●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-24.VII.1:1 ~ T-24.VII.2:9



VII. The Meeting Place

集いの場



1. How bitterly does everyone tied to this world defend the specialness he wants to be the truth! His wish is law to him, and he obeys.
  • bitterly [bítərli] : 「激しく、苦々しく、ひどく」
  • tie [tái] : 「〜を結ぶ、結合する、縛る、くくる」
  • tied to : 「〜に関係する」
  • defend [difénd] : 「〜を守る、防衛する、〜を擁護する」
  • specialness [spéʃəl] : 「特別であること、特別性」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • wish [wíʃ] : 「願い、願望、希望」
  • law [lɔ́ː] : 「法、法律、法規」
  • obey [oubéi] : 「〜に従う、服従する」
❖ "How bitterly does ~ "「この世界に縛られた人々は誰でも、真実に変えたいと思っている特別性を、なんと熱烈に守っていることか」。幻想に縛られた人達は、幻想の特別性を彼らの真実とするために、とにもかくにも必死で守ろうとするのだ。"His wish is ~ "「彼の望みが、彼にとっての法となり、彼はその法に従うのである」。特別性を最優先する法である。得るために奪え、優越性を確保するために他者を攻撃し打ち負かせ、他者は肉体をもった物質に過ぎない、何もしてくれない神はこの世に存在しないのだ、等々を高らかに謳(うた)う法である。



Nothing his specialness demands does he withhold. Nothing it needs does he deny to what he loves. And while it calls to him he hears no other Voice.
  • specialness [spéʃəlnis] : 「特別であること、特別性」
  • demand [dimǽnd] : 「求める、要求する」
  • withhold [wiðhóuld] : 「〜を抑える、差し控える、保留する、与えないでおく」
  • need [níːd] : 「〜する必要がある、〜を必要とする」
  • deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する、拒む、〜に…を与えない」
  • deny B to A : 「AにBを与えない」
  • while [hwáil] : 「〜の間ずっと、〜する間に、その間に」
  • call to : 「〜に声をかける」
  • hear [híər] : 「〜を聞く、聴く、〜が聞こえる、耳にする」
  • voice [vɔ́is] : 「声」
❖ "Nothing his specialness ~ "「そういう人達は、彼の特別性が要求することは何でも、差し控えることはない」。つまり、特別性の奴隷となって、特別性のためなら何でもやってのけるのだ。当然、特別性を確保するためなら、人を殺すことも厭(いと)わない。"Nothing it needs does ~ "「特別性が必要とするものを、彼は、愛するものに与えようとはしない」。特別性は、たとえ相手が愛する人であっても、奪うだけであって、与えることはない。したがって、彼にとって、愛は奪うものとなるのだ。"And while it calls ~ "「したがって、特別性が彼に囁(ささや)きかけている間は、彼は他の声を聞くことはない」。エゴの声だけが聞こえ、ホーリー・スピリットの声は遮断してしまうのである。



No effort is too great, no cost too much, no price too dear to save his specialness from the least slight, the tiniest attack, the whispered doubt, the hint of threat, or anything but deepest reverence.
  • effort [éfərt] : 「努力、尽力、骨折り、試み、取り組み」
  • great [gréit] : 「きい、大きな、巨大な」
  • cost [kɔ́st] : 「コスト、費用、経費、原価、犠牲、代償、損失」
  • price [práis] : 「値段、価格、相場、市価」
  • dear [díər] : 「高価な、値段が高い、親愛な、いとしい」
  • save [séiv] : 「確保しておく、取っておく、救う、助ける」
  • least [líːst] : 「little の最上級、最小のもの、最小、最も少ない」
  • slight [sláit] : 「軽視、侮辱」
  • tiny [táini] : 「とても小さい、ちっぽけな、極めて小さな」
  • attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
  • whispered [hwíspərd] : 「ささやき声で話している、うわさされている」
  • doubt [dáut] : 「疑い、疑念、疑惑」
  • hint of : 「少量の、少しだけ、ちょっぴり」
  • threat [θrét] : 「脅迫、脅し」
  • deep [díːp] : 「深い、深さがある、深甚な、凄まじい、激しい」
  • reverence [révərəns] : 「敬意、畏敬の念、尊敬、崇敬、崇拝」
❖ "No effort is too ~ "「彼の特別性を、極めて小さな侮辱、最も小さな攻撃、密かに囁(ささや)かれる疑い、ちょっとした脅し、深い畏敬の念からかけ離れたもの、等々から、守るためには、どんな努力も大き過ぎることはなく、どんなコストも多いということはなく、どんなに値段が高くても高すぎることはない、(と彼は思っている)」。それほど、特別性を盲目的に信仰しているということ。



