●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-13.X.2:1 ~ T-13.X.3:7

2. Insane ideas have no real relationships, for that is why they are insane.

  • Insane [inséin] : 「正気でない、精神障害の、非常識な」
  • real [ríː(ə)l] : 「現実の、実際の、本物の、基本的な」
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
❖ "Insane ideas have no ~ "「狂った考えは、現実的な関係性をまったくもたない」。"for that is why they ~ "「なぜなら、関係性を持たないから、それは狂っているのである」。関係性とは、ここでは調和性、協調性と考えていいだろう。癌をイメージしてみればいい。この狂った細胞は、正常な細胞と調和協調することなく独り異常な自己増殖に暴走するわけである。そして自らも含め、真っ直ぐ死に突き進む。罪の意識の置き換えに最適であった肉体的痛みや異常な憎悪、薬物、酒、ギャンブルへの依存、等々も、現実的な生活と調和協調することなく、増殖し暴走する。そして、自ら破壊に突き進むのである。まさに狂っているのだ。



No real relationship can rest on guilt, or even hold one spot of it to mar its purity.
  • rest on : 「〜にある、〜に基礎を置く、〜に頼る」
  • hold [hóuld] : 「維持する、保持する、持続する」
  • spot [spɑ́t] : 「点、斑点、水滴、染み、汚点」
  • mar [mɑ́ː(r)] : 「〜を損なう、〜を傷つける、〜を台無しにする」
  • purity [pjú(ə)rəti] : 「清らかさ、純正、清浄、純粋」
❖ "No real relationship ~ "「現実の関係性は、決して罪の意識の上に安住できない」。"or even hold one spot ~ "「その関係性が一点でも罪の意識を保持していたら、結果、その純粋性を損なうことになるのだ」。"to mar"は不定詞、副詞的用法、結果、とみた。罪の意識があれば、本当の純粋な関係性は構築できない。



For all relationships that guilt has touched are used but to avoid the person and the guilt.
  • touch [tʌ́t∫] : 「に触れる、作用する、影響を与える」
  • avoid [əvɔ́id] : 「避ける、回避する、逃れる、敬遠する」
  • person [pə́ː(r)sn] : 「人、人物、個人」
❖ "For all relationships that ~ "「なぜなら、罪の意識に汚されたすべての関係性は、人と罪を避けるためにだけ利用されるからだ」。人と罪を避けるとはどういうことであろうか? おそらく、関係性が表面的であり、人と人の心の深いつながりが無視された関係のことであろう。心の奥底に罪の意識を隠し持っているので、深入りしたり深入りされることを避けるのである。当然、罪の意識も隠したまま、触れるようなことも触れられるようなこともしない。



What strange relationships you have made for this strange purpose!
  • strange [stréin(d)ʒ] : 「奇妙な、変わった、変な」
  • purpose [pə́ː(r)pəs] : 「目的、意図、狙い、意向」
❖ "What strange relationships ~ "「こんな奇妙な目的のために、あなたは何と奇妙な関係を作ってきたことか」。罪の意識がばれないように適当な距離を保ち、かつ、断絶することも避けて、危うい関係性を保ってきたわけである。



And you forgot that real relationships are holy, and cannot be used by you at all. They are used only by the Holy Spirit, and it is that which makes them pure.
  • forgot [fə(r)gɑ́t] : 「forget の過去・過去分詞形」
  • pure [pjúə(r)] : 「純粋な、混じりけのない、清潔な」
❖ "And you forgot that ~ "「そして、あなたは、現実の関係性は神聖であり、あなたによってその関係性がもたれたことは全くなかったということを忘れていたのだ」。後半部分がくどいのだが、あなたが、神聖な本物の関係性をもったことが一度もなかったことを忘れている、という意味。"They are used only ~ "「神聖な関係性はホーリー・スピリットによってのみ利用される」。"and it is that which ~ "「それが、関係性を純粋にするのである」。神聖な関係性はホーリー・スピリットの利用するものであって、神の子としてのあなたと、神の子としての同胞、ホーリー・スピリット、キリスト、神自身、等々との関係を言っているわけだ。



