●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-26.I.3:1 ~ T-26.I.4:10

3. The little that the body fences off becomes the self, preserved through sacrifice of all the rest.
  • fence [féns] : 「 〜をフェンスで囲う、〜に囲いをする」
  • fence off : 「柵を巡らす、塀で囲う、塀で仕切る」
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
  • preserve [prizə́ːrv] : 「〜を保つ、保存する、貯蔵する、保護する」
  • through [θruː] : 「〜を介して、〜に頼んで、〜を通じて」
  • sacrifice [sǽkrəfàis] : 「犠牲、いけにえ」
  • rest [rést] : 「残り、残っているもの、残りの部分」
❖ "The little that the body ~ "「肉体が囲いで囲んだ小さな部分が、自己ということになる」。"preserved through ~ "分詞構文、単純接続、「そして、残りの部分全部を犠牲にして、それは保持されるのである」。肉体的な体で囲まれた部分、そして肉体的な頭脳だけが自分自身であって、残りの心や霊的なものを幻想として排除、犠牲にして、その肉体的な部分だけを保持しようとするのである。簡単に言えば、心よりも肉体を優先させている、ということ。肉体が実在であって、心は肉体的な頭脳が作り上げた非実在と考えるわけである。



And all the rest must lose this little part, remaining incomplete to keep its own identity intact.
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
  • part [pάːrt] : 「一部、部分、 体の一部」
  • remain [riméin] [SVC] : 「依然として〜のままである」
  • incomplete [ìnkəmplíːt] : 「不完全な、不十分な、未完成の」
  • keep [kíːp] [SVOC] : 「〜の状態にしておく、保つ、〜にしておく」
  • identity [aidéntəti] : 「同一性、自我同一性、独自性、固有性」
  • intact [intǽkt] : 「損なわれていない、変わっていない、手を付けていない」
❖ "And all the rest must ~ "「そして、残りの部分全体が、この小さな部分を失ってしまうに違いなく、」"remaining incomplete ~ "「それ自体の同一性を手付かずのままに保持するために、不完全な状態にしておくのである」。残りの部分全体である心や霊性(all the rest must)が、分離し隔離された肉体を、あたかも失ったかに見えるのだ(lose this little part)。しかし、実際には、隔離された肉体が、心や霊性を失ったのであり、それは、肉体が手付かずのままに、つまり、肉体がそれ自体として他に依存することなく、自分自身であると主張するためであって(to keep its own identity intact)、その結果、肉体は心や霊性を欠いた不完全な状態を保たなくてはならなくなったのだ(remaining incomplete)。



In this perception of yourself the body's loss would be a sacrifice indeed.
  • perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識、感じ方」
  • loss [lɔ́s] : 「失うこと、紛失、損失、喪失」
  • indeed [indíːd] : 「実に、本当に、確かに、いかにも」
❖ "In this perception of ~ "「あなた自身をこのように知覚するなら、」"the body's loss would ~ "「肉体を失うことは、正に犠牲であるろう」。あなた自身の肉体が実在であって、心や霊性が幻想であると知覚する限り、肉体的な死は、犠牲そのものと受け取られるだろう。実在するものが殺されるのだから、正に犠牲と呼ぶべきなのだ。しかし、実相的にはそうではない。真実はまったく逆なのだ。心や霊性が実在であって、肉体は幻想なのである。ならば、あなたの思っている犠牲という考え方は変えなくてはなるまい。



For sight of bodies becomes the sign that sacrifice is limited, and something still remains for you alone.
  • sight [sáit] : 「視界、景色、光景、見ること、見えること」
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
  • sign [sáin] : 「表れ、兆し、兆候、印」
  • limit [límit] : 「限定する、制限する、制限をかける」
  • remain [riméin] : 「残る、残存する、とどまる、滞在する」
❖ "For sight of bodies ~ "「なぜなら、肉体が目に出来るということは、犠牲が制限されている印になり、」"and something still ~ "「あなた一人のために、まだ何かが残されている印になるからなのだ」。肉体が視覚的に消滅していない限り、つまり、死に至っていない限り、それは、まだ完全には犠牲にされていないということを示しているからなのだ。あなたは、まだまだ、犠牲にされ尽くされていない自分を確認することが出来、何かが残されていると感じるのである。肉体がある限り、つまり死に至っていない限り、あなたはまだ犠牲にされたと思わないし、肉体的な命がちゃんと残っていると思って安心するのである。しかし、これも正しくない。肉体的な死は、実相的な命の死を意味しないし、幻想世界にあって犠牲にされるものがあるとすれば、それは、実在する心や霊性なのである。



