書かれたものに近い。参考までに載せておく。

[John 14:15~14:17 from King James Bible]
If ye love me, keep my commandments.And I will pray the Father, and he shall give you another Comforter, that he may abide with you for ever; Even the Spirit of truth; whom the world cannot receive, because it seeth him not, neither knoweth him: but ye know him; for he dwelleth with you, and shall be in you.
あなたがたは、わたしを愛しているならば、わたしの掟を守る。わたしは父にお願いしよう。父は別の弁護者を遣わして、永遠にあなたがたと一緒にいるようにしてくださる。この方は、真理の霊である。世は、この霊を見ようとも知ろうともしないので、受け入れることができない。しかし、あなたがたはこの霊を知っている。この霊があなたがたと共におり、これからも、あなたがたの内にいるからである。(新共同訳)



His symbolic function makes the Holy Spirit difficult to understand, because symbolism is open to different interpretations. 
  • difficult [dífikʌ̀lt] : 「難しい、困難な、難解な」
  • symbolism [símbəlìzm] : 「象徴主義、象徴するもの、象徴化」
  • be open to : 「受けやすい」
  • different [dífərənt] : 「相違する、違っている、異なる」
  • interpretation [intə̀ːrprətéiʃən] : 「解釈、説明、解説」
❖ "His symbolic function ~ "「ホーリー・スピリットの象徴的な役割は、ホーリー・スピリットを理解しがたいものにしている」。"because symbolism ~ "「なぜなら、象徴的意味は異なった解釈を受けやすいからだ」。象徴的役割とは、具体的な機能を象徴したものだから"Healer"、"Comforter"、"Guide"の3つ。たとえば、ホーリー・スピリットはヒーラーという象徴的な役割をもつが、さて、ヒーラーとは肉体的な病を治す者なのか、精神的な心の歪みを直す者なのか、人によって解釈が違ってくる。また、ホーリー・スピリットは人を幸せに導くガイド役を担っているが、さて、物質的な豊かさに導くガイドなのか精神的な目覚めに導くガイドなのか、これまた人それぞれの解釈による。



As a man and also one of God's creations, my right thinking, which came from the Holy Spirit or the Universal Inspiration, taught me first and foremost that this Inspiration is for all. 
  • universal [jùːnəvə́ːrsl] : 「普遍的な、全体の、全宇宙の」
  • inspiration [ìnspəréiʃən] : 「霊感、啓示、創造性」
  • first and foremost [fɔ́ːrmòust]: 「真っ先に、何よりもまず」
❖ "As a man ~ "「人間として、また、神によって創造されたものとして、私の正しい思考は、」"which came from ~ "「それはホーリー・スピリット、あるいは普遍的インスピレーションからやって来たものであるが、」"taught me first ~ "「私に何よりもまずthat以下を教えた」。"that this Inspiration ~ "「この普遍的インスピレーションは万人のためのものである」と教えた。ここの"Universal Inspiration"は解釈に苦しむ言葉であるが、『普遍的インスピレーション』『宇宙的霊感』『普遍的創造性』等々のこと。実相的な叡智(Knowledge)による『直覚』『悟り』、あるいは『スピリットによるひらめき』、仏教で言うところの『般若』等々のこと。その叡智は誰にも備わっているのだと、イエスは教える。



I could not have It myself without knowing this. The word "know" is proper in this context, because the Holy Spirit is so close to knowledge that he calls it forth; or better, allows it to come. 
  • proper [prɑ́pər] : 「適した、適切な、妥当な」
  • in this context [kάntekst] : 「このような文脈において」
  • knowledge [nɑ́lidʒ] : 「知識、認識、知恵」
  • call forth : 「〜を生じさせる、〜を引き出す」
  • allow [əláu] :「〜を許す、許可する」
❖ "I could not ~ "「これを知らないでは、私は自分でそれをもつことはできなかった」。普遍的インスピレーションが万人のためのものだと知らなかったら、その普遍的インスピレーションをもつことはできなかった。"The word ~ "「この文脈では、『知る』という言葉が適切だ」。"because the ~ " ここは"so ~ that ~ "の構文、「ホーリー・スピリットはあまりに叡智に近いので、ホーリー・スピリットは叡智を呼び起こす」。"or better, allows ~ "「あるいは、もっといい表現をすれば、叡智がやって来るのを許すのである」。知覚をヴィジョンへと修正し、幻想から実相へと目覚めれば、真実の総体である叡智が見えて来る。その叡智を備えた実体がホーリー・スピリットであり、叡智に至った者はスピリットしてホーリー・スピリットと一体になるのである。



I have spoken before of the higher or "true" perception, which is so near to truth that God himself can flow across the little gap. 
  • speak of : 「〜を口にする、〜のことを話す」
  • perception [pərsépʃən] : 「知見、見識、感じ方」
  • flow [flóu] : 「流れる、満ちる」
❖ "I have spoken ~ "「私は以前、より高次の、あるいは『正しい』知覚について話しをした」。正しい知覚とは、ヴィジョンのこと。幻想を実在と感じてしまう知覚が修正され、真実を見極める力をもつに至った視力がヴィジョンである。"which is so ~ "ここも"so ~ that ~ "の構文、「それはあまりにも真実に近いので、神自らがその小さなギャップを満たすことができる」。より高次の、正しい知覚(ヴィジョン)は、まだ叡智に到達できてはいないが、もう少しの所まで来ている。そのもう少しのギャップを神が埋めてくれるのである。"flow across"とあるので、イメージ的には、神の息吹が靄や霧のように、小さなギャップという谷間を埋めていく感じ。もちろん、神自らがギャップを埋めるのではなく、ホーリー・スピリットがその代役を務めるわけだ。



Knowledge is always ready to flow everywhere, but it cannot oppose. Therefore you can obstruct it, although you can never lose it.
  • oppose [əpóuz] : 「反対する、反抗する、対抗する」
  • obstruct [əbstrʌ́kt] : 「〜に障害物を置く、〜を妨害する」
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する」
❖ "Knowledge is ~ "「叡智は、いつでも、どこへでも流れ出ていく準備が出来ているが、叡智は抵抗することは出来ない」。叡智は、例えれば水や空気のようなもの。実相世界は叡智で満たされている。"Therefore you ~ "「したがって、あなたは叡智を妨害することが出来る」。あなたは自由意志をもって、叡智を招き入れることも、それを拒絶することも出来る。"although you ~ "「しかし、叡智を失うことは決して出来ない」。叡智は神の属性であり、そのすべてを継承した神の子は生来的に叡智をもっている。叡智を無視し、叡智を忘れ、あたかも叡智をもっていないフリは出来るが、叡智を失うことは神の子には出来ない。
 
 
 



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