●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-25.VIII.8:1 ~ T-25.VIII.9:11

8. Yet justice cannot punish those who ask for punishment, but have a Judge Who knows that they are wholly innocent in truth.
  • justice [dʒʌ́stis] : 「正義、公正、正当性」
  • punish [pʌ́niʃ] : 「〜を罰する、〜を懲らしめる」
  • those who : 「〜する人々」
  • ask for : 「〜を求める、〜を要求する、〜を要する」
  • judge [dʒʌ́dʒ] : 「裁判官、判事、司法官、審査員、審判、判定者」
  • wholly [hóulli] : 「完全に、全く、全体として、全体的に」
  • innocent [ínəsənt] : 「潔白な、無罪の、無実の、罪のない、純潔な、純真な」
  • in truth : 「実のところ、実際には」
❖ "Yet justice cannot ~ "「しかし、正当性は、罰を求める人達を罰することは出来ない」。実相世界の真実の正当性には、愛と赦しの概念はあるが、罰という概念はいない。幻想世界にあってどんなに罰を求めても、天の王国が罰を与えることは原理的に出来ないのだ。"but have a Judge ~ "「しかし、正当性は、実際彼らは潔白なのだと知っている判定者をもっている」。実相世界の真実の正当性は、つまり神は、神の子がすべて無辜なのだと知っているホーリー・スピリットを、罪がないことの判定者として、神の子の元に送り込んだのだ。



In justice He is bound to set them free, and give them all the honor they deserve and have denied themselves because they are not fair, and cannot understand that they are innocent.
  • bound [báund] : 「bind の過去・過去分詞形」
  • bind [báind] : 「〜を縛る、〜を束縛する、拘束する、〜に義務を負わせる」
  • be bound to : 「〜しなければならない、〜する運命にある」
  • set free : 「自由にする、釈放する」
  • honor [άnər] : 「光栄、名誉、恩恵、敬意、誠実、正直さ」
  • deserve [dizə́ːrv] : 「〜を受けるに値する、〜にふさわしい 」
  • deny [dinái] : 「〜に…を与えない、〜を否定する、否認する」
  • fair [fέər] : 「公平な、公正な、公明正大な、偏見のない」
  • understand [ʌ̀ndərstǽnd] : 「理解する、了解する、納得する」
❖ "In justice He is bound ~ "「正当性の中にあって、ホーリー・スピリットは、彼らを自由にすることになっている」。"and give them ~ "「そして、彼らが当然受けていい光栄を、しかし、〜なので、彼らが自分自身に与えることなかった光栄を、与えることになっている」。"because they are not fair ~ "「彼らは公正に判断することなく、彼らが無実であると理解することが出来ないので、」彼らが自分自身に与えることのなかった光栄を、ホーリー・スピリットは彼らに与えることになっている。ホーリー・スピリットは、幻想世界の神の子を実相世界へと解放し、無辜であるという栄光を神の子に与える使命を帯びているのだ。



Love is not understandable to sinners because they think that justice is split off from love, and stands for something else.
  • understandable [ʌ̀ndərstǽndəbl] : 「理解できる、分かる、無理からぬ」
  • sinner [sínər] : 「罪人、罪を犯した人」
  • split [splít] : 「裂く、割る、引き裂く、分割する」
  • split off : 「割る、割れる、分離する、分裂する、裂く、裂ける」
  • stand for : 「〜を表す、〜を支持する、〜に味方する」
❖ "Love is not understandable ~ "「愛は、〜なので、罪ある者たちにとっては理解出来ないものなのだ」。"because they think that ~ "「罪ある者たちはthat以下であると思っているので、」罪ある者たちにとっては、愛は理解出来ないものなのだ。"that justice is split ~ "「彼らは、正当性は愛から切り離され、他の何かを支持している思っているので、」罪ある者たちにとっては、愛は理解出来ないものなのだ。幻想世界の正当性は愛を排除し、ひたすらエゴの思考システムを支持する方向をとるのである。正当性はそういうものだと信じているので、神の子は、実相世界の正当性が愛に裏打ちされたものであることも、愛それ自体も理解出来ないのだ。



