●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-26.VIII.1:1 ~ T-26.VIII.2:7

 
 
VIII. The Immediacy of Salvation
救いの即時性
 
 
 
1. The one remaining problem that you have is that you see an interval between the time when you forgive, and will receive the benefits of trusting in your brother.
  • remaining [riméiniŋ] : 「残りの、残っている」
  • problem [prɑ́bləm] : 「問題、課題、疑問、難問、難題」
  • interval [íntərvəl] : 「隔たり、間隔、合間」
  • between [bitwíːn] : 「間で、〜の合間に、中間に」
  • between A and B : 「AとBの間に」
  • forgive [fərɡív] : 「許す、容赦する、勘弁する」
  • receive [risíːv] : 「〜を受ける、受け取る、受領する、入手する」
  • benefit [bénəfit] : 「利益、収益、利点、メリット、便益、利得」
  • trust [trʌ́st] : 「信用する、信頼する」
  • trust in : 「信頼する、人を信用する、頼みにする」
❖ "The one remaining problem ~ "「あなたに残された唯一の問題は、あなたが赦しを実行した時と、同胞を信頼したことによる利得を受け取る時との間に、時間的な隔たりを知覚するということである」。あなたは、同胞を信じ、同胞の罪は幻想であると受け入れ受け流し、赦しを実行した。その結果、同胞の罪が消滅し、同時にあなたの罪も消滅することを期待していいのだが、赦しとその結果の出現に時間的なインターバルがあって、赦しの結果がなかなか目に見えて来ないのだ。そのために、あなたは、赦しのもつパワーを信頼出来なくなってしまう可能性があるのだ。



This but reflects the little you would keep between you and your brother, that you and he might be a little separate.
  • reflect [riflékt] : 「〜を映す、示す、反映する」
  • separate [sépərət] : 「分かれた、離れた、個々の、別個の、別の」
❖ "This but reflects ~ "「しかしこれは、あなたが、あなたと同胞の間に、わずかの隔たりを維持し、」"that you and he ~ "ここの"that"は"so that"のこと、「〜するために、その結果」、「その結果、あなたと同胞の間に、わずかの空間が出来たことを反映しているのだ」。本来、あなたと同胞は単一の神の子であって、つまり、自他一如であって、二人の間に隔たりは存在しない。しかし、分離を象徴するこの幻想世界にあっては、あなたは、無意識のうちに、同胞との間に隔たりを作ってしまうのである。その心の想念が、空間という隔たりとして実現してしまうのだ。空間は、分離を象徴して、あなたが幻想している錯覚である。



For time and space are one illusion, which takes different forms.
  • space [spéis] : 「空間、スペース、場所、余地」
  • illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • different [dífərənt] : 「相違する、違っている、異なる」
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造」
❖ "For time and space ~ "「なぜなら、時間も空間も幻想であり、」"which takes different ~ "「その二つは、異なった形をとっているだけなのだ」。時間的隔たりも、空間的隔たりも、幻想としては同じものである。現れ方が違うだけだ。共に、分離を維持するために幻想されている。



If it has been projected beyond your mind you think of it as time.
  • project [prədʒékt] : 「〜を投影する、発射する、投げ出す」
  • beyond [bijάnd] : 「〜の向こうに、〜を越えて、〜を過ぎて」
❖ "If it has been ~ "「その幻想が、あなたの心を越えて(外部に)投射された時、」"you think of ~ "「あなたは、それを、時間として捉えるのだ」。分離を象徴する隔たりを、心の外部に投射して、心のコントロールが利かないように独立させてしまったものが時間。それに対して、空間的隔たりは、まだ、あなたの心の、コントロールの支配下にある。あなたは距離を縮めたり伸ばしたり出来るのだ。時間は、そうはいかない。あなたの心のコントロールを越えている。少々物理的な説明をするなら、こうなる。4次元時空間は、空間を規定する3つの実数軸と、時間を規定する虚数軸を仮定すれば作り出せる。いわゆるミンコフスキー時空間だ。実軸方向には、人は自由に移動出来るが、時間の虚軸方向には、それが虚数であるがゆえに、自由に移動することは出来ないのである。この虚数軸こそ、心が外部に投射してコントロールを不可能にした幻想なのだ。