This is your son, beloved of you as you are to your Father.
  • beloved [bilʌ́vid] : 「最愛の、いとしい、愛される」
❖ "This is your son ~ "「これこそが、あなたの息子であり、あなたが父なる神に愛されているように、その息子はあなたに愛されているのだ」。特別性を擬人化して、あなたの息子と述べているのである。あたかも、あなたが親で、特別性が息子であるという、どこか不自然な異常な関係なのだ。



Yet it stands in place of your creations, who are son to you, that you might share the Fatherhood of God, not snatch it from Him.
  • stand [stǽnd] : 「立っている、立ち上がる、立つ」
  • in place of : 「〜の代わりに、〜の代理で」
  • creation [kriéiʃən] : 「創作物、作品、創造、創作」
  • share [ʃέər] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
  • fatherhood : 「父であること、父権、父としての責任、父なる神」
  • snatch [snǽtʃ] : 「ひったくる、強奪する、〜に飛び付く」
❖ "Yet it stands ~ "「しかし、特別性は、あなたの創造したものの代わりの立場に立っており、」"who are son ~ "「その、あなたの創造したものは、いわば、あなたにとっての息子なのだ」。"your creations"「あなたの創造したもの」とは、特別性の属性である幻想とまったく反対の、実相、つまり、真実であり平和であり喜び、愛、等々の創造物と考えていい。神聖な関係性の中で生まれる実在のすべてである。"that you ~ "ここの"that"は"so that"「その結果」、「その結果、あなたは神のもっている父権を分かち合うことが出来るのであって、それを神から引ったくるものではないのだ」。意味のとり難い部分である。神は神の子を創造し、神と神の子は、いわば父と子なのである。したがって、神には神の子に対する父権があるとは、簡単に言えば、神は神の子の実の父なのだと宣言出来る権利があるということだ。同様に、あなたが創造した愛、喜び、平和、等々は、あなたの子であって(who are son to you)、神が父権を持つように、あなたもまた父権を持つのだ。つまり、神と神の子は、父という立場(父権)を分かち合っているのである(you might share the Fatherhood of God)。決して、神の子は、父権という権力を神から奪い取って(snatch it from Him)、それを自ら創造した愛や喜びや平和の支配のために利用するようなものではないのだ。その、真の息子に代えて、あなたは、幻想の特別性をあたかも自分の息子のように愛しているのである(it stands in place of your creations)。その不自然さを、ACIMは、繰り返し訴えているわけである。



What is this son that you have made to be your strength? What is this child of earth on whom such love is lavished?
  • strength [stréŋkθ] : 「力、強さ、体力、強み、長所」
  • earth [ə́ːrθ] : 「地球、地上、全世界、地、地面」
  • lavish [lǽviʃ] : 「〜を浪費する、〜を気前良く使う」
❖ "What is this son ~ "「あなたの力になるようにと仕立て上げた、この(虚偽の)息子とは、一体何者であるか」。"What is this child of earth ~ "「愛を浪費するとしか思えない、この地上の子とは、一体何者であるか」。幻想に過ぎない特別性というあなたの虚偽の息子は、一体あなたにとって何者なのか。実在もしていない息子とは何者なのか。



What is this parody of God's creation that takes the place of yours?
  • parody [pǽrədi] : 「パロディー、もじり、こっけいな物まね」
  • take the place of : 「〜の代わりをする、〜に取って代わる」
❖ "What is this parody ~ "「あなたの創造に取って代わる、この神の創造のパロディーとは、一体何であるか」。神は神の子を真実として創造した。神の子は愛や喜びを、真実として創造した。しかし、それにも関わらず、あなたは幻想の特別性を偽創造した。これはまったく、真実の創造のパロディーだとしか言いようがない。



