●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-23.II.7:1 ~ T-23.II.8:6

7. See how the fear of God is reinforced by this third principle.

  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
  • reinforce [rìːinfɔ́ːrs] : 「強化する、補強する、強固にする、強める」
  • third [θə́ːrd] : 「第三の、三番目の」
  • principle [prínsəpl] : 「原則、原理、公理、原論、法則、方式」
❖ "See how the fear of ~ "「この第三の原理によって、神への恐れがどれほど強化されるか、見てみなさい」。渾沌の法の第三の原理とは、神の虚像を勝手に作り上げて、それが真の神の姿であると宣言出来る、ということ。これによって、愛することだけしか出来ない神が、憎悪するだけの神に作り変えらるのだ。その神は、怒れる神、復讐する神、裁く神、嫉妬する神、虐殺する神、罰する神、等々、奇っ怪千万な神となる。



Now it becomes impossible to turn to Him for help in misery.
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
  • impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、とてもあり得ない、できない」
  • turn [tə́ːrn] : 「向きを変える、振り返る」
  • turn to : 「〜の方を向く、〜に頼る」
  • misery [mízəri] : 「悲惨、不幸、苦痛、惨めさ、窮状、窮乏、苦難」
  • in misery : 「悲しくて、悲惨で、惨めで」
❖ "Now it becomes ~ "ここは"it ~ to ~ "の構文、「今や、惨めさの中にあって、助けを求めて、神に頼ることさえ不可能になってしまうのだ」。憎悪し、怒り、裁き、復讐する神に、どうして助けや救いを求めることが出来るだろう。



For now He has become the "enemy" Who caused it, to Whom appeal is useless.
  • enemy [énəmi] : 「敵、敵国」
  • cause [kɔ́ːz] : 「〜を引き起こす、の原因になる、〜を…にもたらす」
  • appeal [əpíːl] : 「懇願、上訴、魅力」
  • useless [júːsləs] : 「役に立たない、無用な、無駄な」
❖ "For now He has ~ "「なぜなら、今や、神は、惨めさを引き起こす『敵』になってしまったからである」。"to Whom appeal ~ "「そんな神に懇願しても、何の役にも立たない」。



Nor can salvation lie within the Son, whose every aspect seems to be at war with Him, and justified in its attack.
  • salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い、救世」
  • lie [lái] : 「ある、存在する」
  • within [wiðín] : 「〜の中に、〜の内に」
  • aspect[ǽspekt] : 「形勢、局面、状況、側面、様子、様相、外見」
  • at war with : 「〜と交戦中で、戦争中で、不和で、敵対して」
  • justify [dʒʌ́stəfài] : 「弁明する、正当化する」
  • attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
❖ "Nor can salvation ~ "「また、神の子の内側に、救いは存在しない」。神の愛や救いを否定したのだから、神の子の心が救われるわけがないのだ。つまり、神の虚像、幻覚を信じてしまったのだから、完全に幻想に埋没してしまって、真実の実相に目覚める道を失ってしまったのだ。"whose every aspect ~ "「神の子のあらゆる側面が、神との交戦状態にあるかのようだ」。神に救いを求めるどころか、エゴの唆(そそのか)しに乗って、神と戦っているつもりになっている。"and justified ~ "「そして、神の子の攻撃は正当化されるのだ」。憎悪し、怒り、裁き、復讐する神に戦いを挑み、神を攻撃することは、完全に正しい行為だと、神の子は自分の攻撃性を正当化するのである。



And now is conflict made inevitable, beyond the help of God.
  • conflict [kɑ́nflikt] : 「摩擦、葛藤、軋轢、争い、紛争」
  • inevitable [inévətəbl] : 「避けられない、当然の、必然的な、必然の」
  • beyond [bijάnd] : 「〜の向こうに、〜を越えて、〜を過ぎて」
❖ "And now is conflict ~ "「そして今や、コンフリクトが起きることは避けられないものになる」。"beyond the help ~ "「もはや、神の助けの及ばないものになってしまったのだ」。完全に幻想に埋没してしまったのだから、神の子の周りは、有象無象の幻想がひしめき合い、それが衝突し合って、コンフリクトを起こすのである。実相の、ホーリー・スピリットの救いが及ぶ余地すらない。



For now salvation must remain impossible, because the Savior has become the enemy.
  • remain [riméin] [SVOC] : 「依然として〜のままである」
  • savior [séiviər] : 「救助者、救い手、救済者、救い主」
❖ "For now salvation ~ "「なぜなら、今や、救いは不可能なままにされたに違いないからだ」。"because the Savior ~ "「と言うのも、救い主が敵にされたからである」。幻想や、幻想間のコンフリクトから救い出してくれる、実相のホーリー・スピリットや神が、今や神の子の敵と認識されたのだから、神の子は自分の力で自分を救い出さなくてならなくなった。しかし、その自分は、完全に幻想に埋没しているのである。さて、そんな状況にあって、どこに救いの道があるか。



