●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-13.XI.2:1 ~ T-13.XI.3:12

2. God would not have his Son embattled, and so his Son's imagined "enemy" is totally unreal.

  • would [wúd] : 「〜したいと思う」
  • have [SVOC] : 「〜を〜の状態にする」
  • embattle [embǽtl] : 「戦闘隊形につかせる、要塞化する」
  • imagine [imǽdʒin] : 「想像する、思う、心に描く、推測する」
  • enemy [énəmi] : 「敵、敵国、かたき」
  • totally [tóut(ə)li] : 「全く、完全に、全体的に、全体として」
  • unreal [ənríəl] : 「実在しない、非現実的な、実存しない」
❖ "God would not have ~ "「神は神の子に、戦闘態勢をとらせたいとは思わないので、」"and so his Son's imagined "enemy" is ~ "「神の子がイメージする『敵』は完全に非実在である」。もし、神が、神の子に対して敵と戦ってもらいたいと思ったなら、その敵は現実化し、実在のものとなるであろう。しかし、実相の世界に住む神には敵という概念がない。一元論世界には対極概念が存在しないのである。神には敵も存在しなければ、戦いも存在しない。存在しないものを神の子に要求できるわけがないのだ。



You are but trying to escape a bitter war from which you have escaped. The war is gone.
  • try [trái] : 「試す、やってみる、試みる、企てる」
  • escape [iskéip] : 「〜を免れる、はぐらかす、〜を避ける」
  • bitter [bítə(r)] : 「苦々しい、悲痛な、悲惨な、つらい、冷酷な、無情の」
  • gone [gɔ́(ː)n] : 「goの過去分詞形」
❖ "You are but trying ~ "「あなたは、すでに逃れた悲惨な争いから逃れようと試みているに過ぎない」。"The war is ~ "「戦いはすでに終わったのだ」。あなたが、争いの当事者である二つのものに対して実在と非実在の区別がついた時点で、もはや争いは終止しているはずである。その後で、争いから逃れようとする必要はないのだ。つまり、戦いが実相世界のものと幻想世界のものの間の争いだと知った時点で、そんな戦いは現実に存在できないと気がつき、あなたにとって戦いは終わっている。終わった戦いから逃げる必要はあるまい。



For you have heard the hymn of freedom rising unto Heaven.
  • heard [hə́ː(r)d] : 「hear の過去・過去分詞形」
  • hymn [hím] : 「賛美歌、聖歌」
  • freedom [fríːdəm] : 「自由、解放、自主、独立」
  • rise [ráiz] : 「上がる、起立する、昇る、上昇する」
❖ "For you have heard ~ "「なぜなら、あなたは、天の王国に昇りゆく自由の聖なる歌を聞いたのだからだ」。非実在のエゴから自由になって、その喜びの聖なる歌声が天空に聞こえたのだから、もはや誰とも争う必要はない。争いから逃れる必要もない。



Gladness and joy belong to God for your release, because you made it not.
  • Gladness [ɡlǽdnis] : 「喜び、喜ばしさ、うれしさ」
  • joy [dʒɔ́i] 「喜び、歓喜」
  • belong [bilɔ́(ː)ŋ] : 「〜に属する、所属する、〜の所有物である」
  • belong to : 「〜に属する、〜の所有物である」
  • release [rilíːs] : 「解放、解き放すこと、解除」
❖ "Gladness and joy ~ "「あなたの解放に対する喜び、歓喜は神に属すものである」。あなたが解放されたのを喜んでいるのは、あなたではなく神である。"because you made ~ "「なぜなら、歓喜はあなたが作ったものではないからだ」。あなたは今、争いから解放され、エゴから解放されただけであって、まだ実相世界に入ったわけではない。したがって、実相世界の実在である喜びはまだあなたのものになってはいない。喜びの聖なる歌声が天空に聞こえたのは、あなたの歌声ではなく、神の歓喜である。



Yet as you made not freedom, so you made not a war that could endanger freedom.
  • endanger [endéin(d)ʒə(r)] : 「〜を危険にさらす、危うくする」
❖ "Yet as you made ~ "「しかし、あなたが自由を作ったのではいように、」"so you made not ~ "「自由を脅かす争いを作ったのでもない」。争いが実在同士の間のものであったなら、争いはあなたが作ったとも言えようが、そもそも実在と非実在の間の争いであった。つまり、その争いは幻想であり、夢に過ぎなかったのである。したがって、争いをあなたが作ったのだとは言えない。実在しないものを作れるわけがないからだ。夢の争いから解放されたと言っても、そもそも争いが実在ではなく夢に過ぎないので、その解放も夢の出来事である。実在しない解放をあなたが作れるわけがない。