And thus is love perceived as weak, and vengeance strong. For love has lost when judgment left its side, and is too weak to save from punishment.
  • thus [ðʌ́s] : 「このようにして、こんなふうに」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • weak [wíːk] : 「弱い、劣っている、力がない、脆弱な」
  • vengeance [véndʒəns] : 「復讐、仕返し、報復」
  • strong [strɔ́ːŋ] : 「強い、力がある、力強い、強力な」
  • lost [lɔ́st] : 「lose の過去・過去分詞形」
  • lose [lúːz] : 「負ける、損害を受ける、損をする」
  • judgment [dʒʌ́dʒmənt] : 「判断、判断力、判決、審判、裁判」
  • left [léft] : 「leave の過去・過去分詞形」
  • leave [líːv] : 「〜を退く、〜から撤退する、辞める、中止する」
  • side [sáid] : 「側面、辺、側、面」
  • leave one's side : 「〜の側を離れる、〜の味方をしなくなる」
  • save [séiv] : 「救う、助ける」
  • punishment [pʌ́niʃmənt] : 「罰すること、罰、刑罰、処罰、懲罰」
❖ "And thus is love perceived ~ "「こうして、愛は、弱いものと知覚され、復讐は強いものと知覚される」。"For love has lost ~ "「なぜなら、愛は、判断が愛の傍らに置き去りにされたとき、(復讐に)負けたからであり、」"and is too weak ~ "「あまりにも弱々しくて、罰から救うことが出来ない(と思われたからである)」。ここの"when judgment left its side"「判断が愛の傍らに置き去りにされたとき」とは、実相的な真実の愛は、愛する対象が愛に値するか愛に値しないかという判断を中断し、放棄する、という意味合いである。愛は判断したり、選んだりしないのだ。完全平等に与えられるのが真実の愛である。そうなると、罪を犯した者にも、それを罰しようとする者にも、平等に愛が与えられることになる。差別化、区別化されない愛は知覚するされなくなってしまい、愛の強制力は霞んでしまうのだ。方や、復讐は、復讐される者とする者とが、はっきり差別化、区別化され、強い強制力がそこに働くのである。愛には力がなく、復讐は強烈だと感じるのはそのためである。



But vengeance without love has gained in strength by being separate and apart from love.
  • without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
  • gain [ɡéin] : 「得る、獲得する、利益を得る、得をする」
  • strength [stréŋkθ] : 「力、強さ、体力、強み、長所」
  • separate [sépərət] : 「分かれた、離れた、個々の、別個の」
  • apart from : 「から離れて、〜は別として、〜はさておき」
❖ "But vengeance without ~ "「しかし、愛を伴わない復讐は、愛から切りはされ遠くなっていくに従い、強さをどんどん増していくのである」。愛のない復讐は、過剰なまでに憎しみが膨らんで、苛烈な復讐へと進化していく。



And what but vengeance now can help and save, while love stands feebly by with helpless hands, bereft of justice and vitality, and powerless to save?
  • feebly [fíːblli] : 「弱く、弱々しく、ひ弱に」
  • stand by : 「そばに立つ、待機する、傍観する」
  • helpless [hélpləs] : 「無力な、頼りない」
  • bereft [biréft] : 「bereave の過去・過去分詞形」
  • bereave [biríːv] : 「奪う、奪い去る」
  • bereave of : 「〜を奪う」
  • vitality [vaitǽləti] : 「活力、バイタリティー、元気、活気」
  • powerless [páuərlis] : 「効果がない、無能な、力のない」
❖ "And what but vengeance ~ "「そして今や、〜と言うのに、一体何を、復讐は助けたり救ったり出来るだろうか」。"while love stands feebly ~ "「愛が、正当性と活力、そして、救いのためのパワーを奪われて、力なく手をこまねいて立ち尽くしていると言うのに、」一体何を、復讐は助けたり救ったり出来るだろうか。愛なくして、どんな復讐も、神の子を救うことは出来ない。



