●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-11.I.1:1 ~ T-11.I.2:6

I. The Gifts of Fatherhood
父性の贈り物



1. You have learned your need of healing. Would you bring anything else to the Sonship, recognizing your need of healing for yourself? 
  • learn [lə́ːrn] : 「学ぶ、知る、分かる」
  • need [níːd] : 「必要性、必要なもの」
  • bring [bríŋ] : 「〜を持って来る、〜をもたらす」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、受け入れる」
❖ "You have learned ~ "「あなたがヒーリングを必要としていることをあなたは学んだ」。"Would you bring ~ "「あなたはヒーリング以外の何を、神の子にもたらそうとするのか」。"recognizing your ~ "分詞構文、「あなた自身のためにヒーリングが必要であると認めているのに」。あなたも、あなたの同胞も真実に目覚めるという心のヒーリングが必要だ。



For in this lies the beginning of the return to knowledge; the foundation on which God will help build again the thought system you share with him. 
  • lie [lái] : 「ある、存在する」
  • beginning [bigíniŋ] : 「初め、開始、始まり」
  • return [ritə́ːrn] : 「帰郷、帰還」
  • knowledge [nɑ́lidʒ] : 「知識、認識、知恵、知見」
  • foundation [faundéiʃən] : 「土台、礎、基盤、基礎」
  • build [bíld] : 「建てる、建造する、構築する」
  • share in : 「〜を分かち合う、〜を共有する」
❖ "For in this ~ "「なぜなら、このヒーリングが、叡知へ帰還する始まりとなるからだ」。心のヒーリングが自分に必要だと認識することが、叡知へ回帰する第一歩となる。幻想世界における知覚(perception)を修正して(ヒーリングして)、実相世界の叡知(knowledge)にまで高めなくてはならない。その手引きをしてくれるのがホーリー・スピリット。"the foundation on ~ "「それは、あなたが神と分かち合う思考システムを再構築するのを神が手助けしてくれる基礎である」。心がヒーリングされ真実に目覚めることが基礎となって、叡智に基づく思考システムは再構築される。その構築を手助けしてくれるのがホーリー・スピリット(あるいは神)であり、再生された思考システムは神と神の子によって分かち合われる。



Not one stone you place upon it but will be blessed by him, for you will be restoring the holy dwelling place of his son, where he wills his son to be and where he is. 
  • place [pléis] : 「〜を置く、設置する」
  • bless [blés] : 「〜を祝福する、〜に感謝する」
  • restore [ristɔ́ːr] : 「回復させる、修復する」
  • holy [hóuli] : 「神聖な」
  • dwelling [dwéliŋ] : 「住居、居住施設」
  • dwelling place : 「居所、住居」
❖ "Not one stone ~ "「あなたがその基盤の上に置く石はどれ一つとして神によって祝福されないことはない」。"for you will be ~ "「なぜなら、あなたは、神の子の神聖な居場所を修復することになるのであり、」"where he wills ~ "「その場所こそ、神が神の子に居てほしいと思い、また、神がいる場所だからだ」。この場所は、あなたの心の奥底にある神の祭壇が祭られた神聖な場所と考えてもいいし、天の王国そのものととらえてもいい。空間的な隔たりを考える必要はない。実相世界は時空間の存在しない想念の世界だから。



In whatever part of the mind of God's Son you restore this reality, you restore it to yourself. 
  • whatever [hwʌtévər] : 「どんな〜でも」
  • reality [riǽləti] : 「現実、真実、実相」
❖ "In whatever part ~ "「神の子の心のいかなる部分においても、」"you restore this ~ "「あなたは、この実相を修復するのであり、」"you restore it ~ "「あなたは、あなたに対して、それを修復しているのだ」。さて、この訳文だけでは意味は不明だ。ACIMの解釈を困難にしている一因は、神の子が単数扱いされたり複数扱いされたりして、両方の表現が一つの文章の中に混在する場合があることだ。神の子は実相レベルでは単一であり(単数扱い)が、幻想レベルでは神の子が分裂して複数となり(複数扱い)、あなたと同胞が区別された表現となる。心も同様に、実相世界では単一の心(Mind)であるが、幻想世界では心は分裂し、複数扱いとなる。本文の"In whatever part of the mind of God's Son"では、神の子も心も単数扱いされているから、実相の世界での記述である。「単一である神の子の単一の心のいかなる部分においても」とは、幻想の世界から見たとき、多くの神の子のうちの誰かの心においても、という意味合いになる。つまり、あなたの回りの多くの同胞の心を意味しているわけだ。したがって、幻想世界(この世)での記述に直せば、「(あなたと同様の)神の子である同胞の心において、あなたは思考システムの基盤を修復しているのであり、それは同胞のためでもあり、同時にあなた自身の心を修復していることにもなるのだ」となる。



