●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-18.VI.1:1 ~ T-18.VI.2:8

 
 

VI. Beyond the Body
肉体を越えて
 
 
 
1. There is nothing outside you. That is what you must ultimately learn, for it is the realization that the Kingdom of Heaven is restored to you.
  • outside [áutsáid] : 「〜の外に、〜の外側に」
  • ultimately [ʌ́ltəmətli] : 「結局、最後に、ついに、最終的に、究極に」
  • learn [lə́ː(r)n] : 「〜を学ぶ、〜を知る、分かる」
  • realization [rìːələzéi∫n] : 「理解、認識、実感」
  • restore [ristɔ́ː(r)] : 「元に戻す、回復させる、修復する、復活させる」
❖ "There is nothing ~ "「あなたの心の外には何もない」。"That is what you ~ "「それは、あなたが最終的に学ばねばならないことだ」。"for it is the realization ~ "ここは"it ~ that ~ "の構文ではないので注意、"that"は同格のthat、「なぜなら、心の外に何もないと知ることは、天の王国があなたにとって修復されるという認識だからである」。あなたが目の前にしているこの世界は、あなたが心の外に投射して作り出した幻想の世界である。あなたの心の最も神聖で純粋な部分に神の祭壇があり、そこが、天の王国、つまり、実在する実相世界へつながる接点になっている。あなたがその存在に気付けば、神の祭壇は修復され、あなたにとって天の王国は空想ではなく実在の世界なのだという認識も修復されるのである。



For God created only this, and he did not depart from it nor leave it separate from himself.
  • create [kriéit] : 「創造する、創り出す」
  • depart [dipɑ́ː(r)t] : 「出発する、旅立つ」
  • depart from : 「〜から離れる」
  • leave [líːv] [SVOC] : 「〜をある状態のままにしておく、〜をそのままにしておく」
  • separate [sép(ə)rət] : 「分かれた、離れた、個々の、別個の、別の」
❖ "For God created ~ "「なぜなら、神は天の王国だけを創造したからだ」。神が創造したのは実相世界だけであって、幻想世界は、神と一切関わりを持たない。"and he did not ~ "「しかも、神は天の王国から一歩も離れたことはなく、天の王国を神から引き離したままにしておいたこともないからだ」。ということは、あなたは、あなたの心の中の最も純粋で神聖な部分を通して、神と接触出来るのである。神は、空の彼方に存在するのではない、あなたの心の中に実在するのだ。



The Kingdom of Heaven is the dwelling place of the Son of God, who left not his Father and dwells not apart from him.
  • dwell [dwél] : 「住む、居住する、存在する」
  • place [pléis] : 「場所、個所、住所、席」
  • dwelling place : 「居所、住居」
  • left [léft] : 「leave の過去・過去分詞形」
  • leave [líːv] : 「〜から離れる、〜と別れる、〜を見捨てる」
  • apart from : 「〜から離れて、〜は別として」
❖ "The Kingdom of Heaven ~ "「天の王国は、神の子の住む場所である」。"who left not his Father ~ "「そして、神の子は、父なる神から一歩たりとも離れなかったし、神から離れて暮らしてもいない」。神の子は神から分離したと信じているが、それは幻想であって、本当は神から分離などしていない。心の最も神聖な場所に神を宿し、常に神と共に居る。



Heaven is not a place nor a condition. It is merely an awareness of perfect Oneness, and the knowledge that there is nothing else; nothing outside this Oneness, and nothing else within.
  • condition [kəndí∫n] : 「事情、条件、状態、状況、様子、様相」
  • merely [míə(r)li] : 「ただ単に、単に」
  • awareness [əwéə(r)nəs] : 「認識、自覚、気付いていること、意識性」
  • perfect [pə́ː(r)fikt] : 「完璧な、完全な」
  • oneness [wʌ́nnis] : 「一体感、単一性、同一性、統一性、調和」
  • knowledge [nɑ́lidʒ] : 「知識、心得、認識、知恵、知見」
  • outside [áutsáid] : 「〜の外に、〜の外側に」
  • within [wiðín] : 「〜の中に、〜の内側に」
❖ "Heaven is not ~ "「天の王国とは、場所でもなければ、状態でもない」。"It is merely an awareness ~ "「天の王国とは単に、完璧な単一性の意識に過ぎない」。"Oneness"「単一性」とは、神と神の子の一体性、単一性のこと。"and the knowledge ~ "「そして、天の王国とは、それ以外に何もない、この単一性の外には何もない、単一性の内側以外には何もない、という叡智のことなのだ」。非常に重要な箇所である。天の王国を、これほど明確に定義している箇所は今までなかった。まず、天の王国は、空の彼方にあるとか、花園に囲まれているとか、そういう具象的な現象として存在しているのではない。実相世界は、時空の存在しない、想念の世界であるから、それは当然である。では、全く殺風景なのかというと、そうではない。真実なる想念はあらゆるものを創造するパワーをもっており、自由に好きな景色を描けるものだと思っていい。つまり、実相世界は非具象的世界であるから、その意味では「空」であるが、想念はあらゆるものを生み出すので、その意味では「色」である。「色即是空、空即是色」とはそういうことだ。では、単一性とはどういうことか? 実相世界、天の王国は一元論の世界であり、すべての存在は究極、神という一点に収斂する。神の子が神の元に回帰すれば、神と神の子とホーリー・スピリット(聖霊)の三位(さんみ)は、その心を融合し、一体になるのである。三位一体である。これが、単一性であって、そのとき、存在のすべては神のみ、ということになる。神は存在のすべてを包摂し(all-encompassing)、神の内側にすべてが実在し、その外には何もないことになるのだ。そもそも、神の外側、というもの自体が存在しないのだから。ACIMが純粋一元論であると言われる所以である。