And for this little to belong to you are limits placed on everything outside, just as they are on everything you think is yours.
  • belong [bilɔ́ːŋ] to : 「〜に属する、〜の所有物である」
  • limit [límit] : 「制限、限界、極限」
  • place [pléis] : 「〜を置く、設置する、取り付ける」
  • outside [áutsáid] : 「外側の、屋外の、外部の、局外の」
❖ "And for this little ~ "「あなたに属しているこの小さな部分のために、外側にあるすべてのものの上に制限が掛けられるである」。"just as they are on ~ "「それはちょうど、制限が、あなたのものだと思っているあらゆるものの上に掛けられているのと等しいのだ」。"this little to belong to you"「あなたに属しているこの小さな部分」とは、あなたの肉体のこと。あなたの肉体の分離独立性を保つために、外部世界があなたの肉体に干渉することがことがないように、距離を保って制限を掛けているのだ。確かに、細菌やウィルスは論外としても、他人が易々とあなたの肉体に侵入することは出来ない。あなたの位置に立って見れば、なるほど、制限を設けているのはあなた自身の肉体であるように見えるだろうが、逆に、外部世界から見れば、外部のあらゆるものが、あなたを肉体として疎外していると見ることも出来る。あなたの肉体が外部世界の秩序を乱さないように、あなたの肉体に制限を掛けて、あなたを孤立化させていると見ることも出来るのである。ちょうど、あなたは、世界から孤立した小島であって、小島の住人であるあなたは世界を拒絶して鎖国政策をとっていると思っているだろうが、世界から見れば、あなたという小島は無視され、世界の仲間入りを拒絶された、孤島というわけである。



For giving and receiving are the same. And to accept the limits of a body is to impose these limits on each brother whom you see. For you must see him as you see yourself.
  • receive [risíːv] : 「〜を受ける、受け取る、受領する」
  • same [séim] : 「同じ、同一の、変わらない」
  • accept [əksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
  • impose [impóuz] : 「課す、負わす、かける、与える」
❖ "For giving and ~ "「なぜなら、与えることと得ることは同じだからである」。制限を加えることと、制限されることは同一なのだ。あなたが肉体という垣根を設けて世界を拒絶すれば、世界はあなたを拒絶するのである。"And to accept the limits ~ "「肉体的制限を受け入れることは、あなたが目にする同胞一人一人の上に、これらの制限を課すことになるのである」。"For you must see ~ "「なぜならば、あなたが自分自身を見るように、あなたは同胞を見るに違いないからだ」。あなたが肉体を介して外部世界との関わり合いを制限することを認めれば、同時に、同じ制限を同胞の上にも課すことになる。つまり、同胞は、同胞の肉体を介して、あなたとの接触を制限するのである。こうして、あなたも同胞も、共に互いに制限を設けることによって、両者の分離はますます加速され、結合することも融合することも不可能となって、孤絶化は深刻さを増すのである。これが、分離を象徴するこの幻想世界の姿である。



4. The body is a loss, and can be made to sacrifice. And while you see your brother as a body, apart from you and separate in his cell, you are demanding sacrifice of him and you.
  • apart from : 「〜から離れて、〜は別として、〜はさておき」
  • separate [sépərət] : 「分かれた、離れた、個々の、別個の」
  • cell [sél] : 「監房、独房」
  • demand [dimǽnd] : 「求める、要求する」
❖ "The body is a loss ~ "「肉体は損失であり、犠牲にされ得るものなのだ」。肉体が損失であるとは、幻想の肉体を設けることで、多くの真実を失っている、ということ。肉体が制限となって、真実の愛や喜びや平和を、あなたは失っているのだ。しかも、肉体は永遠の存在ではなく、必ず死に至るものであるから、いつかは必ず犠牲にされる運命にある。"And while you see ~ "「あなたが同胞を肉体であると見るうちは、」"apart from you ~ "「そして、あなたから離れて、独房に分離されたものと見るうちは、」"you are demanding ~ "「あなたは、同胞やあなたに対して、犠牲を要求していることになるのだ」。幻想の肉体を信じているのだから、肉体が幻想性を成就することを願っているのである。幻想性を成就するとは、幻想のもつ変化流動を是認することであって、肉体がやがて死をもって犠牲にされることを受け入れたことになるのである。それは、あたかも、あなたや同胞の肉体に対して、犠牲を要求しているようなものなのだ。



What greater sacrifice could be demanded than that God's Son perceive himself without his Father? And his Father be without His Son?
  • great [gréit] : 「大きい、大きな、巨大な、重大な」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜を理解する、〜を把握する」
  • without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
❖ "What greater sacrifice ~ "「神の子が、父なる神をもたない自分自身を知覚する以上の、大きな犠牲とは何であろうか」。"And his Father be ~ "「神が、神の子をもたない神自身を知覚する以上の、大きな犠牲とは何であろうか」。肉体という壁によって神の子同士が結合できないという犠牲、そして、肉体が死をもって犠牲にされるという犠牲も、確かに犠牲の一つだが、それによって心に闇をもった神の子が、天の王国の神の存在を失うという心の犠牲は、これまた計り知れないほど大きい。



