●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-9.I.13:1 ~ T-9.I.14:7

13. God in his devotion to you created you devoted to everything, and gave you what you are devoted to. 
  • devotion [divóuʃən] : 「献身的愛情、無私の愛」
  • devoted [divóutid] : 「専念した、献身的な、愛情深い」
❖ "God in his ~ "「神は、あなたに神自身を捧げる中で、あなたがあなたをすべてに捧げられるように創造した」。" and gave you ~ "「そして、あなたが自分を捧げることが出来るものを、あなたに与えた」。"devotion"を"love"に置き換えると意味が通じやすいだろう。「神は、あなたを愛する中で、あなたがすべてを愛せるように創造し、あなたが愛するものをあなたに与えた」となる。



Otherwise you would not have been created perfect. Reality is everything, and you have everything because you are real. 
  • otherwise [ʌ́ðərwàiz] : 「さもなければ、そうしないと」
  • perfect [pə́ːrfikt] : 「完璧な、完全な」
❖ "Otherwise you ~ "「さもなければ、あなたは完全には創造されなかったであろう」。愛なき者として創造されたのなら、あなたは完全とは言えない。"Reality is everything ~ "「実相とはすべてのことであり、あなたは実在しているので、すべてをもっている」。実相とは神の世界そのものである。幻想のこの世界とは無縁である。実相である神の世界は、すべてのものが一(いつ)なるものへ収斂(しゅうれん)する。それが"God is(神あり)"の世界である。つまり、実相の世界は不二一元、完全一元論の世界であり、実相は一つだと主張しても、実相はすべてだと主張してもどちらも正しい。したがって、実相に住むあなたは実相のすべてであり、実相のすべてをもっていると言っても正しい。逆に、実相があなたをもっていると言っても正しい。あなたの中に世界があると言っても、あなたが世界だと言っても、どちらも実相の世界では正しい。神の実相の世界は時間と空間を超越した世界であるが、数そのものを越えた世界であると言ってもいいだろう。なぜなら、不二一元、完全一元であるなら、いったい数に意味があるだろうか。



You cannot make the unreal because the absence of reality is fearful, and fear cannot be created. 
  • unreal [ʌnríəl] : 「実在しない、非現実的な」
  • absence [ǽbsəns] : 「不足、欠如、不在守」
  • reality [riǽləti] : 「現実、実在、現実のこと」
  • fearful [fíərfəl] : 「恐ろしい、おびえている」
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖、懸念」
❖ "You cannot make ~ "「あなたは非実在的なものを作ることは出来ない」。"because the absence ~ "「なぜなら、実相の欠如は恐ろしく、また、恐れは創造できないからである」。難解である。この文章は、実相の世界に立って物事を見ている。実相の世界は、喜び、愛、慈悲、歓喜、思いやり、等々の世界であり、対立概念はない。実相の世界には恐れや憎悪、悲しみ、嫉妬、絶望、攻撃、等々は存在しない。そこで、この文章の論法は、恐れは実相に存在しないという前提から始まり、よって、実相が欠如したところに恐れが現れる(the absence of reality is fearful)と続く。しかし、恐れは実相の欠如であり、実在ではないから、創造によって創られるものではない(fear cannot be created)。よって、あなたは、実相ではない非現実を作ることはできない(You cannot make the unreal)。というような流れになっている。
 では、問題は、この世界やこの肉体は非現実を創造したことではないのか、という疑問である。この世界や肉体は幻想であり、幻覚であって、非現実を創造したことではない、というのが正しい、ということになろう。世界や肉体は夢なのであり、創造とは一切関わりを持たない、という意味だ。非常にややこしいのだが、実相の世界で非現実は創造できない。つまり、実相の世界では誤創造は出来ない。しかし、夢の中で、この世界や肉体を幻覚している。実相の世界から見れば、それは創造でも誤創造でもなく、単なる幻想である。あえて言うなら、夢の中で創造を疑似体験していることになる。たとえば、私達は肉体的な病気を疑似創造し、時間と空間を疑似創造している。しかし、あくまでもそれは創造の疑似体験であり、実相における創造とは完全に無縁である。私達の心は、実相の世界において、誤創造とも疑似創造とも無縁である。実相の世界では真実の拡張という本当の創造しか出来ないのだ。
 簡単に言えば、実相世界では誤創造は出来ず、幻想世界においてのみ、創造を疑似体験する誤創造を行う。夢の中であなたは空を飛ぶことが出来るが、目覚めたあなたが空を飛べるわけではない。



As long as you believe that fear is possible, you will not create. 
  • as long as : 「〜さえすれば、〜する限りは」
❖ "As long as you ~ "「あなたが恐れは可能であると信じている限り、」"you will not ~ "「あなたは、創造することはないだろう」。創造することは出来ない。なぜなら、恐れという非現実を信じているからだ。



