●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-21.VII.1:1 ~ T-21.VI.2:8



VII. The Last Unanswered Question

未回答の最後の疑問



1. Do you not see that all your misery comes from the strange belief that you are powerless? Being helpless is the cost of sin.
  • misery [mízəri] : 「悲惨、不幸、苦痛、惨めさ、窮状、悲嘆」
  • strange [stréindʒ] : 「奇妙な、変わった、変な、見知らぬ」
  • belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信頼」
  • powerless [páuərlis] : 「効果がない、無能な、力のない」
  • helpless [hélpləs] : 「無力な、頼りない、助けを得られない、手の施しようがない」
  • cost [kɔ́st] : 「犠牲、代償、損失、コスト、費用、経費」
❖ "Do you not see ~ "「あなたの惨めさのすべては、あなたにはパワーがないと信じている、その奇妙な信念からやって来るのだと、あなたは分からないのだろうか」。"Being helpless ~ "「無力であることは、罪の意識を持っていることの代償なのだ」。惨めさも不幸も、元を正せば、自分にはパワーがないという誤解から発生している。幻想に、丸ごと捕らわれているということだ。幻想世界に住む自分しか、目に入らないからだ。その幻想から離れて、本当の自分を見ることが出来れば、あなたの目に映る光景は完全に違ってくるはずだ。



Helplessness is sin's condition; the one requirement that it demands to be believed. Only the helpless could believe in it.
  • helplessness [hélplisnis] : 「どうすることもできないこと、無力」
  • condition [kəndíʃən] : 「状態、状況、様子、様相」
  • requirement [rikwáiərmənt] : 「要求されること、必要条件、要件、必需品」
  • demand [dimǽnd] : 「求める、要求する」
  • believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
❖ "Helplessness is ~ "「無力であることは、罪の条件なのだ」。罪の意識と無力感は一体である。力があるなら、その力を使って罪の意識など跳ねのけてしまうだろうから。"the one requirement ~ "「罪が、それを信じさせるために要求する必要条件の一つなのだ」。罪は実在であると信じ込ませるために、罪は人を無力感に陥れる。不幸から抜け出せないのは、自分に力がないからだと思わせ、その原因は、自分に罪があるからだと信じ込ませるのだ。こうして、罪の意識も不幸も、無力感も現実化してしまうのである。思いは必ず現実化するからだ。"Only the helpless ~ "「無力感をもっている者だけが、そんなことを信じることになるのだ」。



Enormity has no appeal save to the little. And only those who first believe that they are little could see attraction there.
  • enormity [inɔ́ːrməti] : 「巨大さ、極悪、大罪、重大な誤り」
  • appeal [əpíːl] : 「魅力、懇願」
  • save [séiv] : 「〜を除いて、〜のほかは、〜は別として、〜以外の、ただし〜は除外して」
  • first [fə́ːrst] : 「初めて、最初に、そもそも、まず第一に」
  • attraction [ətrǽkʃən] : 「引き付けるもの、引力、魅力、誘引」
❖ "Enormity has no appeal ~ "「大きなことは、小さな者にとってはそうかも知れないが、魅力などない」。卑小な者は、巨大さに憧れるかも知れないが、卑小でない者には何の魅力もない。"And only those who ~ "「自分は小さいと、まず初めに信じてしまう者達だけが、大きなことに魅力を感じてしまうのだ」。つまり、無力感に嘖まれて、自分を卑小な者と信じる者だけが、大きな力に憧れたり、権力、武力、支配力に魅力を感じてしまうのである。他者を隷属化し支配したいと思う者は、自分自身が隷属化され支配される可能性のある卑小な者と認めているから、そう望むのである。言葉を変えれば、自分が神の子であると信じられない者だけが、攻撃を正当化するエゴに憧れるのだ。



Treachery to the Son of God is the defense of those who do not identify with him.
  • treachery [trétʃəri] : 「不信、裏切、背信、不実、謀反」
  • defense [diféns] : 「防衛、防御」
  • identify [aidéntəfài] : 「〜を同一に扱う、同一視する」
  • identify with : 「〜と同一であると見なす、〜に自分を重ね合わせる」
❖ "Treachery to the Son of God ~ "「神の子へ対する不信とは、自分が神の子であると同一視出来ない者達の防衛行動である」。自分が神の子であると信じられないので、神の子である者に対して攻撃を加えようとする。卑小なる者は、偉大なる者に憧れていながら、とる行動は逆に、偉大なる者を攻撃し、破壊し、自らの卑小さを守るのである。2000年前のイエスが遭遇した事態を見れば、そのことがよくわかる。



