●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-20.III.6:1 ~ T-20.III.7:10

6. Who in a holy relationship can long remain unholy?

  • holy[hóuli] : 「神聖な」
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
  • long [lɔ́(ː)ŋ] : 「長々と続く、ずっと後に、久しく」
  • remain [riméin] [SVOC] : 「依然として〜のままである」
  • unholy : 「不信心な、不敬な、不道徳な」
❖ "Who in a holy relationship ~ "「神聖な関係性の中にいる者の中で、一体誰が、長いこと神聖でない状態に留まれようか」当初は神聖でなくても、神聖な関係性の中にいれば、すぐに神聖になるのだ。薫陶(くんとう)されるというわけだ。



The world the holy see is one with them, just as the world the ego looks upon is like itself.
  • just as : 「ちょうどであろうとおり」
  • look upon : 「〜を見る、〜をよく見る」
❖ "The world the holy see ~ "「神聖なる者が見る世界は、神聖なる者と一体である」。神聖な存在である者が見る、真実の実相世界は、神聖なる者と一体である。"just as the world ~ "「それはちょうど、エゴの見る世界が、エゴ自体と似ているのと同じである」。エゴの見る、この幻想世界は、エゴの似姿そのものである。



The world the holy see is beautiful because they see their innocence in it.
  • beautiful [bjúːtəfl] : 「美しい、素晴らしい、見事な、すてきな」
  • innocence [ínəs(ə)ns] : 「無罪、潔白、無邪気、無垢、純潔、純真」
❖ "The world the holy see ~ "「神聖なる者が見る(実相の)世界は、美しいのだ」。"because they see ~ "「なぜなら、神聖なる者は、その世界に、彼らの純粋さを見るからだ」。純真無垢で、罪のない姿、つまり、無辜(むこ)性を見るから、真実の実相世界が美しく輝いて見える。純白なユリの花を思い出せばいい。



They did not tell it what it was; they did not make adjustments to fit their orders.
  • adjustment [ədʒʌ́stmənt] : 「調節、適応、適合、加減、修正、調整、調停」
  • make adjustments : 「調整する」
  • fit [fít] : 「〜を…するのに適合させる、適応させる」
  • order [ɔ́ː(r)də(r)] : 「階級、地位、等級、品級、順位、序列、系列」
❖ "They did not tell it ~ "「神聖なる者は、その世界が何なのか、世界に向かって問い掛けることはない」。過去形で表現されているが、ACIMでは、時制はこだわらないこと。時間の存在しない実相世界について述べているときは特に、過去形で表現されることが多い。"they did not make ~ "「神聖なる者は、彼らのレベルに適合させようとして、調整を図ることはない」。"their orders"「彼らのレベル、彼らの階級、彼らの品格」といった意味合いであろうが、要するに、彼らの心の有り様のことである。つまり、神聖なる者は、自分の心の有り様に応じて、世界に順応しようとすることはない、という意味。なぜなら、神聖なる者は、実相世界と一体であって、わざわざ自分を世界に順応させる必要などないからだ。どちらも神聖であり、真実であるから。



They gently questioned it and whispered, "What are you? "And he Who watches over all perception answered.
  • gently [dʒéntli] : 「親切に、静かに、優しく、穏やかに」
  • question [kwést∫n] : 「疑問を持つ、問う、質問する」
  • whisper [(h)wíspə(r)] : 「ささやく」
  • watch [wɑ́t∫] : 「じっと見る、観察する」
  • watch over : 「〜の世話をする」
  • perception [pə(r)sép∫n] : 「知覚、認知、知見、見識、感じ方」
  • answer [ǽnsə(r)] : 「答える、返事する」
❖ "They gently questioned ~ "「神聖なる者は、優しく問い掛け、次のように囁(ささや)く、」"What are you? "「あなたは何なのか」。実相世界よ、あなたはいったい何なのか、私とあなたの実在は何を意味しているのか、と問うのである。実相世界に向かって問い掛けているのだが、もちろん、神に問い掛けているのである。"And he Who watches ~ "「すべての知覚を見つめている彼は、答えるのである」。あなたの心の有り様、心の動き、見たり感じたりしたことをすべて知っている神が、あなたにそっと答えてくる。"he"を「彼」と訳してみたが、「実相世界」のことであり、「神」のことだ。どちらにとってもいい。実相世界は一元論の世界であり、神と世界は一体であって、区別を設ける必要がないからだ。



