●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-30.II.1:1~ T-30.II.2:10

 
 
II. Freedom of Will
意思の自由
 
 
 
1. Do you not understand that to oppose the Holy Spirit is to fight yourself? He tells you but your will; He speaks for you.
  • understand [ʌ̀ndərstǽnd] : 「理解する、了解する、納得する、分かる」
  • oppose [əpóuz] : 「反対する、反抗する、対抗する、敵対する」
  • fight [fáit] : 「〜と戦う、〜に対抗する、〜と争う」
  • tell [tél] : 「〜に話す、言う、告げる、教える、伝える」
  • will [wíl] : 「意志、願望、意欲」
  • speak for : 「〜の代弁をする、〜をかばう」
❖ "Do you not understand ~ "「ホーリー・スピリットに反対することは、あなた自身と戦うことだと、あなたは理解していないのだろうか」。"He tells you but ~ "「ホーリー・スピリットはあなたに、あなたの意思を告げているのだ」。"He speaks for ~ "「ホーリー・スピリットは、あなたの代弁をしているのである」。あなたのアドバイザーであるホーリー・スピリットは、あなたの心の中の最も神聖で純粋な部分に住んでいる。ホーリー・スピリットは、神のメッセンジャーとして、神の意思をあなたに伝えている。ところで、実相世界は一元論世界であり、神の子であるあなたと、ホーリー・スピリットと、そして神は、最終的に融合して単一の存在になる(三位一体)。あなたとホーリー・スピリットは同体なのだ。したがって、ホーリー・スピリットに反抗することは、あなた自身と戦うことになる。ホーリー・スピリットの意思はあなたの意思でもあり、神の意思はあなたの意思でもある。蛇足になるが、では、エゴはあなたの代弁者として、あなたの意思を告げいてはいないのか。エゴに反抗することは、あなた自身と戦うことではないのか。違うのだ。エゴ(偶像)は二元論世界の幻想であり、エゴとあなたが結合融合し一体となることは不可能である。エゴは、単にあなたを支配し、あなたを隷属化しているだけなのだ。



In His Divinity is but your own. And all He knows is but your knowledge, saved for you that you may do your will through Him. God asks you do your will.
  • divinity [divínəti] : 「神性、神々しさ」
  • knowledge [nɑ́lidʒ] : 「知識、心得、認識、知恵、知見」
  • save [séiv] : 「確保しておく、取っておく、残しておく 」
  • through [θrúː] : 「〜を通じて、〜の手を経て、手を通して」
❖ "In His Divinity ~ "「ホーリー・スピリットの神聖さの中に、あなた自信の神聖さがある」。神の子であるあなたは、ホーリー・スピリットと同様に神々しい。"And all He knows ~ "「ホーリー・スピリットの知っているあらゆることは、あなたの叡智である」。ACIMの"knowledge"「叡智」とは、単なる『知識』を意味する言葉ではない。直覚によって得られた真実のすべて、愛と喜びに裏打ちされた真実の命のことである。幻想世界に住むあなたは、その叡智を忘れている。忘れてはいるが、失ってはいない。ホーリー・スピリットの叡智として、あなたの心の中に生きている。"saved for you that ~ "ここの"that"は"so that"のこと、「ホーリー・スピリットの知っているあらゆることは、あなたがホーリー・スピリットを通してあなたの意思を実行出来るように、あなたのために保持されている」。"God asks you do ~ "「神は、あなたがあなたの意思を実行することを求めているのだ」。神が最も重んじているのは、あなたの自由意思である。万能の神でさえ、あなたの自由意思を犯すことは出来ない。言い換えれば、あなたが自由意思を失うことは、神を否定することになる。逆に、あなたが自由意思を実行するとき、あなたは神と一体になれるのである。神は、それを望んでいるのだ。



He joins with you. He did not set His Kingdom up alone. And Heaven itself but represents your will, where everything created is for you.
  • join [dʒɔ́in] : 「〜に参加する、〜と交わる、〜と一緒になる、結合する」
  • set up : 「構成する、築く、設ける、組み立てる」
  • alone [əlóun] : 「独りで、単独で」
  • represent [rèprizént] : 「〜を表す、描く、描写する、意味する、象徴する」
  • create [kriéit] : 「〜を創造する、〜を創り出す」
❖ "He joins with ~ "「神は、あなたと一体である」。"He did not set ~ "「神は、単独で神の王国を創ったのではない」。神は、天の王国で、神とホーリー・スピリットと神の子の三位(さんみ)が一体となることで完成される。神の王国は、神一人では完成しないのだ。"And Heaven itself ~ "「そして、天の王国自体は、あなたの意思を表している」。天の王国、すなわち実相世界は、その包摂(ほうせつ)するすべての真実が、あなたの意思を祝福し、正しいと証言し、あなたの意思を賛歌する世界なのだ。"where everything ~ "「そこでは、あらゆるものが、あなたのために創造される」。すべてが、あなたの所有であるということを言っているのではない。すべての生殺与奪権を、あなたが握っているという意味でもないし、すべてを支配しているという意味でもない。神は、神の子を愛し、その愛をもってすべてを創造している、という意味である。天の王国の、神が創造したすべての真実は、神の子に命の息吹を与えているという意味である。



