●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-14.VII.6:1 ~ T-14.VII.7:9

6. The Holy Spirit asks of you but this; bring to him every secret you have locked away from him.

  • ask of : 「〜に要求する」
  • bring [bríŋ] : 「〜を連れて来る、〜を持って来る」
  • secret [síːkrət] : 「秘密、機密、内緒事 」
  • lock [lák] : 「〜に錠を掛ける、〜を閉じ込める」
  • lock away : 「しまい込む」
❖ "The Holy Spirit asks ~ "「ホーリー・スピリットはこのことだけをあなたに要求する」。"bring to him every ~ "「あなたがホーリー・スピリットに対して隠し込んだ秘密のすべてをホーリー・スピリットの下に持って来なさい」と要求する。



Open every door to him, and bid him enter the darkness and lighten it away. At your request he enters gladly.
  • bid [bíd] : 「命じる、命令する、指示する、述べる、告げる」
  • enter [éntə(r)] : 「〜に入る、〜に参加する、〜に立ち入る」
  • lighten [láitn] : 「〜を明るくする、〜の色を薄くする」
  • request [rikwést] : 「頼むこと、依頼、要求」
  • at one's request : 「〜の依頼により、〜に頼まれて」
  • gladly [glǽdli] : 「喜んで」
❖ "Open every door ~ "「すべての扉を、ホーリー・スピリットに対して開きなさい」。"and bid him enter ~ "「そして、ホーリー・スピリットに対して、闇の中に入ってきて、闇を光で払拭してくれるように頼みなさい」。"At your request ~ "「あなたの依頼によって、ホーリー・スピリットは喜んで中に入ってくれるのである」。



He brings the light to darkness if you make the darkness open to him. But what you hide he cannot look upon.
  • bring [bríŋ] : 「〜を連れてくる、〜を持って来る」
  • make [SVOC] : 「〜の状態にする、〜にする」
  • hide [háid] : 「隠す、隠蔽する、秘密にする」
  • look upon : 「〜を見る、〜を見渡せる」
❖ "He brings the light ~ "「もしあなたが、ホーリー・スピリットに対して闇を公にするなら、ホーリー・スピリットは闇に光を持って来てくれるのである」。"But what you hide ~ "「しかし、あなたが隠し立てしたものを、ホーリー・スピリットは見ることが出来ない」。実相世界の実在は、あくまでも、あなたの自由意志、自主性、自発性を重んじるのである。決して命令もしなければ、無理強いもしない。



He sees for you, and unless you look with him he cannot see. The vision of Christ is not for him alone, but for him with you.
  • unless [ənlés] : 「〜でない限り、〜である場合を除いて」
  • alone [əlóun] : 「独りで、単に」
❖ "He sees for ~ "「ホーリー・スピリットはあなたの代わりに(闇を)見てくれるのだが、」 "and unless you look ~ "「あなたがホーリー・スピリットと共に見ようとしなければ、ホーリー・スピリットは見ることが出来ない」。"The vision of Christ ~ "「キリストのヴィジョンはホーリー・スピリットのためだけにあるのではない」。"but for him with ~ "「あなたと一緒のホーリー・スピリットのためにあるのだ」。お気づきのように、この段落はACIMの絶対他力が具体的にどう進行していくかが述べられている。あなたの心の闇を払拭するためには、まず第一にホーリー・スピリットという他力に対して闇を隠さないこと。そして、闇の中に入ってくれるよう、心からホーリー・スピリットに願い出ること。さらに、他力とは言え、あなた自身もホーリー・スピリットと共に闇を見つめること。ACIMの絶対他力は、決して仕事の丸投げではなく、ホーリー・スピリットとの共同作業であることが理解できよう。そこを理解し損なうと、他力の意味が完全に崩れてしまう。あたかも、他人任せという意味に理解されてしまうのだ。



