●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-14.XI.10:1 ~ T-14.XI.11:8

10. He Who has freed you from the past would teach you are free of it.

  • freed [fríː] : 「〜を自由にする、解放する」
  • past [pǽst] : 「過去、昔」
  • be free of : 「〜から自由である、〜を免除されている、〜がない」
❖ "He Who has freed ~ "「あなたを過去から解放したホーリー・スピリットは、あなたに、あなたは過去から自由であると教えたいのである」。時間の存在しない実相世界に住むホーリー・スピリットにとっては、あなたが過去から開放されるのは完了した事実であるが、時間の枠組みが存在する幻想世界に生きるあなたにとっては、それは未来である。しかし、ホーリー・スピリットはそのことをあなたに教えたいと望んでいるのである。あなたの解放と、その喜びをあなたと分かち合いたいと思うからである。


He would but have you accept his accomplishments as yours, because he did them for you.
  • have A do : 「Aに〜させる」
  • accept [əksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
  • accomplishment [əkámpliʃmənt] : 「業績、成就、偉業、成果、達成、完成」
❖ "He would but have ~ "「ホーリー・スピリットはあなたに、ホーリー・スピリットが達成したことを、あなたのものとして受け入れて欲しいのである」。"because he did ~ "「なぜなら、ホーリー・スピリットはあなたのためにそうしたのだから」。ホーリー・スピリットはあなたを時間(過去)から解放したのだが、その達成をあなたに受け入れてもらいたい、つまり、それに向けてあなたに努力してもらいたいのである。あなたが自分の意思でそれを選択しないことには、未来はそのようにならないからだ。ホーリー・スピリットはあなたを時間から解放したのだが、あなたがそれに安心して眠りこけていたのでは、未来は未完のまま過ぎ去ってしまうだろう。



And because he did, they are yours. He has made you free of what you made.
  • make [SVOC] : 「〜の状態にする」
  • free of : 「〜から自由である、〜を免除されている、〜がない」
❖ "And because he ~ "「そして、ホーリー・スピリットは達成したのだから、それはあなたのものである」。ホーリー・スピリットはあなたを過去から解放した。その解放はあなたのものである。"He has made you ~ "「ホーリー・スピリットはあなたを、あなたが作ったものから自由にさせたのである」。たとえば、神を裏切ったことによって罪の意識を持つにいたった過去、あなたが作った幻想の過去を、ホーリー・スピリットは取り消しにしてくれた。



You can deny him, but you cannot call on him in vain. He always gives his gifts in place of yours.
  • deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
  • call on : 「求める、要求する、所望する、頼む」
  • vain [véin] : 「無駄な、無益な、無価値な、空虚な」
  • in vain : 「無駄に」
  • in place of : 「〜の代わりに、〜の代理で」
❖ "You can deny ~ "「あなたはホーリー・スピリットを拒絶することは出来る」。ホーリー・スピリットを拒絶し、エゴをとるという選択はあなたの自由意思に任されている。"but you cannot ~ "「しかし、ホーリー・スピリットに頼んで、無駄に終わることはない」。"He always gives ~ "「ホーリー・スピリットは常に、あなたのもっているものに代えて、ホーリー・スピリットの贈り物を与えてくれるのだから」。エゴはあなたと取引をして、あなたから何かを奪う可能性はある。と言うより、エゴは必ず奪う。しかし、ホーリー・スピリットに頼んで、何かを奪われることは絶対にない。必ず、与えられるのである。



He would establish his bright teaching so firmly in your mind, that no dark lesson of guilt can abide in what he has established as holy by his presence.
  • establish [istǽbli∫] : 「確立する、達成する、樹立する、制定する、設置する」
  • bright [bráit] : 「輝かしい、華やかな、明るい、輝く」
  • firmly [fə́ː(r)mli] : 「堅固に、しっかりと、堅く、確固として」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
  • abide [əbáid] : 「居住する、とどまる」
  • presence [prézns] : 「存在すること、存在、居ること」
❖ "He would establish ~ "ここは"~ so ~ that ~ "の構文、「ホーリー・スピリットはあなたの心の中に、輝ける教えをしっかりと確立するであろうから、」"that no dark lesson of ~ "「罪に関する闇のレッスンは〜の中にとどまることは出来ないのだ」。"in what he has ~ "「ホーリー・スピリットの存在によって、神聖なものとしてホーリー・スピリットが確立したものの中に」とどまることは出来ない。ホーリー・スピリットの教えは、実相世界の真実であるから、それは輝いており、神聖である。その中に、罪の意識をかき立てるような闇のレッスンは入り込めない。なぜなら、闇のレッスンは虚偽だからである。虚偽が、真実だけで成り立っている実相世界に存在することは原理的に不可能なのだ。