No spark of life but was created with your glad consent, as you would have it be.
  • spark [spάːrk] : 「火花、スパーク、活気、元気、生気」
  • spark of life : 「生気、活気」
  • glad [glǽd] : 「うれしい、満足して、うれしく思う」
  • consent [kənsént] : 「承諾、承認、同意、了解、許可」
❖ "No spark of life but ~ "意訳する、「命のほんの小さな輝きさえ、あなたが同意するという喜びを願って、創造されたのだ」。あなたが真実の命を快く受け入れてくれるからこそ、つまり、喜びをもって同意してくれるからこそ、神はあらゆる命を創造し、神の子に与えたのだ。"as you would have ~ "ここも意訳、「あなたが、命の輝きが創造されて欲しいと願った通りに、そうなったのだ」。もちろん、あなたのその願い(意思)を叶えて、あらゆる命を創造してくれたのは父なる神である。



And not one Thought that God has ever had but waited for your blessing to be born.
  • thought [θɔ́ːt] : 「考え、思考、思索、熟考」
  • wait for : 「〜を待つ」
  • be born [bɔ́ːrn] : 「生まれる、誕生する」
❖ "And not one Thought ~ "「神が抱いた思いはどれ一つとして、それが生み出されることをあなたが祝福するのを待っていなかったものはない」。神が心に抱いた真実は、あなたがその真実を祝福することで、天の王国に生まれ出たのだ。神の思いは、神の子がその思いを愛することで創造されるのである。お気付きと思うが、ここの『神』と『神の子(あなた)』を入れ替えても、完全に意味が通じる。つまり、神と神の子に区別はなく、一体なのである。だから、もしあなたが、自分は神であると宣言しても、それは正しい。ただし、そこに思い上がりの心が少しでも混入していたなら、それはエゴの戯言に過ぎない。



God is no enemy to you. He asks no more than that He hear you call Him "Friend. "
  • enemy [énəmi] : 「敵、敵国」
  • no more than : 「〜しかない、たった、わずか」
  • hear [híər] : 「 〜を聞く、聴く、〜が聞こえる、耳にする」
  • call [kɔ́ːl] : 「〜を〜と呼ぶ」
❖ "God is no enemy ~ "「あなたにとって、神は決して敵ではない」。"He asks no more ~ "「神は、あなたが神を『友』と呼んでくれる以上のことを求めてはいないのだ」。あなたが神に愛を求めると同じように、神もまた、神の子であるあなたの愛を求めている。愛は命であり、神は神の子から命の愛をもらうのである。もちろん同時に、神の子は神から、命の愛を、あるいは命の光をもらうのだ。もはやそこに、神と神の子の境目はない。光のホーリー・スピリットが神と神の子を包み込み、三位が完全に一体になる。純粋一元論の必然であり、あらゆる存在は"God is"「神あり」の一点に収斂(しゅうれん)するのである。



2. How wonderful it is to do your will! For that is freedom. There is nothing else that ever should be called by freedom's name.
  • wonderful [wʌ́ndərfəl] : 「すてきな、不思議な、素晴らしい、見事な」
  • freedom [fríːdəm] : 「自由、解放、自主、独立」
❖ "How wonderful ~ "「あなたの意思がなされることは、なんと素晴らしいことであろう」。"For that is ~ "「なぜなら、意思がなされるということは、自由を意味するからだ」。"There is nothing else ~ "「自由という名によって呼ばれるべきものは、外に何もない」。意思が、何ものにも妨害されることなく実現されることが、本当の自由である。実相的な自由意思ことが、もっとも重要なのだ。ところが、頭脳による理性的判断が自由意思であると勘違いしている者が多い。それは、エゴの歪んだ意思であり、幻想の意思である。似非意思とでも呼ぼうか。



Unless you do your will you are not free. And would God leave His Son without what he has chosen for himself?
  • unless [ənlés] : 「〜でない限り、〜である場合を除いて」
  • leave [líːv] : 「〜を残す、置きっぱなしにする、ほっておく」
  • without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
  • chosen [tʃóuzn] : 「choose の過去分詞形」
  • choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
❖ "Unless you do your will ~ "「あなたが意思を行使出来ない限り、あなたは自由ではない」。あなたが自由意思を行使出来た時、初めてあなたは自由になれる。"And would God leave ~ "「神の子が自分自信のために選んだものを得られないままに、神が神の子を放置しようとするだろうか」。神の子が自由意思を行使して成そうとしたことを、神が与えないままにしておくはずはない。あなたが自由意思を行使するとき、それは必ず現実化し、実現する。それを、神が保証してくれるのである。思いは必ず現実化するとは、そういうことである。