Nothing destructive ever was or will be. The war, the guilt, the past are gone as one into the unreality from which they came.
  • destructive [distrʌ́ktiv] : 「破壊的な、破壊主義的な、有害な」
  • past [pǽst] : 「過去、昔」
  • gone [gɔ́(ː)n] : 「goの過去分詞形」
  • as one : 「一つになって、一体となって、一斉に」
  • unreality : 「非現実性、実在しないもの、虚構」
❖ "Nothing destructive ever ~ "「破壊的なものは何もなかったし、今後もありえない」。"The war, the guilt, the past ~ "「争い、罪、過去、それらは一体となって、それらがやって来た非現実へと戻って行ってしまったのである」。幻想が幻想の世界へ、夢が夢の世界へ回帰してしまった。今あるのは実在である。実在は実相世界の存在であり、実相世界には破壊的なものなど存在できない。破壊的なものは、実相世界には過去にも存在しなかったし、未来にも存在する可能性はない。



3. When we are all united in Heaven, you will value nothing that you value here.
  • unite [junáit] : 「〜を結合する、一体化する、一つにする、結び付ける」
  • value [vǽljuː] : 「〜を評価する、重視する、大事にする、尊重する、重んじる」
❖ "When we are all ~ "「私たちみんなが天の王国で統合されるとき、」"you will value ~ "「あなたがこの世界で評価していたものを、あなたは一切評価しなくなるであろう」。幻想の世界で評価していたのもは当然幻想に過ぎず、実相の世界である天の王国では、それらは消滅する。夢から覚めて、夢の中で大切に思っていたものは単なる夢に過ぎなかったと認識するのである。



For nothing that you value here do you value wholly, and so you do not value it at all.
  • wholly [hóu(l)li] : 「完全に、全く、全体として、全体的に」
❖ "For nothing that you ~ "「なぜなら、この世界であなたが評価しているものを、あなたは完全に評価しているわけではないので、」"and so you do not value ~ "「したがって、あなたはそれを全く評価していないことになる」。何を意味しているのか非常に曖昧なのだが、よく考えてみよう。幻想世界における評価の仕方と実相世界の評価の仕方を考えると、意味が解けるだろう。幻想世界は二元論の世界であり、白もあり黒もあり、その中間に無限のグラデーションをもった灰色が存在する。その結果、評価は相対的となり、これはあれよりちょっと黒い、といった評価が可能である。しかし、実相世界においては、実相世界は一元論の世界であるから、白は存在するが黒は存在しない。ましてやグラデーションをもった灰色も存在しない。白を白と評価する、絶対的な評価しか存在しないのだ。そこで、本文に戻って考えてみると、あなたがこの幻想世界で評価していることは相対的な評価であって、全的な、絶対的な評価ではない。したがって、実相世界にあっては、そんな評価は評価していることにはならないのである。こんなところでどうであろうか? 



Value is where God placed it, and the value of what God esteems cannot be judged, for it has been established.
  • place [pléis] : 「〜を置く、設置する、取り付ける」
  • esteem [istíːm] : 「 〜を尊重する、重んじる、尊ぶ、尊敬する、高く評価する」
  • judge [dʒʌ́dʒ] : 「〜を判断する、〜を審判する」
  • establish [istǽbli∫] : 「確立する、達成する、樹立する、 固定する」
❖ "Value is where God ~ "「(実相世界の)価値は、神が価値を置いた所に存在する」。実相世界における価値は神が決定する。"and the value of ~ "「神が評価したものの価値は判断され得るものではない」。"for it has been ~ "「なぜなら、それはもはや確立されたものだからである」。先の例を用いて考えよう。実相世界には白は存在するが黒はない。灰色もない。では、いったい誰が白を存在と定めたか? もとより、実相世界は神の世界であるから、神が白の存在を定めたのだ。決してあなたではない。神が、白よあれかし、と定めたものであるから、善し悪しの判断を超越しているのである。なぜなら、白はすでに神によって確立されたものであり、判断材料となる比較対象物が存在しないからだ。



