●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-14.IV.1:1 ~ T-14.IV.2:7

 
 

IV. Your Function in the Atonement
贖罪におけるあなたの役割
 
 
 
1. When you accept a brother's guiltlessness you will see the Atonement in him.
  • accept [əksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
  • guiltlessness [gíltlisnis] : 「無辜(むこ)、潔白、罪のないこと」
  • Atonement [ətóunmənt] : 「贖罪、罪滅ぼし、償い、補償」
❖ "When you accept ~ "「あなたが同胞の無辜(むこ)性を認めたとき、」"you will see ~ "「あなたは、同胞の中に贖罪を見ることとなるであろう」。ACIMの"Atonement"「贖罪」とは、罪がないことを叡智をもって受け入れることである。



For by proclaiming it in him you make it yours, and you will see what you sought.
  • proclaim [proukléim] : 「公表する、宣言する、〜を明白に示す」
  • sought [sɔ́ːt] : 「seek の過去・過去分詞形」
  • seek [síːk] : 「捜し求める、捜し出す、求める、追求する」
❖ "For by proclaiming ~ "「なぜならば、同胞の中の無辜性を宣言することで、」"you make it ~ "「あなたは、無辜性を自分のものと出来る」。"and you will see ~ "「そして、あなたが探していたものを見ることになるであろう」。あなたは自分の無辜性を探し求めていたが、同胞の中にその無辜性を見い出したことによって、自分の中の無辜性が見えてくるのである。なぜなら、自他一如、彼の無辜性はあなたの無辜性であり、あなたの無辜性は彼の無辜性である。実相世界では、あなたと彼に区別はない。あなたの心も彼の心も、一なる心"Mind"として同一なのである。



You will not see the symbol of your brother's guiltlessness shining within him while you still believe it is not there.
  • symbol [símbl] : 「象徴、記号、シンボル、表象」
  • shine [∫áin] : 「輝く、光る」
  • while [(h)wáil] : 「〜の間ずっと、〜する間に、その間に」
❖ ここは後ろから訳すといい、"while you still ~ "「あなたが、無辜性は同胞の中にないと信じている間は、」"You will not see ~ "「あなたは、同胞の無辜性のシンボルが彼の内側で輝いているのが見えないであろう」。無辜性のシンボルが光だと思っていいだろう。同胞に罪を認めるうちは、この無辜の光はあなたの目に見えないのである。



His guiltlessness is your Atonement. Grant it to him, and you will see the truth of what you have acknowledged.
  • Grant [grǽnt] : 「許諾する、供与する、与える、認める」
  • acknowledg [əknálidʒ] : 「認める、承認する、同意する、認識する、受け入れる」
❖ "His guiltlessness is ~ "「同胞の無辜性こそあなたの贖罪である」。もちろん、自他一如による。"Grant it to ~ "「その無辜性を彼に与えなさい」。つまり、同胞の無辜性を認めなさい、ということ。"and you will see ~ "「そうすれば、あなたが認めたことの真実が見えて来るであろう」。「あなたが認めたことの真実」とは、同胞が無辜であると認めたことが真実だ、ということ。つまり、同胞も、あなたも、無辜であることが偽りではなく真実だとわかってくるのである。なぜわかるのか? それは、頭脳や理性が証明してくれる範疇のことではなく、あなたに叡智(knowledge)が育ってきたがためだ。あなたの叡智が直覚的に無辜性を知るのである。



Yet truth is offered first to be received, even as God gave it first to his Son.
  • offer [ɔ́(ː)fə(r)] : 「差し出す、捧げる、提供する」
  • receive [risíːv] : 「〜を受ける、受け取る、受領する、入手する」
  • even as : 「〜と同時に、〜とともに、〜にもかかわらず、〜なのに」
❖ "Yet truth is offered first ~ "直訳すると、「しかし、真実は、神が最初に真実を神の子に与えたと同時に、最初に受け取られるために差し出されるのである」。真実が最優先され、神が神の子に、第一に真実を与える。神の子は、第一にその真実を受け取ることになっていたのである。しかし、あなたは幻想の世界を夢見ている間に、その真実を受け損なってきたのだ。だからこそ、ホーリー・スピリットの助けを借りて、真実を真実として受け入れることを学ばなくてはならない。



The first in time means nothing, but the First in eternity is God the Father, Who is both First and One.
  • mean [míːn] : 「〜を意味する、…とは〜を指す」
  • eternity [itə́ː(r)nəti] : 「永遠、無限」
  • both [bóuθ] A and B : 「AもBも両方」
❖ "The first in time ~ "「時間という枠組みにおける第一とは、(実は)何の意味をもたない」。"but the First in eternity ~ "「しかし、永遠という枠組みおける第一は、それは父なる神である」。"Who is both First ~ "「その神は、第一なるものあり、一なるもの、である」。非常に難解な哲学的部分ではあるが、ここまでACIMを読んできた者には、感覚的に言わんとしていることがわかるだろう。次の文章を読んでみよう。