9. What can Love ask of you who think that all of this is true?
  • ask of : 「〜に要求する」
  • true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
❖ "What can Love ask of you ~ "「こんなことすべてを本当だと思っているあなたに、愛はいったい何を求めることが出来るだろうか」。愛は無力であって、復讐だけが本当の効力を持っていると思っているあなたに対して、愛は、いったいどんな愛の奇跡を求めることが出来るだろうか。愛を信じる心がなければ、どんな愛の奇跡も起きはしない。



Could He, in justice and in love, believe in your confusion you have much to give? You are not asked to trust Him far.
  • believe : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
  • confusion [kənfjúːʒən] : 「混乱、混同、混乱状態、無秩序」
  • trust [trʌ́st] : 「信用する、信頼する、当てにする、頼りにする」
  • far [fάːr] : 「はるかに、大いに、ずっと」
❖ "Could He, in justice ~ "「正当性と愛のうちにあるホーリー・スピリットは、あなたが混同の中にあっても、与えることの出来るものを沢山もっていると、信じることが出来るだろうか」。ここの"He"を「愛そのもの」と考えてもいい。ここでは、愛をもって神の子を救い出す使命をもったホーリー・スピリットと解釈した。"in your confusion"「あなたが混同の中にあっても」とは、あなたは、愛が果たすべき事柄を復讐が果たしてくれるだろうと混同している、という意味合いである。簡単に言えば、愛と復讐を、愛と憎悪を混同し、心の混乱状態にある、ということ。そんな、心の混乱状態にあっても、他者に与えるべき多くの愛を、あなたはまだ保持しているとは、さすがのホーリー・スピリットも信じてくれないだろう。"You are not asked ~ "「あなたは、ホーリー・スピリットをもっともっと信頼せよと、頼まれているわけではないのだ」。あなたは、あなたの自由意思をもってホーリー・スピリットを信頼すべきであって、強制的にホーリー・スピリットを信頼せよ、と言われているわけではない。



No more than what you see He offers you, and what you recognize you could not give yourself.
  • no more than : 「ただの〜にすぎない、たかが〜」
  • offer [ɔ́ːfər] : 「差し出す、捧げる、提供する」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
❖ 前文からの引き続きで、"No more than what you ~ "「わずかに、ホーリー・スピリットがあなたに差し出しているとあなたが見ることの出来るもの、そして、」"and what you recognize ~ "「あなたが自分自身には与えることが出来ないと認識しているものを、あなたは要求されているだけなのだ」。一言で言うと、ほんのわずかの愛を、あなたは求められている、ということ。ホーリー・スピリットは、無限の愛、至上の愛をあなたに差し出しているのだが、あなたにはそれは見えず、少しだけ愛されているように感じているだろうが、その少しだけと感じる愛だけでもいいからホーリー・スピリットを愛しなさいと、あなたは要求されているのだ。また、その少しの愛さえ、あなたは自分自身に与えることは出来ないと思っているだろうが、あえて、その少しの愛を自分自身に振り向けるように、求められているのだ。



In God's Own justice does He recognize all you deserve, but understands as well that you cannot accept it for yourself.
  • deserve [dizə́ːrv] : 「〜を受けるに値する、〜にふさわしい 」
  • as well : 「おまけに、その上、なお」
  • accept [æksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
❖ "In God's Own justice ~ "「神自身の正当性の中で、ホーリー・スピリットは、あなたが受けるに値するすべてを認識している」。神の正当性の中で、とは、神に正当に愛されながら、という意味合い。あなたは神の子として、神の愛や栄光、慈しみを受けるに値する存在であるが、ホーリー・スピリットはちゃんと、それを認識している。"but understands as well ~ "「また同時に、ホーリー・スピリットはthat以下も理解している」。"that you cannot ~ "「あなたは、あなた自身に対して、それを受け入れることは出来ないと」ホーリー・スピリットは理解している。あなたは神の子として、神の愛や栄光、慈しみを受けるに値する存在であるが、あなた自身は、自分はそれに値しない人間だと思っている。なぜなら、あなたは神を裏切って神から分離した罪深い人間だと思っているからだ。その事情を、ホーリー・スピリットはよく理解している。