You dwell in the Mind of God with your brother, for God himself did not will to be alone.
  • dwell [dwél] : 「住む、居住する」
  • alone [əlóun] : 「独りで、ただ〜だけで」
❖ "You dwell in ~ "「あなたは、あなたの同胞と共に神の心の中に住んでいる」。"for God himself ~ "「なぜなら、神自身、一人でいることを意志しなかったからだ」。神の心とは天の王国のこと。神は一人でいることを嫌い、神の子を創造した。神は神の子と常に一緒に居ることを望んだ。ここでも、幻想の世界から眺めれば、神の心の中にあなたも同胞も共に住んでいるように見えるのだが、実相の世界から見れば、あなたと同胞は自他一如であって、単一の神の子として神の心に住んでいる。
 誤解のないように言いたいのだが、神は一人でいることを嫌って自分自身を分裂させ、神の子を創造したのではない。神は神の延長上に自己を拡張し、神の子を創造しただけだ。神の子は神の延長であって神から分離され得るものではない。幻想世界から見れば親と子という関係性をもった分離した二人に見えるかもしれないが、実相的には神と神の子は一体であり同体だ。



2. To be alone is to be separated from infinity, but how can this be if infinity has no end? 
  • separate [sépərèit] : 「分ける、分離する」
  • separate from : 「〜から分離する」
  • infinity [infínəti] : 「無限であること、無限性」
  • end [énd] : 「終わり、最後、終焉」
❖ "To be alone ~ "「一人でいることは、無限性から分離していることである」。"but how can ~ "「しかし、もし無限性が終わりのないことなら、どうしてそんなことが可能だろうか」。難解である。神の子は実相世界という永遠無限の世界から自らを引き離し、神から分離して一人になることによって有限な幻想の世界に住むことを選んだ。しかし、それは本当に可能だろうか? 無限に広い領域を想像してみよう。その無限の領域から逃れることは論理的に不可能だ。なぜなら、無限の領域には終わりがないからだ。ちょうど、球面に張り付いた虫が、どんなに進んでも球面から自らを分離させることが出来ないのと同様だ。神の子は神という無限性の中で創造されたのだから、無限性の実相から自らを分離することなど出来ない。神から分離することは不可能なのだ。神から分離し、時間と空間の存在する有限の世界に住んでいる今の私達は、したがって単に夢を見ているに過ぎない。神から分離した幻想を見ているだけだ。



No one can be beyond the limitless, because what has no limits must be everywhere. 
  • beyond [bijɑ́nd] : 「〜の域を越えて、〜を超越して」
  • limitless [límitlis] : 「無限の、果てしなく広い」
  • limit [límit] : 「限度、制限、境界」
❖ "No one can be ~ "「誰も、無限を越えて行くことは出来ない」。"because what has ~ "「なぜなら、いたるところ、限界がないに違いないからだ」。再び、球面に張り付いた虫を思ってみよう。この虫がどんなにもがこうと、どんなに進もうと、果てのない球面を越えて行くことは出来ない。



There are no beginnings and no endings in God, whose universe is himself. 
  • beginning [bigíniŋ] : 「初め、開始、始まり」
  • ending [éndiŋ] : 「終わり、終了、終点」
  • universe [júːnəvə̀ːrs] : 「宇宙、全世界」
❖ "There are no ~ "「神には始めも終わりもない」。" whose universe ~ "「神の宇宙、それは神自体である」。神自体が無限性をもっている。私達は無限の神から創造された神の子なので、無限の神から分離することなど不可能だ。また、時間の存在しない実相世界の神には始まりも終わりもない。それは一瞬の永遠であり、永遠の一瞬である。したがって、私達が神から分離したと思い込み、再び神へ回帰するということも、すべてが始まって、すべてが終わっている。あなたが一歩たりとも神から分離したことなどないというのは、そういうことだ。



Can you exclude yourself from the universe, or from God Who is the universe? 
  • exclude [iksklúːd] : 「〜を排除する、除外する」
❖ "Can you exclude ~ "「あなたは、あなた自身を宇宙から、あるいは、宇宙である神から排除できるだろうか」。神の宇宙は無時間無空間、無制限、無限の宇宙である。あなたは自分を神の宇宙から排除することは出来ない。



I and my Father are one with you, for you are part of Us. Do you really believe that part of God can be missing or lost to him?
  • missing [mísiŋ] : 「紛失した、欠けている」
  • lost [lɔ́st] : 「道に迷った、失った」
  • be lost to : 「〜に失われている、〜のものではない」
❖ "I and my ~ "「私(イエス)と私の父なる神は、あなたと共に一つである」。神と神の子とホーリー・スピリットは三位一体である。分離させられ得るものではない。"for you are ~ "「なぜなら、あなたは私たちの一部なのだから」。神の子もホーリー・スピリットも、神が神の延長上に自らを拡張して創造したものだ。"Do you really ~ "「あなたは、神の一部が欠けたり、神にとって(あなたが)失われたりすることが出来ると本当に信じているのか」。出来ると信じて神から分離した神の子は、そう思い込んでいるだけであって、神からの分離は夢に過ぎない。






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