●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-31.VII.8:1 ~ T-31.VII.9:3


8. Behold your role within the universe! To every part of true creation has the Lord of Love and life entrusted all salvation from the misery of hell. 

  • behold [bihóuld] : 「見守る、注視する」
  • role [róul] : 「役割、役目、任務」
  • within [wiðín] : 「〜の中で、〜の内側に」
  • universe [júːnəvə̀ːrs] : 「宇宙、銀河、全世界」
  • part [pάːrt] : 「一部、部分」
  • true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
  • creation [kriéiʃən] : 「創造、創作、創作物」
  • Lord [lɔ́ːrd] : 「神」
  • entrust [intrʌ́st] : 「任せる、委ねる、委任する、委託する」
  • salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い、救世」
  • misery [mízəri] : 「悲惨、不幸、苦痛、惨めさ、窮状」
  • hell [hél] : 「地獄、生き地獄」

❖ "Behold your role ~ "「世界の中におけるあなたの役割に注視しなさい」。あなたの役割とは、幻想から実相へと、自分もまた同胞も、さらに世界をも救い出すキリストとして再生すること。あなた自身がキリストとして世界を救うこと。"To every part of ~ "「真に創造されたもののあらゆる部分に対して、愛と命の神は、地獄の悲惨さからの救いのすべてを委ねているのだ」。"every part of true creation"「真に創造されたもののあらゆる部分」とは、簡単に、すべての神の子、と考えていいだろう。"entrust"「委ねる」とあるが、任務を与えたと解釈するより、強く願っている、と解釈した方が通りはいい。したがって、神が愛をもって生み出した命ある神の子すべてに対して、互いに互いを、この世の地獄の悲惨さから救い出すように強く願っている、という意味合いになる。あなたと同胞は自他一如であり、あなたがキリストなら同胞もまたキリストなのだ。すべての神の子がキリストとなって、この幻想世界から救われ、天の王国に回帰することを、神は強く願っているのだ。それは、あたかも、神が神の子に委ねた(has entrusted)任務のようなものである。



And to each one has He allowed the grace to be a savior to the holy ones especially entrusted to his care. 

  • each [íːtʃ] : 「それぞれの、一つ一つの、めいめいの」
  • allow [əláu] : 「許す、許可する、割り当てる、配分する」
  • grace [ɡréis] : 「恩寵、神の愛、慈悲、寛大さ、寛容」
  • savior [séiviər] : 「救い手、救済者、救い主」
  • holy [hóuli] : 「神聖な、聖なる」
  • especially [ispéʃəli] : 「特に、著しく、殊のほか、とりわけ」
  • care [kέər] : 「世話、保護、配慮、ケア」

❖ "And to each one ~ "「そして、一人一人に対して、神は、特別に保護を任された神聖な神の子の救い主になるよう、慈悲をもって許したのだ」。ここの"the holy ones especially entrusted to his care"「特別に保護を任された神聖な神の子」とは、先の"entrust"と同様に、「特別に保護したいと強く願う神聖な神の子」と解釈していいだろう。神は神の子を殊更に愛して創造したのだから、特別に守ってあげたいと願っているのだ。だから、愛する神の子がこの地獄世界で苦しんでいることに心を痛め、互いに互いを救い出すようにと、神の子にキリストになるようにと、慈悲をもって許したのである。"grace"を「慈悲」と訳してみたが、「恩寵」と訳してもいい。神の子がキリストとなることを、至上の愛をもって願った、という意味合いである。



And this he learns when first he looks upon one brother as he looks upon himself, and sees the mirror of himself in him. 

  • learn [lə́ːrn] : 「〜を学ぶ、〜に精通する」
  • mirror [mírər] : 「鏡、反射鏡」

❖ "And this he learns ~ "「そして、神の子は、〜したとき、このことを学ぶのである」。"when first he looks ~ "「神の子が、初めて、自分自身を見るように同胞を見るようになり、そして、同胞の中に、自分自身の鏡の像を見ることになったとき、」神の子は、このことを学ぶのである。それまで分離分裂していた神の子であったが、自分と他者は自他一如であることに気付いたとき、自分も同胞も、共に神に愛される神の子であり、救いという役割をもったキリストなのだと知るのである。



Thus is the concept of himself laid by, for nothing stands between his sight and what he looks upon, to judge what he beholds. 

  • thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、このようにして」
  • concept [kάnsept] : 「概念、観念」
  • laid [léid] : 「layの過去・過去分詞形」
  • lay [léi] : 「置く、横たえる」
  • stand [stǽnd] : 「立つ、立っている」
  • between A and B : 「AとBとの間に」
  • sight [sáit] : 「視野、視界、視力、視覚」
  • judge [dʒʌ́dʒ] : 「判断する、〜だと思う」

❖ "Thus is the concept ~ "「こうして、自己概念は脇に捨てられる」。自分の中のキリスト性に目覚めた神の子は、それまで持っていたエゴ的な幻想の自己概念を捨てるのである。"for nothing stands ~ "「なぜなら、神の子が何を見ているか判断するに当たって、見ているものと視界との間に、何も立ちはだかったりしないからだ」。幻想のベールも黒雲も、今や、神の子の視界を邪魔したりしない。見たものがそのまま真実である。そして、神の子の目に、自分が、神に愛された神の子であり、同胞もまた、自分と分離などしていない神の子であって、共にキリストの姿をしていると映るのである。



And in this single vision does he see the face of Christ, and understands he looks on everyone as he beholds this one. 

  • single [síŋɡl] : 「ただ一つの、たった一つの」
  • vision [víʒən] : 「先見の明、洞察力、想像力、視覚、視力」
  • understand [ʌ̀ndərstǽnd] : 「理解する、分かる、把握する」

❖ "And in this single ~ "「こうした、唯一のヴィジョンの内に、神の子はキリストの顔を目撃することになる」。真実を見抜く視力こそ、唯一のヴィジョンであり、ヴィジョンが捉えたキリストの顔こそ、神の子の真実なのだ。"and understands he ~ "意訳する、「そして、神の子は、自分にキリストの顔を見たように、すべての同胞にキリストの顔を見るのだと理解するのである」。ここでは、幻想世界からの救いを強調しているのでキリストの顔となっているが、もちろん、ホーリー・スピリットそのものと考えてもいい。神の子とキリストとホーリー・スピリットは、元々、同一の存在なのだから。



For there is light where darkness was before, and now the veil is lifted from his sight.

  • light [láit] : 「光、明かり」
  • darkness [dάːrknis] : 「暗がり、暗闇」
  • before [bifɔ́ːr] : 「〜の前に、〜に先立って、〜を前にして」
  • veil [véil] : 「覆い隠すもの、ベール」
  • lift [líft] : 「持ち上げる、取り除く、撤廃する」

❖ "For there is light ~ "「なぜなら、以前、闇が覆っていた場所に、光が射してきたからだ」。闇の幻想に、実相の光が射してきたのだ。光の中に真実が浮かび上がり、キリストの姿が見えてきたのだ。"and now the veil ~ "「今や、神の子の視野から、ベールは取り除かれた」。幻想は払拭され、実相の光が射して真実が浮かび上がった。エゴの思考システムもまた、実相の光の中で消滅していくのである。



9. The veil across the face of Christ, the fear of God and of salvation, and the love of guilt and death, they all are different names for just one error; that there is a space between you and your brother, kept apart by an illusion of yourself that holds him off from you, and you away from him. 

  • across [əkrɔ́s] : 「〜を横切って、〜にわたって」
  • guilt [ɡílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
  • death [déθ] : 「死、死亡、破滅、消滅」
  • different [dífərənt] : 「相違する、違っている、異なる」
  • error [érər] : 「誤り、間違い、過失、思い違い」
  • space [spéis] : 「合間、期間、間隔、余白、空欄」
  • apart [əpάːrt] : 「離れて、離ればなれで、バラバラに、別々に」
  • illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • hold off : 「寄せ付けない、撃退する、阻止する」
  • away from : 「〜から離れて」