If you pre-empt for your own ends what you should have given him, he cannot use it for your release.
  • preempt [priém(p)t] : 「先取りする、無効にする、回避する」
  • end [énd] : 「目的、目標、目当て、目途」
  • release [rilíːs] : 「解放、解き放すこと、解除」
❖ "If you pre-empt for ~ "「もしあなたが、あなたがホーリー・スピリットに与えるべきであったものを、あなたの目的のために回避するのであれば、」"he cannot use it ~ "「ホーリー・スピリットは、神聖な関係性をあなたの解放のために利用できなくなってしまう」。本当は、あなたは、ホーリー・スピリットの導きに従うという神聖な師弟関係を築かなくてはならないのに、罪の意識を隠し通そうというあなたの目的のために、その関係を回避してきた。その結果、ホーリー・スピリットは、神聖な師弟関係を通してあなたを罪の意識から解放することが出来ないのである。



No one who would unite in any way with anyone for his individual salvation will find it in that strange relationship. It is not shared, and so it is not real.
  • unite [junáit] : 「結合する、一体となる、一体化する」
  • unite with : 「〜と一緒になる、〜と結合する、〜と合体する」
  • in any way : 「何らか、多少なりとも、形はどうあれ」
  • individual [ìndəvídʒu(ə)l] : 「個人の、個人的な、個性的な」
  • salvation [sælvéi∫n] : 「救出、救済、救い、救世」
  • strange [stréin(d)ʒ] : 「奇妙な、変わった、変な」
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
  • share [∫éə(r)] : 「 〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
❖ "No one who would unite ~ "「個人的な救済のために、誰かと何としてでも結びつきたいと思う者は誰でも、あの奇妙な関係の中に神聖な関係性を見出すことはないであろう」。罪の意識を隠し持ったまま、適当な距離を保って関係を持とうとしても、それではホーリー・スピリットの出番がない。ホーリー・スピリットが絡んでこないので、神聖な関係性に発展することはない。"It is not shared ~ "「そんな結びつきは分かち合われることがないので、現実ではないのだ」。神聖な関係性は実相世界との関わり合いから生まれるものである。したがって、結びつきや関係性は分かち合われ、拡張増大するものである。しかし、ホーリー・スピリットとの接触を回避した偽りの関係性や結びつきは幻想世界の出来事であって、分かち合われることもなく、したがって実相世界の現実とはなれない。



2. In any union with a brother in which you seek to lay your guilt upon him, or share it with him or perceive his own, you will feel guilty.
  • union [júːnjən] : 「結合、合併、融合、団結」
  • seek [síːk] : 「捜し求める、捜し出す、求める、追求する」
  • lay [léi] : 「〜を横たえる、〜を置く」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
  • perceive [pə(r)síːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • guilty [gílti] : 「有罪の、犯罪的な、罪を犯した」
❖ "In any union with ~ "「あなたが、同胞の上にあなたの罪の意識を置こうとしたり、同胞と罪の意識を分かち合おうとしたり、あるいは、同胞自身の罪の意識を知覚しようとしたりするような、同胞とのいかなる結びつきにおいても、」"you will feel ~ "「あなたは罪の意識を感じ続けるであろう」。"to lay your guilt upon him"「あなたの罪の意識を彼の上に置く」とは、あなたの罪の意識を彼に投射するということ。簡単に言えば、彼を罪ある者として非難すること。"share it with him"「彼と罪の意識を分かち合う」とは、互いに罪深いのだとして、慰め合うこと。"perceive his own"「彼自身の罪の意識を知覚する」とは、自分と同じ罪の意識を持っていないかと嗅ぎ回ること。いずれも、そんな罪の意識を中心にするような結びつきは決して正しい関係性ではなく、あなたは依然として罪の意識を感じ続けるだろう。



Nor will you find satisfaction and peace with him, because your union with him is not real. You will see guilt in that relationship because you put it there.
  • satisfaction [sæ̀tisfǽk∫n] : 「満足、充足」
❖ さらに、"Nor will you find ~ "「あなたは、同胞に満足も平和も見いだせないであろう」。"because your union ~ "「なぜなら、あなたの彼との結びつきは実在ではないからだ」。幻想世界の結びつきに過ぎず、実相世界の結びつきに発展する余地もない。なぜなら、その結びつきにホーリー・スピリットが不在であるからだ。"You will see guilt ~ "「あなたは、その関係性に罪の意識を見いだすだろう」。"because you put ~ "「なぜなら、あなたはその関係性の中に罪の意識を置いたのだから」。



