●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-22.V.1:1 ~ T-22.V.2:8

 

V. Weakness and Defensiveness
弱さと防御
 
 
 
1. How does one overcome illusions? Surely not by force or anger, nor by opposing them in any way.
  • overcome [òuvərkʌ́m] : 「克服する、乗り越える、乗りきる、切り抜ける、打開する」
  • illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • surely [surely] : 「疑いなく、しっかりと、確かに、確実に、必ず」
  • force [fɔ́ːrs] : 「力、エネルギー、強さ、体力、腕力、武力」
  • anger [ǽŋɡər] : 「怒り、憤り」
  • oppose [əpóuz] : 「反対する、反抗する、対抗する、敵対する」
  • in any way : 「何らか、多少なりとも、決して、形はどうあれ」
❖ "How does one ~ "「どうすれば、幻想を克服出来るだろうか」。"Surely not by ~ "「確かに、力や怒りをもってしてではない」。"nor by opposing ~ "「いかなる形であれ、幻想に対抗することによって(克服するもの)ではない」。幻想を消滅させるには、幻想に対して、力をもって戦うことではない。



Merely by letting reason tell you that they contradict reality. They go against what must be true.
  • merely [míərli] : 「ただ単に、単に、たかが〜にすぎない」
  • reason [ríːzn] : 「理性、理知、良識、分別、正気」
  • tell [tél] : 「〜に話す、言う、告げる、教える、伝える」
  • contradict [kɑ̀ntrədíkt] : 「〜と矛盾する、相反する、〜を否定する」
  • reality [riǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
  • go against : 「逆らう、従わない、反対する、反する、合わない」
❖ "Merely by letting reason ~ "「単に、正気さにthat以下を語らせることによって、幻想は克服出来るのだ」。"that they contradict ~ "「幻想は、(真実である)実相と矛盾する」ということを正気さが認識することで、幻想は克服出来る。正気さとは、心の最も純粋で神聖な部分に宿る、真実を見極める心の目のことである。その心の目が捉える光景がヴィジョンである。"They go against ~ "「幻想は、真実であるに違いないことに対抗しているのだ」。幻想は実相に敵対する。なぜなら、幻想は、そもそも、実相の否定から生み出されたものだからだ。幻想が実相に敵対すると言っても、逆に、実相は幻想に敵対するのかと言えば、そうではない。実相は、幻想を敵として扱うことはない。なぜなら、実相は、幻想が無であることを知っているからだ。誰が、無と戦おうなどと意図するだろう。



The opposition comes from them, and not reality. Reality opposes nothing. What merely is needs no defense, and offers none.
  • opposition [ὰpəzíʃən] : 「反対、敵対、反対、敵対、敵」
  • oppose [əpóuz] : 「反対する、反抗する、対抗する、敵対する」
  • need [níːd] : 「 〜が必要だ、〜を必要とする」
  • defense [diféns] : 「防衛、防御、弁護、擁護」
  • offer [ɔ́ːfər] : 「差し出す、捧げる、提供する」
❖ "The opposition comes ~ "「敵対意識は、幻想から生み出されるのであって、実相から発生するものではない」。幻想が、一方的に、実相に対して敵対意識をもつのである。"Reality opposes ~ "「実相は、何に対しても敵対することはない」。"What merely is ~ "「ただそこに存在するというものは、防御を必要としないのだ」。"and offers ~ "「いかなる防御も差し出すこともない」。実相は、つまり、真実は、そこにただ存在するだけなのだ。実相が、自らの真実を守ろうとすることはない。2000年前の、イエス・キリストの生き方が、まさにここにある。イエスは、自らの存在を真実と見極め、実相的生き方に徹したのだ。単に、無抵抗主義を標榜し、それを貫こうと画策したのではないのだ。主義を生きたのではない。実相を生きたのだ。