Thank God that he is there and works through you. And all his works are yours.
  • work [wə́ː(r)k] : 「働く、仕事をする」
  • through [θruː] : 「〜を通じて、〜の手を経て、手を通して、〜を経由して」
❖ "Thank God that he ~ "「ホーリー・スピリットがあなたの心の中にいて、あなたを通して働いていることを、神に感謝しなさい」。"And all his works ~ "「そして、ホーリー・スピリットの働きはすべて、あなたのものなのである」。ホーリー・スピリットは自分の利益のために働いているのではない。すべて、あなたのために働いているのである。それが、ホーリー・スピリットの使命であり、また、喜びでもあるのだ。



He offers you a miracle with every one you let him do through you.
  • offer [ɔ́(ː)fə(r)] : 「差し出す、捧げる、提供する」
❖ "He offers you a miracle ~ "直訳すると、「ホーリー・スピリットは、あなたがホーリー・スピリットにあなたを通してさせる一つ一つの奇跡をもって、あなたに奇跡を差し出している」。これでは何の意味かわからない。文章を二つに分解してしまおう。「ホーリー・スピリットはあなたに奇跡を差し出してくれるのだが、その一つ一つをあなたは、ホーリー・スピリットにあなたを通してさせているのである」。あなたはホーリー・スピリットの奇跡を求める。するとホーリー・スピリットは奇跡を叶えてくれるのだが、一方的にホーリー・スピリットが奇跡を差し出してくれるのではない。あなたを通して、つまり、あなたの行動を通して、その奇跡が成就するように指揮をとってくれるのである。表面上は、あなたが奇跡を求め、ホーリー・スピリットがそれを叶えるという図式ではあるが、内容は、あなたがホーリー・スピリットの助けを借りて奇跡を起こしていることになる。むしろ、あなたとホーリー・スピリットが互いに重なり合って、同一体となって奇跡を起こしている、と考えたほうがいいかもしれない。なぜなら、実相世界では、ホーリー・スピリットと神の子は一心同体であるからだ。



11. God's Son will always be indivisible. As we are held as one in God, so do we learn as one in him.
  • always [ɔ́ː(l)weiz] : 「常に、いつも」
  • indivisible [ìndəvízəbl] : 「分割できない、不可分の」
  • held [héld] : 「hold の過去形」
  • hold [hóuld] : 「維持する、保持する、持続する、とどめておく」
❖ "God's Son will ~ "「神の子は常に、不可分の状態で存在するであろう」。"As we are held ~ "「私たち神の子が、神の中で一つとして保持されているので、」"so do we learn ~ "「同様に、私たちは神の中で一つとして学んでいるのだ」。神から分離した後、我々の心は散り散りに分裂した。しかし、我々はいずれ神の元に回帰し、心は再び統一される。神の子は一なる心に再統合されるのである。しかし、それは時間の存在する幻想世界から見れば未来的にそうなのであって、時間の存在しない実相世界から見れば、心の再統一はすでに完了している。我々は一なる心として神の中に保持されているのである(実相世界に存在している)。したがって、我々は、幻想世界にあっては一人一人がバラバラに学んでいるのだが、実相世界から見れば、一人の神の子が神の中で学んでいることになる。



God's Teacher is as like to his Creator as is his Son, and through his teacher does God proclaim his oneness and his Son's.
  • Creator [kriéitər] : 「創造者、創作者、創設者」
  • proclaim [proukléim] : 「〜を明白に示す、宣言する、宣告する」
❖ "God's Teacher is ~ "「神が遣わした師が創造主と似ているように、神の子も創造主と似ている」。神の子もその師であるホーリー・スピリットも、共に創造主である神に似ている。この三位(さんみ)は、もちろん、究極的には一体である(三位一体)。似ていないわけがないのだ。"and through his teacher ~ "「そして、神の遣わした師を通じて、神は、ホーリー・スピリットの単一性(一体性)と神の子の単一性(一体性)を宣言しているのである」。神の子の心にはそれぞれにホーリー・スピリットが住んでいるのだが、神の子が一つであるように、ホーリー・スピリットも一つである。なぜか? 神はそのように創造したからだ。神が、神の子もホーリー・スピリットも単一であることを意思したからである(宣言したからである)。