Take not the judgment of the world as answer to the question, "What am I? "
  • judgment [dʒʌ́dʒmənt] : 「判断、判断力、意見、分別」
  • answer [ǽnsə(r)] : 「答え、回答、返事、応答」
  • question [kwést∫n] : 「質問、問題、疑問、問い、質疑、疑義」
❖ "Take not the judgment ~ "「問い掛けに対する答えとして、この(幻想)世界が示す判断を採用してはいけない」。実相世界に対して『あなたは何なのか』と問い掛ければ、神が答えてくれる。しかし、この幻想世界に向かって『あなたは何なのか』と問い掛け、この幻想世界が判断を下したその答えを、世界の存在意義だと認めてしまってはいけない。なぜなら、それはエゴの判断であり、エゴの答えだからだ。



The world believes in sin, but the belief that made it as you see it is not outside you.
  • believe [bilíːv] : 「信じる」
  • believe in : 「〜の存在を信じる、〜を信頼する」
  • belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信頼」
  • outside [áutsáid] : 「〜の外に、〜の外側に」
❖ "The world believes ~ "「この幻想世界は罪の存在を信じているが、」"but the belief that made ~ "「あなたが目にする世界として、世界を作り変えたあなたの信念というものは、あなたの心の外側にあるのではない」。あなたがそうあってほしいという思いが、この幻想世界を作り上げた。あなたの思いの投射によって作られたのだ。したがって、幻想世界はあなたの思いそのものであるが、あたかも、それはあなたの心の外に広がる世界のように見えるだろう。しかし、あなたの心の外に存在するものではない。実際、幻想世界は幻想であって、どこにも存在しないのだ。存在しているかのように、夢に見ているに過ぎない。



7. Seek not to make the Son of God adjust to his insanity.
  • seek [síːk] : 「捜し求める、捜し出す、求める、追求する」
  • make [méik] : 「〜に〜させる」
  • adjust [ədʒʌ́st] : 「順応する、適応する、慣れる」
  • adjust to : 「〜に適応する、順応する」
  • insanity [insǽnəti] : 「狂気、精神病、精神異常」
❖ "Seek not to make ~ "「神の子の狂気に、神の子を順応させようなどと求めてはならない」。幻想であるものが、本当に存在しているかのように思い込ませようとして、真実を歪めて、神の子を幻想に順応させようとしてはいけない。それこそ、本物の狂気だ。



There is a stranger in him, who wandered carelessly into the home of truth and who will wander off.
  • stranger [stréin(d)ʒə(r)] : 「見知らぬ人、よそから来た人、よそ者」
  • wander [wɑ́ndə(r)] : 「歩き回る、ぶらつく、さまよう」
  • carelessly [kέərlisli] : 「うかつにも、不注意に、不用意に、ぞんざいに」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • wander off : 「〜からそれる、〜から外れる、迷子になる」
❖ "There is a stranger ~ "「神の子の心の中には、異質な者がいる」。"stranger"は「よそ者、見知らぬ者」という意味合いだが、エゴのことなので、ここでは「異質な者」と訳してみた。"who wandered carelessly ~ "「その異質な者は、不用意に、真実の住家に入り込むことがあり、そして、ふらりと住家から出て行くのである」。あなたの心の最も神聖で純粋な部分に、エゴがふらりと迷い込み、祭壇を汚して、またふらりと立ち去ることがある。要するに、あなたの正しい心がエゴに負けることがある、という意味。でも、そのエゴも、あなたの心から立ち去っていくだろう。



He came without a purpose, but he will not remain before the shining light the Holy Spirit offered, and you accepted.
  • without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
  • purpose [pə́ː(r)pəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
  • remain [riméin] : 「残る、残存する、とどまる、滞在する」
  • shining [ʃáiniŋ] : 「光る、輝く、きらめく、明るい」
  • light [láit] : 「光、光源、ライト、明かり」
  • accept [əksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
❖ "He came without ~ "「異質な者であるエゴは、何の目的も持たずに、あなたの心の中にやって来るのだ」。"but he will not remain ~ "「しかし、ホーリー・スピリットがあなたに差し出し、そしてあなたが受け取った、輝ける光を前にして、異質な者であるエゴは長く留まることは出来ないのである」。闇であるエゴは、ホーリー・スピリットの光によって駆逐されるのだ。



