●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-15.VII.11:1 ~ T-15.VII.12:5

11. The Holy Spirit cannot teach through fear. And how can He communicate with you, while you believe that to communicate is to make yourself alone?

  • through [θruː] : 「〜を通じて、〜の手を経て、手を通して」
  • fear [fíə(r)] : 「恐れ、恐怖」
  • communicate [kəmjúːnikèit] : 「連絡する、通信する、交信する」
  • while [(h)wáil] : 「〜の間ずっと、〜する間に、その間に」
  • make [SVOC] : 「〜を〜な状態にする」
  • alone [əlóun] : 「独りで、ただ〜だけで、唯一の、離れて」
❖ "The Holy Spirit cannot ~ "「ホーリー・スピリットは、恐れを煽り立てて教えることなど出来ないのだ」。それはエゴの手段である。"And how can He communicate with ~ "「あなたが、コミュニケーションはあなたを一人ぼっちにすると信じている間、ホーリー・スピリットはどうやってあなたとコミュニケーションをとることが出来るだろうか」。あなたは神との、あるいはホーリー・スピリットとのコミュニケーションを恐れている。真実を知るのが怖いのだ。自分の罪が暴き立てられ、罰を与えられるかもしれないと思っているからだ。もしそんな事になったら、あなたは孤独のどん底に叩き落とされてしまうではないか。あなたは恐れている。しかし、あなたが自分の自由意志をもって、ホーリー・スピリットとのコミュニケーションを望まない限り、ホーリー・スピリットはあなたとコミュニケーションの取りようがないのだ。



It is clearly insane to believe that by communicating you will be abandoned. And yet many do believe it.
  • clearly [klíə(r)li] : 「はっきりと、疑いもなく、明らかに」
  • insane [inséin] : 「正気でない、精神障害の、非常識な」
  • abandon [əbǽndən] : 「捨てる、遺棄する、見捨てる、捨て去る、置き去りにする」
❖ "It is clearly insane ~ "ここは"It ~ to ~ "の構文、「(ホーリー・スピリットと)コミュニケーションを交わすことであなたが捨てられると信じることは、明らかに狂っている」。"And yet many ~ "「しかし、多くの者が、それを信じているのだ」。ホーリー・スピリットも神も、決して罪をあげつらってその罪を裁き、罰を与えることなどしない。出来ないのだ。実相世界には、裁くという概念もなければ、罰するという概念もない。存在しないことがどうして出来ようか。さらに、神の子を捨てるなどということも、決してしない。原理的に出来ないのだ。捨てるという概念が実相世界には存在しないからである。しかし、どうしてこれほど多く者が、神を恐れ、天の王国を恐怖するのであろうか? もちろん、思い込みも原因の一つだろうが、多種多様な宗教の功罪も大きいと思う。地獄という概念、最後の審判という概念、等々の脅しが宗教の根本理念に据えられている現状を考えると、多くの人が神を畏れる気持ちも理解出来ないことはない。これは一種の恐喝であると私自身は考えている。恐喝されて恐れる者より、恐喝する者の方が悪いに決まっている。これはヤクザな業(わざ)である。もしあなたが何かの宗教に属し、何らかの形で恐怖を扇ぎ立てられるようであれば、断言していい、その宗教はヤクザである。恐れをかきたてて金を絞りとろうとするヤクザな宗教に違いない。忠告助言しよう、そんな宗教は即刻やめなさい。この際だから言っておきたいのだが、信じるものだけが天国へ入れるとか、特別な者だけが極楽へ行けるなどとぬけぬけと主張する宗教もヤクザだ。金を払ってお祓いすれば安泰だとぬかす宗教もヤクザそのものである。神は完全平等であり、実相世界には差別という概念はないのだ。上下もなければ位(くらい)もない。そんなちゃちなものが天の王国にあるはずがない。あったとしたら、それは天の王国ではない。ヤクザの王国である。いったい、あなたはその宗教の勧めるヤクザの王国に入りたいのか? ヤクザの王国に入って、親分に隷属する子分になりたいのか? 



For they think their minds must be kept private or they will lose them, but if their bodies are together their minds remain their own.
  • kept [képt] : 「keep の過去・過去分詞形」
  • private [práivət] : 「個人の、私有の、私的な、自分だけが持つ」
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
  • together [təgéðə(r)] : 「一緒に、同時に」
  • remain [riméin] : 「依然として〜のままである、残る、残存する」
❖ "For they think their minds ~ "「なぜなら、彼らは、心は個人的なものとして保たれなくてはならず、そうでなかったら、自分を失ってしまうと思っているからであり、」"but if their bodies are ~ "「体が一緒だとしても、心は自分のものとしてあり続けると思っているからである」。肉体はさらけ出すことは出来るが、心は秘密のままにしておきたいのだ。なぜなら、心が盗まれたら自分でなくなってしまうと信じているからだ。彼らには、心を通わせ、思いを分かち合うという概念が欠けているのである。ましてや、神の子として心は一つであるという真実は想像もつきますまい。



The union of bodies thus becomes the way in which they would keep minds apart.
  • union [júːnjən] : 「結合、合併、融合、団結」
  • thus [ðʌ́s] : 「このようにして、こんなふうに、それ故に、従って」
  • way [wéi] : 「方法、やり方、手段、方途、様式」
  • apart [əpɑ́ː(r)t] : 「離れて、離ればなれで、バラバラに、別々に」
❖ "The union of bodies thus ~ "「こうして、肉体的な結びつきは、心を離れ離れにしておく方法となるのである」。心が通い合わなくても、肉体的な距離の近さだけで満足しようとするわけだ。