And you are for him or against him; either you love him or attack him, protect his unity or see him shattered and slain by your attack.
  • against [əgénst] : 「〜に反対して、〜に逆らって、〜にそむいて」
  • either [íːðər] A or B : 「AかそれともB」
  • protect [prətékt] : 「保護する、守る、防御する」
  • unity [júːnəti] : 「統一、単一性、結束、一体性、和合」
  • shatter [ʃǽtər] : 「〜を打ち砕く、粉々に割る、壊滅させる、粉々にする、粉砕する」
  • shattered : 「粉々になった、荒廃した、駄目になった、損なわれた」
  • slain [sléin] : 「slay の過去分詞、殺された、殺害された、虐殺された」
  • slay [sléi] : 「殺す、殺害する、虐殺する、破壊する」
  • attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
❖ "And you are for him ~ "「そして、あなたは、神の子に味方するか、神の子に反抗するか、どちらかである」。"And you are for him ~ "「神の子を愛するか、神の子を攻撃するか、そのどちらかであり、」"protect his unity or ~ "「神の子の単一性を守るか、あなたの攻撃によって神の子がバラバラにされ虐殺されるの見るか、そのどちらかである」。その中間はないのだ。二者択一である。日和見も許されない。二股膏薬(ふたまたこうやく)はない。



2. No one believes the Son of God is powerless. And those who see themselves as helpless must believe that they are not the Son of God.
  • powerless [páuərlis] : 「効果がない、無能な、力のない」
  • helpless [hélplis] : 「無力な、頼りない、助けを得られない、手の施しようがない」
❖ "No one believes ~ "「神の子にパワーがないなどと、誰も信じていない」。"And those who ~ "「だから、自分自身を無力だと見ている者達は、彼らが神の子ではないと信じているに違いないのだ」。自分を、この世に住んでいる単なる生物の一種に過ぎないと見るか、自分を、実相世界の神の子であると見るか、それによって、パワーのある、なしが決まってしまう。つまり、無力なのかどうか、パワーがあるかどうかは、本人の選択で決まってしまうということだ。



What can they be except his enemy? And what can they do but envy him his power, and by their envy make themselves afraid of it?
  • except [iksépt] : 「〜を除いて、〜以外に」
  • enemy [énəmi] : 「敵、敵国、かたき」
  • envy [énvi] : 「〜羨む、嫉む、嫉妬する、嫉み、羨望」
  • envy A B : 「AのもつBを羨む」
  • afraid [əfréid] of : 「〜を恐れる、〜を怖がる」
❖ "What can they ~ "自分は神の子ではないと信じている者達は、「彼らは、彼らの敵以外の、いったい何になれようか」。神の子を攻撃する彼らは、自分自身を攻撃していることになるのだ。彼ら自身を彼らの敵と思い込んでいるわけだ。"And what can they ~ "「そして、神の子がパワーを持っていることを羨(うらや)む以外に、彼らは何を羨むのか」。"and by their envy ~ "「羨むことで、自分自身を、神の子を恐れる者に仕立て上げているというのに」。羨むことで攻撃するという、複雑な心理が働くのだ。先にも書いたが、卑小なる者は、偉大なる者に憧れていながら、偉大なる者を攻撃し、自らの卑小さを守るのである。



These are the dark ones, silent and afraid, alone and not communicating, fearful the power of the Son of God will strike them dead, and raising up their helplessness against him.
  • dark [dάːrk] : 「暗い、闇の、暗黒の、陰気な、卑劣な」
  • silent [sáilənt] : 「無言の、黙りこくった、寡黙な、口をつぐんで、沈黙した」
  • afraid [əfréid] : 「恐れて、心配して、怖がって、おじけづいて」
  • alone [əlóun] : 「独りで、ただ〜だけで、唯一の、離れて」
  • communicate [kəmjúːnikèit] : 「連絡する、通信する、交信する」
  • fearful [fíərfəl] : 「恐ろしい、怖い」
  • strike [stráik] : 「襲う、攻撃を開始する、飛びかかる」
  • dead [déd] : 「死んでいる、生命のない、終わってる、枯れた」
  • raise [réiz] : 「起こす、立てる、引き起こす、提起する」
  • helplessness [hélplisnis] : 「どうすることもできないこと、無力」
❖ "These are the dark ~ "「これらは、暗闇の輩(やから)である」。"silent and afraid ~ "「黙りこくって恐れを抱き、孤独で、交わりを持たず、」"fearful the power ~ "「神の子のパワーが彼らを打ち砕き、死に至らしめることを恐れている」。"and raising up ~ "分詞構文、単純接続、「そして、神の子に対して、自分の無力さをさらけ出すしかないのだ」。