Listen in silence, and do not raise your voice against him.
  • listen [lísn] : 「耳を傾ける、傾聴する、聴く、聞く」
  • in silence [sáiləns] : 「黙って、黙りこくって、沈黙して、無言で、静かに」
  • raise [réiz] : 「上げる、引き起こす」
  • raise voice against : 「〜に反対の声を上げる」
❖ "Listen in ~ "「静かに耳を傾けなさい」。神の声に静かに耳を傾けなさい。"and do not raise ~ "「そして、神に対して反対の声を上げてはいけない」。つまり、真実に対して反対の声を上げてはいけない。俺達は単一なんかじゃないと主張するな、ということ。



For he teaches the miracle of oneness, and before his lesson division disappears.
  • oneness [wʌ́nnis] : 「一体感、単一性、同一性、統一性、調和」
  • division [divíʒən] : 「分割、分裂、分離、分配」
  • disappear [dìsəpíə(r)] : 「存在しなくなる、なくなる、消滅する、消失する」
❖ "For he teaches ~ "「なぜなら、ホーリー・スピリットは単一性の奇跡を教えたのであり、」"and before his lesson ~ "「ホーリー・スピリットの教えを前にして、分裂は消滅してしまうからだ」。幻想であり虚偽の分裂は消滅する。なぜなら、ホーリー・スピリットが単一性という真実を教えたのだから。光の存在によって闇は消滅するのみ。



Teach like him here, and you will remember that you have always created like your Father.
  • remember [rimémbə(r)] : 「〜を思い出す、〜を覚えている」
  • always [ɔ́ː(l)weiz] : 「いつも、常に」
  • create [kriéit] : 「創造する、作り出す」
❖ "Teach like him ~ "「この地上において、ホーリー・スピリットのように(同胞に)教えなさい」。"and you will remember ~ "「そうすれば、あなたは、あなたが父なる神のようにいつも創造してきたことを思い出すだろう」。あなたが同胞に教えるとき、愛や慈しむ心をもって教え、そして共に学ぶ喜びを覚えるだろう。それが、神の創造と同じことなのだとあなたは気付くのである。実相世界は抽象、想念の世界であるから、創造といっても具象として形に表れるものではない。愛、慈しみ、喜び、平和、その分かち合いによる拡張増大、等々が実相世界の創造である。 もちろん、実相世界の想像(イメージ)するパワーによって、この幻想世界に具象を形作ることも可能である。物理法則を超越するパワーなのだから極く極く自然の結果である。しかし、幻想世界に具象を作ることは果たして意味があるだろうか? ちょうど、夜見る夢の中で札束の夢を見たとしても、その札束に意味あるだろうか?



The miracle of creation has never ceased, having the holy stamp of immortality upon it.
  • creation [kriéi∫n] : 「創造、創作」
  • cease [síːs] : 「終わる、やむ、止まる、停止する」
  • holy [hóuli] : 「神聖な」
  • stamp [stǽmp] : 「判、刻印、特徴、特質、型」
  • immortality [ìmɔːrtǽləti] : 「不死、不朽、不滅、永遠」
❖ "The miracle of creation ~ "「創造の奇跡は止むことを知らない」。"having the holy stamp ~ "分詞構文、理由、「創造の奇跡はその上に、不死性の刻印が捺(お)されているのだから」。創造の奇跡は、この幻想世界で起こるとは言え、実体は実相世界にある。実相世界は永遠不変の世界であるから、当然、創造の奇跡も永遠不変に続くのである。永遠不変に続くという表現は、実は正確ではない。実相世界には時間が存在しないからだ。したがって、創造の奇跡は永遠不変に実在する、と言った方がいいだろう。



This is the Will of God for all creation, and all creation joins in willing this.
  • will [wíl] : 「意思する、〜を望む、意図する、決意する」
  • creation [kriéi∫n] : 「創作物、作品」
  • join [dʒɔ́in] : 「〜に加わる、〜に加入する、〜に参加する、〜と交わる」
❖ "This is the Will of ~ "「この不死性は、神が創造したすべてのものたちのための、神の意思である」。神は創造し、それに不死性を与えた。永遠不変性という神の属性を付与したのである。それは神の意思であり、愛である。"and all creation joins ~ "「そして、神によって創造されたものたちはすべて、不死性を願う神の意思に賛同するのである」。ここは意訳した。神が創造したものに不死性を付与したように、神の子もホーリー・スピリットも、創造したものに永遠不変性、不死性を与えようとするわけだ。神の意思に参加するのである。神の意思を分かち合うのだ。
 
 
 

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