●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-15.VI.7:1 ~ T-15.VI.8:7

7. It is through us that peace will come. Join me in the idea of peace, for in ideas minds can communicate.

  • through [θruː] : 「〜を通じて、〜の手を経て、手を通して」
  • peace [píːs] : 「平和、安らぎ、平穏、安心、安定」
  • join [dʒɔ́in] : 「〜に加わる、〜に加入する、結合する、連結する」
  • idea [aidíːə] : 「考え、着想、アイデア、発想、思い付き」
  • communicate [kəmjúːnikèit] : 「連絡する、通信する、交信する」
❖ "It is through us that ~ "「平和がやって来るのは、私たちを通じてである」。イエスがキリストとして、そして実相に目覚めたあなたもキリストとして、後に続く同胞たちを聖なる瞬間に導いて、そして平和をつかんでもらうのである。ここで言う平和とは、争いという対極概念を持たない純粋な平和のこと。実相世界の真の平和である。"Join me in the idea of ~ "「平和という想念の中に、私と加わりなさい」。イエスと一緒になって、平和という想念を心に持ちなさい、ということ。さて、平和は"idea"「想念」である、と言っている。平和とは争いのない状態を意味すると考えるのは、幻想世界の判断である。実相世界の平和は絶対的な平和であって、抽象、想念の世界の完璧な平和状態である。言葉を尽くしても表現出来るようなものではないのだ。"for in ideas minds ~ "「なぜなら、想念の中で、心はコミュニケートするからだ」。心は想念を使ってコミュニケートする。言葉を使って、とは言っていない。思いが直接伝わる、と解釈していいだろう。



If you would give yourself as your Father gives His Self, you will learn to understand Selfhood.
  • learn [lə́ː(r)n] : 「〜を知る、分かる、悟る、〜を学ぶ」
  • understand [ʌ̀ndə(r)stǽnd] : 「理解する、了解する、納得する、分かる」
  • selfhood : 「自我、個我、個性、自分本位」
❖ "If you would give ~ "「もしあなたが、父なる神が自分自身を与えるように、あなた自身を与えたいと思うようになれば、」"you will learn to ~ "「あなたは、あなたの個我を理解することを学ぶであろう」。あなたの個我、あなたのアイデンティティは神の子である。しかし、その属性も含めて、神の子たるものが何なのか、まだあなたは理解できてはいない。しかし、あなたが自分自身を惜しげもなくすべて与え尽くすとき、あなたはすべてを得ることが出来、あなたの個我が何たるかが理解出来ることになる。なぜなら、あなたは叡智(knowledge)を獲得出来るからだ。



And therein is love's meaning understood. But remember that understanding is of the mind, and only of the mind.
  • therein [ðè(ə)rín] : 「その中に、その場所に、そのときに」
  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、目的、意図」
  • understood [ʌ̀ndə(r)stúd] : 「understand の過去・過去分詞形」
  • remember [rimémbə(r)] : 「〜を思い出す、〜を覚えている」
❖ "And therein is love's ~ "「そして、そのとき、愛の意味が理解される」。"But remember that ~ "「しかし、that以下を覚えておきなさい」。"that understanding is ~ "「理解とは、心がすることであって、心だけが出来るのである」。理解とは、肉体的、あるいは頭脳的な理性がなす仕事ではない。真の理解は、心の業である。つまり、叡智(knowledge)による直覚的把握が、真の理解である。般若心経でいう智慧の完成とは、そういう意味である。



Knowledge is therefore of the mind, and its conditions are in the mind with it.
  • knowledge [nɑ́lidʒ] : 「知識、心得、認識、知恵、知見」
  • therefore [ðéə(r)fɔ̀ː(r)] : 「それ故に、そのために、従って、だから」
  • condition [kəndí∫n] : 「事情、条件、状態、状況、様子」
❖ "Knowledge is therefore ~ "「それゆえ、叡智は心のものである」。叡智は決して知識でも理性でもない。心が叡智になるのだ。叡智が心になるのである。"and its conditions are ~ "「そして、叡智の条件もまた、叡智と共に心の中にある」。叡智を獲得する条件とは何か? それを知ることも、叡智の業であろう。叡智の条件を言葉で説明出来るようでは、叡智が知識であり理性だという事になってしまう。説明不能なのだ。仏教では、不立文字(ふりゅうもんじ)と言う。叡智を知るには叡智をもってする以外ない。だから、叡智の獲得のため、このACIMを学んでいるのではないか。つまり、ACIMを学んだだけですべてを知ったような気持ちになってはいけない。ACIMによって叡智を獲得し、その叡智がすべてを知らしめるのである。ACIMを学んで、ただそれだけでいい気になっているようでは、それは増上慢(ぞうじょうまん)というものだ。自戒を含めて、あえて言っておこう。



