●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-26.VII.15:1 ~ T-26.VII.16:7

15. Illusions serve the purpose they were made to serve. And from their purpose they derive whatever meaning that they seem to have.
  • illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • serve [sə́ːrv] : 「〜に仕える、〜のために働く」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
  • derive [diráiv] : 「引き出す、導き出す、得る、導く、抽出する」
  • whatever [hwʌtévər] : 「〜するのは何でも」
  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、意図、真意」
❖ "Illusions serve the purpose ~ "「幻想は、幻想が仕えるように作られた目的に、仕えるのだ」。幻想は目的があって作られるのだが、その目的から外れることなく、幻想は目的に仕える。"And from their purpose ~ "「そして、その目的から、幻想は、目的のもっていそうな意味ならば何でも引っ張り出してくるのだ」。幻想は、都合のいい意味を目的から引き出してくる。例を考えよう。この幻想世界は目的をもって作られた。神の子が神から分離し、神を裏切ったという罪の意識に絶えられなくなって自己を乖離し、神の子という自己を捨てて分離分裂した多数の人間という人格を作り出した。そして、神からの分離を象徴する幻想世界を、心の外部に投射して作り出したのだ。したがって、幻想世界は、分離を目的に、分離を象徴して疑似創造されたのである。さらにその上に、分離という目的が持っている別の意味、たとえば、他者と自分は異なっているという特別性や、罪は実在するという信仰や、時空の存在、崩壊と死の存在、変化流動の法則、等々を、幻想は次々と引っ張り出してくるのである。



God gave to all illusions that were made another purpose that would justify a miracle whatever form they took.
  • gave [géiv] : 「give の過去形」
  • another [ənʌ́ðər] : 「もう一つの、別の、ほかの」
  • justify [dʒʌ́stəfài] : 「正当だと説明する、弁明する、正当化する」
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造、姿、体つき、外見」
❖ "God gave to all illusions ~ "「神は、作り出されたあらゆる幻想に対して、〜するような、また別の目的を与えた」。" that would justify ~ "「どんな形をとろうとも、奇跡を正当化するような、」また別の目的を、神は与えた。神は、ホーリー・スピリットを通して、幻想に対して答えを与えた。幻想をヒーリングして、幻想を消滅させ、真実に導くという奇跡を与えたのだ。つまり、幻想の持つ目的対して、その幻想が奇跡によって消滅するという別の目的を与えたのだ。消滅という目的である。幻想が本来持っている幻想の存続という目的と、真っ向からぶつかり合う幻想の消滅という目的、それを果たすのが奇跡である。だから、奇跡は、この世界の法則、物理法則から心の法則まで、あらゆる法則を破って、超常的な事象を起こすのである。究極、奇跡は死をも征服するのだ。イエスが死者を蘇らせた奇談は、それを語っている。



In every miracle all healing lies, for God gave answer to them all as one. And what is one to Him must be the same.
  • healing [híːliŋ] : 「治療、回復、治癒、癒やし」
  • lie [lái] : 「ある、存在する」
  • answer [ǽnsər] : 「答え、回答、返事、応答」
  • same [séim] : 「同じ、同一の、変わらない」
❖ "In every miracle ~ "「あらゆる奇跡の中に、ヒーリングは存在する」。幻想をヒーリングし、幻想を消滅させることが奇跡である。悪夢から目覚めさせることがヒーリングであり、真実への目覚めを与えることが奇跡だ。ヒーリングと奇跡は表裏一体であり、したがって、同一であると考えていい。"for God gave answer ~ "「神は幻想に対して、ヒーリングと奇跡は一つのものだとして、答えたのだ」。"And what is one ~ "「神にとって一つであるものは、同一であらねばならないのだ」。あらゆる幻想に対して、神の使者であるホーリー・スピリットは一つの答えを提示する。ヒーリングと奇跡という同一の答えである。では、答えが一つであるなら、様々な形をとって現れる幻想もまた、一つではないのか。



If you believe what is the same is different you but deceive yourself.
  • believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
  • different [dífərənt] : 「相違する、違っている、異なる」
  • deceive [disíːv] : 「欺く、惑わす、だます、裏切る」
❖ "If you believe what ~ "「もしあなたが、同じものを異なるものと信じているなら、あなたはあなた自身を欺いているのだ」。幻想も一つ、それに対する神の答えも一つ。一つであるものを異なると感じるのは、あなたの知覚があなたを欺(あざむ)いているからだ。あなたは知覚に騙(だま)されているのだ。



What God calls One will be forever One, not separate. His Kingdom is united; thus it was created, and thus will it ever be.
  • call [kɔ́ːl] : 「〜と呼ぶ」
  • forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
  • separate [sépərət] : 「分かれた、離れた、個々の、別個の、別の」
  • unite [junáit] : 「を結合させる、一つにする、結び付ける」
  • thus [ðʌ́s] : 「このようにして、こんなふうに」
  • create [kriéit] : 「〜を創造する、〜を創り出す」
❖ "What God calls One ~ "「神が一つと呼ぶものは、永遠に一つであり、分離などしていない」。たとえば、神は神の子を一つだと呼ぶ。だから、神の子は分離することなく、単一の存在なのだ。神は、神と神の子は一つだと呼ぶ。だから、神と神の子は分離することなく、一体であり、単一存在なのだ。こうして、実相世界の存在は、すべて神に収斂し、神こそが単一の存在として、そこにあるのだ(God is)。一元論世界の必然である。"His Kingdom is ~ "「神の王国(天の王国)は、一つに結びついている」。天の王国は単一であり、単体であり、一元のみの世界なのである。"thus it was created ~ "「そのように創造されたのであり、いつまでもそうなのだ」。