❖ "The veil across ~ "「キリストの顔を覆っているベール、それは神への恐れ、救いへの恐れ、そして、罪と死への愛である」。"they all are different ~ "「それらは、たった一つの誤りに名付けられた異った名前である」。"that there is a space ~ "「すなわち、あなたとあなたの同胞の間に隙間があり、同胞を寄せ付けず、あなたから引き離す幻想によって保持されている(分離なのだ)」。キリストの顔を覆っている幻想のベールは、一つの誤りから生じた。それは、神の子の神からの分離であり、神の子の分離分裂である。実相世界で単一の存在であった神の子は、神から分離し、神を裏切った罪と神の罰の恐れを知った。それでも神の子は、分離を象徴する幻想世界を心の外部に投射して偽創造し、あらゆるものを二元に分離した。もちろん、自らも分離分裂し、多数の神の子が幻想された。あらゆるものは、自他の区別を付けられ、互いの間に溝が作られたのだ。対して、実相世界は、いわばホログラフィックな世界であり、すべてが渾然と一体化している。区別や差別はない。究極的には、神と神の子とホーリー・スピリットの区別さえ消滅する。すべてが神の一点に収斂する世界である。そこは、純粋な真実だけが存在し、対極概念をもたない。罪も苦も死も恐れも痛みも憎悪も怒りも悲しみもない。時間も空間もない。愛と喜びと平和、美、慈しみ、調和、等々が、光の中で永遠に輝いている。



The sword of judgment is the weapon that you give to the illusion of yourself, that it may fight to keep the space that holds your brother off unoccupied by love. 

  • sword [sɔ́ːrd] : 「剣、刀」
  • judgment [dʒʌ́dʒmənt] : 「判断、判断力、意見、分別」
  • weapon [wépən] : 「武器、兵器、凶器」
  • fight [fáit] : 「格闘する、戦う」
  • unoccupied [ʌnάkjupàid] : 「占領されていない」

❖ "The sword of judgment ~ "「判断という剣は、幻想のあなたにあなたが与えた武器である」。分離分裂した世界で生きていくために、あなたは、頭脳による理性的判断を武器にするようになった。得るためには奪え、攻撃される前に攻撃せよ、利益追求は権利であり、物質的豊かさはステータスで、支配する者こそが勝者となる。判断なくして勝利なし、というわけである。"that it may fight ~ "「すなわち、その剣は、あなたの同胞を寄せ付けないスペースが愛によって占領されないように、戦うこととなる」。理性的判断は分離を維持する。あなたと同胞は一体ではなく、二つの肉体をもった二つの存在である。決して、純粋な愛によって結ばれることはない。これが、分離世界の掟なのだ。



Yet while you hold this sword, you must perceive the body as yourself, for you are bound to separation from the sight of him who holds the mirror to another view of what he is, and thus what you must be.

  • while [hwáil] : 「〜の間ずっと、〜する間に、その間に」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • bound [báund] : 「bindの過去・過去分詞形」
  • bind [báind] : 「縛り上げる、縛る、結び付ける」
  • separation [sèpəréiʃən] : 「分離、区別、別居、別離、離脱」
  • mirror [mírər] : 「鏡、反射鏡」
  • another [ənʌ́ðər] : 「もう一つの、別の、ほかの」
  • view [vjúː] : 「光景、景色、視界、視野、意見、見識、考え、絵、図」

❖ "Yet while you hold ~ "「しかし、あなたがこの剣を持っているうちは、あなたは、肉体をあなた自身と知覚せざるを得ない」。肉体は分離を象徴して幻想されたものであるから、分離を維持しようとする限り、あなたは肉体的存在として自分を見ることになる。"for you are bound ~ "意訳する、「なぜなら、あなたは、同胞を分離して見る見方に縛られてしまうからだ」。"who holds the mirror ~ "ここも意訳、「その同胞は、本当の彼はどう見えるか、つまり、本当のあなたはどう見えるべきか、それを見せる鏡を持っているのだ」。あなたが真実を見極める実相的なヴィジョンをもっているなら、同胞の姿を見て、そこにキリストの顔を発見するだろうし(another view of what he is)、そのキリストの顔こそあなた自身の顔だ(what you must be)と認識出来るはずだ。なぜなら、同胞はあなたを写す鏡だからだ(who holds the mirror)。ところが、あなたは分離を維持するための剣を振り回して、頑(かたく)なに、同胞とあなたの間に分離を見ようとする。ありもしないスペースを幻想として見てしまうのだ。つまり、分離という錯覚に束縛されているのである(you are bound to separation)。
 
 
 
 


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