●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-28.II.6:1 ~ T-28.II.7:11

6. This world is causeless, as is every dream that anyone has dreamed within the world.
  • causeless [kɔ́ːzlis] : 「原因のない、原因不明の、正当な理由のない」
  • within [wiðín] : 「〜の中で、〜の内側で」
❖ "This world is ~ "「この世界は原因がない」。"as is every dream ~ "「それはちょうど、この世界で誰かが夢に見るあらゆる夢が原因をもたないのと同然である」。この世界は、眠れる神の子が夢に見ている夢なのだ。夢の出来事には、実体をもった原因はない。この世界では、素朴な因果律が成立していない、と言っているのではない。実相的な因果律が成立するための実体がない、ということを言いたいのだ。実体をもった、確たる原因をもたないと言っているのである。



No plans are possible, and no design exists that could be found and understood.
  • plan [plǽn] : 「計画、企画、予定、設計図、意向」
  • possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、起こり得る、あり得る」
  • design [dizáin] : 「下絵、略図、見取り図、設計図」
  • exist [igzíst] : 「存在する、生きている、生存する、存続する」
  • found [fáund] : 「find の過去・過去分詞形」
  • find [fáind] : 「見つける、発見する、見いだす」
  • understood [ʌ̀ndərstúd] : 「understand の過去・過去分詞形」
  • understand [ʌ̀ndərstǽnd] : 「理解する、了解する、納得する、分かる」
❖ "No plans are ~ "「いかなる計画も不可能であるし、」"and no design exists ~ "「いかなる設計図も存在せず、それを見つけ出し理解することも出来ない」。この世界の出来事は、勝手に生まれ、勝手に消えていく水の泡のようなものである。必然的な実体のある出来事は何も起こり得ないのだ。設計図も計画もないからだ。実相的な、確たる原因が存在しないのだから、確たる結果も生じない。確たるものがなから、確たる計画の立てようがないのだ。計画が立たないから、設計図を描くことも不可能である。ちょうど、あなたが夜夢を見るのに、計画も設計図も存在することなく、勝手に夢が生まれ出てくるようなものである。



What else could be expected from a thing that has no cause? Yet if it has no cause, it has no purpose.
  • else [éls] : 「そのほかの」
  • expect [ikspékt] : 「予期する、期待する」
  • cause [kɔ́ːz] : 「原因、要因、動機、理由」¥
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
❖ "What else could be ~ "「原因のないものから、それ以外に何が期待出来よう」。幻想世界の出来事は、原因も理由もなく、水の泡のように生まれは消えていくだけだ。それ以上の何も期待出来ない。実相的な実体を生み出すことは出来ないのである。"Yet if it has ~ "「しかし、もし原因がないとしたら、目的もあるまい」。この幻想世界は、何の目的もなく変化流動していく。目的がないから、破壊と崩壊に向かうのだ。この宇宙では、形あるものは必ず壊れるのである。



You may cause a dream, but never will you give it real effects.
  • cause [kɔ́ːz] : 「〜を引き起こす、招く、〜の原因になる」
  • real [real] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
  • effect [ifékt] : 「結果、影響、作用、効果、効力」
❖ "You may cause ~ "「あなたは、夢を引き起こしたかもしれないが、」あえて原因という言葉を使うなら、あなたが原因となって夢が生まれ出たと言えるかもしれないが、"but never will ~ "「しかし、あなたは、夢に実相的な結果を与えることは出来ないだろう」。幻想という泥をいくらこねっても、そこから食べることの出来る餅は生まれ出ない。どんなに生産的な夢を見ようが、そこから塵(ちり)一つ生まれ出ることはないのだ。



For that would change its cause, and it is this you cannot do.
  • change [tʃéindʒ] : 「〜を変える、〜を変更する、〜を変換する」
❖ "For that would ~ "「なぜなら、それは、その原因を変えてしまうことになるし、そんなことはあなたに出来ることではない」。もし、原因のないものから実相的な結果が生まれてきたら、原因のないものは実相的な原因であったことになり、完全に矛盾を来(きた)す。そんなことは、あなたを含め、誰にも出来ない。



The dreamer of a dream is not awake, but does not know he sleeps.
  • awake [əwéik] : 「目が覚めて、意識がしっかりして」
  • sleep [slíːp] : 「眠る、眠っている」
❖ "The dreamer of ~ "「夢見る者は、目を覚ましてはいない」。"but does not know ~ "「しかも、眠っていることさえ知らないのだ」。この世界に暮らす誰もが、自分は夢を見てはいない、と宣言するだろうが、しかし、誰もが幻想を見て、幻想の中に生きているのだ。