8. There can be no release and no escape. Atonement thus becomes a myth, and vengeance, not forgiveness, is the Will of God.
  • release [rilíːs] : 「解放、解き放すこと、解除、免除」
  • escape [iskéip] : 「逃亡、脱出、避難、逃避、回避」
  • atonement [ətóunmənt] : 「贖罪、罪滅ぼし、償い、補償」
  • thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、このようにして、こんなふうに」
  • myth [míθ] : 「神話、伝説、俗説、作り事」
  • vengeance [véndʒəns] : 「復讐、仕返し、報復」
  • forgiveness [fərɡívnis] : 「許すこと、許し、容赦、寛容」
  • will [wíl] : 「意志、精神力、願望、意欲」
❖ "There can be no ~ "「そこには、解放も脱出もまったく存在出来ない」。幻想からの解放も脱出も不可能になってしまった。八方塞がりである。"Atonement thus becomes ~ "「贖罪は、こうして、神話になってしまう」。贖罪は、実現不可能の神話的な理想論になってしまった。なぜなら、"and vengeance, not ~ "「赦しならぬ復讐が、神の意思として受け止められたからだ」。今や神は、神の子の幻想を赦す神ではなく、そんな幻想を抱いた神の子を糾弾し、神に背いた神の子を復讐する神となったのだ。復讐し、罰する神である。ところで、ACIMの"atonement"「贖罪」とは、罪や罪の意識は幻想に過ぎず、神の子は永遠に無辜(むこ)であると受け入れることを意味する。つまり、幻想を幻想として受け入れ、赦し、受け流すことである。ACIMでは、贖罪と赦しは、ほぼ同一の意味合いをもつ。



From where all this begins, there is no sight of help that can succeed.
  • begin [bigín] : 「始まる、着手する、勃発する」
  • sight [sáit] : 「視界、景色、光景、視覚、視力」
  • succeed [səksíːd] : 「成功する」
❖ "From where all ~ "「こんなことが始まった場所から、」"there is no sight ~ "「成功しそうな助けの光景は消えてしまった」。変な訳になってしまったが、要するに、幻想だらけの神の子には、ホーリー・スピリットの助け、救いの導きが見えてこない、という意味。



Only destruction can be the outcome. And God Himself seems to be siding with it, to overcome His Son.
  • destruction [distrʌ́kʃən] : 「破壊、破滅、破棄」
  • outcome [áutkʌ̀m] : 「結果、結末、成果、所産」
  • side [sáid] with : 「〜側につく、〜に味方する、〜に加勢する、〜に加担する」
  • overcome [òuvərkʌ́m] : 「克服する、乗り越える、圧倒する」
❖ "Only destruction can ~ "「破壊だけが、結果になり得るのだ」。幻想と幻想がコンフリクトを起こし、ますます渾沌の度合いは深まって行く。結果、神の子は矛盾を孕(はら)み過ぎて、自己崩壊せざるを得なくなる。殺し合うか、自殺するか、発狂するか、あるいは心を捨てて似非(えせ)宗教に逃れるかの、いずれかになるのだ。これは、ドストエフスキーや夏目漱石の生涯のテーマであり、その結論と一致する。近代知識人の陥った渾沌の法の帰結である。



Think not the ego will enable you to find escape from what it wants.
  • enable [enéibl] : 「〜を可能にする、〜が…できるようにする」
  • find [fáind] : 「見つける、発見する、見いだす」
❖ "Think not the ego ~ "「エゴが、エゴの望むことからあなたが逃れる方法を見つけ出すことを可能にしてくれるだろうなどと思ってはいけない」。"what it wants"「エゴの望むこと」とは、一言で言えば、幻想である。神の子が永遠に幻想の中に埋没することを、エゴは心から願っている。しかし、あなたは、その幻想から逃れたいと思っているのだ。少なくとも、幻想と幻想がぶつかり合うコンフリクトから救われたいと願っている。と同時に、エゴの思考システムにどっぷりと浸かりきっているのだ。エゴを信じていながら、エゴの望む幻想から、どうして、逃れ得ようか。



That is the function of this course, which does not value what the ego cherishes.
  • function [fʌ́ŋkʃən] : 「職務、役割、機能、作用、働き、効用」
  • course [kɔ́ːrs] : 「課程、講座、科目、方向、コース」
  • value [vǽljuː] : 「〜を高く評価する、重視する、大事にする、尊重する」
  • cherish [tʃériʃ] : 「〜を大事にする、大切にする」
❖ "That is the function ~ "「あなたが、エゴの望む幻想から逃れることを見つけ出せるようにすることが、このコースの役割である」。"which does not value ~ "「このコースは、エゴの大切にしているものに、まったく価値を置かないのである」。このコースは、エゴの大切にする幻想を払拭しようという目的、役割をもっている。幻想をぬぐい去れば、同時にコンフリクトはすべて解消する。つまり、力ずくでコンフリクトを解決する必要はないのだ。幻想を幻想と認識して、幻想が自ら消滅して行くに任せればいい。贖罪、赦しとは、そういうことである。
 
 
 

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