●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-7.II.5:1 ~ T-7.II.6:8

5. The Holy Spirit's purpose in translating is exactly the opposite. He translates only to preserve the original meaning in all respects and in all languages. 
  • exactly [igzǽktli] : 「正確に、厳密に」
  • opposite [ɑ́pəzit] : 「正反対の、逆の、対照的な」
  • preserve [prizə́ːrv] : 「〜を保つ、保存する」
  • in all respects : 「あらゆる点で、すべての点で」
❖ "The Holy Spirit's purpose ~ "「翻訳におけるホーリー・スピリットの目的は、まったく正反対である」。"He translates only ~ "「ホーリー・スピリットは、あらゆる点で、またすべての言語において、オリジナルな意味を保持するために翻訳する」。ホーリー・スピリットは、神の意志をオリジナルなままに翻訳して、私達に伝えてくれる。



Therefore, he opposes the idea that differences in form are meaningful, emphasizing always that these differences do not matter. 
  • oppose [əpóuz] : 「反対する、対抗する」
  • difference [dífərəns] : 「違い、差異、相違」
  • meaningful [míːniŋfəl] : 「意味のある、重要な」
  • emphasize [émfəsàiz] : 「〜を強調する、力説する」
  • matter [mǽtər] : 「重要である、重要になる」
❖ "Therefore, he opposes ~ "「したがって、ホーリー・スピリットはthat以下の考えに反対する」。"that differences in ~ "「表現の形式の違いには意味がある」という考えに反対する。"emphasizing always that ~ "分詞構文、単純接続、「そして、ホーリー・スピリットはいつもthat以下を強調する」。"that these differences ~ "「これらの違いは重要でない」と強調する。簡単に言うと、表現が上手であろうと下手であろうと、そんなうわべはは重要ではなく、神の意志の内容を正しく伝えることが重要なのだ、ということ。



The meaning of his message is always the same; only the meaning matters. God's law of creation does not involve the use of truth to convince his Sons of truth. 
  • message [mésidʒ] : 「伝言、メッセージ」
  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義」
  • matter [mǽtər] : 「重要である、重要になる」
  • involve [invɑ́lv] : 「〜を含む、伴う」
  • involve the use of : 「〜の使用を含む」
  • convince [kənvíns] : 「確信させる、納得させる」
  • convince A of B : 「AにBを納得させる、AにBを確信させる」
❖ "The meaning of ~ "「ホーリー・スピリットのメッセージの意味はいつも同じである」。"only the meaning ~ "「つまり、意味だけが重要だ、ということだ」。"God's law of ~ "「神の、創造の法則は、神の子に真実を納得させるために真実を使用することは含んでいない」。真実は永遠不変に存在するだけだ。それを確信するのは心の叡知だけであって、教えたり教えられたりするものではない。真実は真実を教えることに無関心である。神の、創造の法則には、真実の利用法などの規定は何もない。そもそも、真実を利用するということ自体が不自然なのだ。
 ホーリー・スピリットは、その叡智に至る方法を教える。叡智自体を教えるのではない。ならば、このACIMは真実ではないのか、というと、そういう意味ではない。叡智は言葉で表現できるものではない。ACIMは言葉で語られているので、その表面だけをなぞって学んでも叡智自体を学んだことにはならないのだ。ACIMの表面的な言葉の奥に潜入し、その内容を知って実践し、叡智に至る道を歩んで行くのである。ACIMは叡智に目覚めるための奇跡を教えるコースである。あるいは、奇跡を教えるコースに過ぎない。ACIMを読んで学んだからといって、奇跡が手に入るというものではない。泳げない者が、水泳の教本を読んだだけで泳げるようになれるわけがないのと同じだ。学んだことを、実際に水に入って実践して練習を積まなくてはいけない。ACIMも同様である。



The extension of truth, which is the law of the Kingdom, rests only on the knowledge of what truth is. 
  • extension [iksténʃən] : 「拡張、伸長、延長」
  • rest on : 「〜に基礎を置く、〜にある」
❖ "The extension of ~ "「真実の拡張は、それこそが王国の法則なのだが、真実なるものの叡智の上にのみ、存在する」。真実の拡張とは、真実は分かち合われることで拡張増大してく、ということ。たとえば、愛や喜びは分かち合われることでますます大きくなっていく。この分かち合いは、教えたり教えられたりするものではなく、ましてや金銭のごとくやり取りされるものでもない。真実の拡張の基盤にあるものは、すべての真実を包摂する叡知(knowledge)そのものである。神の法である。永遠不変に真実たる真実の総体、神の叡知に上に、私達の心は愛や喜びや真実を分かち合い、真実を拡張していく。それが、実相的創造であって、新たに独自の真実を作り出すことではない。



