●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-15.IV.5:1 ~ T-15.IV.6:8

5. I stand within the holy instant, as clear as you would have me.

  • stand [stǽnd] : 「立っている、立ち上がる、立つ」
  • within [wiðín] : 「〜の中に、〜のうちに、〜の範囲内で」
  • holy [hóuli] : 「神聖な」
  • instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
  • clear [klíə(r)] : 「明らかな、明瞭な、はっきりした、明快な、明晰な」
❖ "I stand within ~ "「私(イエス・キリスト)は、聖なる瞬間のうちに立っている」。"as clear as you ~ "直訳すると、「あなたが私をもちたいと望むほど明瞭に」。英語を母国語(native language)にしていない我々には訳しにくい部分である。まず、"you would have me"「あなたが私をもちたいと望む」という部分であるが、"have"は変幻自在な動詞であって、この場に都合よく訳せばいい。したがって、たとえば、「あなたが私にいて欲しいと望む」とか、「あなたが私の助けを必要とする」とか、単に「あなたが私を望む」という意味に解していいだろう。つまり、あなたがイエス、あるいはホーリー・スピリットを求める、という意味合いである。しかし、異論はあるだろう。"have"を使役動詞ととらえて、"you would have me"を"you would have me stand"と考えるのである。こう考えれば、「あなたが私を聖なる瞬間のうちに立たせたいと思う気持ちが明白なほどに」といった意味合いになるだろう。しかし、いずれにしても、あなたがイエスを求めることには違いがない。あなたがイエスに他力する気持ちが重要なのである(ACIMの絶対他力性)。次に"as clear as"の部分であるが、「〜と同じくらい明瞭に」ということで、何が明瞭かというと、聖なる瞬間にイエスが立ち合っているということがあなたに明瞭になる、ことである。したがって、全体の意味合いは、「あなたが私を求める気持ち、あるいは、私が聖なる瞬間に立ちあって欲しいと思うあなたの気持ちが明瞭になれば、それと同じくらい、私が聖なる瞬間に立ち合っている姿が明瞭になる」ということ。・・・少々くどかったかな? お許しを・・・。



And the extent to which you learn to accept me is the measure of the time in which the holy instant will be yours.
  • extent [ikstént] : 「範囲、程度、限界、限度、広さ、物の広がり」
  • learn [lə́ː(r)n] : 「〜を学ぶ、〜を知る、分かる」
  • accept [əksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
  • measure [méʒə(r)] : 「目安、割合、基準、ものさし」
❖ "And the extent ~ "「そして、あなたが私を受け入れることを学んだ程度が、聖なる瞬間があなたのものになるための時間の目安である」。あなたがイエスを受け入れれば受け入れるほど、聖なる瞬間はあなたにどんどん近づいてくる。



I call to you to make the holy instant yours at once, for the release from littleness in the mind of the host of God depends on willingness, and not on time.
  • at once : 「すぐに、瞬時に、早急に、即刻、即座に」
  • call to : 「〜に声をかける」
  • release [rilíːs] : 「解放、解き放すこと、解除」
  • depend [dipénd] on : 「 : 〜によって決まる、〜次第である」
  • willingness [wíliŋnis] : 「意欲、いとわずにすること」
❖ "I call to you to make ~ "「私はあなたに、今すぐにでも聖なる瞬間をあなたのものにするようにと、呼びかけているのだ」。"for the release from ~ "「なぜなら、神のホスト役である神の子の心の中にある卑小さから解放されることは、あなたのやる気次第であり、時間によるのではないからだ」。聖なる瞬間はただ待っていただけではあなたに訪れはしない。それを望むあなたの意欲がなければならないのである。先にくどく書いたように、聖なる瞬間も、イエス自身も、まずあなたが求めなくてはならない。求めない者には何も訪れないのだ。聖書に言う『求めよ、さらば与えられん』という真意である。したがって、例えば、なぜあなたは今このACIMを学んでいるか? あなたが求めたから、与えられたのである。



6. The reason this course is simple is that truth is simple.
  • reason [ríːzn] : 「理由、動機、原因、根拠」
  • course [kɔ́ː(r)s] : 「課程、講座、科目、単位」
  • simple [símpl] : 「簡単な、簡素な、単純な、容易な」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
❖ "The reason this course ~ "「このコース(ACIM)が単純明快な理由は、真実が単純明快であるということである」。つまり、このコースは真実を伝えている、ということ。だから、誰にとっても明快なのである。



Complexity is of the ego, and is nothing more than the ego's attempt to obscure the obvious.
  • complexity [kəmpléksəti] : 「複雑さ、複雑性、複雑度、複雑なもの」
  • nothing more than : 「〜にすぎない、〜でしかない」
  • attempt [ətém(p)t] : 「〜しようと努力する、〜するよう努める」
  • obscure [əbskjúə(r)] : 「〜を曖昧にする、 〜を暗くする、見えなくする」
  • obvious [ɑ́bviəs] : 「明らかな、明白な、分かりきった」
❖ "Complexity is ~ "「複雑さはエゴのものである」。"and is nothing more ~ "「そして、複雑さは、明白なものを曖昧にしようとするエゴの試みに過ぎない」。エゴは簡単明瞭なものを複雑化して、真実を曖昧にしようとしているのである。なぜなら、あなたに真実を知られては困るからだ。あなたが真実を知り、実相世界に目覚めたなら、幻想のエゴは消滅してしまうからである。