If you were not an idea, and nothing but an idea, you could not be in full communication with all that ever was.
  • full [fúl] : 「充満する、満ちた、全部の、全面的な、徹底した、完全な」
  • in communication with : 「〜と文通して、〜と連絡を取って、〜と通信して」
  • ever [évə(r)] : 「今までに、これまで、いつも、絶対に」
❖ "If you were not ~ "ここは"If you were an idea, and nothing but an idea"の否定と考えると意味が取りやすい。つまり、「もし、あなたが想念であり、想念以外の何ものでもない」のではなかったら、という意味。簡単に、「もし、あなたが想念ではなかったら」という意味。もちろん、仮定法過去である。現在の事実に反して仮定している。"you could not be in full ~ "「あなたは、ずっとそうであったすべてのものと、完全なコミュニケーションがとれないであろう」。"all that ever was"これを訳すのは難しいのだが、神のことである。「ずっと、そこに存在し続けたもののすべて」、「永遠にあり続けるもののすべて」、「存在のすべて」、「永遠の存在」、そういった意味合いであろう。総括すれば、「あなたが想念でなかったら、神と心を通わすことは不可能なのだ」ということになる。重要なのは、あなたは想念である、ということである。決して肉体ではない。決して頭脳的理性ではない。あなたは具象的実体ではなく、抽象的実体なのだ。あなたは想念であり、心である。ここをしっかりと押さえないと、ACIMの理解のすべてが崩れてしまう。



Yet as long as you prefer to be something else, or would attempt to be nothing else and something else together, you will not remember the language of communication, which you know perfectly.
  • as long as : 「〜さえすれば、〜する限り」
  • prefer [prifə́ː(r)] : 「〜を好む、むしろ〜の方を好む、〜の方を選ぶ 」
  • attempt [ətém(p)t] : 「 〜しようと努力する、〜するよう努める」
  • together [təgéðə(r)] : 「一緒に、同時に」
  • remember [rimémbə(r)] : 「〜を思い出す、〜を覚えている」
  • perfectly [pə́ː(r)fik(t)li] : 「完全に、完璧に」
❖ "Yet as long as you prefer ~ "「しかしあなたが、(想念以外の)何か別の存在になる方を好んだり、」"or would attempt to be nothing ~ "「あるいは、何ものにもなりたくない、または想念と共にまた別の存在でありたいと試みるようでは、」"you will not remember ~ "「あなたは、(神との)コミュニケーションを司る言語を思い出すようなことはないであろう」。"which you know ~ "「その言語を、実はあなたは完璧に知っているのだが」。"the language of communication"と言っても、我々が通常知っている言語や言葉のことではない。想念としての存在と想念としての存在が、直覚をもって交わし合う言語、つまり、神の言葉、である。では、テレパシーか、と言うと、そう断定は出来ない。お気づきだろうが、ACIMはほとんどオカルト用語を使わない。私の推測だが、ACIMが単なるスピリチュアル本やオカルト本と同列に扱われることを避けるためではないかと思える。異論はあろうが、それらとは、ACIMは格が違う。これまた異論はあろうが、私は、ACIMは真実を語る長い長い詩だと思っている。



8. In the holy instant God is remembered, and the language of communication with all your brothers is remembered with Him.
  • holy [hóuli] : 「神聖な」
  • instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
  • language [lǽŋgwidʒ] : 「言語、言葉」
❖ "In the holy instant ~ "「聖なる瞬間に、神は思い出される」。"and the language of communication ~ "「そして、あなたの同胞全てとコミュニケーションをかわせる言語を、神を思い出すと同時に、思い出されるのである」。聖なる瞬間は、実相世界への目覚めである。神を思い出すのはもちろんのこと、自分が神の子であることも、そして、神の子同士の心が単一であることも、単一の心として意思を疎通しあえることも思い出すのである。



For communication is remembered together, as is truth.
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
❖ "For communication is ~ "「なぜなら、真実が思い出されるにしたがい、コミュニケーションも一緒に思い出されるからである」。と言うことは、コミュニケーション自体も真実であるということだ。コミュニケーションは実相世界の自然な営みということになる。ただし、実相世界のコミュニケーションは、この世界のものとは異質である。想念と想念の直接の交信と考えていいだろう。簡単に言えば、思いが直接つながりあう、ということになるか。しかし、繰り返しになるが、テレパシーという言葉で一括(くく)りにすべきではない(たとえ、テレパシーという現象があったとしても、である)。ACIMは、幻想世界における超常現象を語る本ではないのだ。そうでなく、実相世界の真実が生み出す奇跡を語る本なのだから。