It is wholly of value. It can merely be appreciated or not. To value it partially is not to know its value.
  • wholly [hóu(l)li] : 「完全に、全く、全体として、全体的に」
  • of value : 「価値のある」
  • merely [míə(r)li] : 「ただ単に、単に」
  • appreciate [əpríː∫ièit] : 「〜を正しく評価する、〜をよく理解する」
  • partially [pάːrʃəli] : 「部分的に、一部分は、不十分に」
❖ "It is wholly ~ "「それは完全な価値である」。神の定めた価値は完全で絶対的だ。"It can merely be ~ "「それは、単に評価するかしないかの問題があるだけだ」。神が定めた価値を認めるか認めないかはあなたの自由だが、価値そのものは、それによって変化することはない。"To value it partially ~ "「神が定めた価値を部分的に評価することは、その価値を知らないことに相当する」。絶対的価値を評価するには、絶対的評価でなくてはならない。部分的に、あるいは相対的に評価することは許されない。なぜなら、評価対象にはグラデーションがないからだ。白は白だけ。白を受け入れるか受け入れないか、二つに一つであって、たとえば、半分だけ白を受け入れるとうことはないのだ。



In Heaven is everything God values, and nothing else. Heaven is perfectly unambiguous.
  • perfectly [pə́ː(r)fik(t)li] : 「完全に、完ぺきに」
  • unambiguous [ənæmbíɡjuəs] : 「一義的な、あいまいでない、疑わしくない、明白な、はっきりした」
❖ "In Heaven is ~ "「天の王国には、神が価値ありと評価したものだけが存在する」。"and nothing ~ "「それ以外のものは存在しない」。"Heaven is perfectly ~ "「天の王国は完璧に明快なのだ」。



Everything is clear and bright, and calls forth one response.
  • clear [klíə(r)] : 「明らかな、明りょうな、はっきりした、明快な」
  • bright [bráit] : 「輝かしい、華やかな、輝いている、光っている」
  • call forth : 「〜を生じさせる、〜を引き出す、〜を発揮させる、呼び起こす」
  • response [rispɑ́ns] : 「応答、感応、反応、返答、回答」
❖ "Everything is ~ "「(天の王国の)すべては、明瞭で輝いている」。"and calls forth one ~ "「そして、一つの反応を呼び起こすだけである」。それを受け入れるか受け入れないか、どちらか一つ。あるいは、喜びという反応一つだけ。あるいは、ただ愛するのみ。



There is no darkness and there is no contrast. There is no variation. There is no interruption.
  • darkness [dɑ́ː(r)knəs] : 「暗さ、暗がり、暗闇」
  • contrast [kəntrǽst] : 「コントラスト、対照、対比、正反対のもの」
  • variation [vè(ə)riéi∫n] : 「変化、変化量、変化に富むこと」
  • interruption [ìntərʌ́pʃən] : 「妨害、遮ること、とぎれ、邪魔、障害」
❖ "There is no ~ "天の王国である実相世界には、「闇もなく、コントラストもない」。"There is no ~ "「バリエーションもない」。"There is no ~ "「邪魔をするものもない」。白なら白だけが存在し、コントラストとしての黒はない。灰色というバリエーションもない。黒も灰色もないから、白を邪魔するものもない。



There is a sense of peace so deep that no dream in this world has ever brought even a dim imagining of what it is.
  • sense [séns] : 「感覚、感覚能力、官能、感触、知覚」
  • deep [díːp] : 「深い、深甚な、深遠な」
  • brought [brɔ́ːt] : 「bring の過去・過去分詞形」
  • bring [bríŋ] : 「〜を持って来る、〜を連れてくる」
  • dim [dím] : 「薄暗い、ぼやけた、ぼんやりとした」
  • image [ímidʒ] : 「〜を心に描く、想像する」
❖ "There is a sense of ~ "ここは"so ~ that ~ "の構文、「とても深い平和の感覚があるので、」"that no dream ~ "「この幻想の世界の夢が、それが何であったかぼんやりとイメージすることさえ持ち込むことはない」。難しい言い方をしているが、たとえば、幻想の世界で抱いていた罪の意識でさえ、あまりに深い平和の感覚に洗われて、いったい何で罪の意識を感じていたのかさえわからなくなってしまう、ということ。罪の意識だけでなく、金や名誉や地位にこだわっていた幻想世界の価値観が、何でそんなものに心奪われていたのだろうかと思えるほど、今は平和の中で、かつての欲望がぼんやりと姿を消しつつある。
 
 
 

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