The nearer it is brought to where it is, the more you think of it in terms of space.
  • near [níər] : 「近い、近くにある、接近した、近接した」
  • brought [brɔ́ːt] : 「bring の過去・過去分詞形」
  • bring [bríŋ] : 「〜をもたらす、〜を持って来る」
  • in terms of : 「〜に関して、〜の点から見て、〜の観点では」
❖ "The nearer it is ~ "「あるものが、本来ある場所に近づいて置かれれば置かれるほど、」"the more you ~ "「あなたは、それを、空間として考えるのだ」。あなたの心のコントロールを越えて、時間的な隔たりを幻想するのではなく、より身近にその存在を感じ、本来それがある場所に近ければ近いほど、心は、その存在との隔たりを、空間的な隔たりと感じるのだ。簡単に言えば、あなたが、あるものに、近づくことが出来るように感じるなら、その隔たりは空間的な隔たりであり、近づくことが不可能に感じるなら、その隔たりは時間的な隔たりなのだ。たとえば、今あなたに恋人がいるなら、あなたと恋人を隔てているのは空間的な隔たりであり、もし、今はもうその恋人がいないなら、恋人は思い出の中に住む存在であって、思い出の恋人との隔たりは、時間的な隔たりになってしまうのである。



2. There is a distance you would keep apart from your brother, and this space you perceive as time because you still believe you are external to him.
  • distance [dístəns] : 「間隔、隔たり、すき間」
  • keep [kíːp] : 「〜を持ち続ける、保持」
  • apart from : 「から離れて、〜は別として、〜はさておき」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜を理解する、〜を把握する」
  • believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
  • external [ikstə́ːrnl] : 「外の、外側の、外部にある、外部の」
❖ "There is a distance ~ "「あなたの同胞から離れていたいとあなたが思う隔たりがある」。この幻想世界に住む限り、他者と分離していたいと望む気持ちが存在して、その心が隔たりを生み出している。"and this space you ~ "「この隔たりを、あなたは時間として知覚するのである」。"because you still ~ "「なぜなら、あなたはなおも、あなたが他者の外側にいると信じているからだ」。心がコントロール出来る隔たりであると感じる限り、その隔たりは空間的な隔たりとして知覚されるのだが、心の外に投射された隔たり、心のコントロールを越えた隔たりは、時間的な隔たりとして知覚される。たとえば、あなたと恋人の心と心が繋がっていて、互いの心の中に存在し合っていると感じている限り、あなたと恋人との隔たりは、単なる空間的な隔たりに過ぎない。しかし、あなたと恋人の心と心が離れ、あなたが恋人の存在を心の外に追い出してしまえば、もはやあなたと恋人の間の隔たりは空間的な隔たりではなくなって、過去へ追いやられる隔たり、時間的な隔たりになってしまうのである。簡単に言えば、あなたが今恋をしているなら、その恋に時間は存在しない。恋を失った瞬間、その恋は過去に追いやられ、恋は時間とともに古びていくのだ。



This makes trust impossible. And you cannot believe that trust would settle every problem now.
  • make : 「〜の状態を作り出す、〜にする」
  • trust [trʌ́st] : 「信頼、信用」
  • impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、とてもあり得ない、できない」
  • settle [sétl] : 「解決する、和解させる、終止符を打つ、決着をつける」
  • problem [prɑ́bləm] : 「問題、課題、疑問、難問、難題」
❖ "This makes trust ~ "「この時間的な隔たりが、(同胞を)信頼することを不可能にしている」。心の外に追いやられた隔たりは時間を生み出し、もはやあなたの心のコントロールを離れてしまう。心と心の繋がりが崩壊してしまったので、その他者を信頼することは不可能になるのだ。"And you cannot ~ "「そして、あなたは、信頼が、あらゆる問題を、今、解決してくれることを信じられなくなるのだ」。心と心が繋がり合ってこそ、あなたと同胞は互いに救い合える存在なのだ。罪の問題も、孤独という問題も、心の繋がりが解決してくれる。しかし、他者の心をあなたの心の外に追い出してしまったなら、一体誰があなたの罪の問題や孤独の問題を解決していくれるだろう。他者の心の存在を信頼出来ないあなたに、自分自身の心だけは信頼出来ると言えるだろうか。結局、あなたはますます孤立化を深め、猜疑心を募らせ、心の闇の中に身を潜めてしまうことになるのだ。