There is no exclusion in the holy instant because the past is gone, and with it goes the whole basis for exclusion.
  • exclusion [iksklúːʒ(ə)n] : 「排除、除外、排他、排斥」
  • past [pǽst] : 「過去、昔」
  • gone [gɔ́(ː)n] : 「go の過去分詞形」
  • whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の」
  • basis [béisis] : 「根拠、理由、基準、原理、土台、基礎、基盤」
❖ "There is no exclusion ~ "「聖なる瞬間においては、過去という時間は消え去るので、排他は存在しない」。"and with it goes ~ "「時間が消滅するに従い、排他の基礎となるすべてが消滅するのである」。他者を排他する動機は、他者の過去の行いを理性によって判断評価することに基礎を置く。アイツは悪いことをしたからアイツを排他する、とうわけである。しかし、過去という時間が消滅した今、判断評価する材料も消えてしまう。同時に、排他それ自体が意味を失うのだ。一言で言えば、時間の存在しない実相世界では、判断評価は存在せず、したがって、排他という行為自体も存在しない。



Without its source exclusion vanishes. And this permits your Source, and that of all your brothers, to replace it in your awareness.
  • source [sɔ́ː(r)s] : 「もと、源、起点、原因」
  • vanish [vǽni∫] : 「消える、消えてなくなる、姿を消す、去る」
  • permit [pə(r)mít] : 「許可する、許す、認める、容認する、可能にする」
  • replace [ripléis] : 「〜を取り換える、交換する、差し替える、切り替える、置き換える、置換する」
  • awareness [əwéə(r)nəs] : 「認識、自覚、気付いていること、意識性」
❖ "Without its source ~ "「(判断評価の)源がないので、排他は消滅する」。"And this permits ~ "「そして、このことが、あなたの意識の中で、あなたの(本当の)源、そして同胞すべての源が、排他の源にとって代ることを許すのである」。"Source"は、もちろん、神のことである。時間が存在する幻想世界では、排他の源は過去であった。しかし、時間の存在しない実相世界では、過去は判断評価の源になり得ない。では、何が源として存在するか? 究極の源、第一原因として、神のみである。つまり、愛の源であり、喜びの源、平和の源、美の源、真実の源、そして、心自体の源である。それ以外の源を、あなたは必要とするだろうか? 



God and the power of God will take Their rightful place in you, and you will experience the full communication of ideas.
  • power [páuə(r)] : 「力、能力、勢力」
  • rightful [ráitfəl] : 正当な、合法的な、道徳的に正しい
  • experience [ikspí(ə)riəns] : 「〜を経験する、〜を体験する」
  • full [fúl] : 「 いっぱいの、充満する、満ちた、全部の、全面的な」
❖ "God and the power ~ "「神と神のパワーが、あなたの心の中で正しい位置を占めるであろう」。正しく機能し始めるのだ。"and you will experience ~ "「そして、あなたは、想念の完全なコミュニケーションを経験することになるだろう」。想念として存在するあなたと、想念として存在する神が、完全な想念のコミュニケーションを交わし合うのである。いわば、想念同士が重なり合い、混じり合うのである。調和共鳴であり、そこにはもはや、神と神の子の区別は存在し得なくなる。三位一体の予兆である。



Through your ability to do this you will learn what you must be, for you will begin to understand what your Creator is, and what His creation is along with Him.
  • through [θruː] : 「〜を通じて、〜の手を経て、手を通して」
  • ability [əbíləti] : 「能力、才能、できること、手腕」
  • learn [lə́ː(r)n] : 「〜を知る、分かる、〜を学ぶ」
  • begin [bigín] : 「〜を始める、〜するようになる、〜に取り掛かる」
  • understand [ʌ̀ndə(r)stǽnd] : 「理解する、了解する、納得する、分かる」
  • Creator [kriéitər] : 「創造者、創作者、創設者」
  • creation [kriéi∫n] : 「創作物、作品、創造、創作」
  • along with : 「〜と一緒に、〜とともに、〜と同伴で、〜と同調して」
❖ "(想念による完璧なコミュニケーションを行うという)あなたの能力を通して、"you will learn ~ "「あなたは、あなたが何たるかを学ぶであろう」。"for you will begin ~ "「なぜなら、あなたは、あなたの創造主が何たるかを理解し始めるであろうからだ」。"and what His creation ~ "「創造主を理解することと共に、創造されたもの達が何たるかを理解し始めるだろうから」。真のコミュニケーションを通して、あなたは神と神の子を理解し始める。神とのコミュニケーションを通して、叡智による直覚が始動するのである。
 
 
 

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