For bodies cannot forgive. They can only do as the mind directs.
  • forgive [fə(r)gív] : 「許す、容赦する、勘弁する」
  • direct [dərékt] : 「〜に命令する、〜に指図する」
❖ "For bodies cannot ~ "「なぜなら、肉体は赦すということは出来ないからである」。肉体が赦すことが出来たら、心を売り飛ばすことになるだろうが、幸いなことに、肉体は赦すことは出来ず、したがって、心は安泰だと考えるわけだ。"They can only do ~ "「肉体は、心の指図通りに動けるだけだ」と考えるのである。真実の存在である心として生きるよりは、幻想の肉体として生きる方を選んでいるのだ。



12. The illusion of the autonomy of the body and its ability to overcome loneliness is but the working of the ego's plan to establish its own autonomy.
  • illusion [ilúːʒ(ə)n] : 「幻想、幻覚、錯覚、幻影」
  • autonomy [ɔːtɑ́nəmi] : 「自治、自律性、自主性」
  • ability [əbíləti] : 「能力、才能、できること、手腕」
  • overcome [òuvə(r)kʌ́m] : 「克服する、乗り越える、乗りきる、切り抜ける」
  • loneliness [lóunlinəs] : 「孤独、寂しさ、独りぼっち」
  • working [wə́(ːr)kiŋ] : 「働くこと、運転、操作、機能、仕組み、メカニズム」
  • establish [istǽbli∫] : 「確立する、達成する、樹立する、設立する」
❖ "The illusion of ~ "「肉体の自律性の幻覚と、孤独を克服出来る肉体の能力いう幻覚は、」"is but the working of ~ "「エゴ自身の自律性を確立するプランのなせる業である」。難しい言い方をしているが、エゴが自律性を確立するために、肉体の自律性を利用しているということ。肉体が自律的に動いていることで、心の分離が維持出来るとエゴは考えている。心の分離が維持出来ることで、バラバラな心は互いに反目しあって実相に目覚めることなどしない。かくして、エゴは安泰なのだ。しかも、エゴがあなたを支配していることで、エゴの自律性も確保されるというわけである。つまり、自由気ままにあなたを操れるのだ。



As long as you believe that to be with a body is companionship, you will be compelled to attempt to keep your brother in his body, held there by guilt.
  • As long as : 「〜さえすれば、〜する限り」
  • companionship [kəmpǽnjənʃìp] : 「交友、話し相手、交際」
  • compel [kəmpél] : 「〜に強制的に〜させる、強要する、強いる」
  • be compelled to : 「〜せざるを得ない、やむを得ず〜する」
  • attempt [ətém(p)t] : 「試みる、企てる」
  • held [héld] : 「hold の過去形」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
❖ "As long as you believe that ~ "「あなたが、that以下を信じている限り、」"that to be with ~ "「肉体としていることが、人と交わることだ」と信じている限り。つまり、肉体と肉体の交流が人と人の付き合い方なのだと信じている限り、ということ。 "you will be compelled ~ "「あなたは〜を試みざるを得ないだろう」。"to keep your brother ~ "「同胞もまた肉体の中に閉じ込めること」を試みざるを得ないだろう。あなたが肉体として付き合おうというのだから、相手もまた、(心ではなく)肉体として付き合ってもらわなくてはならないと思うのである。"held there by ~ "分詞構文、付帯状況、先頭にbeingを補うとよい、「同胞を、罪の意識でもって肉体に縛り付けることで」。



And you will see safety in guilt and danger in communication.
  • safety [séifti] : 「安全、無事、無難なもの」
  • danger [déin(d)ʒə(r)] : 「危険、危機、危難」
❖ "And you will see ~ "「そしてあなたは、罪の意識の中に安全を見、コミュニケーションの中に危険を見るのだ」。罪の意識でがんじがらめになっているのを見れば、何事も起きることなく安泰だと思い、心がコミュニケーションを始めると、これは何か起きるかもしれないと、危険を感じるようになってしまうのである。



For the ego will always teach that loneliness is solved by guilt, and that communication is the cause of loneliness.
  • always [ɔ́ː(l)weiz] : 「いつも、常に」
  • loneliness [lóunlinəs] : 「孤独、寂しさ、独りぼっち」
  • solve [sɑ́lv] : 「解く、解決する」
  • cause [kɔ́ːz] : 「原因、要因」
❖ "For the ego will always ~ "「なぜなら、エゴは常に、孤独は罪によって解決されるし、コミュニケーションは孤独の原因だと教えるであろうから」。孤独は孤独によって解決せよ。つまり、孤独は慣れるしかない、というのがエゴの論。また、他者とコミュニケーションを交わすことで、他者との距離がはっきりわかり、ますます孤独になってしまうというのもエゴの論。



And despite the evident insanity of this lesson, many have learned it.
  • despite [dispáit] : 「 : 〜にもかかわらず、〜をよそに」
  • evident [évid(ə)nt] : 「明白な、明らかな、歴然とした、確かな」
  • insanity [insǽnəti] : 「狂気、精神病、精神異常」
  • learn [lə́ː(r)n] : 「〜を学ぶ、〜を知る、分かる」
❖ "And despite the evident ~ "「そして、このレッスン(エゴの教え)が明白な狂気であるにもかかわらず、」"many have ~ "「多くの者がそれを学んでしまったのである」。そう信じているのである。そこから解放されない限り、心の救いはない。それには、あなたの断固たる決意が必要なのだ。
 
 
 

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