God but ensured that you would never lose your will when He gave you His perfect Answer.
  • ensure [inʃúər] : 「〜を確かにする、保証する、請け合う」
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
  • perfect [pə́ːrfikt] : 「完全な、完璧な」
❖ "God but ensured ~ "「神が神の完全な答えをあなたに与えたとき、あなたは決して、あなたの意思を失うことはないと、神は保証したのである」。"His perfect Answer"「神の完全な答え」とは、あなたの問い掛けに対して完全に答えてくれる者のことで、ホーリー・スピリットとことだと考えていいだろう。神があなたの心の中にホーリー・スピリットをメッセンジャーとして住まわせたのだから、あなたは実相的な真実の意思を失うはずはない。心にホーリー・スピリットが住んでいる限り、あなたは、心の正気を失うはずはないのだ。神は、それを保証してくれる。



Hear It now, that you may be reminded of His Love and learn your will.
  • hear [híər] : 「〜を聞く、聴く、〜が聞こえる」
  • remind [rimáind] : 「〜に思い出させる、〜に気付かせる」
  • learn [lə́ːrn] : 「〜を学ぶ、〜を知る、分かる」
❖ "Hear It ~ "「その完全な答えに耳を傾けなさい」。叡智そのものであるホーリー・スピリットの声に耳を傾けなさい。ホーリー・スピリットに決断を任せ、その完全な答えを聞きなさい。"that you may be ~ "ここの"that"は"so that"のこと、「その結果、あなたは神の愛を思い出すことが出来、あなたの意思を知ることが出来るのである」。エゴが仕掛けた煙幕によって、あなたは神の愛を忘れ、ホーリー・スピリットが保持してくれたあなたの意思を忘れてしまっていたのだ。しかし、ホーリー・スピリットをアドバイザーとして選択し、ホーリー・スピリットの完璧な答え、つまり神の答えに耳を傾ける決心をしたあなたは、今や、神の愛を思い出し、自らの実相的な意思の存在に気付いたのである。もちろん、その意思とは、真実を愛し、実相に目覚めようとする意思である。幻想を取り消し、天の王国へ回帰しようとする意思である。神の愛を受け入れ、また神への愛を確信する意思である。自らがキリストとなって、同胞を救おうとする意思である。



God would not have His Son made prisoner to what he does not want. He joins with you in willing you be free.
  • have : 「〜を〜の状態にする」
  • prisoner [prízənər] : 「囚人、捕虜」
❖ "God would not have ~ "「神は、神の子が、神の子が望みもしないものの捕われ人にされることを望んではいない」。"what he does not want"「神の子が望んでもいないもの」とは、幻想のことであり、エゴのことである。神は、神の子がエゴの奴隷になることを望んではいない。神は、至上の愛をもって、神の子が幻想に過ぎないエゴの支配から解放されることを望んでいるのだ。解放された神の子が天の王国に回帰し、神の子を強く抱きしめることを、神は夢に見ているのである。あなたは、その神の愛に気付いていない。『親心子不知』である。"He joins with you ~ "「あなたが自由でいられることを願って、神はあなたと一体になっているのだ」。お気付きと思うが、ここまで来れば、愛と自由と意思と望み、等々は、ほぼ同一の概念であることが分かる。もはや境目は曖昧となり、結合融合した概念となる。自由のない愛はなく、愛のない自由もない。自由を意思しない望みもなく、愛を望まぬ自由意思もない。愛は自由であり、意思は望みである。望みは愛であり、意思は自由である。そして、これらの単語を、神や神の子やホーリー・スピリットと置き換えても、完全に意味が成立する。神のいない神の子は存在せず、神の子のいない神もまた存在しない。ホーリー・スピリットのいない神の子は存在せず、神の子のいないホーリー・スピリットまたいない。ホーリー・スピリットは神であり、神の子はホーリー・スピリットである。ホーリー・スピリットは神と一体であり、神は神の子と一体なのだ。



And to oppose Him is to make a choice against yourself, and choose that you be bound.
  • choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
  • make a choice : 「選択する、選んで取る」
  • against [əɡéinst] : 「 〜に反対して、〜に逆らって」
  • choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • bound [báund] : 「bind の過去・過去分詞形」
  • bind [báind] : 「〜を縛る、結び付ける、〜を束縛する、拘束する」
❖ "And to oppose Him is ~ "「神に反対することは、あなた自身に対抗することを選択することであり、」"and choose that you ~ "ここの"be"は"should be"のこと、「そして、神に反することは、あなたが束縛されるべきことを選択することである」。神の意思、神の愛を否定することは、あなたの心の正気さを否定することであり、エゴを受け入れて、エゴの奴隷になる選択をしたことと等しいのだ。エゴとは、あなたの心の闇であり、闇であるから幻想に過ぎない。幻想の闇の帝王がエゴである。帝王であるがゆえに、エゴは支配と束縛と隷属化を第一に優先する。あなたを奴隷に仕立て、あなたの意思を支配し、自由を奪い、愛を奪い、意思を奪い、望みを奪うのである。そのエゴの世界を、ACIMは地上の地獄と呼んでいる。あなたが住んでいるこの世界、この幻想世界は、ACIMの言う地獄なのだ。なぜ、あなたは地獄に甘んじているのか。なぜ、あなたはエゴからの解放を望まないのだろう。なぜ、地獄からの自由を意思しないのだろう。なぜ、天の王国の愛と喜びを望まないのだろうか。・・・そう叫ぶイエスの声が、あなたの耳には聞こえて来ないか。
 
 
 



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