And where are they, now that the host of God has found another son whom he prefers to them?
  • now that : 「今や〜だから、〜からには」
  • host [hóust] : 「主人、宿主」
  • found [fáund] : 「find の過去・過去分詞形」
  • find [fáind] : 「見つける、発見する、見いだす」
  • another [ənʌ́ðər] : 「もう一つの、別の、ほかの」
  • prefer [prifə́ːr] : 「〜を好む、むしろ〜の方を好む、〜の方を選ぶ」
❖ "And where are ~ "意訳する、「神のホスト役である神の子が、真に創造したものより好ましいと思う他の息子を見つけ出した今、その真の息子は、いったいどこに行ったのか」。あなたが真に創造した愛や喜びや平和という子の代わりに、偽創造した幻想の特別性という息子を、あなたはより愛するようになってしまった。そんな今、では、真に創造した愛や喜びや平和は、いったいどこにあると言うのか。特別性という幻想を愛することで、あなたは、真の愛、喜び、平和を失ってしまったのだ。しかも、それに気付いてもいない。ところで、瑣末的なことではあるが、"the host of God"「神のホスト役」とは、神と神聖な関係性を保つ伴侶、と考えればいいだろう。要するに、神にとっての息子、という意味である。そう解釈すると、必然的に一つの疑問が湧き上がる。なぜ神は、神の伴侶として、女神を創造せずに神の子を創造したのか? 神は女神を創造するわけにはいかなかったのだ。もし、神が女神を創造したなら、神という存在を二つに分離したことなり、厳密な一元論に反する世界が出現することになるのだ。神は自らを分離分裂させることは出来ないのである。そこで神は、分離という形をとることなく、自らの神性を継承する形で、つまり、横方向ではなく、縦方向に、神の子を創造したのである。いわば、神は、男女の関係ではなく、親子の関係を選択せざるを得なかったのだ。



2. The memory of God shines not alone. What is within your brother still contains all of creation, everything created and creating, born and unborn as yet, still in the future or apparently gone by.
  • memory [méməri] : 「記憶、思い出」
  • shine [ʃáin] : 「輝く、光る」
  • alone [əlóun] : 「独りで、単に」
  • within [wiðín] : 「〜の中で、〜の内側で」
  • contain [kəntéin] : 「〜を含む、包含する、収容できる、〜が入っている」
  • born [bɔ́ːrn] : 「bear の過去分詞形、生まれる、誕生する、産声を上げる」
  • unborn : 「まだ生まれていない、これから生まれる、生まれる前の」
  • as yet : 「今のところ」
  • future [fjúːtʃər] : 「未来、将来」
  • apparently [əpǽrəntli] : 「明らかに、明確に、〜に違いない」
  • gone [ɡɔ́ːn] : 「go の過去分詞形」
  • go by : 「過ぎる、経過する」
❖ "The memory of God ~ "「神の記憶は、単独で輝き出すのではない」。単独で、とあるので、何もせず自然に輝き出すものではない、という意味合いだろう。あなたが、その気にならなくてはならないのだ。"What is within your ~ "「あなたの同胞の心の中にあるものは、今でも、あらゆる創造したものを含んでいる」。あなたの同胞の心の中にも、もちろん、あなたの心の中にも、神の子が創造した愛や喜びや平和が、今でも損なわれずに温存されているのだ。忘れているだけである。"everything created ~ "「それは、創造されたすべてのもの、創造されつつあるすべてのもの、」"born and unborn ~ "「生まれ出たもの、今は生まれていないもの、」"still in the future ~ "「未来に生まれるもの、明らかに過ぎ去ったもの、(その全部が含まれるのだ)」。実相世界は無時間の世界なので、すべての事象が一瞬にして起き、その一瞬が永遠に続く。あなたは、その一瞬を、時間という枠組みの中で追体験するのである。したがって、あなたが創造したものすべて、まだ創造していないものすべて、それらはすべて実相世界では既(すで)に存在し、その実相世界をあなたの心が完全に包み込んでいるのである。神がすべてを包摂するように(all-encompassing)、神の子であるあなたも、すべてを心に包摂しているのだ。なぜなら、神と神の子は一体であるからだ。



