●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-15.VII.3:1 ~ T-15.VII.4:6

3. The sick attraction of guilt must be recognized for what it is.

  • sick [sík] : 「病気で、病気の、悪趣味な、病的な、異常な」
  • attraction [ətrǽk∫n] : 「引き付けるもの、引力、魅力、誘引」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「評価する、認める、〜を認識する、〜を認証する」
❖ "The sick attraction of ~ "「罪に対して病的な魅力を感ずることは、それが何たるか、認識する必要がある」。なぜ罪の意識に引かれるか、なぜ罪の意識にこだわるのか、その原因を調べて見なければならない、ということ。あなたの罪の意識はどこからやって来るのか。また、それから逃れたいのか否か。逃れたいなら、どうすればいいのか。



For having been made real to you, it is essential to look at it clearly, and by withdrawing your investment in it, to learn to let it go.
  • real [ríː(ə)l] : 「現実の、実際の、本物の」
  • essential [isén∫l] : 「絶対必要な、必須の、最も重要な、肝心な」
  • clearly [klíə(r)li] : 「はっきりと、疑いもなく、明らかに、明瞭に」
  • withdraw [wiðdrɔ́ː] : 「引っ込める、取り消す、取り下げる、撤回する」
  • investment [invés(t)mənt] : 「投資、投下資本、出資、投資金」
  • learn [lə́ː(r)n] : 「〜を知る、分かる、〜を学ぶ」
  • let it go : 「あきらめる」
❖ "For having been made ~ "分詞構文、理由、「なぜなら、罪の意識はあなたにとって現実的であるので、」"it is essential to look ~ "ここは"it ~ to ~ "の構文、「罪の意識を明瞭に見ることは絶対必要である」。"and by withdrawing your ~ "「そして、罪の意識に投資することを取り下げることによって、」"to learn to let ~ "「罪の意識を手放してしまうことも絶対必要である」。そのためのACIMである、と言っても過言ではない。



No one would choose to let go what he believes has value.
  • choose [t∫úːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • let go : 「解雇する、手を放す、あきらめる」
  • value [vǽljuː] : 「価値、値打ち、真価」
❖ "No one would choose ~ "「誰も、価値があると信じているものを手放すことを選択したがらないものだ」。"what he believes has value"は"what has value"「価値があるもの」に"he believes"を挿入して、「価値があると信じているもの」となっている。



Yet the attraction of guilt has value to you only because you have not looked at what it is, and have judged it completely in the dark.
  • judge [dʒʌ́dʒ] : 「〜を判断する、〜を裁く」
  • completely [kəmplíːtli] : 「完全に、十分に、全面的に、全く、徹底的に」
  • dark [dɑ́ː(r)k] : 「闇、暗黒」
❖ "Yet the attraction of guilt ~ "「しかし、罪の意識に引きつけられることは、〜という理由だけで、あなたにとって価値があるのだ」。"because you have not ~ "「あなたは、罪の意識が何たるか見たことはないし、闇の中だけで完全にそれを判断してしまった」という理由だけで、あなたにとって価値があるのだ。つまり、価値判断を誤った、ということ。それは、罪の意識を十分に吟味しなかったことと、幻想の、闇の世界において判断したことが原因になっている。したがって、光の下へ引きずり出して見る必要がある。白日の下にさらすのである。



As we bring it to light, your only question will be why it was you ever wanted it.
  • bring [bríŋ] : 「〜を連れて行く、〜を持って行く」
  • light [láit] : 「光、明かり」
  • question [kwést∫n] : 「質問、問題、疑問、問い、質疑、疑義」
❖ "As we bring it ~ "「私たちが、罪の意識を光の下にもって行くにしたがい、」"your only question will be ~ "「あなたの唯一の疑問は、なぜあなたは罪の意識など欲っしたのだろうか、ということになるであろう」。実相世界の光に当ててみれば、自分が罪の意識を持ったことが不思議に思えてくるのだ。ちょうど、夜見る夢が恐ろしいのものであっても、夢から覚めれば、何であんなに恐ろしかったのだろうかと不思議に思えるのと同じである。



You have nothing to lose by looking open-eyed, for ugliness such as this belongs not in your holy mind.
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
  • open-eyed : 「目を見開いた、油断のない、抜け目のない」
  • ugliness [ʌ́glinəs] : 「醜さ、醜悪さ」
  • belong [bilɔ́(ː)ŋ] : 「〜に属する、所属する」
  • belong in : 「〜に住む、〜の一員となるにふさわしい」
  • holy [hóuli] : 「神聖な」
❖ "You have nothing ~ "「あなたは、目を見開いて見ることで、失うものは何もないのだ」。"for ugliness such ~ "「なぜなら、この罪の意識のような醜悪なものは、あなたの神聖な心の中に存在してはいないのだから」。罪の意識のような醜いものは単なる幻想、錯覚であって、実在する神聖な心の中に存在出来るものではない。安心して、醜悪なものを、目を見開いて見るべきなのだ。その非実在性をしっかり知ることになるのだから。