2. What could God give but knowledge of himself? What else is there to give?
  • knowledge [nɑ́lidʒ] : 「知識、心得、認識、知恵、知見」
  • else [éls] : 「そのほかの」
❖ "What could God ~ "「神は、叡智以外に何を与えることが出来よう」。"What else is ~ "「与えるべきものが、叡智の外にあるだろうか」。ACIMの叡智(knowledge)は、仏教で言うところの般若(はんにゃ)とほぼ等しいと思っていいだろう。もちろん、知識や理性ではなく、単なる知恵でもない。直覚による全的把握、と言っておこう。我々、幻想世界の住人には理解出来ないものなのだ。だから、叡智を理解する必要はまったくない。叡智を獲得することを目標にするだけでいいのだ。



The belief that you could give and get something else, something outside yourself, has cost you the awareness of Heaven and of your Identity.
  • belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信用、信頼」
  • outside [áutsáid] : 「〜の外に、〜の外側に」
  • cost [kɔ́(ː)st] : 「〜に負担をかける、犠牲を払わせる、〜に〜を失わせる」
  • awareness [əwéə(r)nəs] : 「認識、自覚、気付いていること、意識性」
  • identity [aidéntəti] : 「正体、身元、独自性、固有性、同一性」
❖ "The belief that you ~ "「あなたが、(叡智)以外の何かを得られるだろう、あなた自身の心の外にある何かを得られるだろうと信じていたことは、天の王国に対する意識性とあなた自身が何者かという意識性をあなたから奪ってきたのだ」。何かを得るとは、物質的なものを得ることだと信じてきたのだが、それは、幻想の実在を信じて来たことを示している。その結果、心の中に、本当の実在である天の王国、実相世界があることを忘れ、さらに、自分が神の子であることも意識することがなかった。これを、闇の中を彷徨(さまよ)う、と言うのである。仏教で言うところの「無明」、「有漏路(うろじ)」である。



And you have done a stranger thing than you yet realize. You have displaced your guilt to your body from your mind.
  • done [dʌ́n] : 「do の過去分詞」
  • stranger [stréin(d)ʒə(r)] : 「奇妙な」
  • yet [jét] : 「まだ、今のところは、今までのところ」
  • realize [ríːəlàiz] : 「〜に気が付く、悟る、自覚する、実感する」
  • displace [displéis] : 「〜と移しかえる、〜を移動させる、置き換える」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
❖ "And you have done ~ "「そこであなたは、今まで自覚したこともないような奇妙なことをしでかしたのである」。"You have displaced ~ "「あなたは、あなたの心から肉体へと、あなたの罪の意識を移し替えたのだ」。本来、神を裏切って神から分離したことで生じる罪の意識は、本来、神の子の心が負うべきはずの重荷である。しかし、あなたの心はその重みに耐えきれず、自己を乖離して、つまり、心としての自分から逃れて、肉体としての自分を新しく作り上げたのである。幻想の世界を心の外側に投射して偽創造し、その中で動き回る肉体を自分自身だと思い込んだのである。もちろん、罪の意識は消滅するはずもなく、肉体に包み込まれた心の奥底に隠される結果となった。



Yet a body cannot be guilty, for it can do nothing of itself. You who think you hate your body deceive yourself.
  • guilty [gílti] : 「罪の意識がある、後ろめたい、やましい、有罪の」
  • hate [héit] : 「〜を憎む、〜をひどく嫌う、嫌がる」
  • deceive [disíːv] : 「欺く、惑わす、だます、裏切る」
❖ "Yet a body ~ "「しかし、肉体は罪深いものとなり得ない」。"for it can do ~ "「なぜなら、肉体はそれ自体何も出来ないからだ」。プラトンが言うように、肉体は単に、心を乗せて動き回る乗り物に過ぎないからだ。肉体は、いわば、着ぐるみのようなものである。"You who think you ~ "「あなたの肉体を憎んでいると思っているあなたは、自分自身を欺いているのだ」。自分が身に付けた着ぐるみを見て、自分は嫌いだと言ったら、それは自分をごまかしていることになる。嫌いな自分は着ぐるみの中にいるのだから。



You hate your mind, for guilt has entered into it, and it would remain separate from your brother's, which it cannot do.
  • enter [éntə(r)] : 「~に入る、~に参加する、~に立ち入る」
  • remain [riméin] [SVOC] : 「依然として〜のままである」
  • separate [sép(ə)rət] : 「分かれた、離れた、個々の、別個の」
❖ "You hate your ~ "「あなたは、あなたの心を憎んでいるのだ」。"for guilt has ~ "「なぜなら、罪の意識は、あなたの心の中に入り込んだのであり、あなたの同胞の心と分離したままであるからだ」。しかし、"which it cannot ~ "「心は分離など出来ないのである」。あなたと同胞の肉体同士が分離しているので、あなたは心も分離していると思い込んでいる。しかし、実相的見地から見れば、心が分離することは不可能なのだ。その分離したように見える心が罪の意識を隠し持っているのだが、そんな自分をあなたはひどく嫌っている。そして、罪を孕(はら)んだ心を嫌うに止まらず、幻想に過ぎない肉体をも憎んでしまうのである。
 
 
 

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