It is inevitable that those who suffer guilt will attempt to displace it, because they do believe in it.
  • inevitable [inévətəbl] : 「避けられない、当然の、必然的な、必然の、必至の」
  • suffer [sʌ́fə(r)] : 「苦しむ、耐える、経験する」
  • attempt [ətém(p)t] : 「〜しようと努力する、〜するよう努める」
  • displace [displéis] : 「〜と移しかえる、〜を移動させる、動かす、置き換える」
❖ "It is inevitable that ~ "ここは"It ~ that ~ "の構文、「罪の意識に苦しむ者はその罪の意識を(何かで)置き換えようと試みるのは避けられないことだ」。"because they do ~ "「なぜなら、彼らは罪の意識を信じているからだ」。自分の心の中に罪の意識が存在していると頭から信じているので、どうにかしてそれから逃れようと、置き換えを図るのである。実際はどうなのか? 罪の意識は幻想であり、実際は存在していないにもかかわらず。



Yet though they suffer, they will not look within and let it go.
  • though [ðóu] : 「〜にもかかわらず、たとえ〜でも、〜とはいえ」
  • within [wiðín] : 「内部で、内側は」
❖ "Yet though they ~ "「しかし、彼らが罪の意識に苦しんでいるとはいえ、」"they will not look ~ "「彼らは、心の内側をのぞき込んで、その罪の意識を追い出そうとはしない」。"let it go"は「それを行かせる」ということで、罪の意識を心の中から駆逐すると解釈した。意味合いとしては「行くに任せる」といった感じで、無理に駆逐するというより、去るに任せると言った方が適切かもしれない。もとより、罪の意識は心にないのであるから、勇気をもって心の内側をのぞき込めば、そこに罪の意識は存在せず、あたかも消えてしまったかのように見えるだろう。そこで、「行くに任せる」といった感じになるのだろう。



They cannot know they love, and cannot understand what loving is. Their main concern is to perceive the source of guilt outside themselves, beyond their own control.
  • understand [ʌ̀ndə(r)stǽnd] : 「理解する、了解する、納得する、分かる」
  • main [méin] : 「主要な、主な、中心的な」
  • concern [kənsə́ː(r)n] : 「関心事、懸案事項、懸念、心配、不安」
  • perceive [pə(r)síːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • source [sɔ́ː(r)s] : 「もと、源、起点、原因、出所、出典」
  • outside [áutsáid] : 「〜の外に、〜の外側に」
  • beyond [bi(j)ɑ́nd] : 「〜の向こうに、〜を越えて、〜を過ぎて、〜のかなたに」
❖ "They cannot know ~ "「彼らは、彼らが愛していることを知ることが出来ないし、」"and cannot understand ~ "「愛するとは何なのかも理解できない」。さて、急に「愛」が出てきたのだが、何を言いたいのだろう? もちろん、彼らが実相世界の純粋な愛、対極概念を持たない一元論的愛を知らないのは当然である。なぜなら、実相世界に目覚めていないのだから。そこで、ここの文章を見る限り、この愛は幻想世界の一般的な愛のことだと思っていいのではないだろうか。すると、彼らは、罪の意識に苦しんでいるとはいえ、それを心の中に直視出来ないのは、恐れはもちろんのこと、実はその罪の意識を愛しているからだとは言えないだろうか? 一種の自己愛であり、嗜虐的愛である。嫌悪しつつそれに惹かれ、それを愛してしまうのだ。ホーリー・スピリットの力を借りて罪の意識から解放されるより、憎いが愛している罪の意識と同居している方が安全だと考えるのである。ACIMは、罪の意識よりも、そのさらに奥底に、神への恐れがあると言う。解放への恐れもあると言う。地獄に馴染んだものは天国を恐れる。いわば、地獄を愛するという奇妙な感情が働くのである。"Their main concern is ~ "「彼らの主要な関心事は、彼ら自身の外部に、彼らのコントロールを超えた罪の意識のソースを知覚することである」。罪を犯したのは社会が悪いのだ、誰も愛してくれないから、生い立ちが不幸だから、相手が悪いから、運命がそうだから、宿命だから、そういう星の下に生まれついたから、等々、外部世界に色々な理由を見つけて罪の意識の原因を探そうとする。目先を外部に向けて、決して自分の心の中を覗いてみようとはしないのである。
 
 
 

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