It is His special function to hold out to you the gifts the innocent deserve.
  • special [spéʃəl] : 「特別な、独特の、特別の、特有の」
  • function [fʌ́ŋkʃən] : 「職務、役割、機能、作用、働き、効用」
  • hold out : 「差し出す、提供する、提出する」
  • gift [gíft] : 「贈り物、プレゼント」
❖ "It is His special function ~ "「無辜なる者が受けるに値する贈り物を、あなたに差し出すことが、ホーリー・スピリットの特別な役割である」。"the innocent"「無辜なる者」とは、神の子のこと。神の子が受けるに値する贈り物とは、神からの贈り物であって、神の愛や栄光、慈しみと考えていいだろう。ホーリー・スピリットは、それをあなたに届けてくれるのだ。ホーリー・スピリットは、天の王国からのメッセンジャーである。



And every one that you accept brings joy to Him as well as you. He knows that Heaven is richer made by each one you accept.
  • bring [bríŋ] : 「〜をもたらす、〜を持って来る」
  • joy [dʒɔ́i] : 「喜び、歓喜、喜びの種 」
  • as well as : 「〜と同様に、〜と同じように」
  • make [SVOC] : 「〜の状態を作り出す、〜にする」
  • rich [rítʃ] : 「恵まれている、豊富な」
❖ "And every one that ~ "「あなたが受け入れた者たち全部が、あなたと同様にホーリー・スピリットにも、喜びをもたらしてくれるのだ」。あなたが受け入れた者たちとは、あなたが、無辜なる神聖な神の子であると受け入れた者たち、という意味。"He knows that Heaven ~ "「ホーリー・スピリットは、天の王国が、あなたの受け入れた者たち一人一人によって、ますます豊かになっていくことを知っているのだ」。無辜なる神聖な神の子が天の王国へアセンション出来れば、天の王国は、神と神の子の間で真実の愛が分かち合われ、愛と喜びは拡張増大し、ますます愛は豊かになるのである。



And God rejoices as His Son receives what loving justice knows to be his due. For love and justice are not different.
  • rejoice [ridʒɔ́is] : 「うれしがる、喜ぶ、祝う」
  • receive [risíːv] : 「〜を受ける、受け取る、受領する」
  • due [djúː] : 「当然支払われるべきもの」
  • different [dífərənt] : 「相違する、違っている、異なる」
❖ "And God rejoices as ~ "「神は、神の子が〜を受け取ったとき、喜びを覚えるのだ」。"what loving justice ~ "「愛に満ちた正当性が、神の子が当然受け取ってよいものを」受け取ったとき、神は大いに喜ぶのである。神の子が当然受け取ってよいものとは、神の愛であり喜び、栄光、慈しみ、等々、つまり、美しい真実の数々のことである。神の属性そのものと思ってもいい。"For love and justice ~ "「なぜなら、愛と正当性に違いはないからだ」。



Because they are the same does mercy stand at God's right Hand, and gives the Son of God the power to forgive himself of sin.
  • same [séim] : 「同じ、同一の、変わらない」
  • mercy [mə́ːrsi] : 「慈悲、情け、寛大な措置、優しい心根」
  • forgive [fərɡív] : 「許す、容赦する、勘弁する」
  • sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
❖ "Because they are the same ~ "「愛と正当性は同じものなので、神の右手には、慈悲が立ち現れ、」"and gives the Son of God ~ "「神の子自身が罪を赦せるようにするパワーを、神の子に与えているのである」。愛と正当性は同じものなので、神の法は正当であると同時に、愛に満ちたものなのだ。その神の法こそ、神の右腕と言える慈悲の心であって、神の子に赦しのパワーを与えてくれるのだ。つまり、神の子が、自分の罪は幻想に過ぎずないと見破るパワーであり、罪の幻想性を受け入れ受け流し、赦せるパワーを与えてくれるのである。
 
 
 


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