What is in him is changeless, and your changelessness is recognized in its acknowledgment.
  • changeless [tʃéindʒlis] : 「変化のない、不変の」
  • changelessness : 「変化のなさ、変化しないこと、不変性」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
  • acknowledgment [æknάlidʒmənt] : 「認めること、承認、認識、受領確認、認知、自認」
❖ "What is in him ~ "「同胞の心の中にあるものは、不変である」。実相的真実は、永遠不変の世界にある。"and your changelessness ~ "「そして、あなたの不変性は、同胞の不変性を認める中にあるのだ」。あなたが、同胞と自他一如、自他一元であると知ることで、同胞の不変性を知れば自分の不変性の確信となるのである。



The holiness in you belongs to him. And by your seeing it in him, returns to you.
  • holiness[hóulinəs] : 「神聖、高潔」
  • belong [bilɔ́ːŋ] : 「属する、所属する、所有物である」
  • belong to : 「〜に属する、〜の所有物である」
  • return [ritə́ːrn] to : 「〜に帰る、〜に戻る〜に帰還する」
❖ "The holiness in ~ "「あなたの心の中の神聖さは、同胞の心にも属するのである」。"And by your seeing ~ "「同胞の心の中に神聖さを見ることによって、その神聖はあなたに帰ってくるのだ」。自他一如であるから、当然なのが、これが、いわゆる分かち合いなのである。与えることは得ることであり、見るものが自分のものとなる。実相世界の神の法である。



All of the tribute you have given specialness belongs to him, and thus returns to you.
  • tribute [tríbjuːt] : 「貢ぎ物、贈り物、ささげ物、賛辞、感謝のしるし」
  • given [gívn] : 「give の過去分詞形」
❖ "All of the tribute you ~ "「あなたが特別性に与えた貢ぎ物のすべては、同胞にも属している」。"and thus returns ~ "「そしてこのように、それは、あなたに帰ってくるのだ」。例えば、あなたが特別性に対して攻撃性を与えたなら、それは同胞の属性となり、同胞はあなたを攻撃するだろう。特別性に、他者を嫌悪する権限を与えれば、その他者はあなたを嫌悪する結果になる。



All of the love and care, the strong protection, the thought by day and night, the deep concern, the powerful conviction this is you, belong to him.
  • care [kέər] : 「世話、介護、手入れ、配慮、注意」
  • strong [strɔ́ːŋ] : 「強い、力がある、力強い、強力な」
  • protection [prətékʃən] : 「保護、防御、防備、後援、防衛」
  • thought [θɔ́ːt] : 「考えること、思考、思索、熟考 」
  • by day and night : 「昼夜を分かたず」
  • deep [díːp] : 「深い、深さがある」
  • concern [kənsə́ːrn] : 「気遣い、懸念、心配、不安」
  • powerful [páuərfəl] : 「強い、強力な、力強い、迫力のある」
  • conviction [kənvíkʃən] : 「信念、確信」
❖ "All of the love ~ "「愛と心遣い、力強い保護力、昼夜分かたぬ思い、深い配慮、そして、それらこそがあなた自身なのだというパワフルな確信、そのすべては、」"belong to ~ "「同胞に属しているのである」。あなた自身があなた自身をそう思えば、同胞も同時にそう思うのだ。想念を分かち合っているのである。神の子は単一存在であるからだ。



Nothing you gave to specialness but is his due. And nothing due him is not due to you.
  • gave [géiv] : 「give の過去形」
  • due [djúː] : 「当然支払われるべきもの」
  • due [djúː] : 「正当な、当然の、十分な、当然与えられるべきの」
❖ "Nothing you gave to ~ "「あなたが特別性に与えたものはすべて、当然、同胞にも与えられるのだ」。"And nothing due ~ "「同胞に与えられるにふさわしくないものは、あなたにとっても、ふさわしくないのである」。くどいほどに繰り返し述べられているわけだが、要するに、あなたが憎めば憎まれ、嫌悪すれば嫌悪され、呪えば呪われ、攻撃すれば攻撃され、非難すれば非難され、奪えば奪われ、殺せば殺されるというわけである。この簡単な原理を、特別性に捕らわれた眠れる神の子は理解していない。
 
 
 

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