Thus do you think it safer to remain a little careful and a little watchful of interests perceived as separate.
  • thus [ðʌ́s] : 「このようにして、こんなふうに、上に述べたように」
  • safe [séif] : 「安全な、無事な、安泰で」
  • remain [riméin] : 「依然として〜のままである」
  • careful [kέərfəl] : 「注意深い、気を付ける、用心深い、油断しない、用心する」
  • watchful [wάtʃfəl] : 「油断のない、見張って、用心した、用心深い」
  • interest [íntərəst] : 「利益、利害、利子、興味、関心」
❖ "Thus do you think ~ "意訳する、「こうして、あなたは、離れていた方が利益にかなうと感じ、注意深く警戒していることが安全だと思うようになるのだ」。下手に他者と心を通わせ、裏切られ、傷つけられるより、心を遮断して、他者が自分の心に侵入して来ないように警戒している方がずっと安全だと考えるようになるのだ。時間と空間の隔たりを武器にして身を守り、孤立化し、猜疑心で固まる方がましだと思うのだ。



From this perception you cannot conceive of gaining what forgiveness offers now.
  • perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識、感じ方」
  • conceive [kənsíːv] : 「思い付く、想像する」
  • conceive of : 「〜を考え出す、〜を想像する、〜を心に描く、〜を思い描く」
  • gain [géin] : 「得る、獲得する」
  • forgiveness [fərɡívnis] : 「許すこと、許し、容赦、寛容」
  • offer [ɔ́fər] : 「差し出す、捧げる、提供する」
❖ "From this perception ~ "「このように知覚するものだから、あなたは、赦しが今差し出してくれるものを得ることが出来るのだと思うことすら出来ないのである」。心と心をつなげ合い、信頼し合い、互いに赦し合うことで、罪や孤独から解放されるという真実を、あなたは知ることも出来ない。



The interval you think lies in between the giving and receiving of the gift seems to be one in which you sacrifice and suffer loss. You see eventual salvation, not immediate results.
  • interval [íntərvəl] : 「隔たり、間隔、合間」
  • lie [lái] : 「ある、存在する」
  • sacrifice [sǽkrəfàis] : 「〜を犠牲にする、〜をささげる」
  • suffer [sʌ́fər] : 「苦しむ、被る」
  • loss [lɔ́s] : 「紛失、損失、喪失、損害」
  • suffer loss : 「損害を被る、打撃を受ける」
  • eventual [ivéntʃuəl] : 「結果として生ずる、最後の、最終的な」
  • salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い、救世」
  • immediate [imíːdiət] : 「即時の、即座の、即刻の、迅速な」
  • result [rizʌ́lt] : 「結果、結末、成り行き、効果、成果」
❖ "The interval you think ~ "「贈り物を与えることと受け取ることの間に存在しているとあなたが思う時間的な隔たりは、あなたが犠牲と損害を被る隔たりのように思えてしまうのだ」。たとえ他者を赦したとしても(贈り物を与えたとしても)、何の見返りもないままに(贈り物を受け取ることなく)、時間だけが経ってしまうように感じ、結局、損をするのは自分だと思ってしまうのだ。しかし、時間的な隔たりは幻想であって、赦しの結果は、遅かれ早かれ、必ず、あなたの元へ返ってくるのだ。"You see eventual ~ "「たとえ結果がすぐに現れなくても、あなたは結果として救いを目撃することになるのだ」。結果は、時間という幻想に阻まれて、すぐには見えて来ないかもしれないが、赦しの結果は、必ず、救いという形で実現するのである。それを信じて待つことが出来るかどうか、それがあなたの器の大きさを表している。時間を超越するとは、時間の幻想性を見抜いて、時間の隔たりに負けないことである。あなたの力量が試されるのだ。
 
 
 


Notification

自分の写真


❖ Text精読、完了しました。4年8ヶ月、1256回の投稿でした。長期に渡ってお付き合いいただき、感謝します。
❖ 引き続き、Workbook精読をご覧下さい。場所は「http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp」です。
❖ Text精読の手直しも始めました。月日をかけて見直していきます。
❖ AmazonからKindle版の精読シリーズを出版開始しました。『どこでもAcim』をご希望の方は是非どうぞ。
❖ Google PlayとiBookstoreからepub版の精読シリーズを出版開始しました。Kindle版で窮屈さをお感じでしたら、こちらをどうぞ。
❖ Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。Urtextは非常に面白いです。臨場感は半端でありません。

oohata_mnb@yahoo.co.jp
oohata.m@coda.ocn.ne.jp

アクセスカウンター