They join the army of the powerless, to wage their war of vengeance, bitterness and spite on him, to make him one with them.
  • join [dʒɔ́in] : 「加わる、加入する、参加する、交わる、一緒になる」
  • army [άːrmi] : 「軍隊、陸軍、軍」
  • powerless [páuərlis] : 「効果がない、無能な、力のない」
  • wage [wéidʒ] : 「行う、遂行する」
  • vengeance [véndʒəns] : 「復讐、仕返し、報復」
  • bitterness [bítərnis] : 「苦味、苦しみ、苦痛、敵意、恨み、嫌み」
  • spite [spáit] : 「悪意、恨み、意地悪」
❖ "They join the army ~ "「彼らは、無力な者達の軍隊に加わる」。"to wage their ~ "「復讐の戦いを始めるためだ」。"bitterness and ~ "「神の子を苦々しく思い、恨みを惜しまない」。"to make him one ~ "「そして、神の子を、彼らと一緒にしようとするのだ」。つまり、神の子からパワーを奪い取って、無力な者に仕立て上げ、無力な者達の軍隊に加わらせようとするのだ。卑小な者は常に、偉大な者の高みに自分を近づけようとせずに、偉大な者を、自分のいる低レベルにまで引きずり下ろそうとする。エゴの作戦も同様だ。神の子からパワーを奪って、無力で卑小な人間にしてしまうのである。そして今、この世界、自分の周りを見てみれば、エゴの作戦が大成功を収めていることがはっきりわかる。



Because they do not know that they are one with him, they know not whom they hate.
  • hate [héit] : 「〜を憎む、〜をひどく嫌う」
❖ "Because they do not ~ "「なぜなら、彼らは、彼らが神の子と一体であることを分かっていないからだ」。"they know ~ "「彼らは、彼らが誰を憎んでいるか知らないのである」。無力で卑小な彼らは、自分でそう思っているだけであって、本当は、神の子そのものである。幻想に騙されているだけなのだ。なぜなら、神は神の子を創造したが、神の子でない者を創造はしなかったからだ。創造しなかった者が存在するわけがない。



They are indeed a sorry army, each one as likely to attack his brother or turn upon himself as to remember that they thought they had a common cause.
  • indeed [indíːd] : 「実に、本当に、確かに、いかにも」
  • sorry [sɑ́ri] : 「哀れな、惨めな、嘆かわしい、情けない、悲しい」
  • likely to : 「〜しそうである」
  • attack [ətǽk] : 「〜を襲う、〜を攻撃する、〜を非難する」
  • turn upon : 「向かって行く」
  • remember [rimémbər] : 「〜を覚えている、〜を思い出す」
  • thought [θɔ́ːt] : 「think の過去・過去分詞形」
  • common [kɑ́mən] : 「共通の、共有の」
  • cause [kɔ́ːz] : 「理由、原因、要因」
  • common cause : 「よくある原因、共通する原因、共通の利害、一般的原因」
❖ "They are indeed ~ "「彼らは、まことに、哀れな軍隊である」。言い換えれば、エゴの軍隊は惨めで哀れな軍隊である。"each one as likely to ~ "意訳する、「軍隊の各人が、神の子は彼らと共通の攻撃理由を持っているはずだと思い込むと同時に、彼らの同胞を、つまりは彼ら自身を攻撃しようとしているのだ」。ACIMが繰り返し述べている『狂気』とは、こういう事なのである。自分の生存をかけて自分自身を攻撃しているのだ。生きようとして、自分を殺そうとするのである。まさに、癌細胞的思考ではないか。これが、エゴの思考システムである。これは、生にたいする裏切りでなくて何だろう。
 
 
 

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