Opposing orders of reality make reality meaningless, and reality is meaning.
  • oppose [əpóuz] : 「反対する、反抗する、対抗する」
  • order [ɔ́ːrdər] : 「自然の理法、秩序、道理」
  • make [méik] : 「〜の状態を作り出す、〜にする」
  • meaningless [míːniŋlis] : 「意味のない、価値のない」
❖ "Opposing orders ~ "「実相の秩序に反することは、実相を意味ないものにする」。実相を意味ないものにするとは、実相的真実をベールで覆い隠してしまう、という意味合い。ここの"Opposing orders of reality"は「実相の相反する序列」とも訳せるのだが、実相に対立概念がないことを考えると、ちょっと無理な解釈。実相はすべての真実で構成されている。"and reality is ~ "「そして、実相は意味そのものである」。真実だけが意味があるのであって、それに対抗することは無益である。



14. Remember, then, that God's Will is already possible, and nothing else will ever be. 
  • remember [rimémbər] : 「〜を思い出す、〜を覚えている」
  • already [ɔːlrédi] : 「すでに、とっくに〜済み」
❖ "Remember, then ~ "「そこで、神の意志はすでに可能であり、その他のすべては何ものも可能になることはないであろう、と覚えておきなさい」。神の意志と神の子の意志は同一であると見なすことが出来、どちらも実相の世界で存在する。その意志は意味そのものであり、その意味を創造し現実化する。したがって、ここの文章における"possible"「可能」は、存在可能、創造可能、実現可能、等々の意味にとらえればいいだろう。言葉を補って訳してみると、「そこで、神の意志はすでに存在可能、創造可能なものであり、その他のものは一切存在も創造も出来ないことを覚えておきなさい」となる。あるいは、"possible"「可能」を「すでに決まってしまったこと」ととらえ、「神の意志はすでに決定したことであり、その他のことは今後決定されることはないだろう」と解釈しても、さほど遠くないと思う。



This is the simple acceptance of reality, because only that is real. You cannot distort reality and know what it is. 
  • simple [símpl] : 「簡単な、簡素な、単純な」
  • acceptance [əkséptəns] : 「受け入れること、承認」
  • distort [distɔ́ːrt] : 「〜をゆがめる、歪曲する」
❖ "This is the simple ~ "「これは、実相の簡潔な受け止め方と言える」。神の意志のみが可能であること、つまり、神の意志のみが実相の世界で存在し創造できると受け入れることは、その実相を受け入れる一番簡単な受け入れ方だ、ということ。"because only ~ "「なぜならば、それだけが実在するからだ」。ここまで来ると、実相と神の意志が同義語として重なってくるのがわかる。"You cannot distort ~ "「あなたは、実相を歪めておいて、それが何であるか知ることは出来ない」。実相と神の意志を置き換えてみると、「あなたは、神の意志を歪めておいて、神の意志が何であるか知ることは出来ない」となる。神の意志は神の子の意志でもあるので、「あなたは、あなたの意志を歪めておいて、あなた自身の意志が何であるか知ることは出来ない」となる。



And if you do distort reality you will experience anxiety, depression and ultimately panic, because you are trying to make yourself unreal. 
  • experience [ikspíəriəns] : 「〜を経験する、体験する」
  • anxiety [æŋzáiəti] : 「心配、不安、懸念」
  • depression [dipréʃən] : 「落ち込み、意気消沈」
  • ultimately [ʌ́ltəmətli] : 「結局、最後に、ついに」
  • panic [pǽnik] : 「恐慌、恐怖、パニック」
❖ "And if you do ~ "「そして、もし、あなたが実相を歪めてしまったなら、」"you will experience ~ "「あなたは、不安や意気消沈、そして最後にはパニックを経験してしまうだろう」。"because you are ~ "「なぜなら、あなたはあなた自身を非現実的なものにしようとしているからだ」。不安、意気消沈、パニックは実相の世界には存在しない。もし、それを感じたなら、自分は実相の世界にいないこと、つまり、自分を非現実な(非実相的な)状況に置いていると考えればいい。



When you feel these things, do not try to look beyond yourself for truth, for truth can only be within you. Say, therefore:

    Christ is in me, and where 
    he is God must be, 
    for Christ is part of him.
  • beyond [bijɑ́nd] : 「〜の向こう側に、〜を越えて」
  • within [wiðín] : 「〜の中に、〜の内部に」
  • Christ [kráist] : 「救世主、キリスト」
❖ "When you feel ~ "「あなたがそれらを感じたとき、あなた自身を越えて、真実を探そうとしてはいけない」。"for truth can ~ "「なぜなら、真実はあなたの内にのみあり得るのだから」。"Say, therefore: ~ "「さて、そこで、キリストは私の内にあり、キリストのいるところに神がいる」。"for Christ is ~ "「なぜなら、キリストは神の一部なのだから」。声を出して読んでみよう。イエスの息づかいが感じられただろうか? あなたの外にキリストを求めるのではなく、あなたの心の中に既に住まうキリストを求めなければいけない。






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