For there the stranger is made homeless and you are welcome. Ask not this transient stranger, "What am I?"
  • homeless [hóumlis] : 「家のない、住む家もない、住処を失った」
  • welcome [wélkəm] : 「うれしい、歓迎される」
  • transient [trǽn∫nt] : 「一時的な、はかない、一時の、束の間の」
❖ "For there the stranger ~ "「なぜなら、そこでは、異質な者であるエゴはホームレスであり、あなたが歓迎されるからだ」。幻想のエゴには、実相世界のどこを探しても、住む家などないというわけだ。"Ask not this transient ~ "「このはかない異質者エゴに、『私は何なのか』などと訊いてはいけない」。幻想のエゴに、実相のあなたの実体は分からないからだ。エゴには、実相の真実がわからないのである。夜見る夢の中の登場人物に、私は何なのか、と訊くようなものだ。



He is the only thing in all the universe that does not know. Yet it is he you ask, and it is to his answer that you would adjust.
  • universe [júːnəvə̀ː(r)s] : 「宇宙、銀河、万物、森羅万象」
  • adjust [ədʒʌ́st] : 「順応する、適応する、慣れる」
❖ "He is the only thing ~ "「全宇宙の中でエゴだけが、まったく何も知らない唯一の存在である」。『私は何なのか』という問い掛けの答えを知らないのは、エゴだけだ。実相世界の真実を、幻想のエゴが知るわけがない。そもそも、実相世界にエゴは実体として存在しないのだから。幻想のエゴが、たまたま実相世界に迷い込んだだけなのだ。だから、実相世界では、エゴは『はかない : transient』異質者なのである。



This one wild thought, fierce in its arrogance, and yet so tiny and so meaningless it slips unnoticed through the universe of truth, becomes your guide.
  • wild [wáild] : 「野生の、荒れ果てた、乱れた、狂気じみた、野蛮な」
  • thought [θɔ́ːt] : 「考え、思想、思考、思索、熟考」
  • fierce [fíə(r)s] : 「獰猛な、荒々しい、激しい、すさまじい」
  • arrogance [ǽrəg(ə)ns] : 「尊大、横柄、ごう慢」
  • tiny [táini] : 「とても小さい、ちっぽけな、極めて小さな」
  • meaningless [míːniŋlis] : 「意味のない、無益な、価値のない、無意味な」
  • slip [slíp] : 「滑るように進む、気付かれずに過ぎる」
  • unnoticed : 「気付かれない、注目されない」
  • through [θruː] : 「〜を通り抜けて、経て、〜の中を通って」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
  • guide [gáid] : 「案内人、ガイド、案内者、指導者」
❖ "This one wild thought ~ "この先頭部分は、文の最後の"becomes your guide"につながる、「この一つの粗野な思考、獰猛な傲慢さは、あなたのガイドになっている」。"This one wild thought"「この一つの粗野な思考」とは、エゴの思考システムのこと。あなたはエゴの思考システムの指針に従って生きている。エゴそれ自体を指導者として生きているととらえてもいい。"and yet so tiny and ~ "ここは"so ~ that ~ "の構文で、"that"が省略されている、「いかにも小さく、あまりにも無意味であるから、真実の宇宙を気付かれずに素通りしているのだが」。"the universe of truth"「真実の宇宙」とは、もちろん、実相世界のこと。天の王国である。



To it you turn to ask the meaning of the universe.
  • turn [tə́ː(r)n] : 「向きを変える、振り返る」
  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、意図、真意」
❖ "To it you turn to ask ~ "「そんなエゴに向かって、あなたは、宇宙の意味を訊ねているようなものだ」。真実を知らない幻想のエゴに、実相世界の意味、その真実を問い掛けても、まったく意味がないではないか。



And of the one blind thing in all the seeing universe of truth you ask, "How shall I look upon the Son of God?"
  • blind [bláind] : 「目の不自由な、目の見えない、盲目の」
  • ask of : 「〜に要求する」
  • look upon : 「〜を見る、〜をよく見る」
❖ "And of the one blind ~ "「真実の宇宙の、目の見えるものの中で唯一盲目であるエゴに」、"you ask, ~ "「あなたは、『私は、神の子をどのように見たらいいのか』と訊いているようなものである」。真実の実相世界では、実在するものはすべて、叡智が開いていて、その意味では、誰もが『見える』のである。つまり、叡智をもって真実を知ることが出来るのである。そんな実相世界に迷い込んだエゴは、唯一の盲目だというわけである。見えない者に向かって、どう見たらいいかと訊ねること自体、無意味ではないか。エゴに真実を訊ねることも、同様に無意味なのだ。
 
 
 

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