16. The miracle but calls your ancient Name, which you will recognize because the truth is in your memory.
  • ancient [éinʃənt] : 「古くからの、古い、古びた」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • memory [méməri] : 「記憶、思い出」
❖ "The miracle but calls ~ "「奇跡は、あなたの古い呼び名を呼ぶ」。奇跡は、あなたを、古い呼び名である『神の子』と呼ぶ。つまり、奇跡はあなたに、あなたが神の子であることを思い出させるということだ。"which you will ~ "「それを、あなたは認識するであろう」。神の子という呼び名が、自分の呼び名であることを認識するであろう。"because the truth is ~ "「なぜなら、真実があなたの記憶の中にあるからだ」。あなたが神の子であるという真実が、あなたの記憶の中に残っているからだ。



And to this Name your brother calls for his release and yours.
  • call for : 「〜を要求する、訴える、〜を求めて呼ぶ」
  • release [rilíːs] : 「解放、解き放すこと、解除、免除」
❖ "And to this Name your ~ "「あなたのこの『神の子』という呼び名に向かって、あなたの同胞は、同胞の解放とあなたの解放を求めるのである」。同胞は、『神の子』という名のあなたに、罪からの解放、幻想からの解放を求めるのだ。それは同時に、あなた自身の解放にも繋がるのである。あなたと同胞は、互いに救い主なのである。



Heaven is shining on the Son of God. Deny him not, that you may be released.
  • shine [ʃáin] : 「輝く、光る」
  • deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
❖ "Heaven is shining ~ "「天の王国は、神の子の上に輝いている」。"Deny him not ~ "「神の子である同胞を否定してはいけない」。神の子である同胞があなたに求める救いを、拒絶してはいけない。"that you may be ~ "ここのthat"は"so that"、「その結果、〜するために」、「その結果として、あなたは解放され得るのだから」。



Each instant is the Son of God reborn until he chooses not to die again.
  • instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
  • reborn [ribɔ́ːrn] : 「再生した、生き返った、よみがえった、生まれ変わった」
  • until [ʌntíl] : 「〜する時まで」
  • choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • die [dái] : 「死ぬ、死亡する」
  • again [əɡéin] : 「再び、かさねて」
❖ "Each instant is ~ "「〜の時まで、瞬間瞬間に、神の子は生まれ変わるのだ」。"until he chooses not ~ "「神の子が、再び死ぬことを選択しなくなるまで、」瞬間瞬間に、神の子は生まれ変わるのだ。ここでの"reborn"「生まれ変わる」は、幻想世界においての生まれ変わりを意味している。実相世界への復活ではない。つまり、現在という時が瞬時にして死んで過去となり、次の瞬間、あなたは現在に生まれ変わる、という意味合いである。さらに長い時間的なスパンで見れば、現世で生き、現世で死に、また来世に生まれ変わるという、輪廻転生を意味する。あなたが死という幻想を消滅させるまで、つまり、死を選択することがなくなるまで、それは続くのだ。



In every wish to hurt he chooses death instead of what his Father wills for him.
  • wish [wíʃ] : 「願い、願望、希望」
  • hurt [hə́ːrt] : 「〜を傷つける、〜に苦痛を与える」
  • death [déθ] : 「死、消滅、死亡、破滅、終わり、終焉」
  • instead [instéd] of : 「〜の代わりに」
  • will [wíl] : 「〜を望む、意図する、命ずる、決意する」
❖ "In every wish ~ "「傷つけたいと望むたびに、神の子は、父なる神の神の子への意思の代わりに、死を選んでいるのだ」。神は神の子に、死からの救いを強く願っている。神の子の死からの解放を意思しているのだ。しかし、神の子は他者を攻撃し、他者を傷つけたいと願っている限り、攻撃という幻想から抜け出せない。幻想に必死にしがみついているのだから、同時に、死という幻想からも抜け出せないのだ。自ら、死を選択していることになる。神は、神の子の自由意思を何よりも重んじているので、神の子が自ら進んで、死の選択を放棄し、解放を選択しない限り、神は手出しが出来ないのである。



Yet every instant offers life to him because his Father wills that he should live.
  • offer [ɔ́ːfər] : 「差し出す、捧げる、提供する」
  • life [láif] : 「命、生命」
  • live [lív] : 「生きる、生存する、生きている、生き延びる」
❖ "Yet every instant ~ "「しかし、あらゆる瞬間は、神の子に命を差し出しているのだ」。神の子は、瞬間瞬間に生まれ変わり、新しい命が授かるのである。神の子が死を選択することがなくなるまで、それは続く。言い換えれば、神の子は、瞬間瞬間に、死からの解放を選択するチャンスが与えられているのだ。"because his Father ~ "「なぜなら、父なる神は、神の子が生き延びることを意思しているからなのだ」。神の子が、実相的に、真実に生きることを神は望み、そのためのチャンスを、瞬間瞬間に、神は神の子に与えているのだ。だから、あなたは、生まれ変わりをいつまでも求めるべきではない。死と再生のプロセスに終止符を打つ選択をすべきなのだ。死からの解放を意思し、つまり、死からの救いを強く意念し、ホーリー・スピリットの救いを受けるべきなのだ。エゴを捨て、ホーリー・スピリットを選択すべきなのだ。幻想からの目覚め、実相への目覚めを選択すべきなのだ。それが、この世での、現世での、あなたの目的なのである。それ以外に、何があろう。
 
 
 


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