You could live forever in the holy instant, beginning now and reaching to eternity, but for a very simple reason.
  • forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
  • begin [bigín] : 「〜を始める」
  • reach [ríːt∫] : 「伸びる、向かう、及ぶ」
  • eternity [itə́ː(r)nəti] : 「永遠、無限」
  • reason [ríːzn] : 「理由、動機、原因、根拠」
❖ "You could live ~ "「今に始まり永遠へと向かい、あなたは聖なる瞬間を永遠に生きることが出来るのである」。"but for a very ~ "「それもまた、単純明快な理由による」。聖なる瞬間は実相世界の事象である。無時間の実相世界への突入であるから、あなたは時間の消滅した世界に入って行くのである。時間の消滅した後に残るものはただ一つ、永遠である。これが真実であり、いたって単純明快なものである。つまり、時間は虚偽であり、永遠が真実だ、という明快な理由によるわけだ。



Do not obscure the simplicity of this reason, for if you do, it will be only because you prefer not to recognize it and not to let it go.
  • obscure [əbskjúə(r)] : 「〜を曖昧にする、〜を暗くする、見えなくする」
  • simplicity [simplísəti] : 「単純、簡単、平易、容易、簡素」
  • prefer [prifə́ː(r)] : 「〜を好む、むしろ〜の方を好む、〜の方を選ぶ」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「認める、受け入れる、〜を認識する、〜を認証する」
❖ "Do not obscure ~ "「この理由の単純明快さを曖昧にしてはいけない」。"for if you do, it will ~ "「なぜなら、もしあなたがそんなことをしたなら、それは単に〜だからであろう」。"because you prefer ~ "ここは意訳する、「あなたが、この理由の単純明快さを認めることを拒み、単純な真実をそのままにしておきたくないと思っている」のだからであろう。真実が単純明快であることを認めず、真実がそのまま行われることを拒もうと、複雑怪奇なエゴの虚偽を好んでしまうのである。この複雑怪奇なエゴの思考システムが真実を曖昧なものにし、単純明快なホーリー・スピリットの思考システムを駆逐しようとする。それなのに、あなたはエゴを選択する。あなたの恐れがそうさせるのである。何をそんなに恐れるか、恐れは幻想であるにもかかわらず。



The simple reason, simply stated, is this: The holy instant is a time in which you receive and give perfect communication.
  • simply [símpli] : 「簡単に、分かりやすく」
  • state [stéit] : 「述べる、はっきり言う、提示する」
  • simply stated : 「端的に言って、簡単に言うと、単純に言えば」
  • receive [risíːv] : 「〜を受ける、受け取る、受領する、入手する」
  • perfect [pə́ː(r)fikt] : 「完璧な、完全な」
  • communication [kəmjùːnikéi∫n] : 「伝達、通信、連絡、交信」
❖ "The simple reason ~ "「簡単に言えば、単純明快な理由は次のようなものである」。"The holy instant is ~ "「聖なる瞬間は〜な時である」。"in which you ~ "「あなたが、完璧なコミュニケーションを受け、あるいは与える」時である。なぜ真実は単純明快であるか、その理由は、あなたが聖なる瞬間に真実のみで構成された実相世界と直接につながり、神と、あるいはホーリー・スピリットやキリストと直接にコミュニケーションがとれるようになるからである。その真実は、叡智によってのみ直覚されるものであって、複雑怪奇な理論や理屈で理解され得るものではない。つまり、真実は、叡智があるがままに受け入れ、全体を瞬時に知り得ることであって、何の努力も理解のための迂回も必要としないのである。真実が単純であり、明快である理由である。言い換えれば、叡智にとって真実は単純明快であるが、エゴにとっては難解で理解不能なことなのである。さらに、その叡智は、神やホーリー・スピリットとのコミュニケーションによってもたらされるものだと言っていいだろう。なぜなら、叡智はこの幻想世界のものではなく、実相世界のものだからである。



This means, however, that it is a time in which your mind is open, both to receive and give.
  • mean [míːn] : 「〜を意味する、…とは〜を指す」
  • however [hauévə(r)] : 「けれども、しかしながら、また一方」
  • both A and B : 「AもBも両方」
❖ "This means, however ~ "意訳する、「しかしまた、このことは、聖なる瞬間は、真実なるコミュニケーションを受け、また与えるために、あなたの心が実相世界に対して開かれる瞬間であることを意味しているのだ」。聖なる瞬間を通してあなたの心は実相世界に対して開かれ、そこに神とのコミュニケーションのチャンネルが復旧し、実相世界の叡智を手にすることが出来るのである。ところで、ACIMが言うには、神とのコミュニケーションを一方的に断ち切ったのは神の子である。神は、神の子とのチャンネルを閉じてしまったことは一切ない。



It is the recognition that all minds are in communication. It therefore seeks to change nothing, but merely to accept everything.
  • recognition [rèkəgní∫n] : 「認識、認証、正しく評価されること」
  • therefore [ðéə(r)fɔ̀ː(r)] : 「それ故に、そのために、従って」
  • seek [síːk] : 「捜し求める、捜し出す、求める、追求する」
  • merely [míə(r)li] : 「ただ単に、単に」
❖ "It is the recognition ~ "「聖なる瞬間はthat以下を認識することである」。"that all minds are ~ "「すべての心がコミュニケーションでつながれた状態にある」ことを認識することである。聖なる瞬間、すべての神の子、あなたも同胞達も、心を実相世界に対して開くとき、すべての心は神とのコミュニケーションを再開し、同時に、心すべてがコミュニケーション・リンクに接続される。"It therefore seeks ~ "「聖なる瞬間は、したがって、何の変化も追求しないし、単に、すべてを受け入れることだけを追求するのである」。聖なる瞬間は、実相世界を目撃する瞬間である。実相世界は永遠不変の世界であり、したがって、その世界に変化を追求することなどあり得ない。実相世界に存在するすべては真実であり、そのすべてを受け入れようとするだけなのだ。幻想のこの世界で変化ばかりを追求しているうちは、実相世界はあなたにとってほど遠いと言えるわけだ。
 
 
 

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