This is your inheritance and requires no learning at all, but when you disinherited yourself you became a learner of necessity.
  • inheritance [inhérətəns] : 「継承、受け継いだもの」
  • require [rikwáiər] : 「〜を必要とする、求める」
  • learning [lə́ːrniŋ] : 「習うこと、学ぶこと」
  • at all : 「全く〜ない、全然〜ない」
  • disinherit [dìsənhérət] : 「相続権を奪う」
  • necessity [nəsésəti] : 「必要、不可欠」
  • of necessity : 「必要に迫られて、必然的に」
❖ "This is your ~ "「これはあなたが受け継いだものであり、まったく学ぶ必要がないものだ」。これとは、叡智そのもの。"but when you ~ "「しかし、あなたが受け継ぐことを拒否したならば、」"you became a learner ~ "「あなたは、必要に迫られて学ぶ者となる」。この世界で苦しむ私達はまさに受け継ぐことを拒否した状態にいるわけだ。だから、学ばなくてはならない。叡智に至る道、すなわち、私達は真実のすべてを神から継承しているのだという事実を学ぶのである。神の子が神から分離するとき、神の子は叡智を神に投げ返してしまった(と思い込んだ)。しかし、それは夢の中の出来事であって、神の子は単に叡智を忘れているだけだ。それを、思い出すのである。



6. No one questions the connection of learning and memory. Learning is impossible without memory since it must be consistent to be remembered. 
  • question [kwéstʃən] : 「〜を疑問に思う」
  • connection [kənékʃən] : 「つながり、連結、関連」
  • memory [méməri] : 「記憶力、記銘力、想起力」
  • impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、とてもあり得ない」
  • consistent [kənsístənt] : 「一致した、一貫性のある、矛盾しない」
  • remember [rimémbər] : 「〜を覚えている、記憶している」
❖ "No one questions ~ "「学びと記憶の関係について疑問を呈するものは誰もいないだろう」。"Learning is impossible ~ "「学習は記憶なしでは成り立たない」。"since it must ~ "「なぜなら、学習は思い出されるためには一貫していなければならないからだ」。ある時は白と学び、またある時は黒と学んでしまったなら、それを思い出すとき、白なのか黒なのか分からなくなってしまう。相反することを学び、相反することを記憶している限り、心は混乱するだけだ。エゴの教えとホーリー・スピリットの教えを念頭に置いておくこと。



That is why the Holy Spirit's teaching is a lesson in remembering. I said before that he teaches remembering and forgetting, but the forgetting is only to make the remembering consistent. 
  • forget [fərgét] : 「〜を忘れる、見落とす」
❖ "That is why ~ "「それは、ホーリー・スピリットの教えは思い出すことのレッスンである理由である」。学ぶためには思い出さなくてはいけない。したがって、ホーリー・スピリットのレッスンは、思い出すことに重点が置かれる。ホーリー・スピリットのレッスンは、神から継承した叡智を思い出すための道のりを教えるものである。"I said before ~ "「私は以前that以下を言った」。"that he teaches ~ "「ホーリー・スピリットは、思い出すことと忘れることを教える」と言った。"but the forgetting  ~ "「しかし、忘れるということは、思い出すことに一貫性をもたせるためにだけなされる」とも言った。大切なことを思い出すために、大切でない瑣末を忘れるのである。叡智に至るには、取るに足らないエゴの教えを捨てなくてはいけない。



You forget in order to remember better. You will not understand his translations while you listen to two ways of interpreting them. 
  • in order to : 「〜するために」
  • interpret [intə́ːrprət] : 「解釈する、解明する」
❖ "You forget in ~ "「あなたは、より良く思い出すために忘れるのだ」。"You will not ~ "「あなたは、〜する間は、ホーリー・スピリットの翻訳を理解できないであろう」。"while you listen ~ "「あなたが二つの解釈のし方に耳を貸している間は」ホーリー・スピリットの翻訳を理解できないであろう。ホーリー・スピリットの翻訳に加えて、エゴの翻訳にも耳を傾けている限り、心がコンフリクトを起こして、ホーリー・スピリットの翻訳が理解できない。そこで、エゴの翻訳を忘れ、ホーリー・スピリットの翻訳に集中する。それが、叡智を思い出す道につながっていく。



Therefore you must forget or relinquish one to understand the other. This is the only way you can learn consistency, so that you can finally be consistent.
  • relinquish [rilíŋkwiʃ] : 「放棄する、手放す」
  • consistency [kənsístənsi] : 「一貫性、整合性」
  • finally [fáinəli] : 「ついに、最後に、最終的に」
❖ "Therefore you must ~ "「したがって、あなたは、一方を理解するために、他方を忘れ、あるいは放棄しなくてはならない」。もちろん、エゴの解釈を放棄し、ホーリー・スピリットの解釈を採用しなくてはならない。"This is the only ~ "「これこそが、一貫性を学べる唯一の方法である」。"so that you can ~ "「そうしてこそ、あなたは最後には一貫性を持つことができる」。一貫性の問題はURTEXで詳しく論じられている。もし、ホーリー・スピリットの思考システムを捨て、エゴの思考システムを採用したとしても、エゴの思考システムに準じた一貫性は保つことが出来る。しかし、問題はそれが正当性(validity)をもつかどうかどうかである。本文の一貫性は、したがって、正当性に裏打ちされた一貫性ととらえるべきだ。






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