Bring, therefore, all your dark and secret thoughts to him, and look upon them with him.
  • therefore [ðéə(r)fɔ̀ː(r)] : 「それ故に、そのために、従って、だから」
  • secret [síːkrət] : 「秘密の、内緒の、ひそかな、機密の」
  • thought [θɔ́ːt] : 「考え、思考、思索、熟考」
❖ "Bring, therefore, all ~ "「そこで、ホーリー・スピリットの下に、あなたのすべての暗い秘密の思いを持って行きなさい」。"and look upon ~ "「そして、ホーリー・スピリットと共にそれを見つめなさい」。



He holds the light, and you the darkness. They cannot coexist when Both of You together look on them.
  • hold [hóuld] : 「保持する、心に抱く、〜を手に持つ、握る」
  • coexist : 「共存する」
  • both [bóuθ] : 「両方、双方」
  • together [təgéðə(r)] : 「一緒に、同時に」
❖ "He holds the light ~ "「ホーリー・スピリットは光をいだき、あなたは闇をいだく」。"They cannot coexist ~ "「あなたとホーリー・スピリットが一緒になって光と闇を見るとき、光と闇は共存することは出来ない」。光が闇を払拭するのだ。



His judgment must prevail, and he will give it to you as you join your perception to his.
  • judgment [dʒʌ́dʒmənt] : 「判断、判断力、意見、分別、判決、審判」
  • prevail [privéil] : 「勝つ、勝る、勝利を得る」
  • join [dʒɔ́in] : 「〜に加える、〜と一緒になる、つなぎ合わせる、結び付ける」
  • perception [pə(r)sép∫n] : 「知覚、知見、見識、感じ方」
❖ "His judgment must ~ "「ホーリー・スピリットの判断が勝るに違いない」。"and he will give it ~ "「そして、あなたがあなたの知覚をホーリー・スピリットの知覚に結びつけるにしたがい、ホーリー・スピリットはあなたに判断力を与えてくれるだろう」。さて、急に文章が具象的な表現から抽象的なものになってしまった。"judgment"「判断」とは、おそらく、光と闇のどちらが実在でどちらが幻想か、つまり、どちらが真実でどちらが虚偽か、という判断のことだろう。もちろん、ホーリー・スピリットがいだく光が実在で真実であるから、光は闇に勝り、つまり、ホーリー・スピリットの判断が勝り、闇は光に払拭されるのである。あなたは闇が実在で真実だと思っていたのだが、つまり、判断を誤っていたのだが、それはあなたの知覚が誤っていたのであり、ホーリー・スピリットの知覚にあなたの知覚を結びつけて正しい知覚を学ぶにしたがい、あなたの知覚は修正され、正しい判断が出来るようになるわけだ。ところで、ACIMは以前、あなたはあらゆる判断をホーリー・スピリットに委ねよ、と教えていた。それは、あなたの知覚がまだ修正されず、ことごとく誤りを犯すからである。しかし、ホーリー・スピリットの知覚の仕方に学びさえすれば、あなたの知覚は修正され、正しい判断が出来るようになるのである。それは、実相に立った知覚であり、実相に立った判断のことである。そこが、叡智への入り口になるわけである。



7. Joining with him in seeing is the way in which you learn to share with him the interpretation of perception that leads to knowledge.
  • share [∫éə(r)] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
  • interpretation [intə̀ː(r)prətéi∫n] : 「解釈、説明、解説」
  • knowledge [nálidʒ] : 「知識、心得、認識、知恵、知見」
  • lead [lí:d] : 「導く、案内する、通じている」
❖ "Joining with him ~ "「ものを見るときにホーリー・スピリットと一緒になるとは、」"is the way in which ~ "「ホーリー・スピリットと〜を分かち合うことを学ぶ方法である」。"the interpretation of perception ~ "「叡智へと導く知覚の解釈」をホーリー・スピリットと分かち合うことを学ぶ方法である。回りくどい言い方をしているが、要するに、ものを見るとき、ホーリー・スピリットと一緒に見れば、どう知覚しどう解釈するかが学べ、それは叡智へとつながっていく、ということ。