Only illusions need defense because of weakness. And how can it be difficult to walk the way of truth when only weakness interferes?
  • because of : 「〜のために、〜のせいで」
  • weakness [wíːknəs] : 「弱さ、弱いこと、虚弱、脆弱性、弱点、欠点」
  • difficult [dífikʌ̀lt] : 「難しい、困難な、難解な、厳しい」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • interfere [ìntərfíər] : 「邪魔をする、妨げる、遅らせる、干渉する」
❖ "Only illusions need ~ "「幻想だけが、弱さゆえに、防御を必要とする」。"And how can it be difficult ~ "「そして、弱さだけが邪魔をするなかで、真実と共に歩むことは、どうして困難であり得るだろうか」。真実を歩むことは、弱さを超越している。弱さは、幻想なのだ。そんなちっぽけな幻想が、どんなに実相の邪魔をしようとしても、実相を歩むあなたに、困難をもたらすことはない。実相世界へ向かう旅は喜びである、とACIMが言うのはそういうことだ。



You are the strong one in this seeming conflict. And you need no defense.
  • strong [strɔ́ːŋ] : 「強い、力がある、たくましい、力強い、強力な」
  • strong in : 「〜に強い」
  • seeming [síːmiŋ] : 「外観上の、外見だけの、見せかけの、うわべの」
  • conflict [kənflíkt] : 「不一致、衝突、対立、論争、摩擦、葛藤、軋轢」
❖ "You are the strong ~ "「この、見かけ上の軋轢の中にあって、あなたは、強い実相側に立っている」。幻想と実相の、見せかけの軋轢の中で、あなたは実相の側に立っている。"And you need ~ "「したがって、あなたには、何の防御も必要ではない」。見かけ上の軋轢とは、幻想は実相に対して必死に敵対するが、実相はどこ吹く風かと、涼しい顔でいる、という意味合い。どこ吹く風かと思うあなたが、防御など必要とするわけがない。



Everything that needs defense you do not want, for anything that needs defense will weaken you.
  • weaken [wíːkn] : 「弱める、弱体化させる」
❖ "Everything that needs ~ "「防御を必要とするようなものは何ものも、あなたは欲したりしない」。"for anything that ~ "「なぜなら、防御を必要とするものは、あなたを弱らせるだろうからだ」。防御を必要とするものとは、幻想のことである。幻想はあなたを弱体化させる。そんなものの必要性が、どこにあろうか。あなたは、そんなものを欲してはいけないのだ。ところで、幻想はなぜ防御を必要とするか? 真実の光を当てられれば、幻想は消滅するからだ。実相はなぜ防御を必要としないか? どんなことがあっても、消滅しないからだ。傷つきもしない。永遠不変に、ただ、そこにあるだけだ。



2. Consider what the ego wants defenses for. Always to justify what goes against the truth, flies in the face of reason and makes no sense.
  • consider [kənsídər] : 「よく考える、熟考する」
  • always [ɔ́ːlweiz] : 「いつも、日夜、以前からずっと、常にいつでも」
  • justify [dʒʌ́stəfài] : 「弁明する、正当化する」
  • go against : 「逆らう、従わない、反対する、反する、合わない」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • fly in the face of : 「〜の顔の前を飛ぶ、〜を無視して行動する」
  • reason [ríːzn] : 「理性、理知、良識、分別、正気」
  • sense [séns] : 「意味、意義、道理、思慮」
  • make no sense : 「意味をなさない、理にかなわない、要領を得ない」
❖ "Consider what ~ "「エゴが、何のために防御を必要としているか、よく考えてみなさい」。エゴが幻想を防御する理由は、エゴ自体が幻想だからだ。もしあなたが、実相に目覚めて、幻想を幻想として認識出来るようになれば、幻想のすべては消滅するのである。あなたの目の前から幻想は姿を消す。したがって、エゴも消滅してしまうのだ。エゴは、自分の存亡をかけて、幻想を守ろうとしているのである。"Always to justify ~ "「真実に対抗するものを正当化する行為は、常に、」"flies in the face ~ "「正気さを無視し、」"and makes no ~ "「まったく意味のない行動をとる」。これが、エゴがやっていることである。そして、この不可思議なエゴの行動を、幻想世界に住む我々は、不思議にも思わない。幻想にすっかり騙されているからだ。