This host of God can have no real investment here.
  • host [hóust] : 「主人、宿主、亭主」
  • real [ríː(ə)l] : 「現実の、実際の、本物の」
  • investment [invés(t)mənt] : 「投資、投下資本、出資、投資金」
❖ "This host of God can ~ "「この、神のホスト役は、この(幻想の)世界において、実際の投資など出来ないのだ」。"host of God"「神のホスト役」とは、神の子のこと。神に寄り添って、喜び、平和を分かち合う役、といった意味合い。"real investment"「実際の投資」とは、愛や喜びや平和、創造に、神から受け継いだパワーを使うこと。つまり、神の子は、幻想のこの世界にあって、罪の意識に偽りの投資を続けてきたが、それは夢であって、愛や平和への本当の投資は、実相世界の心の中で行われるものなのだ、ということ。罪の意識への投資は幻想であるので、たとえ投資が失敗しても、あなたは何も失うものはない。安心して、偽りの投資をやめなさい、と言っているわけだ。そして、真実の投資に、あなたをパワーを使うべきなのだ。



4. We said before that the ego attempts to maintain and increase guilt, but in such a way that you do not recognize what it would do to you.
  • attempt [ətém(p)t] : 「〜を試してみる、〜を企てる」
  • maintain [meintéin] : 「〜を保持する、維持する、保つ」
  • increase [inkríːs] : 「〜を増やす、増大させる、増加させる」
  • in such a way that : 「〜といったのような方法で、〜となるように」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
❖ "We said before that ~ "「以前、私たちはthat以下を言った」。"that the ego attempts ~ "「エゴは罪の意識を維持し増大させようと試みている」と言った。"but in such a way that ~ "「その罪の意識があなたに対して何をするか、あなたに分からないようにするやり方で、」罪の意識を維持し増大させようと試みていると言った。エゴはあなたの心の中の罪の意識を維持増大させ、あなたが幻想から目覚めないようにするのである。なぜなら、あなたが真実を知って実相世界に目覚めたとき、あなたの幻想は消滅し、同時にエゴという幻想も消滅してしまうからだ。エゴはそれを最も恐れている。



For it is the ego's fundamental doctrine that what you do to others you have escaped.
  • fundamental [fʌ̀ndəméntl] : 「基本となる、基本の、基礎の、基本的な、必須の」
  • doctrine [dɑ́ktrin] : 「教義、信条、教理、主義」
  • escape [iskéip] : 「〜を免れる、はぐらかす、逃げる、避ける」
❖ "For it is the ego's fundamental ~ "ここは"it ~ that ~ "の構文、「なぜなら、エゴの基本教義は、あなたが他者に対して行ったことから、あなたは逃れてしまうということだからである」。その結果、罪の意識があなたに対して何をするか、あなたは気付かないことになるわけだ。さて、どういう意味だろうか? まず、あなたが他者に対して行うこととは、これはエゴの勧めることだから、簡単に言って非難攻撃と考えていい。なぜ、あなたは非難攻撃するのか? あなたは他者を非難攻撃することで、自分の心の中の罪の意識や恐れから目を逸らすことが出来るからだ。罪の意識と恐れがあなたに攻撃をさせているのである。エゴはあなたに攻撃を行わせることで、罪の意識と恐れを温存することを狙っているのだ。そこで、問題は、"what you do to others you have escaped"の部分である。あなたは他者を攻撃することで、その攻撃から逃れているという意味合いになる。これがエゴの基本教義、すなわちエゴの思考システムであると言っているから、結局、あなたが他者から攻撃されないためには、攻撃される前に他者を攻撃せよ、ということになる。あるいは、奪われる前に奪い取れ、そうすれば奪われずにすむということである。しかし、これを、実相世界の真実に照らしてみると、自他一如によって、あなたが他者を攻撃することは、あるいは他者から奪い取ることは、取りも直さず、あなたが攻撃されること、あなたが奪われることに等しい。エゴは、その原理を理解することが出来ないのである。



The ego wishes no one well. Yet its survival depends on your belief that you are exempt from its evil intentions.
  • wish [wí∫] : 「望む、祈る、祈念する」
  • survival [sə(r)váivl] : 「生き残ること、生存者、生き残り、残存、存続」
  • depend [dipénd] : 「〜次第である、〜による、〜に左右される」
  • depend on : 「〜によって決まる、〜次第である、〜に頼る、〜を当てにする」
  • belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信用、信頼」
  • exempt [igzém(p)t] : 「免除されている、免疫の」
  • be exempt from : 「〜を免除される」
  • evil [íːvl] : 「悪い、害を与える、邪悪な」
  • intention [intén∫n] : 「意図、意思、決意、心づもり、故意」
❖ "The ego wishes ~ "「エゴは、誰も良かれと思うことはない」。"Yet its survival depends on ~ "「しかし、エゴの存続は、あなたがthat以下を信じていることにかかっている」。"that you are exempt from ~ "「あなはが、エゴの邪悪な意図から免除されている」と信じることにかかっている。ここの文意は誤解されそうである。あなたが、エゴの邪悪な意図に自分だけは引っかからないぞ、と信じていることに、エゴの存続がかかっているという意味ではない。その逆だ。エゴは邪悪な意図をもってあなたに接しているのではないとあなたが信じることに、エゴの存続がかかっているのである。エゴは誰も良かれなどとは思っていないので、結局、あなたはエゴの騙されいるのである。