You cannot see alone. Sharing perception with him Whom God has given you teaches you how to recognize what you see.
  • alone [əlóun] : 「独りで、単に」
  • how to do : 「〜する方法、〜のやり方、〜の仕方」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
❖ "You cannot ~ "「あなたは単独では見ることが出来ない」。幻想の世界を夢に見ているあなたは、独りで正しく見ること、つまり、単独で正しく知覚することは、まだ出来ない。"Sharing perception with ~ "「神があなたに与えたホーリー・スピリットと知覚を分かち合うことは、あなたに、あなたが見たことを認識する方法を教えてくれる」。正しく知覚し、正しく解釈すること、すなわち、正しく認識することを、ホーリー・スピリットとの知覚の分かち合いによって、あなたは教えられることになる。



It is the recognition that nothing you see means anything alone.
  • recognition [rèkəgní∫n] : 「認識、認証、正しく評価されること」
  • mean [míːn] : 「〜を意味する、…とは〜を指す」
❖ "It is the recognition that ~ "「それは、あなたが単独で見ているものは何の意味ももたないという認識である」。あなたが単独で見ているのは幻想の世界、つまり、夢である。実在しないものを見ているのだから何の意味もない。あなた独りでは、その夢のトリックから抜け出せないのである。その幻想から解放されるにはホーリー・スピリットの手助けが必要なわけで、ホーリー・スピリットと知覚を分かち合うことで、あなたの知覚を修正することが出来るのである。そういうことをきちんと認識しなくてはならない。



Seeing with him will show you that all meaning, including yours, comes not from double vision, but from the gentle fusing of everything into one meaning, one emotion and one purpose.
  • show [∫óu] : 「示す、表す、表示する、明らかにする、説明する、教える」
  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、意図、真意」
  • including [inklúːdiŋ] : 「〜を含む、〜を含めて、〜などの」
  • double [dʌ́bl] : 「二つの、二重の」
  • double vision : 「複視、二重視」
  • gentle [dʒéntl] : 「優しい、寛大な、穏やかな」
  • fusing [fjúːzinŋ] : 「融解、融合」
  • emotion [imóu∫n] : 「感情、情緒、感動」
  • purpose [pə́ː(r)pəs] : 「目的、意図、狙い、意向」
❖ "Seeing with him ~ "「ホーリー・スピリットと一緒に見ることはthat以下をあなたに教えてくれる」。"that all meaning, including ~ "「すべての意味は、あなたの意味も含めて、ダブル・ヴィジョンから来るのではなく、すべてが一つの意味へ、一つの感情へ、一つの目的へと優しく融合するところから来るのである」と、あなたに教えてくれる。さて、非常に難解である。いったい、何を意味するのだろう? はじめの"all meaning"「すべての意味、すべての意義」とは、幻想世界は非実在で意味がないから、この意味、意義は実相世界の意味、意義である。つまり、実在性の意味、存在意義である。実在する実相世界はいったい何の意味があるのか、という問いかけである。次の"including yours"「あなたの意味も含めて」とは、神の子としてのあなたの存在意義を含めて、という意味合いだ。その実在性の存在意義は"double vision"「ダブル・ヴィジョン」から来るのではない、ダブル・ヴィジョンからは理解できるものではない、と述べている。では、"double vision"「ダブル・ヴィジョン」とはどういうことか? まさに、二元論的なヴィジョン、対極をもつ見方では把握出来ない、ということだ。光と闇が共に存在しているという見方では、光も闇も理解できない。闇は幻想、非実在、光こそが唯一実在するという一元論的な見方が必要だ。愛も、憎しみという対極概念を持たない純粋な愛としてとらえなくてはならない、ということである。そういう一元論のヴィジョンによって、真の光や真の愛の意義がわかってくるのだ。この一元論のヴィジョンこそ、キリストのヴィジョンのことである。そして、すべての意義は、"but from the gentle fusing ~ "「すべてが一つの意味へ、一つの感情へ、一つの目的へと優しく融合するところから来る」と述べている。実在性の存在意義、あなたの神の子としての存在意義は、たった一つの融合されたものに収斂するといっている。これが、まさしく、純粋一元論なのである。すべての実在が、意味も感情も目的も、あるいは愛も喜びも平和も、神の子もホーリー・スピリットも、すべてが融け合って、たった一つに収斂する。それが、"God is"「神あり」という一点なのである。この「神あり」の一点がすべてを包含し、包摂する(all-encompassing)。したがって、すべての実在性の存在意義はこの一点、「神あり」に集約され、それ以外の意味も意義もない。ホーリー・スピリットのものの見方を学んでいくうちに、このことがわかってくると述べられているである。