He sees illusions of himself as sick or well, depressed or happy, but without a stable cause with guaranteed effects.
  • illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • sick [sík] : 「病気で、病気の、不健全な、調子が悪い」
  • well [wél] : 「調子が良い、健康である、健在である」
  • depressed [diprést] : 「精神的に沈んだ、意気消沈した、元気のない」
  • without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
  • stable [stéibl] : 「しっかりした、安定した、断固とした、不変の」
  • guaranteed [ɡæ̀rəntíːd] : 「保証された、保証付きの」
❖ "He sees illusions ~ "「彼は、病気であったり健康を害したり、沈み込んだり幸せな気分になったりと、自分自身の幻想を見ているのだ」。"but without a stable ~ "「しかし、それには、結果を保証する確たる原因があるわけではない」。まさに、流れに生まれては消える水の泡と同様に、確たる原因も実相的な結果もなく、幻想は勝手気ままに生まれては消えて流れていく。



7. The miracle establishes you dream a dream, and that its content is not true.
  • establish [istǽbliʃ] : 「確立する、設立する、確証する、立証する」
  • content [kɑ́ntent] : 「内容、中身、在中物、入っているもの」
  • true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
❖ "The miracle establishes ~ "「奇跡は、あなたが夢を見ており、夢の内容は真実ではないと確証するのである」。奇跡は、あなたが夢を見ているに過ぎないことを、あなたに気付かせてくれる。むしろ、あなたが夢を見ていることに気付くことが奇跡なのだ、と言った方がいいかもしれない。



This is a crucial step in dealing with illusions. No one is afraid of them when he perceives he made them up.
  • crucial [krúːʃəl] : 「重大な、決定的な、重大な、不可欠な」
  • step [stép] : 「階段、段、階、段差、歩み、一歩」
  • deal [díːl] with : 「〜を相手にする、〜を処理する、〜に対応する」
  • in dealing with : 「〜に対処するときに」
  • be afraid of : 「〜を恐れる、〜を怖がる」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • make up : 「作り出す、考え出す」
❖ "This is a crucial step ~ "「この気付きは、幻想に対処する上で、決定的な一歩となる」。気付きは非常に重要であり、必須である。"No one is afraid of ~ "「幻想は自分ででっち上げたものだと知覚するとき、誰も幻想を恐れることはない」。朝目覚めて、夜に見た夢は自分の頭脳が勝手に作り出した夢だったのだと気付けば、どんな恐ろしい夢でも、もはや怖がることはない。



The fear was held in place because he did not see that he was author of the dream, and not a figure in the dream.
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
  • held [héld] : 「hold の過去形、過去分詞形」
  • hold [hóuld] : 「維持する、保持する、持続する」
  • place [pléis] : 「場所、個所、住所」
  • author [ɔ́ːθər] : 「作者、著者、執筆者、作家、創造者」
  • figure [fíɡjər] : 「人物、姿、人影」
❖ "The fear was held ~ "「恐れがどこかに保持されていたというのは、」夢を見ながら恐れていたのは、"because he did not ~ "「自分が、その夢の作者であり、夢の中の登場人物ではないと、見抜くことが出来なかったせいなのだ」。夢を見ながら、それこそが現実であり、その現実に自分が登場人物として巻き込まれていると信じ込んでいるから、その夢が恐ろしいのだ。恐れが現実のものとして、のしかかってきたのである。しかし、真実はまったくその逆で、夢は現実ではなく、あなたが作り出した架空のドラマである。そのドラマに自ら出演して、あなたの夢を演じているに過ぎないのだ。だから、恐れる理由はどこにもないのである。



He gives himself the consequences that he dreams he gave his brother.
  • consequence [kάnsəkwèns] : 「結果、結論、結末、成り行き、帰結、重大さ」
❖ "He gives himself ~ "「夢見る者は、彼の同胞に与えたと夢に見た結果を、自分自身に与えているのだ」。たとえば、あなたが同胞を憎んだとすれば、その憎むという結果は、自分自身に与えたも同然なのだ。夢の世界は、そういうものである。自分で夢のストーリを演出し、自分で登場人物を選び、自分で演じているので、憎む役割も憎まれる役割も、所詮、自分自身なのである。蛇足になるが、『人を憎まば穴二つ』というが、これは、人を呪い殺すことは、自分を呪い殺すことと同じであるという、昔人の達観である。



And it is but this the dream has put together and has offered him, to show him that his wishes have been done.
  • put together : 「ひとまとめにする、合わせる、寄せ集める、組み立てる」
  • offer [ɔ́fər] : 「差し出す、捧げる、提供する」
  • show [ʃóu] : 「見せる、示す」
  • wish [wíʃ] : 「願い、願望、希望」
  • done [dʌ́n] : 「do の過去分詞」
❖ "And it is but this ~ "「〜は、こんなものである」。"the dream has ~ "「夢見る者の願いが達成されたと示すために、夢が(がらくた)を寄せ集め、彼に提供したものとは、」こんなものである。人を憎み、呪い殺そうと願っても、結果的に、自分が呪い殺されるというのが、夢の結末なのだ。人から金を奪おうと企んでも、結果的に、自分から金が逃げてしまうというのが、夢の結末である。他者に及ぼしたいと願う影響は、自分自身に反映されるのだ。自分で、勝手な夢を演出しているからである。