It counsels, therefore, that if you are host to it, it will enable you to direct its anger outward, thus protecting you.
  • counsel [káunsl] : 「助言する、忠告する」
  • therefore [ðéə(r)fɔ̀ː(r)] : 「それ故に、そのために、従って、だから」
  • host [hóust] : 「主人、宿主、亭主」
  • enable [enéibl] : 「〜を可能にする、〜に可能性を与える、〜が…できるようにする」
  • direct [dərékt] : 「〜を方向づける、〜に命令する」
  • anger [ǽŋgə(r)] : 「怒り、憤り」
  • outward [áutwə(r)d] : 「外側へ、外へ」
  • thus [ðʌ́s] : 「このようにして、こんなふうに」
  • protect [prətékt] : 「保護する、守る、防御する」
❖ "It counsels, therefore, that ~ "「したがって、エゴはthat以下を助言する」。"that if you are host ~ "ここの"host"は「子分」、あるいは「腰巾着(こしぎんちゃく)」と訳した方がいいだろう、「もしあなたが、エゴの子分になったなら、」"it will enable you ~ "「エゴはあなたに、エゴの怒りを外部に向けさせてやり、こうして、あなたを守ってやろう」と助言する。まさにエゴは、ヤクザの発想をするのだ。あなたがエゴに忠誠を誓わないならあなたに怒りを向け、エゴの子分になるなら、あなたに向ける怒りを外部に逸らしてやろうというわけだ。エゴの怒りで攻撃されない分だけ、あなたはエゴから守られているという計算である。ところで、エゴの子分になったあなたにとって、エゴの怒りは、今やあなたの怒りでもあるから、あなたはあなたの怒りを外に向けて放出し、他者を非難攻撃するのである。まさにヤクザの子分に成り下がるわけだ。



And thus it embarks on an endless, unrewarding chain of special relationships, forged out of anger and dedicated to but one insane belief; that the more anger you invest outside yourself, the safer you become.
  • embark [embɑ́ː(r)k] : 「乗船する、着手する」
  • embark on : 「〜に乗り出す、〜に着手する」
  • endless [éndləs] : 「終わりのない、永遠の、絶え間のない」
  • unrewarding : 「報いの得られない、やりがいのない」
  • chain [t∫éin] : 「鎖、連鎖、束縛」
  • special [spé∫l] : 「特別な、独特の、特別の、特有の」
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
  • forge [fɔ́ː(r)dʒ] : 「〜を鍛造する、〜を無理やり作る、偽造する、でっち上げる」
  • out of : 「〜から、〜によって、〜を材料として」
  • anger [ǽŋgə(r)] : 「怒り、憤り」
  • dedicate [dédikèit] : 「〜をささげる、献身する、専念する、打ち込む」
  • insane [inséin] : 「正気でない、精神障害の、非常識な」
  • invest [invést] : 「〜を投資する、出資する、運用する、〜に注ぎ込む」
  • outside [áutsáid] : 「〜の外に、〜の外側に」
  • safe [séif] : 「安全な、無事な、安泰で」
❖ "And thus it embarks on ~ "「こうしてエゴは、終りなき、そして報われる事なき特別な関係の連鎖へと(あなたを)船出させる」。あなたの罪の意識を温存し、怒りを外へ向かわせる関係、すなわち、平等性を完全に欠いた特別な関係性をあなたに求めさせ、その関係の孤立性を利用して外部と対立させ、あなたを非難攻撃へと向かわせるのである。あなたはある関係を結んだかと思うと、程なくその関係は破綻し、こりることなく、また別の関係を求めるという連鎖に巻き込まれる。"forged out of anger and ~ "「その特別な関係は、怒りから作られたものであり、たった一つの狂った信念に寄与することとなる」。それは、"that the more anger you ~ "「あなたが、より多くの怒りをあなた自身の外側に投げつければ投げつけるほど、あなたはますます安全になる」というものである。攻撃される前に攻撃せよというエゴの指示は、そうすれば、あなたは攻撃されずに安全だという理屈で成立している。攻撃こそは最大の防御であると信じているのだ。こうして、あなたは孤立的な特別な関係性の中に潜り込んで非難攻撃を続け、かくして、幻想から実相への目覚めは期待も出来ないものになる。当然、実相に目覚めて、神の子が心を再統一させるなどということは夢のまた夢となるのだ。完全平等な真の関係性の構築などもできない。こうして、エゴは安泰というわけである。
 
 
 

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