God has one purpose which he shares with you.
  • purpose [pə́ː(r)pəs] : 「目的、意図、狙い、意向」
  • share [∫éə(r)] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
❖ "God has one purpose ~ "「神は、あなたと分かち合う、たった一つの目的をもっている」。もう、おわかりだろう。神は神の子の回帰を望み、再び、神の子を胸の内に抱きしめたいのである。それは、神と神の子の「一体」であり、融合である。加えて、ホーリー・スピリットはもう一つの柱としてその融合に加わり、神と神の子とホーリー・スピリットの「三位」が融合し「一体」となる。これが純粋一元論の、天の王国における結論であり、三位一体が神の唯一の目的である。



The single vision which the Holy Spirit offers you will bring this oneness to your mind with clarity and brightness so intense you could not wish, for all the world, not to accept what God would have you have.
  • single [síŋgl] : 「ただ一つの、たった一つの、単独の」
  • offer [ɔ́(ː)fə(r)] : 「差し出す、捧げる、提供する」
  • bring [bríŋ] : 「〜を連れて来る、〜を持って来る」
  • oneness [wʌ́nnis] : 「一体感、単一性、同一性、統一性、調和、一致」
  • clarity [klǽrəti] : 「透明、清澄、明瞭、明快」
  • brightness [bráitnis] : 「明るさ、輝き、輝度、光明、光度、鮮やかさ、明度」
  • intense [inténs] : 「極度の、強烈な、極めて強い、激しい、熱心な」
  • wish [wí∫] : 「望む」
  • for all the world : 「絶対に、決して、断じて、全く、どうしても」
  • accept [əksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
❖ "The single vision which ~ "「ホーリー・スピリットがあなたに差し出すシングル・ヴィジョンは、この一体なるものをあなたの心にもたらしてくれるだろう」。もちろん、"the single vision"「シングル・ヴィジョン」は"double vision"「ダブル・ヴィジョン」と対照をなすヴィジョンであり、一元論的ものの見方、キリストのヴィジョンである。"with clarity and brightness ~ "「(そのシングル・ヴィジョンは、)あまりにも強烈な鮮明さと明るさをもっているので、」"you could not wish, for ~ "先頭に"that"を補い、"~ so ~ that ~ "の構文として意味をとると、「あなたは断じて、神があなたに持たせようとしたものを受け入れたくないなどと願うことはあるまい」。神が神の子に継承した神の属性を、あなたは受け入れたくないなどと思うことはない。なぜなら、シングル・ヴィジョンを得たあなたは、神の愛や慈悲、平和、喜び、等々が鮮明に、強烈に見えてくるからだ。簡単に言うと、シングル・ヴィジョンが真実を鮮明に見せてくれるので、あなたはその真実を受け入れないわけにはいかないのだ。



Behold your will, accepting it as his, with all his Love as yours. All honor to you through him, and through him unto God.
  • behold [bihóuld] : 「見守る、注視する」
  • honor [ánə(r)] : 「光栄、名誉、恩恵」
❖ "Behold your ~ "「あなたの意志を見つめなさい」。"accepting it ~ "「あなたの意志が神の意志であると受け入れながら、」"with all his Love ~ "「神の愛のすべてをあなたのものとして」。"All honor to ~ "「ホーリー・スピリットを通して、あなたにすべての栄光が届くように」。"and through him ~ "「そして、ホーリー・スピリットを通して、神にすべての栄光が届くように」。前半の"his"は「神」ととらえ、後半の"him"は「ホーリー・スピリット」ととらえた。ここは、理屈ではなく、声に出して読んでみよう。リズムと高揚感を味わえば十分だろう。
 
 
 

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