Can this be justified? What can this be except an invitation to insanity, to save you from the truth?
  • justify [dʒʌ́stəfài] : 「弁明する、正当化する」
  • except [iksépt] : 「〜を除いて、〜以外に」
  • invitation [ìnvətéiʃən] : 「招き、招待、促進、誘因」
  • insanity [insǽnəti] : 「狂気、精神病、精神異常」
  • save [séiv] : 「救う、助ける、確保しておく、取っておく」
❖ "Can this be ~ "「こんなことが、正当化出来るだろうか」。意味のないことをしでかして、幻想を守ろうとすることは、正当化出来るだろうか。"What can this be except ~ "「こんなことは、あなたを真実から遠ざけておくための、狂気への招待以外の何であろうか」。幻想と狂気は表裏一体である。実相と正気が表裏一体であることと、対をなしている。幻想を守ろうとすることは狂気であり、実相に目覚めようとすることは正気なのだ。



And what would you be saved from but what you fear? Belief in sin needs great defense, and at enormous cost.
  • fear [fíər] : 「〜を恐れる、〜を怖がる」
  • belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信用、信頼」
  • sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
  • great [gréit] : 「大きい、大きな、巨大な」
  • defense [diféns] : 「防衛、防御、弁護、擁護」
  • enormous [inɔ́ːrməs] : 「莫大な、非常に大きい、巨大な、甚大な」
  • cost [kɔ́st] : 「費用、経費、原価、犠牲、代償、損失」
❖ "And what would you ~ "「あなたが恐れているものからではなく、一体何から、あなたは救われたいと願っているのか」。あなたが願っていることは、恐れからの救いではないのか。恐れからの解放ではないのか。"Belief in sin ~ "「罪の意識を信じる気持ちは、多大な防御と膨大なコストを必要とする」。あなたが恐れているのは、あなたの心の中に巣くう罪の意識である。しかし、その罪の意識は幻想以外の何ものでもなく、したがって、多大の防御を必要とする。むしろ、エゴが防御を強いていると言った方がいい。そして、膨大なコストを必要とする。人によっては、罪の意識を後生大事に抱えて、一生涯をそれに費やす者もいる。コストと呼ぶには、あまりにも大きい犠牲である。



All that the Holy Spirit offers must be defended against and sacrificed.
  • defend against : 「防戦する」
  • sacrifice [sǽkrəfàis] : 「〜を犠牲にする、〜をささげる、〜を生け贄にする」
❖ 人は、罪の意識を守るために、"All that the Holy Spirit ~ "「ホーリー・スピリットが差し出すものすべてから、(罪を)守らなくてはならないし、(そのために多くを)犠牲にしなくてはならない」。これが、この幻想世界で生きる我々の実体である。人生を犠牲にしてまでも、幻想を守り通そうとするのだ。せっかく、あなたの心の最も純粋で神聖な部分に存在する正気さ、ホーリー・スピリットが、真実を、実相を、あなたに示してくれるというのに、である。



For sin is carved into a block out of your peace, and laid between you and its return.
  • carve [kάːrv] : 「〜を彫る、刻む、切り分ける、彫刻する」
  • block [blάk] : 「障害物、妨害物、ブロック、塊、角材」
  • peace [píːs] : 「平和、安らぎ、平穏、安心、安」
  • laid [léid] : 「lay の過去・過去分詞形」
  • lay [léi] : 「〜を横たえる、〜を置く」
  • between [bitwíːn] A and B : 「AとBの間に」
  • return [ritə́ːrn] : 「帰ること、返すこと、元に戻すこと、返還」
❖ "For sin is carved into ~ "「なぜなら、罪の意識は、あなたの平和の中からとり出した一つのブロックに彫り込まれ、あなたと、平和への回帰の間に、それは置かれるからだ」。あなたの、平和であった心の一部に、罪の意識は彫り込まれたのだ。あたかも囚人に、罪の烙印である入れ墨を入れるようなものだ。この罪の意識が、常にあなたを平和から引きずり下ろそうとする。あなたと平和の間に置かれた障害物となっているのだ。ところで、ここでは、"block"に二重の意味を持たせていることにお気付きだろう。あなたの平和の一かけらのブロック、という意味と、平和への障害物、という意味である。ささいなことだが、こんなところも、原書を読む楽しみの一つではある。イエスが、真理を語りながら、言葉遊びをしているのがはっきりわかる。
 
 
 

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