Thus does he fear his own attack, but sees it at another's hands.
  • thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、このようにして」
  • fear [fíər] : 「〜を恐れる、〜を怖がる」
  • attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
❖ "Thus does he fear ~ "「このように、自分自身が攻撃されることを恐れれば、」"but sees it at ~ "「他者の手によって、あなたは攻撃されるのを目にすることになる」。もちろん、あなたが他者を攻撃しようと願えば、確実に、あなたは他者から攻撃される。同時に、他者からの攻撃を恐れていれば、その思いは現実化し、他者があなたを攻撃することになる。攻撃が現実に存在すると信じている限り、夢の結末は、攻撃されることで終わるのだ。死も同然で、死が現実に存在すると信じている限り、死は確実に訪れる。したがって、攻撃も死も、単なる夢、単なる幻想に過ぎず、そんなものは現実に存在し得ないと、真実に目覚めた時、その時こそ、攻撃や死から開放されるのである。



As victim, he is suffering from its effects, but not their cause.
  • victim [víktim] : 「犠牲者、被害者、被災者」
  • be suffering from : 「〜に悩んでいる、〜い苦しむ」
❖ "As victim, he is ~ "「犠牲者として、夢見る者は、その結果に苦しんでいるのだが、」"but not their ~ "「原因に苦しんでいるわけではない」。夢見る者は、夢の内容、夢の結果に苦しむが、夢を見た原因に苦しめられているわけではない。夢に出てきたモンスターに襲われて、苦しむ夢を見るかもしれないが、自分が夢の中で、なぜそんな恐ろしいモンスターの夢を見てしまったか、その原因について苦しむことはない。なぜなら、夢には原因がないからだ。存在しない原因に苦しめられることはない。



He authored not his own attack, and he is innocent of what he caused.
  • author [ɔ́ːθər] : 「〜を書く、生み出す、加える」
  • innocent [ínəsənt] : 「潔白な、無罪の、無実の、罪のない」
❖ "He authored not ~ "「夢見る者は、自分自身を攻撃するようなシナリオを書いたのではない」。"and he is innocent ~ "「したがって、彼は、彼が生み出したものに関して潔白である」。夢見る者は、夢の中で攻撃したり、破壊したり、殺したり、そんなシナリオを書いて演じているわけではない。その意味では、夢を見ている限りにおいて、彼は潔白である。夢に対して責任はないのだ。例え、夢にモンスターが登場したとしても、それは、あなたが悪いわけではない。モンスターの夢を見たとしても、あなたは潔白なのだ。



The miracle does nothing but to show him that he has done nothing.
  • show [ʃóu] : 「見せる、示す、表す」
  • done [dʌ́n] : 「do の過去分詞」
❖ "The miracle does ~ "「奇跡は、夢見る者に対して、彼は何もしなかったのだ示す以外に、何もなすことはない」。奇跡は、既成事実を曲げて、振り出しに戻すような魔術を行うわけではない。彼が、どんな夢を見たとしても、ただ夢を見ただけであって、現実には何もしなかったのだと、ただ単に、彼に教えてやるだけなのだ。現実に目覚めさせ、真実を告げるだけである。



What he fears is cause without the consequences that would make it cause. And so it never was.
  • without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
  • consequence [kɑ́nsəkwèns] : 「結果、結論、結末、成り行き、帰結」
❖ "What he fears is ~ "「夢見る者が恐れているものは、原因を原因ならしめる結果を伴わない原因である」。"And so it ~ "「だから、そんな原因は決してなかったのだ」。何かの結果が出現した時に初めて、その原因が求められ、原因と結果がセットとなって理解されるのである。その意味では、結果が原因を原因ならしめているのであるが、しかし、夢を見ている者にとっては、そんな因果律は成立していない。結果が、原因のないままに突如現れたりする。夢にモンスターが現れたとき、あなたはその原因が理解出来て、モンスターの出現に因果律を適用出来るだろうか。本文は、夢見る者は、結果のない原因を恐れている、と書かれているが、同様に、原因のない結果も恐れているのである。つまり、夢見る者が恐れているものは、実相的に実在する原因でも結果でもなく、単なる思い込み、幻想に過ぎないのだ、という意味合いである。思い込みに過ぎない原因も結果も、存在した例しは決してないのだ(And so it never was)。
 
 
 


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