Beyond the First there is no other, for there is no order, no second or third, and nothing but the First.
  • Beyond [bi(j)ánd] : 「〜の向こうに、〜を越えて、〜を過ぎて、〜のかなたに」
  • order [ɔ́ː(r)də(r)] : 「順、順序、順番、順位、序列、系列」
❖ "Beyond the First ~ "「第一なるものを超えて、何もない」。"for there is ~ "「なぜなら、序列がないからであり、第二も第三も、第一なるもの以外に何もないからである」。実相世界は、時間や空間の存在しない、一元論の、想念、抽象の世界である。時間の存在する幻想世界では時間的序列が存在するが、実相世界では時間的序列は存在しない。さらに、実相世界は完全平等世界であり、比較対照が意味をもたない。事の軽重の差がないのだ。ここまで理解すれば、第二、第三が存在しないことが何となくわかってくる。さて、実相世界は一元論世界であり、すべての想念抽象は重なり合い、混ざり合って、究極的に一点に収斂する。それが、ACIMの言う"God is"「神ありき」の世界であり、神のみの世界、あるいはすべてを飲み込んだ神のみの世界である。すべてを包摂した(all-encompassing)神のみが存在する世界であり、神が第一で唯一の世界である。



2. You who belong to the First Cause, created by him like unto himself and part of him, are more than merely guiltless.
  • belong [bilɔ́(ː)ŋ] : 「属する、所属する」
  • belong to : 「〜に属する、〜の所有物である」
  • Cause [kɔ́ːz] : 「原因、要因」
  • creat [kriéit] : 「創造する、作り出す」
  • more than : 「〜だけではない、単に〜にとどまらない」
  • merely [míə(r)li] : 「ただ単に、単に、たかが〜にすぎない」
  • guiltless [gíltlis] : 「罪のない、潔白な」
❖ "You who belong to ~ "「第一原因(神)に属し、神が神自身に似せて、神の一部として創造したあなたは、単に罪がないというだけにとどまらない」。



The state of guiltlessness is only the condition in which what is not there has been removed from the disordered mind that thought it was.
  • state [stéit] : 「状態、形勢、情勢、状況」
  • guiltlessness [ɡíltlisnis] : 「無辜、潔白、罪のないこと」
  • condition [kəndí∫n] : 「事情、条件、状態、状況、様子、様相」
  • remove [rimúːv] : 「取り除く、取り去る、取り外す、除去する」
  • disorder [disɔ́ː(r)də(r)] : 「〜を混乱させる、〜の秩序を乱す」
  • disordered : 「混乱した、乱雑な、不調な、調子の狂った、病気の」
  • thought [θɔ́ːt] : 「think の過去・過去分詞形」
❖ "The state of guiltlessness ~ "「罪のないという状態は、〜である唯一の状態である」。"in which what is not there ~ "「存在などしないものが、存在していると思っていた混乱した心から取り除かれた」唯一の状態である。簡単に言えば、無辜なる状態とは、幻想に過ぎない錯覚が取り除かれた状態のこと。



This state, and only this, must you attain, with God beside you.
  • attain [ətéin] : 「達成する、実現する、成就する、成し遂げる、手に入れる、獲得する」
  • beside [bisáid] : 「〜のそばに、〜の傍らに、〜の脇に」
❖ "This state, and only ~ "「この状態、この状態だけが、あなたが手に入れなくてはならないものであり、」"with God beside ~ "意訳すると、「あなたのすぐ傍らに、神の存在を感じられなくてはならない」。



For until you do, you will still think that you are separate from him.
  • until [ʌntíl] : 「〜する時まで」
  • separate [sépərèit] : 「分ける、分離する、隔てる、引き離す、切り離す」
❖ "For until you do, you ~ "「なぜなら、あなたがそうするまで、あなたは、あなたが神から分離していると依然として思ってしまうだろうからだ」。神から分離しているという感覚は幻想であり、その幻想も捨てなくてはならない。



You can perhaps feel his presence next to you, but cannot know that you are one with him. This cannot be taught.
  • perhaps [pə(r)hǽps] : 「たぶん、もしかすると、ことによると」
  • presence [prézns] : 「存在すること、存在、居ること」
  • next [nékst] to : 「〜の隣に、〜に隣接して」
  • taught [tɔ́ːt] : 「teach の過去・過去分詞形」
❖ "You can perhaps feel ~ "「たぶん、あなたは、神の存在をすぐ傍らに感じることが出来るかもしれない」。"but cannot know ~ "「しかし、あなたが神と一つであることは知ることは出来ない」。"This cannot be ~ "「これだけは、教えてわかることではないのだ」。それは、実相世界の叡智の領域に関わることである。



Learning applies only to the condition in which it happens of itself.
  • apply [əplái] to : 「 〜に適用する、〜に問い合わせる,〜に塗布する」
  • happen [hǽpn] : 「起こる、発生する」
  • of oneself : 「独りでに、それ自体で」
❖ "Learning applies only ~ "「学ぶということは、自然にわかってくる状態に付加するだけなのである」。最終的な答えを学ぶというのではなく、答えがそれ自体生まれ出る状態を整えていくことが学びである。短い文章であるが含蓄はある。
 
 
 

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