Yet every sacrifice demands that they be separate and without the other. The memory of God must be denied if any sacrifice is asked of anyone.
  • memory [méməri] : 「記憶、思い出」
  • deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
  • ask of : 「〜に要求する」
❖ "Yet every sacrifice demands ~ "「しかし、あらゆる犠牲は、他者を排他して分離することを要求するのだ」。神の子同士の分離、神と神の子の分離、犠牲はその分離を求めるのである。神の子同士の結合、神と神の子の結合を犠牲にすることを求めるのである。"The memory of God ~ "「もし、何らかの犠牲が誰かに求められたなら、神の記憶が否定されたことに違いない」。"The memory of God"「神の記憶」とは、ここでは、真実の愛、真実の慈悲の心、と解釈していいだろう。実相的な真実の記憶である。かつて神の子として知っていたが、幻想世界で忘れてしまった、天の王国の真実の記憶である。犠牲は、真実の愛、真実の慈悲の否定である。神の愛の否定なのだ。神の愛に溢れていた記憶の否定なのだ。



What witness to the Wholeness of God's Son is seen within a world of separate bodies, however much he witnesses to truth?
  • witness [wítnəs] : 「目撃者、証人、参考人、証拠、証言」
  • wholeness [hóulnis] : 「全体、全体性」
  • seen [síːn] : 「see の過去分詞形」
  • within [wiðín] : 「〜の中に、〜の内側に」
  • however [hauévər] : 「どんなに〜でも、いかに〜であろうとも、どれほど〜でも」
  • witness [wítnəs] : 「証言する、証明する」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
❖ "What witness to the Wholeness ~ "「たとえ〜だとしても、分離した肉体の世界にあって、神の子の全体性への、どんな証言が見られるだろうか」。"however much he ~ "「たとえ、神の子がどんなに多くの真実を証言したとしても、」分離した肉体の世界にあって、神の子の全体性への、どんな証言が見られるだろうか。肉体の分離を象徴する幻想世界にあって、人間がどんなに科学的な真理や真実を見つけ出したとしても、人間が神の子として完全で、完璧で神聖であると、いったい誰が証言してくれるだろうか。証言なしの真実として受け入れる以外ないではないか。幻想をもって真実を証言することは、原理的に不可能なのだから。



He is invisible in such a world. Nor can his song of union and of love be heard at all.
  • invisible [invízəbl] : 「目に見えない、不可視の、目につかない」
  • song [sɔ́ːŋ] : 「歌、詩歌、歌曲」
  • union [júːnjən] : 「結合、合併、融合、団結」
  • heard [hə́ːrd] : 「hear の過去・過去分詞形」
  • at all : 「全く〜ない、全然〜ない、少しも〜ない」
❖ "He is invisible ~ "「そんな世界にあっては、神の子は見えないのだ」。肉体だけが目に見えて実在しているように信じられている世界では、人間が神の子として見られることはない。神の子としての実在の心は、誰にも見えないのだ。"Nor can his song of ~ "「ましてや、神の子の歌う結合の歌、愛の歌は、まったく聞こえてこないのである」。人間が、神の子として単一の存在であることを喜ぶ歓喜の歌、神と神の子の愛の歌は、この地上では聞くことすら不可能だ。実相世界では、高らかに歌われているのに・・・。



Yet is it given him to make the world recede before his song, and sight of him replace the body's eyes.
  • given [gívn] : 「give の過去分詞形」
  • make [SVO do]: 「〜を〜の状態にする、〜に〜させる」
  • recede [risíːd] : 「退く、後退する、手を引く、引っ込む」
  • sight [sáit] : 「視界、景色、光景、見ること、見えること、視覚、視力」
  • replace [ripléis] :「〜を取り換える、交換する、差し替える」
❖ "Yet is it given him ~ "「しかし、神の子の歌を前にして、この世界を退かせることが、神の子に与えられているのだ」。しかし、あなたが神の子であることを受け入れ、神の子の単一性を歌い、神との愛を謳歌すれば、この幻想世界を消滅させることが出来るのだ。幻想から目覚めることが出来るのである。"and sight of him ~ "「そして、神の子の視覚が、肉体の目に置き換わるのである」。そして、この世界における、肉体の目で見るという知覚が、叡智をもって全的に直覚するという実相的知覚に質転換するのである。そのとき、あなたの目に、実相世界の光景が飛び込んできて、神の子の歌も、神の愛の歌も聞こえてくるのだ。愛と喜びの、光の世界が広がるのである。天の王国の実景が見えるのである。
 
 
 



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